水道分野の国際技術協力(1)

SSC地域公開シンポジウムin 北九州
北九州市の海外水ビジネス・協力の取組み
北九州市上下水道局
海外・広域事業部長 小石 佐織
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上下水道事業(協力・ビジネス)の海外展開
サウジアラビア
中国 大連市
北九州市
ベトナム ・ハイフォン市
カンボジア
インドネシア
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上下水道局の国際技術協力
(H25.8.31現在)
職員の海外派遣(技術協力)
派遣先国数
上水道
下水道
計
派遣国
7
インドネシア
エジプト
カンボジア
ベトナム
中国
マリ
ホンデュラス
海外研修生の受入れ
延べ派遣者数
国・地域数
延べ受入数
108
125
1,494
9
ボリビア
韓国
タイ
インドネシア
マレーシア
中国
サウジアラビア
ベトナム
シリア
54
120
2,454
13
インドネシア
エジプト
カンボジア
ベトナム
中国
マリ
ホンデュラス
ボリビア
韓国
タイ
マレーシア
サウジアラビア
シリア
162
145
3,948
3
研修風景
JICA草の根技術協力事業
ベトナム・ハイフォンからの
研修生6名 (1ヶ月)
※本市の高度浄水処理
技術BCF(生物接触ろ
過)についての技術研修
自治体職員協力交流事業
(公財)自治体国際化協会事業
ベトナム・ハイフォンからの
研修生1名(6ヶ月)
※送水ポンプの運転研修
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水道分野の国際技術協力(1)
■ カンボジア
現地での技術指導
配水ブロック化(技術移転)
【プノンペン市における飛躍的改善】
1993年(協力前)
項目
2006年(協力完了)
25%
水道普及率
90%
10時間
給水時間
24時間
72%
無収水量(漏水+盗水)率
8%
48%
水道料金納付率
99.9%
飲料不適
水道水質
飲料可能
※2005年5月
飲用可能宣言
【カンボジア主要都市における技術協力】
・シェムリアップなど8都市において、水道技術の向上に向けた支援を実施。
・現在は、同8都市における経営・人事管理分野などの人材育成に取り組んでいる。
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水道分野の国際技術協力(2)
■ ベトナム・ハイフォン市
・2009年12月
水道事業の技術協力実施に向けた覚書を締結
・2010年~2012年度
原水に含まれる有機物対策
(JICA草の根事業)
・2013年~2015年度
配水管網管理の能力向上
(JICA草の根事業)
アンズン浄水場
BCF実証実験設備の設置
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水道分野の国際技術協力(3)
■ 中国・大連市
・1999年 技術協力の要請
・2000年 水道事業技術交流意向書の締結
【第Ⅰ期】 2001年~2003年
漏水防止
【第Ⅱ期】 2005年~2007年
安全・安定給水の向上
(土木施工管理、浄水処理技術、浄水場の自動制御)
【第Ⅲ期】 2009年~2013年
大連周辺都市への展開
日本製メータを使用した給水量調査
水質試験指導
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下水道分野の国際技術協力(1)
■技術指導 (海外への職員の派遣)
① 政策立案のアドバイス
② 処理場・ポンプ場等の運転管理指導
③ セミナー開催
■人材育成 (海外の研修員の受入れ)
① 本市独自のカリキュラムによる講義の実施
(計画、設計、維持管理、経営、広報等)
② 現場視察
北九州市内での研修(講義・現場視察)の様子
<近年の主な事例>
・中国雲南省昆明市
水環境整備に係る提案 (2006年度~、JICAと共同)
・サウジアラビア国
下水処理施設運営管理指導 (2007~2009年度、JICA・GCUSと共同)
・インドネシア国スラバヤ市
・ベトナム国
水環境改善指導 (2007~2008年度、JICA・CLAIRと共同)
下水道経営研修(2010年度~、JICA)
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下水道分野の国際技術協力(2)
■ ベトナム・ハイフォン市
・ 2010年11月 ハイフォン下水道排水公社と技術交流に関する覚書締結
両市副市長の交流
調印式
技術協議
■ 中国・大連市
・ 2011年4月 大連市城市建設管理局と技術交流に関する覚書締結
両市副市長の交流
調印式
技術協議
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世界の水事情
