アナリストレポート:アルビス

2015 年 6 月 15 日
アルビス(7475)
担当 近藤 浩之
レーティング:
OUTPERFORM(2015/2/9)→
OUTPERFORM
改装効果で既存店売上高が伸び、業績上振れを予想。
営業収益
伸び率
営業利益
伸び率
経常利益
伸び率
純利益
伸び率
EPS
1 株配
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(百万円)
(%)
(円)
(円)
連 12/3
66,899
-7.4
1,071
35.9
1,292
22.8
522
16.08
8.00
連 13/3
63,908
-4.5
1,217
13.6
1,485
14.9
659
26.1
20.68
8.00
連 14/3
65,718
2.8
1,547
27.0
1,803
21.4
907
37.7
27.89
10.00
連 15/3
70,516
7.3
1,923
24.3
2,230
23.7
1,081
19.2
162.55
40.00
連 16/3(予)
73,272
3.9
1,962
2.0
2,300
3.1
1,291
19.3
167.12
50.00
第 2 四半期累計期間
連 14/4-9
34,808
7.4
783
24.9
915
26.2
455
16.3
69.38
20.00
連 15/4-9(予)
36,249
4.1
828
5.7
997
9.0
570
25.3
73.79
25.00
株価(2015/6/15)
2,103 円
発行済み株式数(15/3 末)
7,905 千株
自己株式数(15/3 末)
180 千株
時価総額
16,626 百万円
企業価値(EV)
19,526 百万円
ROE(15/3 実績)
6.6 %
予想配当利回り
2.4 %
予想 PER
12.6 倍
BPS(15/3 実績)
2,325.97 円
PBR
0.9 倍
CFPS(15/3 実績)
505.8 円
PCFR
4.2 倍
株価チャート(週足)
EV/EBITDA(15/3 実績)
5.3 倍
(注) 平成 26 年 8 月 1 日を効力発生日として普通株式 5 株につき 1 株の株式併合を実施。
出所:アルビス、ブルームバーグ、今村証券
3 月 20 日付で東証 2 部から同 1 部へと
指定替え。北陸 3 県合計でトップシェアの
食品スーパーマーケットで、2015 年 6 月
15 日現在、56 店舗を展開している(資料
1、出所:同社決算短信・決算発表説明資
料・有価証券報告書)。創業当初は得意先
の食品スーパーへの商品販売、店舗運営の
支援・指導等を主軸としていたが、10 年
程前に直営の食品スーパーマーケット事
業に軸足を移した。スクラップ&ビルド、
M&A(企業の合併・買収)を実施し事業
を拡大に努めている。
(資料1) スーパーマーケット部門の売上高と
期末店舗数の推移
2015 年 3 月期は増収、2 割程度の増益(資料2、出所:同社決算短信・有価証券報告書)。経
常利益、当期純利益は過去最高益を更新した。
牽引役は「既存店の改装」だ。前期において 7 店舗で改装を実施した。健康志向の高まり、単
身者や高齢者世帯、共働き世帯の増加による「中食」(家庭外で商業的に調理・加工されたもの
を購入して食べる形態の食事)へのニーズの高まりなどの社会環境の変化に対応すべく、前々期
から本格的に売場構成を見直している(資料3、出所:公益社団法人食の安全・安心財団)。具
体的には、生鮮食品(鮮魚・青果・精肉・惣菜)の品揃えの拡充、健康を重視した商品の充実、
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一手間加えるだけで済む半加工食品や、惣菜、カットサラダ、カットフルーツなどの品揃え強化
などを行っている。
改装した店舗の売上高は改装前と比べて+20~30%になるという。この伸びが寄与し、前期の
既存店売上高は前々期比+0.6%と 4 期ぶりにプラスとなった(資料4、出所:同社月次営業情報・
決算発表説明資料)。商品別では生鮮食品の売上高の伸びが大きく、同+9.0%だった。生鮮食品
は品質管理が難しかったり、調理したりするため粗利益率が高く、利益率の向上に繋がった。
尚、増収の主因は、前々期の終盤に株式会社 ATS を買収し、旧東京ストアー4 店舗を引き継い
だことである。石川県内での店舗網拡大を狙っていたなかで、東京ストアーが 2013 年 1 月に民
事再生法の適用を申請、スポンサーを募集したことから買収に至り、この買収分が前期業績にフ
ルに加算された。新規出店は 1 店舗であった。
(資料2) 業績の推移(通期)
(注) 営業収益…~11.3期はセグメント情報を基に、12.3期~は部門ごと販売実績を基に作成
(資料3) 中食市場の推移
(資料4) 直営店売上高(通期)の推移(前年比)
今期の業績見通しは、営業利益、経常利益の伸び率が小幅にとどまっている。理由として同社
は、①同業他社のほか、イオンの大型ショッピングモール、コストコの開店が予定され、競争の
激化が見込まれること、②新規出店に伴い費用が嵩むこと、③人手不足に伴った人件費の上昇―
を挙げた。
現状を確認すると、既存店売上高は 4 月が前年同月比+8.1%、5 月が同+7.3%と大きく伸びた
