進化する東芝のモータ制御マイコン

テクニカル・ノート
Technical NOTE
CPU パフォーマンス以上の機能を実現
進化する東芝のモータ制御マイコン
東芝のモータ制御マイコンとは?
量産中
Cortex®-M4F@144MHz
ROM
PKG
**TMPM47x
*開発中
Cortex®-M3@80MHz
**計画中
1995 年、 東 芝 は 最 初 の イ ン バ ー タ モ ー タ 制 御 用 マ イ コ ン
ベクトル制御
TMP88CK49 の 販 売 を 開 始 し ま し た。16MHz 8bit マ イ コ ン で
インバータモータ制御を実現するために、独自回路 Programmable
Motor Driver(PMD)を開発し、センサレス矩形波制御を容易に実現
しました。これによりエアコン室外機のインバータ化に大きく貢献し
ました。
また第二世代 PMD では、正弦波生成回路を追加し、洗濯機インバー
TX19A 56MHz
256K
100pin
TMP19A71
世に送り出してきましたが、一貫して「CPU パフォーマンス以上の機
128K
64pin
TMPM373FW
128K
48pin
TMPM374FW
128K
44pin
TMPM376FD
512K
100pin
TMPM370FY
256K
100pin
ベクトルエンジン
(VE)
スケジューラ
拡張
*TMPM470FD
384K/512K
100pin
*TMPM475FD
384K/512K
100pin
TX04 series
Cortex®-M3@80MHz
Cortex®-M3@40MHz
TMPM375FS
64K
30pin
ベクトルエンジン
プラス
(VE+)
補正機能
強化
**TMPM37xFY
256K
100pin
アドバンスト
ベクトルエンジン
(A-VE)
TX03 series
正弦波制御
&
矩形波制御
ベクトルエンジン
プラス
(VE+)
TLCS870/X 20MHz
タ化とモータ静粛化に大きく貢献しました。このように東芝では、そ
の時々のお客様の要求に応えることができる、モータ制御マイコンを
TMPM372FW
1M
144pin
Cortex®-M4F@120MHz
TMP88FW45A
120K
80pin
TMP88F846
8K
44pin
TMP88FH41
16K
44pin
高性能化
アドバンスト
エンコーダ *
(A-ENC)
* 矩形波制御用位置検出回路
Cortex®-M0@40MHz
*TMPM07x
64K
44pin
*TMPM07x
64K
48pin
*TMPM07x
64K
64pin
Cortex®-M0@40MHz
**TMPM07x
TLCS870/C1 8MHz
TLCS870/X 16MHz
TMP88Cx49
TMP89FM82
32K
48pin
TX00 series
注)計画中製品の仕様は予告なく変更させていただく場合がございます。 2013
能を実現」というコンセプトで進めてきました。
32K
30pin
2014
2015
図 1:モータ制御用 MCU ロードマップ
2010 年からは、ベクトル制御用マイコン第三弾として、ARM® 社
Cortex®-M3 コアを採用し、PMD、ベクトルエンジン、プログラマブ
ル ADC を搭載した、TMPM370FYFG の販売を開始しました。
丁度 20 年の節目の年になる、2015 年は 2 つの新製品の販売を開始
PMD(Programmable Motor Driver)
します。
VE(Vector Engine)
A-VE
Advanced VE
A-ADC
→ 3 相 PWM 出力回路
→ ベクトル制御用コプロセッサ
Advanced ENC
ADC
Cortex-M4F コア 120MHz にアドバンストベクトルエンジン(A-
PMD3
VE)、アドバンストエンコーダ(A-ENC)、プログラマブル ADC を搭
ベクトル制御
載した、高性能ベクトル制御用マイコン 4 品種の販売を開始します。
PMD1
器(FPU)と DSP 命令を追加し、モータ制御に必要な多種多様の演算
1st generation
流/電圧の相変換演算に加え、非干渉制御、デッドタイム補償を加え、
40MHz の速度ながら、VE+ 搭載によりベクトル制御のソフト実行時
間を最短 32us まで短縮したことで、16KHz PWM でも間引くことな
く制御が可能になっています。また、VE+ によるシフト PWM 機能に
より、1 シャントにおける低速時の電流検出を容易にしています。
更に、A-ENC には、センサレス/センサ付矩形波制御に対応したセン
サモードが内蔵されており、ソフト負担を極力削減した位置検出、な
2nd generation
です。
新製品
特長
高性能 / 低消費電力 Cortex-M4F 最大 120MHz 動作
モータ制御回路内蔵(A-VE, ADC, PMD)
FLASH 高速書き換え
10MHz
● Cortex-M4F コア
4.5 ~ 5.5V(単一電源/レギュレータ内蔵)
120MHz
Flash ROM: 512KB
SRAM: 32KB
JTAG/SWD/SWV 2bitトレース対応
クロックギア (1/2, 1/4, 1/8, 1/16に分周可能)
スタンバイモード (IDLE/STOP)
・動作電圧
・最大動作周波数
・内蔵メモリ
・デバッグ回路
・低消費電力動作
・内蔵高速発振器
±1%
● 内蔵周辺機能
・アドバンストベクトルエンジン(A-VE) 2 ユニット
・PMD
・12ビットADコンバータ(1us変換)
・A-エンコーダ
・16ビットタイマ
・UART/SIO
・I C/SIO
・DMA
・ウォッチドッグタイマ (WDT)
