人見知りの私が 接客の仕事を 目指した理由 ﹁将来はホテルで働く。高校時代にそう 決めたんです﹂。 姉が暮らす福 岡でホテル を利用した時、常に笑顔で接してくれるス タッフが﹁輝いて見えた﹂ という荒野尾さ ん。この日から、﹁ 自 分 もいつかこの場 所 で働こう﹂ と心に決めた。﹁それまではパ 菓 子を 作ることが好きでしたし、 何よ り ティシエになりたいと思っていたんです。お 家族や友人に ﹃おいしい﹄﹃ありがとう﹄ と言ってもらうことが嬉しかった。進んだ 荒野尾礼美 Choice is yours に 望むこ とは 変わ ら ないんだ な と 思いま がものすごく大変で⋮。繁盛期には、一日 整えるという 仕 事を 担 当し ました。これ 配 属され、お客 様が帰られた後の部 屋を Ayami Aranoo : Hotel Staff す。お客 様から ﹃あ りがとう ﹄の言 葉を さん 〝三年で一人前〟 と思っていたのは自分だけ。 与えられた仕事を完璧にこなすだけでなく、 感性を働かせながら、 お客様が求めることを叶える。 それが、 プロの接客なのではないかと思う。 いつか、 そこに り着きたい。 ホテルスタッフ いただける仕事に就いたんですから﹂。 に何室も整えていくのですが、中にはとて ●ANAクラウンプラザホテル福岡 勤務 専門学校 西鉄国際ビジネスカレッジ︵2009 年卒︶ そして 夢 を 実 現させるために 学 校の 資 料を取り寄せ、カリキュラムの内容、卒業 それ までホテルの 表の 顔しか見ていなかっ を 使 うので 汗 だくになること もしばしば。 職 種こそ 違いま すが、 その 頃 と 私が仕 事 生の進路、就職率などをチェックした上で た私に、いろんな縁の下の力持ちがあって も散らかっている部屋もありますし、全身 志望校を絞った。さらに決め手になったの 輩 方が察してくれて自 然と 緊 張を 取 り 除 の模 範 生として、 入 学 式や卒 業 式などの 実 習に関わらず、どんなことにも 真 に取 り 組む荒 野 尾さんは、 学 校から 学 生 行事をサポートする﹁ホスピタリティクラブ﹂ 生活が充実しているだろうなと思い、母校 への進学を決めたんです﹂。 ないので、﹃ 私でいいの?﹄ と 思いまし た さの両 方があることを 学んだ。 中でも 印 学生時代は、ホテルで実際に働いた経験 を 持つ講 師 陣のもと、 仕 事には 喜びと 辛 られた任務をやり遂げる責任感も、こう めるわけでは あ り ません。 会 社から 求め い、お受けし ました。 社 会に 出ると、 学 ホテル実 習 だ。﹁ハウスキーピングの部 署に 頃は ﹃若いのに着物が着られるなんて偉い した経験を通して芽生えていったような気 数を重ねるにつれ ﹃きれいに着ているね﹄ ね ﹄ と 言っていただけていたのですが、 年 と、反応が変わって来るんです﹂。 三年目はプロへの スタートライン は 仕 事に対する考え 方にも 通じること だ ﹁ちゃんと 着ている﹂から ﹁きれいに着 ている﹂への変化。荒野尾さん曰く、それ 最初の壁が現れる。﹁もともと人見知りで すし、お客様との会話のきっかけづくりに なせるようになると、三年目では自分が一 そう。﹁一年目で仕 事を 覚え、二年目でこ 人前になった気になるんです。けれど、﹃決 〝 学びの 場 〟にするという 克 服 術 を 思い つく。 ﹁すると﹃こんな言い回しがある﹄ ﹃こ り前のこと。プロのホテルスタッフとは、仕 事を完璧にマスターした上で、自身の感性 められたこと をやれる ﹄ というのは 当た 詳しい方からはたくさんの知識もいただけ 取って、 満 足いただけるサービスを 提 供で を 働かせてお客 様に 接し、 気 持 ち を り なんです。さらに 食、お酒、 器 な どに ました。 