福井の女性活躍 - 公益財団法人ふくい産業支援センター

福井の女性活躍
産業の空洞化による人口流出
口流入に、逆に、遠すぎると、
と、ベッドタウン化による人
徴です。大都市圏に近すぎる
大都市圏から遠からず近か
らずの絶妙な立地が福井の特
代近居の居住パターンです。
両立を支えているのが、三世
女性の就労と出産・子育ての
が、積み重なり、仕事の継続
とした融通が利くかどうか
は、大きな利点です。ちょっ
からの育児支援の受けやすさ
めません。近居による親世代
の送迎のピンチヒッターを頼
ても、東京と九州に別れて暮
で育児支援にやぶさかでなく
から見れば祖父母︶が、元気
福井モデルの課題
びつきがちです。
の可否という大きな違いに結
らしていたのでは、保育所へ
に、 見 舞 わ れ ま す。 福 井 は、
つの大都市圏から半径
㎞圏内に位置することで、人
年の社会・人口統
口転入率、転出率がともに低
く︵平成
計︵総務省︶で、いずれも
年の国勢調査では % で
福井に課題があるとすれ
ば、
女性管理職割合の低さ︵平
成
全国
位︶でしょう。福井で
ウーマノミクスと
世界の常識
調査で %と全国平均を ポ
イ ン ト 以 上 も 上 回 る ︶ で す。
その一方で、合計特殊出生率
も低くはありません。日本一
、
位あたりで推移し
と は い き ま せ ん が、 近 年 は、
ています。女性の労働参加と
全国
クス︵女性の労働参加と活躍
出産・育児の両立という日本
です。福井は人口当たりの社
福井モデルを根底で支えて
いるのが、産業や雇用の構造
要素が結びつき、共働き率日
本一の座を不動のものとして
います。
女性にバリバリ働いてもらい
数︶も、世界最低レベルです。
日本は、合計特殊出生率︵女
性が一生の間に産む子供の
小企業が多いので、残念なが
ない優等生です。一方で、中
倍率でも、東京に引けを取ら
ため、失業率でも、有効求人
て働く場所が豊富です。その
なっており、他の地方に比べ
労働集約性の高い産業構造に
合の高さも特徴です。福井は
活動推進事業﹂
、﹁すみずみ子
ト﹂、﹁子育てマイスター地域
い
く 実 施 さ れ て い ま す。﹁ ふ く
とに、きめ細かく、途切れな
にわたり、ライフステージご
子育て支援の取り組みは多岐
ま す。 福 井 県 の 少 子 化 対 策、
育て支援と福井の立地にあり
のかを解く鍵は、充実した子
両立の条件がそれなりに整っ
帰 す る ︶ の 就 労 パ タ ー ン に、
リタイアし、一段落したら復
M字型︵子育て期に仕事から
求されます。それが全国では、
ることも、女性に〝だけ〟要
は 解 消 さ れ ま せ ん。 さ ら に、
らなければ、女性の多重負担
向がみられます。男性が変わ
的に家事・育児を実施する傾
分業に否定的な男性は、積極
す。これに対して、性別役割
しかないという現状の表れで
ないなら、結局、女性がやる
イドの取り組みとして、女性
ます。それに呼応する企業サ
に向けた働きかけを進めてい
分担の促進、家族時間の伸長
など、男性の意識改革、家事
事 チ ャ レ ン ジ 検 定 ﹂ の 実 施、
育 て 応 援 企 業 ﹂ の 表 彰、﹁ 家
福 井 県 は、﹁ 家 族 ふ れ あ い
デ ー﹂ の 普 及 活 動、﹁ 父 親 子
19
少子高齢化よる労働力不足
やマーケットの縮小を打開す
促 進 ︶ が 提 唱 さ れ て い ま す。
の目指すべき方向を先取りし
摘は、世界経済フォーラムで
女性の就労と
出産・子育て両立の秘密
たいが、出産・育児もお願い
ら賃金水準は全国平均を下回
育 て サ ポ ー ト 事 業 ﹂、 な ど 枚
福井で、なぜ女性の就労と
出産・子育ての両立が可能な
したいというのが、政府の本
ります。賃金水準の低さは女
挙にいとまがありません。行
ている福井では、女性のキャ
性別役割分業に否定的な男性
18
る切り札として、ウーマノミ
こうした発想は、安倍内閣の
ているのが福井なのです。
年のOECDレポートでも、
独創というわけでなく、平成
日本経済再生の鍵として、男
も繰り返されています。ウー
長輩出数が多いことでも有名
共働き率日本一の秘密
マノミクスの取り組みは、世
ですが、これは中小の事業所
女格差の是正と女性の活用が
界の常識にようやく日本も追
が沢山あることを意味してい
提言されています。同様の指
いついたことを示しています。
次産業従事者の割
音でしょう。そこで、福井モ
性 を 労 働 力 市 場 に 押 し 出 し、
