少子化と社会環境について

少子化と社会環境について
5班
04-05
02-09
04-15
04-20
阿部健作
上田忠弘
大平亜希
尾崎猛智
04-25
04-33
04-38
04-43
上関ふみ
小林英士
佐藤晃一
蔵島 乾
少子化問題とは?
• 子供の数が減ることにより人口が維持できな
くなる
経済全般/社会保障(特に年金問題)/
労働市場などに大きな影響をもたらす
• 高齢化社会の原因となる
出生率が上がれば、理論的には高齢化
社会から脱却できる
少子化はどのような指標で評価される?
「合計特殊出生率」が2.08を下回ると少子化
合計特殊出生率とは?
母の年齢別出生数
年齢別女子人口
の15~49歳の合計
※15~49歳は、出産可能年齢を表す
例)25歳の女性100万人がある年に5万人の子供を産んだ
とすると、その年の25歳の女性だけの出生率は、
(5万÷100万)=0.05。
同様に15歳から49歳の年齢層の女性の出生率を求め、合
算したものが合計特殊出生率となります
合計特殊出生率=一人の女性(未婚既婚を問わず)が、一生
に何人の子供を生むか?という近似値
日本の現状
• 現在の日本→世界で最も進んだ「少子高齢国」
この傾向は今も続いている。
• 高齢化率(日本の総人口に占める六十五歳以上の
高齢者の割合)→21.0%(2005) 世界最高
• 一方、十五歳未満の年少人口の割合
→13.6%(2005)
世界最低
日本の人口推移
2006年の1億2774万人を
ピークとして減少に転じると
予測、以後、2050年までに
は約1億人、2100年までに
は約6400万人にまで減少
すると見込まれている
しかしインフルエンザの流
行などにより人口の自然減
は当初の予想より1年早い
2005年に始まった
日本の出生数及び
合計特殊出生率の年次推移
図1 出生数及び合計特殊出生率の年次推移
万人 第1次ベビーブーム
(昭和22~24年)
300 最高の出生数
第2次ベビーブーム
(昭和46~49年)
2 091 983人
2 696 638人
5
昭和41年
ひのえうま
1 360 974人
出
ここ数十年において
日本は少子化が
進行しており、昨年(2
005年)における合計
特殊出生率は1.25
にまで落ち込んだ
4
合
計
特
3
殊
出
2生
率
平成17年
最低の出生数
1 062 604人
200
生
数
100
1
平成17年
1.25
出生数
合計特殊出生率
0
0
22 ・
昭和・・年
30
・
40
・
50
・
60
2
平成・年
7
・
17
8
この数値は前年の
1・29からの大幅な低
下であり、少子化問題
がより一層深刻化して
いる
合計特殊出生率
各県別の出生率の推移
特徴的な4県
沖縄
3
福井:おととしから去年
最高2.87
2.8
にかけて、唯一
2.6
出生率が上昇
東京
石川
2.4
1.45(2004)
最高2.0
沖縄
福井
↓
2.2
最低1.71
1.47(2005)
2
沖縄
1.8
東京
沖縄:出生率が最高
1.6
全国平均
1.71(2005)
1.4
福井
1.57をきり、政府
1.2
昨年、唯一上昇 東京:出生率が最低
が対策を講じる
1
全国平均
0.98(2005)
1.25
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010
年度
東京
最低0.98
石川:比較対象
1.31(2005)
各県の少子化対策
県名
沖縄県
合計特殊出生 減少し続けて
率の最近の推 いるが、
移傾向
緩やかになっ
ている
対策の
具体例
・子育て・
教育環境の整
備
・仕事と家庭
生活の両立の
推進など
対策を行って
いるが
取り組みは遅
れている
東京都
福井県
石川県
減少しつづけ 上昇が見られ 減少の一途を
たどっている
ており、昨年1. る
0をきった
・小児・母子医
療体制の充実
・都市型保育
サービスの
充実
・安全・安心の
子育て
支援基盤整備
など
・病時・一時保
育の充実
・徹底した
第3子以降の
優遇
・結婚相談
など
・保育サービ
スの充実
・育児休業の
法整備
・多子世帯へ
の優遇措置
など