自 分の姿 勢を 変えることで会 話 り、 心 身と もにヘトヘトになること も あっ 力 仕 事・ 事 務 作 業・ 清 掃 と 多 岐にわ た そうして人見知りを克服した荒野尾さ んだったが、ホテルスタッフの仕事は接客・ な 荒 野 尾さんには 今、 課 題がある。﹁ 後 つか一人前へと がつき ました。 私は ま だ ま だ 半 人 前。い 三年目こそがプロへのスタートラインだと気 かったのですが、たった一日の講習のあとは、 就 職 する まで一度 も 自 分で 着 たこ とがな 場を奪ってしまうことになる。後輩の成長 す。でも それは、 後 輩が感 性 を 働かせる と。つい、自分で何でもやってしまうんで 輩に仕事を任せられるようになるというこ 姿がそこにはあった。 向上心を持って仕事に向かう眩しいプロの ん。お客様に対するアンテナを張り巡らせ、 ができる人になりたいですね﹂ と荒野尾さ ベルで安 定して、プロとしての完 璧な 仕 事 さ らに、﹁一〇 〇 点の 日 も あるけ れ ど 六〇点の日もあるのではだめ。常に高いレ これはぜひクリアしたいです﹂。 は自身のモチベーションアップにも繋がるので、 自分で着られるようにならないといけない る。﹁着物姿で接客をしていると、始めの のひとつですから ﹂。またこんな 思いもあ んです。 着 物 姿 もホテルの 格 を 示 す 商 品 だ着る〟のではなく、〝きれいに着たい〟 あえて三〇分かけて着物を着ている。﹁〝た で 着 られるまでに。しかし 荒 野 尾さんは、 ま し た ﹂。 それが 今では、 わ ずか 十 五 分 社し、教わりながら着るなど試行錯誤し そこで、 先 輩 方の出 勤 時 間に合わせて出 前に出社しないと間に合わないほどでした。 んです。 最 初の頃は、 出 勤 時 間の三時 間 り着きたいですね﹂。そん た。﹁ 中で も 苦 労 し たのが着 物の 着 付け。 きる 人 なんです。 丸六年 働いてよ うや く、 み を楽しめるようになりました﹂。 んな 表 現がある﹄ と 勉 強になることばか ける中で荒野尾さんは、お客様との会話を とても苦労したんです﹂。しかし仕事を続 スタッフとしての一歩を踏み出した。そこに 卒業後は、志望していたシティホテルへ就 職。館内の日本料理店に配属され、ホテル 年数を重ねるごとに 仕事の奥深さを実感 がします﹂。 生 時 代のように好きなことだけに打ち 込 象的だったのは、一年生のときに経験した が、期待されたことには応えていこうと思 任命された。﹁自ら手を上げるタイプでは ︵ 各クラスから 男 女一名 ずつを 選 出 ︶に 学生時代に培った 社会人としての責任感 いてくれた時、すごいなって。きっと 学 生 はオープンキャンパスへの 参 加。﹁ 先 輩 方 と 業をしながら、後輩への指導も欠かさない。 下右/店内から窓越しには風情ある庭園が 広がっている。美しい景色が料理を引き立て る。 下左/お客様に尋ねられても困らない ように、当日の献立や使っている素材などに ついてはオープン前に厨房へ確認。 とを教えてくれました﹂。 と言ってもらえることも。大きなモチベーショ ンアップに繋がっている。 上左/一緒に作 こそホテルは 成 り 立っているんだというこ もあるとか。 上中/お客様を迎えるための 開店準備。「荒野尾さんがいるから来たよ」 のディスカッションがあったんです。でも 私、 ムが今、とても役に立っているという荒野尾さ ん。学生の時のノートやテキストを見直すこと 実は ものすごい人 見 知 りで ⋮。 そこを 先 上右/学生の時に学んだ「ホテル英会話」や 「日本旅館のサービス」といったカリキュラ
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