医薬化学 Ⅰ

医薬化学Ⅰ
講 義
必 修
2 単位 20 講
3 年 前期
1 クラス
Medicinal Chemistry I
科目担当者 伊藤 慎二
授業概要 医薬品と生体との関係について、化学構造と薬理作用の両面から体系づけて学ぶ。
1. ドラッグデザインの科学的な考え方を理解するために、標的生体分子との相互作用および
一般目標
基盤となるサイエンスと技術に関する基本的知識と技能を修得する。
(GIO) 2. 生体分子の機能と医薬品の作用を化学構造と関連づけて理解するために、それらに関連す
る基本的知識と技能を修得する。
1.
2.
3.
4.
5.
古典的な医薬品開発から理論的な創薬への歴史について説明できる。
医薬品開発の標的となる代表的な生体分子を列挙できる。
医薬品と標的生体分子の相互作用を、具体例を挙げて立体化学的観点から説明できる。
立体異性体と生物活性の関係について具体例を挙げて説明できる。
医薬品の構造とアゴニスト活性、アンタゴニスト活性との関係について具体例を挙げて説
明できる。
6. スクリーニングの対象となる化合物の起源、ならびに代表的なスクリーニング法を列挙し、
概説できる。
7. 定量的構造活性相関のパラメーターを列挙し、その薬理活性に及ぼす効果について概説で
きる。
8. 生物学的等価性(バイオアイソスター)の意義について概説できる。
9. 薬物動態を考慮したドラッグデザインについて概説できる。
10. 生体内に存在する代表的な複素環化合物を列挙し、構造式を書くことができる。
11. 核酸塩基の構造を書き、水素結合を形成する位置を示すことができる。
12. 複素環を含む代表的な補酵素(フラビン、NAD、チアミン、ピリドキサール、葉酸など)
の機能を化学反応性と関連させて説明できる。
13. 生体内に存在する代表的な金属イオンおよび錯体の機能について説明できる。
14. 活性酸素ならびに一酸化窒素の電子配置と性質を説明できる。
到達目標
15. 代表的な酵素の基質結合部位が有する構造上の特徴を具体例を挙げて説明できる。
(SBO) 16. 代表的な酵素(キモトリプシン、リボヌクレアーゼなど)の作用機構を分子レベルで説
明できる。
17. タンパク質リン酸化における ATP の役割を化学的に説明できる。
18. 代表的な医薬品のコア構造(ファーマコフォア)を指摘し、分類できる。
19. 医薬品に含まれる代表的な官能基を、その性質によって分類し、医薬品の効果と結びつ
けて説明できる。
20. 医薬品として複素環化合物が繁用される根拠を説明できる。
21. 医薬品に含まれる代表的な複素環化合物を指摘し、分類することができる。
22. 代表的な芳香族複素環化合物の性質を芳香族性と関連づけて説明できる。
23. 代表的芳香族複素環の求電子試薬、ならびに求核試薬に対する反応性および配向性につ
いて説明できる。
24. 生体高分子と共有結合ならびに非共有結合的に相互作用しうる官能基を列挙できる。
25. カテコールアミンアナログの医薬品を列挙し、それらの化学構造を比較できる。
26. アセチルコリンアナログの医薬品を列挙し、それらの化学構造を比較できる。
27. アルキル化剤と DNA 塩基の反応を説明できる。
28. 代表的な抗悪性腫瘍薬を列挙し、作用機序を説明できる。
29. 循環器系に作用する医薬品の構造と活性相関について説明できる。(独自)
30. 代謝系に関連する医薬品の構造と活性相関について説明できる。(独自)
区
分
1
項
目
授
業 内 容
1. 授業の進め方
2. 医薬品創製の歴史
1. 医薬品創製
2. リード化合物の創製と 3. 医薬品研究開発のプロセス
4. 標的生体分子
最適化 (1)
(対応 SBO 1,2)
1. 医薬品と標的生体分子との相互作用
2
1. リード化合物の創製と 2. 立体異性体と生物活性
最適化 (2)
3. アゴニスト活性とアンタゴニスト活性
(対応 SBO 3,4,5)
1. スクリーニングの分類
3
4
2. スクリーニング化合物の起源
1. リード化合物の創製と
3. 定量的構造活性相関のパラメーター
最適化 (3)
(対応 SBO 6,7)
1. 生物学的等価性
1. リード化合物の創製と 2. 薬物動態を考慮したドラッグデザイン
最適化 (4)
(対応 SBO 8,9)
1. 生体内に存在する複素環
5
6
1. 生体分子のコアとパー 2. 核酸構成塩基の構造的特徴
ツ (1)
3. 補酵素機能をもつ複素環化合物
(対応 SBO 10,11,12)
1.