福井県の少子化対策
福井県の特徴
・持ち家が多く、広い
・複数世代の同居が多い
・女性の働く率が高い
・病時・一時保育の充実
「病時デイケア」と呼ばれる施設の充実により、病気の子供
でも預けられるようにする。
・第3子以降の優遇
妊婦の検診料無料、病児デイケア、すみずみ子育て施設の
無料化など
・結婚相談
結婚相談のPR、親の世代への呼びかけ
・企業を表彰
子育て支援に積極的な企業を表彰
世界における出生率の動向と少子化対策
次に、世界に目を向けてみる。日本国内で
は福井県が少子化対策に成功したといえる
のではないか。今後の様子も見守っていく価
値はありそうである。では、日本は現在、世界
でどのような位置にいるのか、世界ではどの
ような対策がとられ、それは成功したといえる
のかを考察する。
主要先進国における合計特殊出生率
日本を除く
5カ国で低下
米・スウェーデン・仏は上昇
英は安定 独は低水準ながらも安定
日本は低下傾向
スウェーデン
バブル崩壊
丙午年
各国の平均初婚年齢と合計特殊出生率の推移
平均初婚年齢の上昇=晩婚化
女性の労働力率と初婚年齢(’70~’95)
(歳)
30
スウェーデン
ドイツ
28
日本
平
均
初
婚
年
齢
26
24
フランス
イギリス
22
アメリカ
20
0
10
20
30
40
50
60
25~29歳女性の労働力率
70
80
90
100
(%)
晩婚化に伴い低下
女性の労働力率と平均初婚年齢が
ほぼ同時に上昇
出生率の下げ止まり、あ
るいは反転上昇が見られ
る
女性の社会進出に対する
社会保障の効果ではないか?
各国の家族政策の実地状況 その1
【育児休業制度】
期間
休業中の所得保障
その他
12週間/
1年
無給
家族に関する責任と仕事の両立を可能とするための多様
な働き方を実施している個別企業の例は見られる
最長3年
無給
固定的な性別役割分担の慣行の存在がうかがわれる
3ヶ月
無給
家族に関する責任と仕事の両立を可能とするための多様
な働き方を実施している個別企業の例は見られる
合計で
18ヶ月
「親保険」等により相
対的に高くなってい
る
家庭面で男女共同参画が進んでいる
最長3年
育児手当が月600
マルク(出産手当と
併せて)
固定的な性別役割分担の慣行の存在がうかがわれる
最長1年
賃金の40%を雇用
保険から給付
固定的な性別役割分担の慣行の存在がうかがわれる
各国の家族政策の実地状況 その2
【経済的負担への対応】
児童扶養控除
児童手当
その他
○
×
○
○
税制において家族除数制度(N 分N 乗方式)を採用
×
○
金額設定に際し第2 子以降は第1 子よりも低額
×
○
△
△
児童扶養控除制度と児童手当との選択性
○
○
児童手当の支給は第一子より就学前までで所得制限あり
少子化対策と出生率
1人当たりのGDP1万ドル以上
合計特殊出生率
2
1.8
1.6
1.4
1.2
y = 0.1321x + 1.3241
R2 = 0.3149
1
0
1
2
3
家族・子供向け公的支出対GDP(%)
4
アメリカ
ニュージーランド
アイルランド
アイスランド
フランス
ノルウェー
オーストラリア
イギリス
オランダ
フィンランド
スウェーデン
ベルギー
デンマーク
ルクセンブルク
オーストリア
ドイツ
ポルトガル
スペイン
スイス
イタリア
ギリシア
韓国
カナダ
日本
回帰直線
線形 (アメリカ)
線形 (回帰直線)
2.2
アメリカ
アイルランド
アイスランド
2
フランス
ノルウェー
1.8
オーストラリア
合計特殊出生率
2.2
1人当たりのGDP3万ドル以上
イギリス
オランダ
1.6
フィンランド
スウェーデン
ベルギー
1.4
デンマーク
ルクセンブルク
1.2
オーストリア
y = 0.0829x + 1.4554
R2 = 0.1458
ドイツ
1
スイス
0
0.5
1
1.5
2
2.5
家族・子供向け公的支出対GDP(%)
3
アメリカは残差が
2√V Eより大きいの 左:0.4<R<0.7 → 中程度の正の相関
で、回帰直線を求 右:0.2<R<0.4 → 弱い正の相関
める際に除外した。
では、実際の労働力率との相関についてはどうか?
