ポイペト [カンボジア] ��アランヤプラテート [タイ] 1.�バンコクから最も近い国境ポイントがここ。 カンボジア側がポイペト、 タイ側が アランヤプラテートだ。 まず、 ポイペト側を見てみよう。 写真は、 タイ側から見たカン ボジアの入国ゲート。 アンコールワットをイメージした立派な建物だ。 タイ人を迎える ための最大限の歓迎ぶりと言っていいだろう。 ここの国境の往来は、 今回ウォッチ ングした国境のなかでも、 飛び抜けて多く、 荷車、 リヤカーの列がどこまでも続く。 7.�午後5時半になると、 タイ側・カンボジア側の両国国境ゲートが閉じられ る。 しかし、 タイ側に仕事に行っていた者、 タイ側に買い物に行っていた者 は、 その時間ギリギリになってカンボジアに戻ってくる。 だから、 5時半ギリギ リのカンボジア側ゲートでは、 恐ろしいことに、 門を閉めようとする国境係 官とカンボジア人との間で、 「入れろ、 入れない」 というひと悶着が起きるの だ。 しかし、 自国民を橋の上に取り残してゲートを閉めるというような残酷な 2~5.�いわゆる生活貿易以外の通商取引きが行われているが、 商品価格や 係員はいないようで、 押問答の末、 全員帰国した。 閉門時刻の警告なのか 品目や量に関税がかけられている訳ではなく、 台車1台いくらという大雑把な もしれないが、 毎日こんなことが起きているのが怖い。 通関手数料を取っているようだ。 そのため、 おそろしいほどの荷物を積んだ手 押し車が次々とタイ側から入ってくる。 ほとんど工業生産品のないカンボジア8.�最後には、 ゲートに鍵が掛けられるが、 意外と簡単なのでびっくり。 にとって、 このゲートがさまざまな商品の入口なのだ。 9.�閉門後のゲート前は、 若者の、 サッカー場だ。 6.�カンボジアからタイに運び込まれている多くのものは、 古着だ。 ここでは、 子供も労働力だから、 子供は体中に中古ジーパンを縛り付けて、 国境を越 10.�西欧人も多いが、 国境ゲートの閉まる時間がわからないらしく、 ウロウ える。 服の一部だということで、 関税は無税だ。 ロしている。 11~15.�さて、 この国境都市ポイペトの最大の特徴に、 話を進めよう。 それ と離れている。 このカジノ地区では、 タクシーやカートバスが走り回っていて、 は、 インドシナ最大のカジノシティであるということだ。 7軒の巨大ガジノが林 驚いたことに料金無料である。 とにかくカジノの中でお金を落としてねとい 立し、 そのどれもが巨大な部屋数のホテルを併設している。 規模は比べ物に う仕組みだ。 さらに、 写真撮影は禁止だったが、 カジノ内ではビール、 ワイン ならないが、 ラスベガスとそっくりの町づくりなのだ。 しかし、 宿泊代は、 日本 などの飲み物、 チャーハンなどの食べ物も、 すべて無料。 ラスベガスにも 円で2000円程度と格安。 また、 カジノチップ・チェックインという仕組みが用 似ているが、 飲み物を注文してもチップはいらないし、 旅行者はカジノに 意されていて、 チップを12000バーツ (約36000円) 購入すると、 宿泊は無料 没頭できる。 になり、 カジノの奥にあるVIPルームでプレイができる。 VIPルームは、 内装も 食事も、 一般客とは大違いの豪華さ。 ただし、 チェックイン用のカジノチップ 20~23.�夜になると、 カジノエリアは、 イルミネーションでイメージが一変す は現金に再両替できないので、 ゲームに勝たないと大損になってしまう。 る。 暗黒の闇に光る、 きらびやかなイルミネーション。 タクシーに変わって 登場する馬車など、 まさに夜のエンターテイメント・シティである。 遊ぶのは、 16~18.�当然、 境目観光客として、 外国人も多い。 一番多いのが、 韓国人 主に旅行者だ。 しかし、 夜になると真っ暗なポイペトの町は、 このカジノの で、 大型観光バスを連ねてやってくる。 カジノ内も、 韓国人でいっぱいだ。 存在で、 住民の夜の遊び方にも変化が現れることだろう。 これらの人々が、 カンボジア人の身なりや生活に大きな影響を与えている。 