新しい小児科専門医制度における 指導医の役割 鈴木康之 岐阜大学 医学教育開発研究センター、日本小児科学会 生涯教育・専門医育成委員会 2015.4.19 第118回日本小児科学会学術集会 日本小児科学会 CO I 開示 筆頭発表者名: 鈴木康之 日本小児科学会の定める利益相反に関する 開示事項はありません 指導医:2つの意味 • 資格を持った指導医 = 日本小児科学会(専門医機構)として 認定した小児科専門医 • 指導する医師 = 資格を持った小児科指導医 小児科専門医 小児科専攻医(研修医) etc 小児科医の医師像 小児科医の到達目標 2015年4月改訂 子どもの総合診療医 General Practitioner 育児・健康支援者 子どもの代弁者 Healthcare supporter Advocator 子どもの 総合医 教育への貢献 小児科医は、同僚・後輩医師、 学生,他の医療専門職に対して ロールモデルとなり、積極的に 教育を行う姿勢が求められる. (すべての小児科医) 学識・研究者 医療のプロフェッショナル Scholar Professional Role Model “私はいつも ロールモデル であることを意識している” William Osler の伝統を受け継ぐ McGill大学の小児科指導医たち “背中を見せる” “顔を見せる” “手を見せる” Mentor 相談に乗る アドバイスする コーチする マネジメント 教える ロールモデル 導く ”恩師” Feldman MD, UCSF 2012 Facilitator 具体的経験 Feedback Experience 次のプラン Plan 指導医の 役割 学習サイクル (Kolb, 1975) 振り返り 概念化 Theory Reflection 日本小児科学会が考える指導医像 小児科専門医としての 高い診療能力 (到達目標 レベルB) 指導者としての優れた能力 プログラム構築 ・ ロールモデル ・ 指導と評価 医療人(個人)としての優れた資質 公平性・省察・コミュニケーション・傾聴共感・柔軟性 指導医像に関する研究 医師として 教育者として 知識 臨床技能 熱意 医師-患者関係 プロフェッショナリズム 学識者 チームワーク 経験 リーダーシップ 不確実性の受容 フィードバック 振り返りを促す 評価する 学習者との良好な関係 熱意・共感 近寄りやすさ 的確な回答 形成評価 わかりやすさ 模範を示す 興味を持たせる 考えさせる 役割を与える 上手に質問する 個人として ロールモデル 省察 コミュニケーション 熱意・共感 親しみやすさ 敬意を払う 正直 常識・叡智 多様性の受容 他者を尊重する 忍耐強さ ユーモア 責任感 利他精神 Sutkin G et al. What makes a good clinical teacher in Medicine? A review of the literature. Academic Medicine 2008;83:452-466 (83 references) 指導医像に関する研究(小児科学会) 医師として 教育者として 知識 臨床技能 熱意 医師-患者関係 プロフェッショナリズム 学識者 チームワーク 経験 リーダーシップ 不確実性の受容 自己の限界を認識 フィードバック 振り返りを促す 評価する 学習者との良好な関係 熱意・共感 近寄りやすさ 的確な回答 形成評価 わかりやすさ 模範を示す 興味を持たせる 考えさせる 役割を与える 上手に質問する 研修医を守る 個人として ロールモデル 省察 コミュニケーション 熱意・共感 親しみやすさ 敬意を払う 正直 常識・叡智 多様性の受容 他者を尊重する 忍耐強さ ユーモア 責任感 利他精神 優しさ・穏やかさ 西屋,鈴木 et al. 論文作成中 研修プロセスと指導医 社会のニーズ・小児科学会 Outcome 到達目標 研修方略 研修評価 指導医 指導医 今後は評価への関与が 重要になってくる 評価には2種類ある 総括評価 summative assessment 合否、資格判定(国家試験、小児科専門医試験など) 形成評価 formative assessment 動機づけ・学習促進を図るために行う日々の指導 (学習者への助言・フィードバックなど) 総括評価への関与 <従来> 専攻医 症例要約・研修手帳 指導医 助言 チェック 事務局 専門医試験 <新制度> 研修プログラム管理委員会 (指導医等による総括評価) 研修修了認定 形成評価への関与 <従来> 専攻医 症例要約・研修手帳 様々な形成評価 面接・診察 コミュニケーション 診療技術 プロフェッショナリズ 指導医 助言 チェック ム 事務局 専門医試験 etc 形成評価法の一例 5 Micro Skill ≒ フィードバック ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 考えを述べさせる(自己評価) 根拠を問う 一般原則を教える 正しくできたことを強化する 間違いを正す (さらなる学習を促す) 「どうだった?」 「なぜそう思う?」 ① ② が重要 あとは省略可 外来・病棟での診察後に口頭で手短かに 形成評価法の一例 mini-CEX : Mini Clinical Evaluation Exercise 簡易的な臨床能力の観察評価 ③フィードバック ①観察 研修医名 医学的知識 診察スキル 面接態度 ②評価表 良かった点 ④評価表は専攻医が保管 改善点 総括評価(研修修了判定)にも利用 診断名 指導医の認定要件 1. 専門医資格を1回以上更新(初回更新時) 2. 日本小児科学会が指定する下記研修のいずれかを受講 小児科医のための指導医講習会 小児科指導医オンライン・セミナー 3. 申請前の5年間に、査読制度のある雑誌に小児科関連論文 を1編以上(共著:〜2016年度まで) 要件を満たしている方は1人でも多くの申請をお願いします 2015年9月に専門医を更新する方 基幹施設から最低1名 (将来的には基幹施設に5名、連携施設に1名) 小児科医のための指導医講習会 小児科専門研修向上のためには 指導医の役割が重要との認識からスタート • 2009年〜、のべ14回、約600名が受講 臨床指導の基礎と実践力修得 指導医間のネットワーク構築 • 2014年度から年3回に拡充 東京、大阪、その他の地域 定員:年間120名程度 講習会 プログラム 1日目 PM 開会・アイスブレーク 4時間 成人学習、アウトカム基盤型教育 研修困難な状況について 2日目 AM 臨床研修について(厚労省) 9時間 研修アウトカムの作成 PM フィードバックの方法 指導困難場面への対応 小児科専門研修の評価・症例要約 リサーチマインド育成、論文作成 講義 グループ討議 講義 グループ討議 演習 グループ討議 講義 交流会 3日目 AM 研修現場での評価(mini-CEX, DOPS) 4時間 指導医のありかた 閉会・受講証授与 演習 グループ討議 小児科指導医オンラインセミナー • ミニレクチャー 5編(各15分) 1. 2. 3. 4. 5. 医療者教育の基本 研修目標の活用 研修医評価の基本と実際 効果的なフィードバック 症例要約の作成と研修手帳の活用 • 各レクチャーに関する確認問題 • 修了証発行 2015年6月頃から視聴可能(学会HP) Take Home Message 指導医は、小児科専門医というプロフェッショナル 集団を自律的・持続的に育成するために不可欠な 存在です。 “人の成長支援” は、小児科医にとって、ごく自然 な仕事です。 より良い専門医制度の構築に向けて、小児科学会 はイニシアチブをとっていきたいと思います。
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