「労働力率↑=晩婚化↑」と考えられるので、労働力率が
高いと出生率は下がると予想される。
3.5
4
カナダ
日本
OECD主要各国の女子労働力率と合計特殊出生率(2003年)
1人当たりのGDP1万ドル以上
1人当たりGDP3万ドル以上
左:0.4<R<0.7 → 中程度の正の相関
右:R<0.2
→ 相関なし
年齢階層別の日本の既婚女子100人に対する
出生率
各国出生率のピークが総じて20代
高出生率の国では20代前半の貢献が大きい
婚外子の割合と合計特殊出生率と
の関係がより強いのではないか?
60
8
7
50
婚外子率の推移と
日本・スウェーデンの比較
6
40
5
婚
外 30
子
率 20
4
3
2
10
1
差別対策など
本
日
カ
ナ
ダ
ス
ペ
イ
ン
イ
タ
リ
ア
イ
ツ
ド
カ
ー
ク
イ
ギ
リ
ア
ス
イ
ル
ラ
ン
ド
オ
ラ
ン
ダ
マ
メリ
デ
ン
ア
フ
ラ
ン
ウ
ェ
ー
デ
ス
(婚外子に対する)
ス
0
ン
0
婚外子比率
1980
2003
増加率
日本
2%弱
スウェーデン
56.0%
一部の法律では
「事実婚」を婚姻に
順ずるものとして
取り扱っているが、
具体的な保障制度
はまだ整っていな
い
・婚外子と婚内子
の相続分が平等
・嫡出・非嫡出概念
を廃棄
・サムボ法
スウェーデンにおける法律婚カップル、
サムボカップルの割合
<カップルの形態> <サムボ経験の有無>
カップル 100%
法律婚カップル
64.2%
サムボ経て結婚
91.2%
サムボせず結婚
8.8%
<結婚へ移行した理由>
愛情が確認できた
伝統・クリスチャン
サムボは法律上の手続きが面倒
妊娠
48.8%
9.1%
9.1%
6.2%
<結婚予定の有無>
サムボカップル
35.8%
結婚を予定
わからない
結婚の予定なし
ほとんどのカップルが同棲をする
が、「出来ちゃった婚」が少ないこ
とがわかる。これは婚外子が多い
理由の一つである。
他に、フランスやアメリカなどでは結婚しないカップルにも財産分与や社会保障
など結婚とほぼ同等の権利が得られるパックスという制度が設けられている。
1969
1973
1976
父母の婚
姻身分に
関係なく実
父母の子
である
婚外子と
婚内子の
相続分は
平等
婚外子と
婚内子の
相続分は
平等
婚外子と婚
内子の相続
分は原則的
に平等
嫡出・非嫡出
概念を廃棄
嫡出・非嫡出
概念を廃棄
子どもの平等の
原則を宣言。婚
外子差別撤廃
1979
1987
1997
2001
嫡出・非嫡出
概念を廃棄
各国の
婚外子差別撤廃の状況
婚外子に対
する相続差
別規定全廃
配偶者がいる者との間に
生まれた子への相続差
別を撤廃
日本の婚外子差別に対する対策
戸籍法第49条
嫡出か否かの記載義務
民法第900条4号 「非嫡出子の相続分は嫡出子の二分の一」とする条項
違反!!