24.�カジノホテルでは、 ショーも開かれる。 これも、 ラスベガス流だが、 出し 19.�カジノ7軒は集まって建っており、 カンボジア人の商店や民家とはちょっ 物は、 中国人のダンサーによる歌謡ショーと曲芸だった。 25.�さて、 朝。 国境の開門は7時半だ。 国境ゲートの前は、 タイ側に仕入れ に向かうカンボジア人でいっぱいだ。 30.�先ほどまで、 ゲートの前で商売をしていた食べ物屋の屋台は、 そのまま タイへ。 昼間はタイで商売するようだ。 26.27.�フランスパンを売る露天、 ソバやご飯を売る屋台も集まってきてい て、 あちこちで車座になって、 朝食を摂る姿が見られる。 31.�タイ側からは、 カジノの従業員が、 次々制服のままやってくる。 カジノで 働いているのは、 ほとんどタイ人なのである。 28.�大八車は、 みんな一列になって、 ゲート前から1kmも続いている。 統率 する人がいるわけではないのに、 決して割り込む人もいない。 毎日タイへ行 く人達の掟になっているようだ。 32.�カジノのバーで働く彼女は、 バンコクから妹と二人で、 ここに働きに来て いる。 バンコクより面白いと、 彼女は笑う。 29.�いよいよ開門。 どどっと、 タイ側に向かう人達で、 橋は大混雑。 橋から落 とされる人、 自分から飛び降りる人もいるほどだ。 43.�携帯電話は、 すべてタイのナンバー。 タイの電話機を、 そこら中で売っ ている。 都心から離れた小さな町の割には、 異様に携帯電話の普及率が 高そうだ。 アランヤプラテート [タイ] ��ポイペト [カンボジア] 1.�国境近くには、 巨大なマーケットがある。 とうてい歩いて回れないほど広 い。 自国で買うことができるモノが少ないカンボジアの人達が、 ここでさまざ まなモノを仕入れていく。 2~4.�衣料品や食器など日用品を売る小売店もあるし、 タイヤや工作機 械類など貿易用卸売店も並ぶ。 カンボジアに向かって出荷していくトラック は、 積載量オーバーなんて当たり前という感じで、 荷物が山積みだ。 5.�歩いて仕入れにくる人も、 持てるだけの量を抱えて帰っていく。 ここは、 カンボジアの大量物資供給基地だ。 国境では、 このように、 さまざまなモノ が集まり、 隣国の人々の生活を変えていく力になっているのだ。 メーサイ [タイ] ��タチレイ [ミャンマー] 1.�ここは、 タイの最北部。 ミャンマーとの国境には、 「The�Northern�Must� Point�of�Thailand」 という碑が建っていて、 それが英語、 タイ語、 ビルマ語 の3つの言葉で書かれている。 ときどき、 タイ人や西欧人が、 この碑の前で 記念写真を撮っている。 境目観光の絶好ポイントにもなっている。 2.�タイ側の国境施設は、 めちゃくちゃに立派。 道路最奥に見える5階建て のビルディングだ。 手前右側のタイ農民銀行と肩を並べて、 町一番の威容 を誇る建物である。 周辺には、 コピー屋、 タイプ屋などが並んでいる。 外国 人のミャンマー入国には、 いろいろ手続きが難しいので、 そうした商売が成 り立つらしい。 日本の役所の前に代書屋が並んでいるのと同じこと。 3.�タイとミャンマーとの間には、 幅20メートル程度の川が流れている。 写真 は豪雨の直後なので、 川らしい流れだが、 普通は歩いて渡れる程度のせせ らぎらしい。 北朝鮮からの亡命者がタイを目指して越境したのも、 このあたり。 4.5.�メーサイの商店は、 ほとんどが 「境目観光」 の外国人向けの土産物屋。 宝石、 銀製品、 織物などを売る。 なかでも、 ミャンマーの宝石が人気だ。 5時 には外国人の国境通過が許されなくなるので、 土産物屋やレストランは次 々閉店し、 あっという間にその一画はゴーストタウンだ。 6.�外国人が国境を越えられない時間になっても、 近隣の住民の 「生活貿 易」 は続く。 「Boader�Pass」 というノートみたいなものを持っていれば、 い つでも国境通過は自由なのだ。 