人っ子応援プロジェク
デルが注目を集めることにな
働く場所の豊富さはその受け
リアアップの断念に、帰結し
の場合、就労時間が短いほど、
が活躍できる環境の整備に加
政 に よ る 手 厚 い 施 策 に 加 え、
ているのです。女性が働いて
えて、男性にも育児責任が担
つの
当たり前の福井で、男性の家
食事の後かたづけや掃除の実
えるファミリー・フレンドリ
皿として機能します。
事・育児の分担は全国平均程
施頻度が高くなります。逆に
ーな働き方の導入が期待され
年の国勢
度です。多くの女性は多重負
言えば、男性側に分担の意志
ます。
いうことでしょう。
担に陥りがちで、キャリアア
があっても、長時間労働に縛
合が日本一︵平成
ります。福井は、女性の労働
ます。第
15
力率が高く、共働き世帯の割
注目される福井モデル
CONTENTS
られていては、限界があると
17
5
ップまで追求したら、パンク
してしまいます。
課題の解決に向けて
課題の解決に向けてどんな
取 り 組 み が 重 要 で し ょ う か。
逆説的に聞こえるかもしれま
女 性 管 理 職 が 少 な い 理 由 と、
全国で女性が仕事と出産・子
せ ん が、 男 性 が 変 わ る こ と、
年に
する意識調査﹂から、面白い
実施した﹁男女共同参画に関
で す。 福 井 県 が
男 性 の 働 き 方 を 変 え る こ と、
育 て を 両 立 し に く い 理 由 は、
根本的には同じだと考えられ
ます。それは育児の最終責任
が女性にあるという考え方で
こ と が 分 か っ て い ま す。﹁ 男
す。育児に積極的な男性はイ
クメンと称賛されますが、多
は仕事、女は家庭﹂という考
え 方 に 、 賛 成 で も 反 対 で も、
くの場合、﹁育児に協力的な夫﹂
止まりで、最終責任を女性と
る以上、男性に分担の意志が
女性に最終責任が課されてい
は、あまり影響を受けません。
女性の家事・育児の実施頻度
女性に〝だけ〟育児の最終責
分 け 合 う に は い た り ま せ ん。
任が負わされている限り、育
13
特集 福井の女性活躍
∼それぞれの分野で輝く女性のチカラ∼
01
イントロダクション
寄稿:塚本 利幸 氏
企業事例
吉田酒造㈲/揚原織物工業㈱/
㈱しばなか/アルソア幸樹
未来きらりプログラム
子育てモデル企業
㈱ハシノメディカル/福井山田化学工業㈱
ふくい女性活躍支援センター
越前九頭龍舞
完成への道のり
厚生労働省統計情報部『人口動態統計』
総務省統計局『国勢調査報告』および同『人口推計年報』から作成
位︶
、定住性の高い地域にな
っています。福井で、三世代
同居や三世代近居がめずらし
くないのは、人口移動の少な
さの賜物です。
福井は数少ない待機児童
の自治体ですが、子どもを保
育施設に預けることができた
としても、それだけで就労と
子育ての両立が可能になるわ
けではありません。子どもの
急病や通院、親の急病、残業
や出張など、不測の事態に臨
機応変に対処できるかが、分
かれ目になります。ここで強
みを発揮するのが、三世代近
居の居住パターンです。子育
地方自治体と大学との協働−」などがある。
36.4
6
2
20
vol.12
24
㈱大津屋
若手のチカラ
飛躍する経営者たち 天谷 成作 氏 ㈱リホーム
グッドデザインシンキング
今月の社是
インフォメーション 他
1
vol.12
2
11.7
3
女性の就業率・共働き率ともに全国 1 位の福井県。経営者からパー
トタイマーまで、多くの女性がいきいきと活躍しています。女性の
チカラを上手く活かし、経営に役立てている企業はどのような考え
で、どのような工夫をしているのでしょうか?さまざまな立場から
の意見をインタビューしてきました。貴社で活かせるヒントを見つ
けてください。
社会学、社会調査を専門とし、社会環境や女
性の社会進出についてなど、福井県をフィー
ルドにした調査・研究を進める。
日本ジェンダー学会常務理事、福井県男女共
同参画審議会委員 等
著書には「男女共同参画の実践 少子高齢社会
への戦略」
「実践・職場のメンタルヘルス−
児と働き方の折り合いをつけ
合計特殊出生率の推移
福井県立大学 看護福祉学部/社会福祉学科 准教授
22
41
2
利幸 氏
執筆者 塚本
10
総務省『国勢調査』平成17年から作成
∼それぞれの分野で輝く女性のチカラ∼
て世代から見て親世代︵子供
女性の年齢別労働力率
福井の女性活躍
20
22
2
0
1
0
44
2
0
0
0
2