憲法14条1項
1993
~1995年
社会的身分による差別を禁止
しかし・・・
「法婚の保護と非嫡出子の保護の調整を図ったもの」として違憲性が否定
1996年
現在
民法改正案
選択的夫婦別姓制導入
非嫡出子の相続分差別撤廃
国会上程は見送られ今日まで成立をみていない・・・。
婚外子が少子化へ与える影響
2.2
日本国民の意識の変化
合計特殊出生率
2
スウェーデン
フランス
アメリカ
デンマーク
イギリス
アイルランド
オランダ
ドイツ
カナダ
スペイン
イタリア
日本
1.8
1.6
1.4
1.2
y = 0.0134x + 1.2011
R2 = 0.5457
・健康保険法や厚生年金保険法
「事実婚」を婚姻に準ずるもの
として取り扱う。
・「結婚前に同棲しても良い」
→「そう思う」 6~7割
1
0
10
20
30
40
50
60
婚外子率
0.7<R<1.0 → 強い正の相関
婚外子への社会的に認知
→結果的には少子化対策となる
国民の選択は多様化
→ 「多様なライフスタイル選択に中
立な社会」 の実現が求められる。
結論
抑制
促進
女性の
労働力率
晩婚化
差別対策
婚外子率
社会保障の強化
=
少子化対策
少子化
χ2検定とは?
• 適合度の検定や、独立性の検定に
用いられる。
適合度の検定
ある集団の血液型分布は日本
人の分布割合と一致するか?
独立性の検定
年齢によって喫煙率は
異なるのか?
兄弟の数等についての調査
• 目的;夫婦の子供の数が、自分の兄弟の数(自分が生ま
れ育った環境)の影響を受けるかどうか調査する
• 仮説;夫婦間の子供の数は自分(夫・妻)の兄弟の数に
影響を受ける
• 対象;金沢大学医学部3年生 (80人)
• 方法;記入用の一覧表を配布し、そこに祖父母・両親・自
分の兄弟・姉妹の数および自分の理想の子供の数を記
入してもらう
調査用紙
兄弟数についてのアンケート結果
グラフのピークが一致
例数
→両世代の兄弟数は独立
10
0.6
0.6
9
0.5
0.5
8
0.4
相 0.47
対 0.3
0.3
度 6
数 0.2
0.2
5
0.1
0.1
4
00
1人
2人
3人
4人
5人
6人
7人以上
2人
3人
4人
5人
6人
7人
3 1人
以上
父の兄弟数
2
1 2×2のχ 検定;p=0.60
0
グラフのピークが不一致
→我々の兄弟数と理想の子供の数に関係あり
父方祖母・父
0.7
0.7
父方祖母
の兄弟数
0.6
0.6
1-3人
4-6人
7人以上
2人
3人
父方祖母
父方祖母・父 度数
我々の
兄弟数
の兄弟数
0.5
0.5
相
0.4
対 0.4
度 0.3
0.3
数
1-3人1人
2人
4-6人3人
4人
7人以上
0.2
0.2
0.1
0.1
00
1人
2人
3人
4人
5人
理想の子供の数
2×2のχ2検定;p<0.001
2
1人
自分・子供
4人
5人
6人
7人以上
父の兄弟数
2×2のχ2検定;p=0.07
父方祖父・父
0.6
父方祖父
の兄弟数
0.5
1-3人
4-6人
7人以上
相 0.4
対
度 0.3
数
2×2のχ2検定;p=0.60父方祖母・父
0.6
相 0.4
対
度 0.3
数
0.2
0.2
0.1
0.1
1-3人
4-6人
7人以上
0
0
1人
2人
3人
4人
5人
6人
1人
2人
3人
4人
5人
6人
7人以上
1人
2人
3人
4人
5人
6人
7人
以上
父の兄弟数
7人以上
1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人
以上