ミャンマー人が夕方の買い物にふらりと来 たり、 タイで仕事を終えた人たちが、 ミャンマーナンバーの乗用車で国境を 越えていく。 7.8.�午後10時に国境をミャンマー側に渡ろうとしていた彼女。 ミャンマー人 の16歳だ。 Boader�Passの職業欄にはFarmerと書いてあり、 農産物をタ イに毎日売りにくるのを商売にしているそうだ。 9.�町を走る車は、 タイのナンバープレートを付けているものと、 ミャンマーの ナンバープレートを付けているものが、 混じりあう。 特に、 規制は無いようだ。 そのあたりも、 日常的に両国を行き来している生活者の利便を考えてのこ とだろう。 10.�午後5時以降は、 閉店した土産物屋の前の車道に市がずらりと並ぶ。 服、 食べ物などなんでもそろう。 帰り際に、 ちょっと買い物をするミャンマー 人目当てに出店しているのだ。 ミャンマーで手に入りにくいものもあり、 生 活貿易の一役をかっている。 タチレイ [ミャンマー] ��メーサイ [タイ] 1.�メーサイから、 国境の橋を渡ったミャンマー側の町がタチレイ。 ゲート は、 タイ側とは比べ物にならないほどシンプル。 渡り切った橋の両脇は、 タバコ、 ウィスキーなどの店が並ぶ。 タイ側とは比べ物にならないほど 安いが、 ほとんどが偽物。 原産国不明のスコッチやバーボンが陳列され ていて、 結構飛ぶように売れている。 中国製の医薬品の店もある。 電気 製品店も多い。 首都ヤンゴンの市場と、 品揃えは変わらないほどで、 国 境の町の商業力を見せつけている。 近い将来、 大型ショッピングセンタ ーの建設を計画しているようだが、 実際はまだ先のことのようだ。 2.�タイミュージックのカセットやCD屋がいくつもある。 VCDもタイ製だ。 しか し、 コピー商品も多く、 オリジナル (本物) はいくら、 コピーモノはいくらと、 2つ の価格が併記されているところが大胆。 しかし、 首都などより早く、 タイの新 曲が手に入るのは確実だ。 3.�タイ製品の電気器具店が並ぶ。 価格は、 タイ国内と同じ。 タイで買ったも のをそのまま売るので、 関税なしの販売だ。 ヤンゴンより安いかも。 4.�町の中央ロータリーには、 「City�of�The�Golden�Triangle」 という看 板がかかっている。 かつて、 ケシ栽培で有名だったゴールデン・トライアン グルのミャンマー側入り口にあたる場所なのだ。 とは言っても、 今は公然と した麻薬取引は見られない。 麻薬で潤っている町とも見えない。 観光用の キャッチフレーズのようだ。 スンガイコロク [タイ] ��ランタウ・パンジャン [マレーシア] 1.�バンコク駅から鉄道で20時間。 空港のある南の都市ハジャイからでも車 で4時間。 タイのほぼ最南端の町だ。 線路は、 マレーシアに向かって延びて いるのだが、 実際の鉄道の運行は、 ここスンガイコロクが終着駅。 駅構内 では、 ベールを被ったムスリム女性が目立ち、 気分はもうイスラム圏内だ。 2.�町なかには、 バスなどの公共交通がないので、 鉄道が駅に到着すると、 一斉に客引き目的の人力車やオートバイタクシーのドライバーが駆け寄る。 3.�タイ製品を買い込み、 税関に向かうバイク。 税関では、 バイクの荷物の チェックもなく、 フリーパスだ。 マレーシア側の町Rantau�Panjangの店 には、 こうして運び込まれた家電製品などが山積みされている。 もっとも、 Rantau�Panjangは小さな町なので、 多くのモノは近くの都市Kota�Bharu へ運ばれていくようだ。 4.�駐車場やホテル入口には、 ピッカピッカの高級オートバイが並んでいる。 すべて、 マレーシア・ナンバーだ。 バンコクでさえ、 これだけの高級オートバ イが集まっているのを見ることは珍しい。 この町は、 ちょっとお金持ちのマレ ーシア人の遊びや買い物の欲求に応える場所なのだろう。 町の規模の割 りにタイ製の家電製品を売る店が多いのも、 そうした事情のようだ。 5.�ここも、 タイナンバーの車とマレーシアナンバーの車が一緒に走ってい る。 