(資料5、出所:同社月次営業情報)。今期の会社計画は前期比+2%強であり、計画を上回って
いる。改装効果を加えて、青果物の値上がり、原材料高を映した食品メーカーの値上げの浸透な
どが影響している。今期は改装を前期と同じ 7 店舗で実施する計画であり、この効果により既存
店売上高は堅調な伸びが続くだろう。これを踏まえると、業績は上振れが期待でき、経常益で 1
億円強の上振れを予想する。
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2
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(資料5) 直営店売上高(月次)の推移(前年同月比)
(注) 全店…09年10月~10年9月はサンピュアーの買収効果、14年3月~15年2月はATSの買収効果が加算。
同社は、改装による既存店の活性化で収
(資料6) スーパーマーケット業の
企業業績、合併・株式買収件数の推移
益基盤を固める一方で、新規出店、M&A
で収益拡大を狙う。新規出店は、年間 3
店舗を目安とし、富山県、石川県の未出店
地域での出店を進める。今期は 4 月に 1
店舗を開店済みであり、9 月には一時閉店
し建て替え中の 1 店舗が再オープン、12
月に新たな 1 店舗のオープンを予定する。
M&Aにも積極的だ。中小規模のスーパ
ーは競争激化で厳しい経営状況にある(資
料6、出所:一般社団法人新日本スーパー
マーケット協会)。同社はこうしたスーパ
ーを買収して収益向上に結び付けてきた実績があり、今後も同社主導の再編が進む可能性が高そ
うだ。中期的には、営業収益 1000 億円、経常利益 30 億円を目標に掲げる。
株価は 2 月の公募増資発表後に軟調となり、その後は横ばいで推移している。今期業績は堅調
が予想され、投資指標面からも株価には上昇余地があるとみる(資料7、出所:各社決算短信)。
投資判断はOUTPERFORMを継続する。
(資料7) 同業他社との業績・投資指標の比較
予想
予想配当
営業収益
BPS
PBR 配当金
株価
営業利益 伸び率 利益率 経常利益 伸び率 利益率 純利益 伸び率 利益率 EPS
銘柄
PER
利回り
・売上高 伸び率
(円)
(百万円)
(円)
(倍)
(円)
(15/6/15)
(百万円)
(百万円)
(%) (%)
(%) (%)
(%) (%)
(倍)
(%)
(百万円) (%)
連14/3
65,718
2.8
1,547 27.0
2.4
1,803 21.4
2.7
907 37.7
1.4
27.89
453.17
10.00
アルビス
2,103 連15/3
70,516
7.3
1,923 24.3
2.7
2,230 23.7
3.2
1,081 19.2
1.5 162.55
2,325.97
0.9
40.00
(7475:東1)
連16/3(予) 73,272
3.9
1,962
2.0
2.7
2,300
3.1
3.1
1,291 19.3
1.8 167.12
12.6
50.00
2.4
連14/2
534,923
2.9
7,634
3.1
1.4
7,702
5.4
1.4
3,798 28.0
0.7
72.52
1,060.89
25.00
ライフ
2,599 連15/2
584,984
9.4 10,872 42.4
1.9 11,010 42.9
1.9
5,213 37.3
0.9 107.92
1,120.35
2.3
25.00
業 コーポレーション
(8194:東1)
界
単16/2(予) 616,000
- 11,000
1.8 11,000
1.8
5,200
0.8 111.07
23.4
25.00
1.0
大
連14/2
454,391
4.7 13,435 -0.2
3.0 14,688
1.2
3.2
6,375 -22.8
1.4 115.86
1,999.46
40.00
アークス
手
2,635 連15/2
470,310
3.5 12,712 -5.4
2.7 14,290 -2.7
3.0
9,475 48.6
2.0 171.03
2,128.27
1.2
42.00
(9948:東1)
連16/2(予) 503,000
7.0 14,000 10.1
2.8 15,700
9.9
3.1
7,000 -26.1
1.4 125.94
20.9
42.00
1.6
連14/2
90,624
7.6
3,047 19.5
3.4
2,969 20.3
3.3
1,791 27.1
2.0
98.72
861.38
14.00
ハローズ
営
1,679 連15/2
95,660
5.6
3,445 13.1
3.6
3,354 13.0
3.5
2,099 17.2
2.2 115.86
959.83
1.7
16.00
規
業 (2742:JQ)
連16/2(予) 100,000
4.5
3,672
6.6
3.7
3,552
5.9
3.6
2,222
5.8
2.2 123.42
13.6
16.00
1.0
模
収
が
連13/9
86,113
7.3
796 -57.2
0.9
1,125 -49.8
1.3
764
0.9
0.9
70.85
1,807.09
17.00
益 マミーマート
