福山市立向丘中学校 市町教育委員会事業実施報告書 (学力向上研究推進校) 事 1 実 施 報 告 書 事業の実施期間 委託を受けた日 2 業 ∼ 平成22年 3月 31日 事業実施概要 (1) 事業実施体制 推進委員会 研究推進地域 研究推進校各1名) 研究推進校各1名) 研究推進校各3名) 計32名 研究推進校 《向丘中学校》 福山B地域︵4校︶ B地域4名 B地域1名 B地域3名 福山A地域︵4校︶ ・学識経験者 (1名) ・指定校校長 (A地域4名 ・研究推進教員 (A地域1名 ・チームリーダー (A地域3名 ・教育委員会事務局(6名) 研究推進校 《神辺中学校》 国語チーム 数学チーム 英語チーム 国語チーム 数学チーム 英語チーム ・学識経験者 (1名) ・国語科教員 (2名) ・教委事務局 (1名) ・学識経験者 (1名) ・数学科教員 (2名) ・教委事務局 (1名) ・学識経験者 (1名) ・英語科教員 (3名) ・教委事務局 (1名) ・学識経験者 (1名) ・国語科教員 (5名) ・教委事務局 (1名) ・学識経験者 (1名) ・数学科教員 (4名) ・教委事務局 (1名) ・学識経験者 (1名) ・英語科教員 (3名) ・教委事務局 (1名) 計4名 計4名 計5名 計6名 計7名 研究推進教員 研究推進教員 学校全体の取組 学校全体の取組 計5名 (2) 学力向上研究推進校 学力向上研究推進校名 福山市立向丘中学校 校長名及び 研究推進教員名 <校長名> 門田 剛年 教科担当者氏名 国語科 数学科 英語科 飛田美智子 渡邊 照義 友野 禎之 木曽 藤井 敏和 川﨑 英子 溝渕 幸声 義登 <研究推進教員名> 飛田美智子 (3) 研究テーマ 思考力・判断力・表現力の育成 ∼指導内容・方法,教材等の工夫を通して∼ (4)研究計画に基づいて実施した事業の経過 月日 推進委員会及び教科グループ協議 4月 28 日 推進委員会 5月 7日 研究授業 5月 29 日 研究授業 全体研修 研究内容 授業改善のための調査分析 全体研修 講師等 広島大学 角屋教授 指定事業の説明・演習(誤答分析) 国語科研究授業における改善ポイン トの有効性 6月 2日 6月 15 日 研究授業 数学科・英語科グ 数学科・英語科研究授業における改善 ループ協議 ポイントの有効性 研究授業 全体研修 国語科研究授業における改善ポイン 広島大学 達川教授 広島大学 田中教授 トの有効性 6月 25 日 推進委員会 授業改善ポイントの検証について 6月 29 日 研究授業 数学科・英語科研究授業における改善 数学科・英語科グループ協議 ポイントの有効性 研究授業・全体研修 国語科授業 7月 3日 7月 7日 研究授業 国語科・数学科・ 授業参観の視点・言語活 兵庫教育大学 堀江教 動の充実について 授 数学科・英語科研究授業における改善 広島大学 小山教授 英語科グループ協議 ポイントの有効性 7月 30 日 全体研修 活用型問題作成ポイントについて 8月 20 日 全体研修 演習(定期テストの誤答分析) 8月 28 日 推進委員会 到達目標を明確にした授業改善 9月 4日 研究授業 全体研修 広島大学 角屋教授 数学科研究授業における改善ポイン 早稲田大 田中教授 広島大学 小山教授 トの有効性 9月 8日 研究授業 数学科・英語科グ ループ協議 10 月 28 日 研究授業 国語科グループ協 議 10 月 29 日 11 月 7 日 数学科・英語科研究授業における改善 広島大学 田中教授 ポイントの有効性 広島大学 達川教授 国語科研究授業における改善ポイン トの有効性 研究授業 数学科・英語科グ 数学科・英語科研究授業における改善 広島大学 小山教授 ループ協議 ポイントの有効性 広島大学 達川教授 研究授業 思考力・判断力・表現力の育成 早稲田大学 田中教 全体研修 授 1月 18 日 1月 27 日 研究授業 国語科・数学科グ 国語科・数学科研究授業における改善 ループ協議 ポイントの有効性 推進委員会(報告会) 今年度の取組の成果・課題 来年度に向けて 1月 28 日 研究授業 全体研修 英語科研究授業における改善ポイン トの有効性 2月 15 日 研究授業 国語科・数学科・ 国語科・数学科・英語科研究授業にお 英語科グループ協議及び全体 ける改善ポイントの有効性と本年度 研修 のまとめ 広島大学 角屋教授 (5)研究内容 ① 国語科における研究内容 ア 授業改善の実際 【実践事例Ⅰ】第1学年 単元名「ちょっと立ち止まって」 【誤答分析】 ・ 段落ごとにどのようなことが書いてあるか理解できていない。 ・ 文章の論の展開の仕方や,筆者の主張や具体例を挙げている部分の読み取りがで きていない。 (平成 20 年度「基礎・基本」定着状況調査 四4) 【調査結果からみる課題】 文章の展開を正確に把握でき る力 【指導改善のポイント】 説明的文章における筆者の主張と具体例の関係 を理解させる。 【指導の工夫】 ① この文章における具体例である三つのだまし絵の順序性に着目させ,その絵の順序を 変えることができるかできないかという課題を提示する。その課題についていずれかの 立場に立って根拠を明確にして書かせる。 ② ①について,自分の立場とその根拠を交流することによって,筆者の書き方の妥当性 について考えさせる。 【実践事例Ⅱ】第2学年 単元名「モアイは語る∼地球の未来」 【誤答分析】 ・ 文章の全体から部分を読み取ることができていない。 ・ 段落相互の関係を読み取ることができていない。 ・ 段落の内容を読み取ることができない。 (平成 21 年度「基礎・基本」定着状況調査 【調査結果からみる課題】 ・ 筆者の論理の展開の仕方について とらえる力 ・ 表現の仕方や特徴に注意して読む力 四4) 【指導改善のポイント】 段落カードの並べ替えを行い,段落のつなが りを判断するポイントを論議する。 【指導の工夫】 ① 形式段落をばらばらにした説明文を読み,段落の並び方について,個人やグループで 考える。 ② ①での論議の結果,1年生へ向けて段落のつながりを判断するポイントについて説 明する文章を書かせる。 次 の 文 章を 読 んで 、 各 段 落 の 説 明で あて は ま る も のを 選 び 、 記 号 説明文 1段落︵ ︶2段落︵ ︶ 3段落︵ ︶4段落︵ ︶ 5段落︵ ︶ ︵説明︶ A 追加の説明をしている B 筆者の主張 C 問題提起 D 問題提起に対する例 E 新しい問題提起 イ で答えなさい。 【評価問題】 成果と課題 【実践事例Ⅰ】 本単元終了後,平成 20 年度「基礎・基本」定着状況調査 四4の問題を解かせ,指導の 検証を行った。 (ア)成果 検証問題の正答率は 67.7%であった。中学1年の6月という時期から判断すると,今 回の指導改善によって多くの生徒が文章の展開を把握する力をつけることができている と考える。無解答は0%であり,文章の展開を把握しようとする意欲面での向上もみら れた。 (イ)課題 誤答の割合は, 「基礎・基本」定着状況調査における誤答の割合と一致していた。誤答 した生徒は,今回の指導改善において説明的文章の展開を把握するためには,具体例に 着目して筆者の主張を探るべきであるということを理解できたが,段落ごとにどのよう なことが書いてあるか理解できておらず,同時に筆者の主張または結論は最初にあると 思い込んでいると考えられる。 したがって,今後の課題は,段落ごとにどのようなことが書かれているか丁寧に読み 取らせていくことと,文章は結論先行のものだけではないということを理解させるため, さまざまな展開の文章に触れさせることである。 【実践事例Ⅱ】 (ア)成果 ○ 段落カードの並べ替えの活動を3回行った。生徒に「文章の構成を考えながら読む ことができたか」というアンケートを取ったところ, 「よくできた」88.6%, 「できた」 11.4%であった。この活動から,文章構成の在り方について意欲的に考えることがで きたと考える。 ○ 段落カードの並べ替え後のグループ討議や 1 年生へ向けての内容説明と筆者の書き 方の説明について,グループで論議を5回もたせた。生徒の感想から,グループ活動 をもったことで,友だち同士で課題について整理や共有できたことなどが書かれてい た。今後もグループでの活動を増やしていく。 (イ)課題 検証問題の正答率は 48.6%,無答率は0%であった。誤答の主な理由は,文末表現に とらわれて,筆者の主張なのか新しい問題提起なのかを,文章全体や段落の内容を理解 せずに解答しているものがあった。文章の全体像や段落の内容把握に必然性をもたせる 指導を考えていく。 ② 数学科における研究内容 ア 授業改善の実際 【実践事例Ⅰ】第1学年 単元名「比例と反比例」 【誤答分析】 答えを求めた根拠はわかっているのだが,筋道を立てて説明することができていない。 (平成 20 年度全国学力・学習状況調査 B3(2)) 【調査結果からみる課題】 事象における数量の関係を見いだし,問題解決の方法を数学的に説明する力 【指導改善のポイント】 分かりやすく表現する活動を 取り入れていく。 【指導の工夫】 ① ペア学習を仕組み,数学的表現を用いて説明 を行わせ,不十分な点を言わせる。 ② ペア学習で修正した説明を全体でも交流し, 検討する。 【実践事例Ⅱ】第2学年 単元名「図形の性質と合同」 【誤答分析】 ・ 角の数が少ない方が,一つ一つの外角が大きいから,外角の和も大きくなるととらえ ている。 ・ 角の数が増えると,外角も増えるため外角の和も大きくなるととらえている。 ・ 図を見ただけでは判断できないため,どちらが大きいかがわからないと答えている。 (平成 21 年度全国学力・学習状況調査 A6(2)) 【調査結果からみる課題】 多角形の外角の性質を求める力 【指導改善のポイント】 操作を通して多角形の外角の性質を考えさせる。 【指導の工夫】 ① 多角形の外角の和が 360°になることに,操作を通して気付かせる。 ② 気付いた性質を式を用いて説明する活動を取り入れる。(帰納的に) イ 成果と課題 【実践事例Ⅰ】 (ア)成果 正答率は,53%であった。昨年度のデータより 18 ポイント伸びた。今回の指導改善に よって,文書を読み取り,筋道を立てて説明する力が付いたと考える。授業においても, 次の生徒のノートのように,三段階思考ができているのが分かる。課題解決学習のやり方 が生徒同士の論議を活発化し,思考を深めることができた。 「最初に」, 「次に」と, 考え方を説明してい る。 <生徒のノートから> (イ)課題 誤答分析から,全国学力・学習状況調査結果と同様に,答えは分かっているのだが,筋 道を立てて説明ができていない割合が 13%であった。ペアやグループの生徒に自分の言葉 で説明することや,お互いに分かりやすい説明ができるように考えさせる活動を取り入れ たり,筋道を立てて書いたりする作業を取り入れたりする必要がある。また,筋道を立て て書く作業は,家庭での課題学習等にも取り入れていきたい。 【実践事例Ⅱ】 本単元終了後,平成 21 年度全国学力・学習状況調査A6(2)問題を解かせ,指導の検証を行った。 (ア)成果 正答率は 90%であった。操作を通じて体験することによって,多くの生徒に印象深く残 ったと考える。 操作 図形を切って外角を集めた 指導者からの課題提示 (イ)課題 誤答率は 10%(11 人)で,そのうちの7人の生徒が図を見ただけでは判断できないため, どちらが大きいか分からないと答えている。誤答の生徒の中には,周囲の生徒の援助によ って操作を完成させた生徒が多く含まれている。その様子は,目的を理解せずただ単に周 りの生徒から言われたことを実行している様に見受けられた。そのため,操作の結果が何 を意味しているかということの理解もできていないと考える。 操作の前の段階で確実に目的を理解させることが必要である。展開を急ぎすぎたこと, 準備が不十分であったことなどから,時間が足りなくて十分に作業が進まない生徒も見ら れた。また,操作の結果について数学的に説明していく時間を十分に取ることができなか った。学習内容に結びつくような意味のある物にしていくために,目的をしっかり理解さ せること,時間に十分なゆとりを持って進めることが必要である。 ③ 英語科における研究内容 ア 授業改善の実際 【実践事例Ⅰ】第1学年 単元名 UNIT1「Hi!」 【誤答分析】 ・ 解答類型を確認すると,30 と 13 の違いが十分に理解出来ていない。 ・ 質問紙調査の中で質問 39「英語の授業では,単語や文を実際に発音するなどして,繰 り返して練習することが好きです。 」において, 「あてはまる」と答えた生徒が 30.1%で あり,かなり低い数値と判断できる。授業内における音読の量やその方法に課題がある と思われる。 ・ 中学1年で学習する内容が不十分なまま2年の学習へと進んでいることが語彙の間違いから推 測できる。聞く力が不足していることは,書く力も不十分であると考えられる。 (平成 20 年度「基礎・基本」定着状況調査 3) 【調査結果からみる課題】 ・ 数字を正確に1∼30 までカウ ントできる力 ・ リスニングなどで数字を正確 に聞き取ることができる力 【指導改善のポイント】 ① 反復練習の中で自分の間違いに気付くことができる。 ② ウォーミングアップにおいてペアで 1∼30 ま でをカウントアップ,カウントダウンさせる。 ③ 数字を英語で正確に聞き取り,足し算ができる。 【指導の工夫】 ① ウォーミングアップにおいてペアで1∼30 までを正確にカウントアップ,カウント ダウンさせる。 ② Greeting 終了後,起立させ隣の席の生徒と 1∼30 までの数字を正確にカウントアッ プ,カウントダウンすることを指示する。 ③ できるだけ大きな声量で言うことを伝える。 ④ 机間指導しながら,13∼19 と 20,30 の発音については教師がしっかりと聞き,間 違えている場合や,不明瞭な場合は繰り返し読ませる。 ⑤ 数字を正確に英語で聞き取り,教師が口頭で発音した数字を正確に理解し,足し算す ることができる。 ⑥ 教師が口頭で発音した数字を正確に聞き取り,それらをグループで考え発表する。 ⑦ 簡単な足し算から,少々複雑な計算まで5問行う。数字に 13∼19,20∼90 などを含 み,正確に聞き取らせる。 【実践事例Ⅱ】第 3 学年 単元名 UNIT6「At Christmas」 【誤答分析】 ・ Do you like と書いているのは,最後の every day に着目せずに解答しているためで ある。 ・ Are you like など be 動詞を使って書いているのは,be 動詞と一般動詞の区別がきち んとできていないためである。 ・ 疑問文で書いていないのは,会話文の前後をしっかり読み取っていないためである。 ・ 正しい語順や基礎的な文法が理解できていないことや,会話文の前後を意識して,英 文を読み取る力が身に付いていない。 (平成 20 年度「基礎・基本」定着状況調査 3) 【調査結果からみる課題】 ・ 授業の中で,会話をさせる活動 が不十分であった。 ・ 会話文から書くことへとつなげ る指導が不十分であった。 【指導改善のポイント】 ① 絵を見ながら会話した内容をもとに,正しい 英文を作成することができる。 ② お互いに絵を見ながら会話をして,相手から 情報を引き出す。 ③ 相手から聞いた情報をもとに,その絵の表し ている後置修飾の英文を書く。 【指導の工夫】 ① ペアで絵を使って,絵の表している内容を,後置修飾を使って対話する。 ☆ポイント 後置修飾(現在分詞) ∼している・・・・(名詞) Who is Jenny in the house? (家の中で誰(どの人)がジェニーですか?) Jenny is the girl watching stars. (ジェニーは星空を見ている女の子です。) ② ペアで対話した内容をもとに,正しい文法,英文の構造を意識させながら,吹き出し の英文を完成させる。 →後置修飾のポイントをきちんとおさえているかどうか確認する。 ③ グループで英文を確認させ,発表する。(黒板に貼る) 【評価問題】 次の英文は,ジョーンズ先生(Mr.Jones)とトム(Tom)の会話文です。 絵を参考にしながら,現在分詞を使って,下線部に適切な英語を入れ会話文を完成さ せなさい。 問題1 Mr.Jones:Do you know that boy? 絵 Tom :Yes,I do. Mr.Jones:Who is that boy? very well is Mike. Tom :The boy Mr.Jones:I see. 問題2 Mr.Jones:Do you know that girl? 絵 Tom :Yes,I do. Mr.Jones:Who is that girl? Tom :She is Jenny. on the bench. Tom :She is the girl Mr.Jones:I see. イ 成果と課題 【実践事例Ⅰ】 検証問題として ALT の自己紹介から数字を聞き取る活動を行った。 (ア)成果 ○ 発音に課題があると思われた「13」と「30」に関してはアクセントと発音をしっかりと 意識し,1年生 133 人中,64%の生徒がスムーズにカウントできるようになった。30%の 生徒はつまずきながらも最後までカウントできた。 ○ 問題を2回繰り返し発音することで,85%以上の生徒が数字を正確に聞き取れるように なった。 (イ)課題 ○ 「11」「12」に関してつまずきがちな生徒がみられるようになった。今後は様々な活動 の中に,具体を伴った表現を加え定着を図る必要がある。 ○ 問題の reading が1回の場合は,各クラス 40%程度の生徒しか正確に聞き取れていな いことが観察から分かった。 【実践事例Ⅱ】 (ア)成果 ○ 授業中の観察から,ペア活動やグループ活動を取り入れることで,生徒の学習意欲を高め ることができた。 ○ イラストを用いて表現させることで,多様な表現を引き出すことができた。基本的な学 習の反復練習や基本的な学習の反復練習や写真やイラストなどの非連続型テキストを活 用して多様な表現を引き出すように工夫していく。 (イ)課題 授業後の評価問題の正答率は 39.9%で,無答率は0%であった。現在分詞を使うという条 件に合っていなかったため誤答になっている生徒が 30%いた。問いを正確に読ませることが 必要である。 (6)成果の普及について ○ 毎回の研究授業を公開し,研究協議をワークショップ型で行い,他校からの参加者とともに研 修を深めた。 ○ 公開授業研において研究の成果を公開した。 ○ 第4回推進委員会(報告会)において,1年間の研究の成果と課題について報告した。
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