一般的に見て、 マレーシアナンバーの車の方がグレードが高く、 それだ けの経済力のあるマレーシア人が買い物に来ていることがわかる。 ノーンカーイ [タイ] ��タンナレン [ラオス] 1.�ノーンカーイはメコン川を隔てて、 ラオスと向かい合っている国境の町。 かつては、 渡し舟で両国が結ばれていたのだが、 現在では橋が架かっている。 全長1174mの橋は、 メコン川に架かる橋の中でも最長で 「友好橋」 と呼ばれ ている。 その橋の両詰に両国の入国審査場が設けられている。 橋の途中ま では歩いていくことができるのだが、 渡り切るためには、 専用のバスに乗るこ とが義務づけられている。 写真は、 タイ側出国審査場。 ここから、 バスに乗る。 2.�バスの中からの橋の風景。 橋中央には、 鉄道のレールが引かれているが、 そ れは橋の中央まで。 ラオス側には、 まったく鉄道敷設の気配は無い。 このバス は、 朝6時から、 夜8時まで運行していて、 他の国境と比べて、 開境時間が長い。 3.�友好橋ができるまでは、 この渡し舟が唯一の越境方法だった。 こちらが タイ側。 向こう岸に見えるのが、 ラオスだ。 現在でも、 近郊住人に限って、 こ の渡し舟による越境が許されている。 友好橋よりも安いので、 生活貿易は ほとんどこの舟に頼っているようだ。 4.�船着場には、 一応出入国管理所があり、 外国人の違法利用などを監視 している。 もともと、 この船着場が唯一の交易地点であったため、 この町は この船着場を中心に発展している。 5~7.�ラオスから衣料品を求めにやってくる人、 それを見物に来る欧米観光 客、 そうした人々を目当てにした河岸レストランなどが立ち並んでいる。 狭い 路地だが、 白人向けのゲストハウスも増え、 異国情緒をかもし出している。 タンナレン [ラオス] ��ノーンカーイ [タイ] 1.�ノーンカーイから友好橋を渡ると、 ラオスの玄関タンナレンだ。 しかし、 ここは、 農村地帯で、 特筆すべきものは特に無い。 2.�唯一、 出入国管理棟の周辺に、 5軒ほどの免税店が並んでいる。 しか し、 ここでもバーボンやスコッチは、 生産国不明なものばかり。 マレーシア 産のバーボンなども並ぶ。 地下には、 ガジノがオープンしている。 タイ人客 の落とす外貨が目当てだ。 3.�タンナレンは、 小さすぎる町だが、 そこから車で10分ほどのところが、 首 都ビエンチャンだ。 ここも、 首都としては寂しい町だが、 対岸のタイを眺めら れるメコン川沿いに、 たくさんのオープンエア・レストランが並ぶ。 大きなマ ーケットは1ヶ所あるが、 まだまだラオスの国境の力は十分に育っていない。 バベット [カンボジア] ��モクバイ [ベトナム] 1~3.�あったあった、 ここにもカジノがあった。 国境から500mほど離れた所 に、 道を挟んで2つのカジノがあった。 一方のカジノには、 ポイペトほどの 完璧な設備やサービスではないが、 宿泊施設・あずま屋レストラン・カラオ ケ・美容室・マッサージ・バーなどの施設は整っていたが、 もう一方はカジノ のみ。 双方ともバカラ・ルーレット・スロットマシンとカジノの種類は少ない。 だが、 賭博場の熱気はムンムン。 お金持ちのベトナム人が真剣な顔付きで 勝負をしていた。 カジノの人に聞いてみたら、 「個人商店のオーナーらしいお じさんやおばさんが多いのよ」 とのこと。 双方のカジノとも、 施設を増築中 で、 バベットも一大国境賭博街になるような気配。 ちなみに、 バスはカジノ 間の移動とベトナムの入国事務所までお客さまを運ぶサービス。 日帰り客 も多いとホテルの人が言っていたので、 夕方には国境を行ったり来たり。 4.�よくわからないが、 カジノのすぐ横に、 アンコールワットの巨大ミニチュア があった。 コンクリート製らしいのだが、 これがよくできている。 集客のためか なあ? 5~9.�国境から1500mぐらい先に集落がある。 そこにバベット国際国境マ ーケットがある。 旅行者は、 ほとんどこの地を通過するだけなので、 住民の 衣食住をまかなう完全な生活マーケット。 