「看護と介護の日本語教育研究会」 第七回例会 2015 年 4 月 25 日 口頭発表 EPAによる外国人介護福祉士受け入れ制度における望ましい制度案 光石連太郎 (放送大学大学院修了生) 制度が始まって6年が経過したが、応募者も合格者もあまり増えておらず、このままでは制度自体が 成り立たなくなる。より良い制度にするため望ましい制度案を作成した。概要は以下の通り。 ①候補者数と募集する国を増やす。応募資格要件も下げる。 ②送り出し国で、研修を受けた日本語教師が1年間指導し、日能試N3に合格した者が来日。 ③来日後1年間、介護と日本語の研修を行う。 ④来日2年目と3年目は、全国の施設で実習。世話係を配置するよう義務付け、費用の一部を国が補助 する。日本語指導は、現地の日本語学校に有償で委託。専門家が作成した国家試験合格のためのカリキ ュラムを行う。 ⑤研修期間中の報酬は常勤の日本人介護福祉士と同一とする。 ⑥国家試験問題はフリガナ・英訳付で時間を延長する。 ⑦不合格者には点数に関わらず次年度に再試験を受ける権利を与える。 ⑧合格後は、介護職についていれば3年ごとの在留期間の延長が可能。4回目の在留期間延長以降は職 業に関わらず制限を設けない。 ⑨2等親までの家族を呼び寄せることができる。 ⑩厚生労働省、受け入れ機関、施設、日本語教師で問題を話し合う「EPA介護福祉士ネットワーク」 を設置する。 話題提供 台湾における外国人介護従事者の事例報告 ―ベトナム・フィリピン人介護従事者への聞き取り調査から― 神村初美・石川陽子 (首都大学東京) 介護現場で働く外国人の受け入れを増やす対策案として、 「外国人技能実習制度」の活用が検討されてい る。しかし、入国時点での言語能力レベル要件など、受け入れの枠組みを巡る議論は絶えない。 一方、日本同様に高齢化が進む隣国の台湾に目を向けた場合、すでに多くの外国人労働者が介護分野で雇 用されており、日本とは違った形で介護が進んできている。外国人介護従事者は 10 万人を超え、個人的に 雇用する家庭は 16 万世帯にも上る。台湾では、個人契約で外国人労働者を住み込ませる形態で雇用し、在 宅介護を維持する例が多く、その際の雇用主の満足度は、特に雇用費用に関し高いとされている。 では、その実態とはどのようなものであるのか。ブローカーや雇用主について、また外国人介護従事者自 身の日常生活など、ベトナム・フィリピン人介護従事者に対し行った聞き取り調査から、その事例を報告し たい。そして、日本における外国人介護従事者に必要とされる言語能力および異文化適応能力とは何かにつ いてフロアーと共に議論したい。
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