淡水2.53%
の内訳
◆絶対量の不足 :利用可能な淡水は、地球上の0.01%
地球上の水
約14億km 3
淡水等
2.53%
◆水源汚濁の深刻化 :都市化が急速に進展
◆水需要の増大 : 2025年には2000年比で3割増加
海水等
97.47%
氷河等 1.74%
河川、湖沼等 0.01%
地下水 0.76%
(アジアは全取水量の6割を占有)
地球上の水の割合
※水ビジネス市場の拡大(経産省の試算では、2025年に約87兆円)
業務分野
設計・部材供給・建設・
事業分野
コンサル
上水
19.0 兆円
海水淡水化等
8.4 兆円
下水
21.1 兆円
合計
48.5 兆円
管理・運営サービス
19.8 兆円
3.8 兆円
14.4 兆円
38.0 兆円
合計
38.8
12.2
35.5
86.5
兆円
兆円
兆円 約2.5倍
に拡大
兆円
(2007年:36.2兆円)
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国と北九州市の取組み
国の取組み
北九州市の取組み
H22年6月 国の新成長戦略
H22年8月 北九州市海外水ビジネス
推進協議会の設立
パッケージ型インフラ海外展開の1つとして、
海外水ビジネスが国家プロジェクトに位置付けられた
H22年7月 海外水インフラPPP協議会設置
官民連携による海外展開に向けた取り組みを
積極的に推進
H25年度 外務省ODA予算
全国に先駆け、官民連携により発足
H23年1月 市長公約「緑の成長戦略」
「環境」と「アジア」をキーワードとする
「緑の成長戦略」を推進
H23年12月 グリーンアジア国際戦略総合特区
「地方自治体等の国際展開支援」53億円
アジアの活力を取り込み、
環境を軸とした産業の競争力を強化
H25年6月 日本再興戦略
H25年3月 北九州市新成長戦略
インフラ輸出の担い手となる地方自治体の
海外展開をさらに促進
グローバル需要を取り込む海外ビジネス拠点の
形成に向け、都市インフラビジネスを推進
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官民連携組織の設立
■ 「北九州市海外水ビジネス推進協議会」
(H25.7月末現在)
民間企業140社、国の機関(JICA、JBIC、GCUS他)などとともに設立
・民間 :コンサルティング、素材供給、プラント建設、金融支援など
・官側 :政策立案の支援、自治体ノウハウの提供など
北九州市
会員企業の分類
・建設コンサルタント
・土木建設
・プラント建設
・電機、計装システム等
・金融、商社等
・その他
学識者
中央政府
民間企業
113社
(大学教授)
Public Private
Partnership
関係機関
(JICA,JBIC等)
※ 官民の力を結集して海外水ビジネスを推進
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具体的な活動
2010年8月
カンボジア、ベトナム・ハイフォン市
への市場可能性調査団の派遣
2010年11月
ベトナムミッション団の派遣
ベトナムミッション団の派遣
2011年4月
中国・大連市へのミッション団派遣
2012年4月
中国・大連市への調査団派遣
中国・大連市へのミッション団派遣
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有償資金協力における日本企業の受注
日本企業の受注に向けた課題
8割を超える案件がアンタイド(国際入札)による調達条
件。日本企業受注率は、3割弱。
【上下水案件事例】
●ハイフォン市が整備する初めての下水処理場 → 韓国
●プノンペン市・ニロート浄水場 → シンガポール
有償資金協力の調達条件推移
(外務省・JICA)
有償資金協力における事業の流れ
日本発注
【第1ステップ】 案件発掘・準備
①フィージビリティ・スタディ(F/S)+環境影響評価
②借入国政府内承認→日本政府に円借款の要請
【第2ステップ】 案件評価・借款契約
①借款要請に対する交換公文(E/N)
②借款契約交渉(L/N)
【第3ステップ】
借款契約(L/A)
借入国発注
【第4ステップ】 詳細設計(D/D) 国際入札
・日本のコンサルが受注したとしても、日本の技術のインプットが少ない
※ イニシャルコスト重視の設計のため
※ 途上国の電力料が比較的高価であることから、日本の省エネ技術は
長期的に有利となる。 (インバーターポンプなど)
JICAやコンサルタントの、日本企業の受注に
繋がる働きかけがキーとなる。
【第5ステップ】本体事業の発注 国際入札
外務省ウェブサイト:2009年版政府開発援助参考資料
・日本企業の受注率は、33.1%(2011年度)
出典:JICA事業年報(2012年版)