人は少ないが、 活気は十分。 ベト ナム人らしき人もちらほら。 その地の生活水準の指標となる 「小袋 (小分け) 販売」 も行われていた。 もちろん、 洗剤や調味料などの大袋商品もある。 10~12.�カンボジア入国事務所近辺の風景。 水牛にまたがった少年が得 意げな顔でハイ・ポーズ。 牛・水牛は、 国境あたりをウロウロ歩き回る。 国境 に続く道には、 ベトナムからカンボジア、 カンボジアからベトナムへと生活貿 易を行う人々がひっきりなしに往来。 道端で荷を積み込む光景や、 自転車や オートバイにこれでもかというぐらいに荷物を積み、 積みすぎでひっくり返る 光景もしばしば。 そんな時は、 生活貿易人同士がお互いに助け合う。 13~18.�国境の風景。 陸路でホーチミンからプノンペンへ行く最短ルー トであるため、 多くの旅行者がここを通過する。 それぞれゲート近くには、 国際バスステーションがあり、 地元の人と旅行者が接触できる場でもある。 正真正銘の国境線にも、 露天商が店を広げ、 屋台もある。 記念になるので、 勇気を出して国境線の真上でメシを食べた! モクバイ [ベトナム] ��バベット [カンボジア] 1~5.�ベトナムの国境近辺には目立ったものは何もないが、 新しい国境関 連オフィスの建設が進み、 国際バスステーションもできたばかり。 大きな屋 外広告を掲げられるフレームもぴかぴかだ。 周辺にある看板をよく見ると MOC�BAIの開発に関する看板があった。 どうやらこの地に、 国境都市を造 ろうという計画らしい。 国際マーケット・ショッピング街、 水辺がある居住地 区、 公園・学校など、 それに向けた造成作業が行われていた。 また、 ホーチ ミンへ続く国道1号線では、 大量交通・大量輸送に絶えられる舗装と道幅 を広げる工事が至る所で行われていた。 ベトナムの国境では着々と国家基 盤を整えているようだ。 チョーン・メック [タイ] ��ワンタオ [ラオス] 1~4.�タイ東部のUbon�Rachathniまでは飛行機で行けるが、 そこからラオ ス国境の町Chong�Mekまでは、 車で2時間かかる。 この国境は、 タイとラオ スを唯一陸路でつなぐ地点だ。 メコン川というはっきりした境目がないせい もあって、 地元の人たちの行き来は、 ほとんど自由のようだ。 我々も、 パスポ ートチェックもなく、 自由に国境を行き来できた。 タイ側は、 タイ製品の日用 品を売る店が多く、 それも小さく小分けされたシャンプーや食品が多い。 5.�ラオス側は、 中国やベトナムの製品が多い。 生産国不明のスコッチ、 無関税の韓国製家電品もあり、 なかなかタイ人には人気が高い。 唯一、 タイ側にはなく、 ラオス側にしかないのが、 ビア・ラオ (ラオス・ビール) 。 重要な生産品なのだろう。 ビールをセールスするコンパニオンが、 うじゃ うじゃいたのには驚いた。 デーンサワン [ラオス] ��ラオパオ [ベトナム] 1~5.�ここは、 第二の都市サワンナケートとベトナム交通の要所・ドンハ市 を結ぶ国境。 とにかく、 何もない集落だった。 サワンナケートに向かう国道 沿いは、 人影もない。 炎天下のせいもあるだろう。 だが、 道路工事だけは黙 々と行われていた。 その答は、 帰国してから判明することとなる。 国道沿い に商店はほとんどなく、 銀行と家電屋とちょっとした雑貨屋があるだけ。 雑 貨屋には、 小分け販売の究極 「たばこの一本売り」 があった。 買ってみた いが、 全然言葉が通じない。 あきれたおばさんから一本いただだくこととな った。 お店の脇には、 ペットボトルやガラス瓶入りでガソリンが売られてい る。 これもまた小分け販売の究極だろう。 一本いくらかは、 とうとう最後ま で分からずじまい。 6~10.�裏路地に入るとバラック商店が軒を連ね、 生活まわりの商品なら 何でも揃っていた。 タイ製・ベトナム製・ラオス製、 果ては中国製にミャン マー製と、 国際色豊か。 家電屋さんには、 日本製が一番高い場所に置か れていた。 お昼過ぎ、 家電屋の前には人だかりができ、 お客さんや他の 商店主さんたちがドラマを楽しんでいる。 