生体内で機能する錯体・無機化合物
1. 生体分子のコアとパー
(対応 SBO 13,14)
ツ (2)
1. 酵素活性中心の構造的特徴
7
1. 生体分子のコアとパー 2. 酵素の分子作用機序
ツ(3)
3. タンパク質のリン酸化反応
(対応 SBO 15,16,17)
1. 医薬品のコア構造
8
1. 医薬品のコアとパーツ 2. 官能基の役割
(1)
(対応 SBO 18,19)
9
1. 医薬品に含まれる複素環
1. 医薬品のコアとパーツ
2. 医薬品に汎用される複素環
(2)
(対応 SBO 20,21)
1. 芳香族複素環化合物
10
1. 医薬品のコアとパーツ
(3)
1. まとめ(中間)
11
2. 医薬品と生体高分子
(対応 SBO 22,23,24)
1. 区分 1~10 のまとめ
2. 自律神経系に作用する 2. アドレナリンの構造活性相関
(対応 SBO 25)
薬物 (1)
1. アドレナリン作用薬
12
1. 自律神経系に作用する 2. 抗アドレナリン作用薬
薬物 (2)
3. β遮断薬の構造活性相関
(対応 SBO 25)
1. コリン作用薬
13
1. 自律神経系に作用する 2. 抗コリン作用薬
薬物 (3)
3. ムスカリン様拮抗薬の構造活性相関
(対応 SBO 26)
1. 体神経系に作用する医
14
薬品
2. 循環器系に作用する医
薬品 (1)
1. 局所麻酔薬
2. コカインの構造活性相関
3. 骨格筋弛緩薬
4. サイアザイド系利尿薬の構造活性相関
(対応 SBO 29)
1. 心不全治療薬
1. 循環器系に作用する
15
医薬品 (2)
2 . 抗不整脈薬
3. 虚血性心疾患治療薬
4. ジヒドロピリジン類の構造活性相関
(対応 SBO 29)
1. 抗高血圧薬
1. 循環器系に作用する
16
医薬品 (3)
1. 代謝系に関連する
17
治療薬 (1)
2 . アンギオテンシン変換酵素阻害薬の構造活性相関
(対応 SBO 29)
1. 抗糖尿病薬
(対応 SBO 30)
1. 脂質異常症治療薬
1. 代謝系に関連する
18
治療薬 (2)
19
1. 抗悪性腫瘍薬 (1)
2. 骨粗鬆症治療薬
(対応 SBO 30)
1. アルキル化剤
2. 代謝拮抗薬
3. 抗がん性抗生物質
(対応 SBO 27,28)
1. 白金錯体化合物
1. 抗悪性腫瘍薬 (2)
2. まとめ
20
2. 植物アルカロイド
3. 分子標的薬
4. まとめ
(対応 SBO 28)
テキスト
参考書
夏刈英昭
他編「NEW 医薬品化学 (増補版)」(廣川書店)
佐野武弘 他著「パートナー 医薬品化学改訂第2版」(南江堂)
橘高敦史 編「創薬科学・医薬化学」(化学同人)
日本薬学会 編「化学系薬学Ⅱ.ターゲット分子の合成と生体分子・医薬品の化学」(東京
化学同人)
北川勲 他監訳「メディシナルケミストリー」(丸善)
周東 智 著「有機医薬分子論 化学構造、薬理活性そして創薬へ」(京都廣川書店)
田村雅史 著「薬と生体の立体構造化学」(京都廣川書店)
成績評価
中間試験(20%)、定期試験(75%)、演習課題の提出(5%)により評価する。
科目担当者
教員室:B105、メールアドレス:itoh-m33(at)hokuyakudai.ac.jp
との連絡
*(at)は@に置き換えてください。
事前学修・ 1. テキストの該当部分を事前に予習しておくこと。
事後学修
2. 講義中に実施しなかった演習問題は復習のため行っておくこと。
関連科目
生物有機化学、有機化学Ⅰ、有機化学Ⅱ、有機化学Ⅲ、薬理学Ⅰ、薬理学Ⅱ、薬理学Ⅲ
1. テキストを補完するために、プリントを配付する。
備
考
2. 配付済みのプリントは毎回持参すること。
3. 配付資料は「HPU-Moodle」にアップロードする。
4. 適宜、課題演習を行う。