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ベトナムへ高度処理(BCF)を輸出
【第1ステップ】 JICA草の根技術協力事業(平成22~24年度)
対象:ベトナム国ハイフォン市(北九と友好都市関係)
内容:北九の高度処理(BCF)の実証プラントを設置。
関連する浄水技術の移転。(効果検証を含む)
北九州市が国内特許を有する高度処理
技術BCF(生物接触ろ過)
微生物による浄化作用を利用した高度浄水処理施設
通常の高度処理と比べ
・建設コスト: 約1/2
・ランニングコスト: 約1/20
1年間の実証実験の結果、BCFの有効性が確認された。
【第2ステップ】 小規模浄水場へ導入
ハイフォン市は、自己資金で小規模浄水場(5,000m3/日)にBCFを導入
することを決定。2013年5月着工(11月竣工予定)。
北九のBCFは、途上国にも輸出可能であることが証明された。
【第3ステップ】 主力浄水場へ導入
主力浄水場(10万m3/日)への本格導入に向けた機運が高まっている。
主力浄水場にも早期にBCFを導入させ、ハイフォンの多くの市民
日本の無償資金協力(14億円)を用いBCFを日本のクオリティーで整備し、
からBCF処理水に対して高評価を受けることが必要。ハイフォン市
BCF普及に向けた広告塔としたい。
をベトナム国におけるBCF普及の広告塔としたい。
ベトナム国内・東南アジア諸国へ拡大
北九の高度処理(BCF)の海外ビジネス展開
■ハイフォン市水道公社とのUーBCF普及に向けた相互協力協定
左(北九州市:田中理事) 右(ハイフォン市水道公社:ズン総裁)
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これまでの成果①
2011年1月
厚生労働省とカンボジア鉱工業エネルギー省
水の安全供給に対する協力に関する覚書締結
⇒ 活動内容は北九州市が調整・策定することを明記
2011年10月
・ベトナム・ハイフォン市上下水道整備に係る覚書締結
・漏水防止技術(配水ブロック化)
の構築に係る技術コンサルティン
グ覚書締結
2011年12月
中央(ハイフォン市:ダン・ダック・ヒエプ人民委筆頭副委員長)
右(北九州市:北橋市長)
カンボジア鉱工業エネルギー省と
主要9都市の水道整備基本計画
策定に関する覚書締結
2013年5月
ハイフォン市水道公社とのU-BCF普及に
左(北九州市:北橋市長) 右(鉱工業エネルギー省:スイ・セン大臣)
向けた相互協力協定締結
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これまでの成果②
2011年
3月
カンボジア・シェムリアップ市の浄水場建設基本設計の補完業務の受注
8月
カンボジア・センモノロム市上水道整備事業の受注内定(2012年6月正式契約)
11月
ベトナム・ハイフォン市配水ブロック構築に向けた初期調査の受注
2012年
1月
カンボジア・カンポット/ケップ両市のPPP基礎調査の受注
2月
ベトナム・ハイフォン市下水道人材育成業務の受注
5月
カンボジア・バッタンバン/コンポンチャム両市における上水道拡張整備計画準備調査の受注
11月
インドネシア都市圏における下水道整備計画策定業務(スラバヤ市プレFS)に協力
2013年
2月
カンボジア・シェムリアップ市における下水道整備計画等策定業務の受注
5月
ベトナム・ハイフォン市BCF整備事業 の受注
6月
インドネシア・スラバヤ市におけるJCM案件形成可能性支援事業の受注
7月
カンボジア・プノンペン市におけるJCM案件形成可能性支援事業の受注
8月
カンボジア・コンポンチャム/バッタンバン両市における上水道拡張計画 の受注
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帝国書院「新地理A」に掲載
18
国や他の自治体との連携体制
北九州市は、国際展開に取組む先進自治体として、
国の水・環境ソリューションハブに登録されています。
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*ご静聴ありがとうございました。
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北九州市上下水道局HPトップ
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北九州市上下水道局DVDビデオ紹介アドレス(5カ国語選択)
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WE PROMISE ~みずから、かえていく。北九州市の約束~
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