そんな中、 10代の女の子たちは、 アジア諸国で活躍する俳優やミュージシャンたちのブロマイド選びに興じて いる。 なんとも懐かしい風景だ。 ちょっとビックリしたのは、 おもちゃの種類 が多いこと。 そして、 ゲーム機が売られていたこと。 どこの国も子供が欲し がるモノは、 すぐに店頭に並ぶ。 最速越境商品なのだろうか?そんな横で、 豚さんが野菜くずをむしゃむしゃ食べていた。 生ゴミが出ない村だ。 9~14.�この国境では、 ラオス・ベトナム両国の入出国事務所が同じ建物 の中にある。 たいへん珍しい仕組みだ。 国境を越えると、 ラオス側には2軒 大きな免税店があったが、 店内は洋酒とたばことチョコレートがあるぐらい で、 がらんとしている。 がっ、 あったあったここにもあった。 なんと免税店の 中に 「スロットマシン」 があった!その数33台。 電子スロットマシンだ。 でも、 1台も電源が入っていない。 ひょっとしてASEAN国境は、 カジノ線になるの か?手っ取り早い外貨獲得作戦であることは分かるが・ ・ ・ ・。 ラオスの主な 輸出品である木材を輸送する大型トレーラーが国境を行き交う。 この国境 から海までは、 わずか85kmあまり、 ベトナム・ダナン港にあるラオス専用埠 頭まで265km。 この国境線は川。 この辺りの風景は美しい。 境目旅行者たちのほとんどが 国境線真上の橋で足をとめる。 ラオパオ [ベトナム] ��デーンサワン [ラオス] 1~9.�国境を越え、 ラオバオに入ると突然、 巨大なマーケットが目に飛び 込んできた。 今回の国境取材で最も大きく近代的なマーケットだ。 マーケッ トを取り囲み、 国境につながる道路は、 道幅広く、 街灯もあり、 完全に整備さ れている。 マーケットでは、 食料品を扱う商店と日用品や家電などを扱う商 店が大別されている。 食料品はマーケットの広場に、 日用品や家電などは 建物の中に集積されていて、 買い物しやすい。 現在、 バラック仕立ての食 品売場を移設する工事が広場の一部で進行中。 建物の中の商店街は、 そ れこそありとあらゆる国製の商品が溢れていた。 へんてこな日本ブランド? の炊飯器パッケージに書かれた 「日本製の部品」 というコピーが妙におか しかった。 偽造ブランドは山ほどあるが、 とても活気のあるマーケットだった。 片言英語をしゃべれる商店主のおじさんが言った。 「ラオス人もいっぱい ここで商売している。 俺もこっち (ベトナム) と向こう (ラオス) に奥さんがい る。 」 と小指を立てた。 「あなたの国籍は?」 と聞き返すと、 両手を上げて分 からない振りをした後 「エリア・ピープル」 と言ってのけた。 まさに、 雑種強 勢 (前号参照) そのものだ。 10~14.�マーケットの周りは、 開発途上の風景。 あちこちに開発を示す看板 があり、 目新しい開発事務所がある。 新しい建物もちらほら。 ブルトーザーな どの重機もちらほら。 すでに鉄工所らしき大きな工場も操業し、 飲料工場も あった。 ただ、 集中的に開発が行われている印象はなく、 アジア時間なのか ベトナム時間なのか分からないが 「ゆっくり」 「気長に」 という言葉が似合う 開発風景だった。 一つ気になることがあった。 マーケットに隣接する民家に、 新しい家が建ち始めているのだ。 路地に入れば、 伝統的なベトナム民家が あるが、 ちょっと大きめな道に面する民家が新しい。 大きな産業はないのだ が。 LAO�BAOからDONG�HAに向かう帰り道、 国道9号線に大きなゲート があった。 そこには 「????経済開発特区」 という文字が書かれていた。 国 境でもないのに、 パスポート提示や簡単な荷物検査が行われるなど、 その ゲートではかなり厳しいチェックがあった。 ゲートをちょっと過ぎたところで、 ク ルマを停め、 写真を撮ろうとした途端、 警備官から厳重注意。 「ジャーナリス トか?」 と問われ、 危ういところで事務所に連行されるところだった。 「????経 済開発特区」 の????