2 チャネル
2 ユニット
2 チャネル
10 チャネル
4 チャネル
1 チャネル
1 チャネル
・パワーオンリセット (POR)
PLL/CG
POR/VLTD
WDT
FLASH
16bit Timer
RAM
SIO/UART
DMA
OFD
New Vector
Engine
(A-VE)
PMD
12bit A/D
IO port
ROM
TMPM470FDFG 512KB (Flash)
● パッケージ
・LQFP100 14x14mm 0.5mmピッチ
図 3:TMPM470FDFG / TMPM475FDFG
ARM PARTNERS SUCCESS
A-ENCODER
ARM
Cortex-M4F
Debug
I2C/SIO
製品名
・周波数検知回路 (OFD)
・電圧検出回路 (VLTD)
26
Next generation
TMPM470FDFG/TMPM475FDFG
2
らびに PMD とタイマの連動により、ソフト処理なく転流動作が可能
3rd generation(Now)
図 2:東芝独自のモータ制御用ハードウェアの推移
より高機能になっています。
クトル制御用マイコン 3 品種の販売を開始します。
正弦波出力回路
位置検出、自動転流
保護機能
を短時間で実行可能です。A-VE は第三世代 VE で、基本機能である電
バンストエンコーダ(A-ENC)、プログラマブル ADC を搭載した、ベ
多機能 VE
位置検出回路
PMD2
Cortex-M4F コアは、Cortex-M3 コアをベースに、浮動小数点演算
Cortex-M0 コア 40MHz にベクトルエンジンプラス(VE+)、アド
PMD4
プログラマブルADC
■ TMPM470 グループ
■ TMPM070 グループ
高速 ADC
VE,VE+
RAM
パッケージ
32KB LQFP100
株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社
アドバンストベクトルエンジンを搭載した
M470 グループ製品が新登場
開発の負担を大幅に軽減する
パラメータチューニングシステム PTS
Cortex-M4F コアを搭載したマイコン「TX04 シリーズ」の新製品と
PTS は、東芝のモータ技術を駆使し独自に開発したモータパラメータ
して、家電などに使用される DC ブラシレスモータを 2 個同時に制御
チューニングシステムです。モータ制御開発に必要なモータ定数(抵
可能なマイコン「TMPM470FDFG」
、
「TMPM475FDFG」をライン
抗、インダクタンス)を自動測定します。また、ベクトル制御に必要
アップに追加し、2 月からサンプル出荷を開始しました。エアコンや
な PI 演算のゲインをシステム上で計測することで、負荷状態に応じた
冷蔵庫、洗濯機等の家電製品はもちろん、産業インバータ、AC サーボ
最適ゲインを計測することにより、開発の負担を大幅に軽減すること
等の幅広い分野まで活躍できることを期待しています。
ができます。
■ 新製品の主な特長
■ PTS の主な特徴
● Cortex-M4F 最大 120MHz 動作
●モータ定数の測定(抵抗、インダクタンス)
(相補 PWM 最小単位:8.3ns)
●モータ定数から、各 PI ゲインを演算
●非干渉制御、デッドタイム補償、
●ベクトル制御に必要な PI ゲイン(電流、速度、位置)の測定
出力リミット等を追加したアドバンストベクトルエンジン(A-VE)
●ゲイン測定結果の表示
●相補 PWM 出力(PMD)12bitADC、
●測定ごとの電流波形データの保存
A-VE が連動動作することで、ソフト負荷を低減
●リアルタイムでマイコン内部データの波形表示が可能
●高速 PWM での電流検出を実現する変換速度 1us 12bitADC
● GUI 上からマニュアル操作により、
センサレス矩形波制御の位置検出を容易にする
目標回転数でモータを回転、停止することができます
●
アドバンストエンコーダ(A-ENC)
● CAN コントローラを搭載(TMPM475)
※ NANO FLASH は株式会社東芝の登録商標です。
※ ARM および ARM Cortex は ARM Limited の EU およびその他の国における登録商標です。
お問い合わせ先
株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社
ミックスドシグナル IC 営業推進部
ミックスドシグナル IC マーケティング担当
TEL:044-548-2821 FAX:044-548-8329
Web:http://www.semicon.toshiba.co.jp/
モータのベクトル制御に必要なパラメータを自動的に測定
より進化した最適ゲイン選定用データ
モータパラメータチューニングシステム (PTS) は、
モータ定数 ( インダクタンス、抵抗 ) を自動測定します。
また、ベクトル制御に必要な PI 演算のゲインをシステム上で計測することで、
負荷状態に応じた最適ゲインを計測します。
システム構成
●パソコン
●インバータ基板
●PTS3 基板
●モータ
時間の掛かるベクトル制御のモータ評価時間を削減。
お客様の負担を減らしモータを回すことが可能です。
顧客インバータ基板
PTS 操作、
測定結果保存
PTS3
測定結果(最適ゲイン範囲)を
3Dグラフで表示
電流波形等の測定時のデータを保存
測定後に実際のモータの動作を確認可能
電流時定数
BLDC
モータ
SIO
PTS
Algorism
USB(UART)
⊿θ
誘起電圧
図 4:パラメータチューニングシステム (PTS)
図 5:進化した最適ゲイン選定用データ
ARM PARTNERS SUCCESS
27