近
1,709 連14/9
92,804
7.8
2,123 166.4
2.3
2,569 128.4
2.8
1,095 43.3
1.2 101.51
1,884.15
0.9
17.00
・ (9823:JQ)
い
連15/9(予) 94,000
1.3
2,300
8.3
2.4
2,600
1.2
2.8
1,300 18.6
1.4 120.42
14.2
17.00
1.0
売
企
連14/2
84,810
2.0
3,699
0.5
4.4
3,849
3.4
4.5
1,839 -18.5
2.2
75.46
746.98
12.00
上
丸久
業
1,098 連15/2
87,942
3.7
3,485 -5.8
4.0
3,911
1.6
4.4
2,332 26.8
2.7
95.55
852.10
1.3
14.00
高 (8167:東2)
連16/2(予) 92,200
4.8
3,700
6.1
4.0
3,950
1.0
4.3
2,400
2.9
2.6
98.32
11.2
14.00
1.3
(注) 営業収益・売上高規模が近い企業…営業収益・売上高が500億円以上1000億円未満の食品スーパー。営業収益…アルビス、ライフコーポレーション、ハローズ、丸久。売上高…アークス、マミーマート。
アルビス…平成26年8月1日を効力発生日として普通株式5株につき1株の割合で株式併合。15/3期のEPS・BPSは当期首に併合が行われたと仮定して算出。
ライフコーポレーション…平成27年3月1日に連結子会社を吸収合併し、16/2期は非連結となるため、伸び率は比較できず。
アルビス(7475)
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---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解
を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬
も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義
O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。
N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場
合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様
への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券売買に関する申込または勧誘を意図するものではなく、お
客様に対して投資の助言を提供するものでもありません。また、本資料に記載されている情報もしくは分析がお客様に
とって適切であると表明するものでもありません。投資に関する最終決定はあくまでもお客様ご自身の判断でなさいま
すようお願い申し上げます。
本資料に記載された内容は、信頼できると思われる情報、または信頼できる情報源から得た情報を基に今村証券が作成
しておりますが、機械作業上データに誤りが発生する可能性があります。当社はその内容の正確性や妥当性、適時性ま
たは完全性を保証するものではありませんし、本資料における過誤又は遺漏に対して何らの責任を負うものでもありま
せん。本資料でインターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている
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ものではございませんので、今村証券は、本資料の内容について第三者のいかなる損害賠償の責任を負うものでもあり
ませんし、お客様が本資料に依拠した結果としてお客様が被った損害または損失については一切責任を負いません。ま
た、今村証券は本資料に関するお客様からのご質問やご意見に対して、何ら対応する責任を負うものではありません。
当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社
および関係会社は、本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買い
または売りのポジションを有している場合があり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係
会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘
を行う場合があります。
日本および外国の株式・債券への投資は、株価の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評
価の変化、金利・為替の変動などにより、投資元本を割り込むリスクがあります。
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法を問わず、本資料の全部もしくは一部引用または複製、転送等により使用することを禁じます。
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