は、 逃げるのに必死でメモが取れなかったため・ ・ ・ ・。 国境はアジアの生活を変える 今回の2003�ASIA�WATCHINGでは、 多くの国境を見てきた。 カジノあり、 開発地区ありなどと、 アジア諸国の都市部 では、 なかなか分からない情報が飛び込んできた。 特にベトナムの国境開発が 「なぜに行われているか」 は、 言葉の障壁 もあり現地では把握しきれなかった。 帰国後、 国際協力機関や報道機関を訪ね、 ベトナムについて取材をしたところ、 おもしろい回答が帰ってきた。 複数の取材先のコメントを列挙しよう。 ◎ベトナムは、 「開発したいなあ」 という気持ちが沸いてくると、 スグに計画図案を描くのです。 ◎要は、 「こんなことしたいなあ」 と思うと絵を描くのです。 絵が好きなんですよ。 ◎国境開発は、 絵になりやすいし、 絵になるんです。 実行する、 しないかに関わらずね。 ◎今回取材した2つの国境は、 ベトナムにとって、 そしてカンボジアもラオスにとっても、 非常に重要な国境で、 それぞれの 国にある多くの国境の中で中心的な国境です。 ◎東南アジア諸国、 まあASEANの目玉プロジェクトといってもいいですが、 「アジア東西回廊構想」 というのがあるんです。 東南アジア諸国の重要道路を結び、 経済回廊化するプロジェクトです。 アジア開発銀行が押し進めているものです。 ◎トンキン湾に沿ってベトナムの南北を縦断する国道1号線で、 工事が行われていませんでしたか?その道が、 ホーチミン を抜け、 モクバイを抜け、 プノンペンに至り、 果てはポイペトへ、 そしてバンコクに向かえるんです。 ラオバオもそうです。 ベトナムの国道1号線と国道9号線が交差するドンハからラオバオ、 ラオス第二の都市サワンナケートを抜け、 首都ビエ ンチャンへ。 タイへはチョーン・メックを抜け、 バンコクに至る。 という風に、 東西がそれなりに結ばれているため、 これを 一大経済回廊にしようとしているのです。 もちろん、 タイからミャンマーへと道は続きます。 ◎この 「アジア東西回廊構想」 の中で、 道を整備するのと同時に、 沿道の主要な街を開発していこうとするのは、 自然な 発想ですし、 あたり前といえばあたり前ですね。 そんな国境を見てきたということでしょう。 ◎日本も相当な額をこのプロジェクトに注いでいます。 もちろんこの道に面する港の開発を含めて。 たとえば、 ベトナム中部 のダナンにある港には、 ラオス専用の埠頭が1基あるんです。 ベトナムにあるラオスの港です。 ただ、 ラオスとベトナムの間 で関税の問題が進展していないため、 なかなか本格的な経済回廊にはならないのが現状です。 今回の取材で、 各国の一桁台の国道が道幅を広げながら、 相当しっかりした舗装を行っていたことは、 「アジア東西回廊 構想」 があったからなのだ。 お国柄を含め、 これで色々なことに合点がいった。 道は生活を変えて行くのだ。 ゆっくりかもし れないが 「境都」 は確実につくられていくだろう。 【ボーダーボード】�今回のさまざまな国境で、 「 マイルドセブン」の看板を多く見かけた。空港にもあった。免税店では、広告もあ り、商品もあった。マイルドセブンの国際戦略を実感した。たまたま、たばこが切れて、マイルドセブンを買い、国境や国境街で たばこを吸っていると「マイルドセブン!」と、何回か道行く人にいわれた。相当、知名度は高そうだ。考えてみれば、国境は「点」だ。 広く薄くある情報や物資や人が、その点めがけて押し寄せる。密度が高いともいえる。そこに、看板などを活用して情報を与え れば、点から拡散する人々が、各地に情報を広めるはずだ。国境はメディアとしても価値がある。クチコミも国境発がおもしろい。 発行/博報堂 企画編集/博報堂生活総合研究所��(03)3233-6450 http://www.athill.com 発行日/平成15年10月31日 担当:大田雅和・南部哲宏 デザイン:大内智範(graphic�garden)
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