父の兄弟数
母方祖父・母
相
対
度
数
父方祖母
の兄弟数
0.5
2×2のχ2検定;p=0.28
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
フィッシャーの直接計算法;p=0.04
1
母方祖父
の兄弟数
0.9
1-3人
4-6人
7人以上
0.7
母方祖父・母
0.8
母方祖母
の兄弟数
相
0
対 0.6
度 0.5
数 0.4
1-3人
4-6人
7人以上
0.3
0.2
0.1
0
1人
2人
3人
4人
5人
6人
7人以上
1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人
以上
母の兄弟数
1人
2人
1人
2人
3人
4人
5人
6人
7人以上
3人
4人
5人
6人
7人
以上
母の兄弟数
3×2のχ2検定;p=0.33
3×2のχ2検定;p=0.38
母・自分
母の
兄弟数
父・自分
0.8
0.8
0.7
0.7
父の
兄弟数
0.7
0.7
1-2人
3-4人
5人以上
0.5
相 0.5
対 0.4
度 0.4
数 0.3
0.3
0.6
0.6
相
0.5
対 0.5
度 0.4
0.4
数 0.3
0.3
0.6
0.6
1-2人
3-4人
5人以上
0.2
0.2
0.2
0.2
0.1
0.1
0.1
0.1
00
00
1人
1人
2人
3人
2人
3人
我々の兄弟数
1人
1人
4人
4人
0.7
2人
3人
2人
3人
我々の兄弟数
4人
4人
自分・子供
我々の
兄弟数
0.6
0.5
1人
2人
0.4
0.3
3人
4人
0.2
0.1
2×2のχ2検定;p<0.001
0
1人
2人
3人
4人
理想の子供の数
5人
兄弟数についてのアンケート結果
グラフのピークが一致
→両世代の兄弟数は独立
0.6
0.6
0.5
0.5
父方祖母・父
0.7
0.7
父方祖母
の兄弟数
0.6
0.6
1-3人
4-6人
7人以上
0.4
相 0.4
対
0.3
度 0.3
数 0.2
0.2
自分・子供
我々の
兄弟数
0.5
相 0.5
対 0.4
0.4
度
数 0.3
0.3
1人
2人
3人
4人
0.2
0.2
0.1
0.1
00
グラフのピークが不一致
→我々の兄弟数と理想の子供の数に関係あり
0.1
0.1
1人
2人
3人
4人
5人
6人
7人以上
1人
2人
3人
4人
5人
6人
7人
以上
父の兄弟数
2×2のχ2検定;p=0.60
00
1人
2人
3人
4人
5人
理想の子供の数
2×2のχ2検定;p<0.001
結論;理想の子供の数は自分の兄弟の数に影響を受ける
可能性があるが、実際に産む子供の数はそれ以外
の要因により決まると考えられる。
兄弟数についてのアンケート結果
結論;理想の子供の数は自分の兄弟の数に影響を受ける
可能性があるが、実際に産む子供の数はそれ以外
の要因により決まると考えられる。
今回の実習では
「少子化と、それを引き起こす
と考えられる様々な要因」
について、重回帰分析
を用いてその関連性を調べてみた。
回帰分析とは
・予測したい変数(結果):従属変数(目的変数): Y
・予測に使う変数(原因):独立変数(説明変数): X
この2変数の関係を式(回帰式と呼ぶ)に当てはめて、定量的
に分析すること
この分析方法には、単回帰分析(説明変数は1つ)と
重回帰分析(説明変数は複数)がある。
今回は、説明変数が複数あるので重回帰分析を用いる。
目的変数Y:合計特殊出生率
説明変数X:初婚女性平均年齢、就業時間、失業率、
保育サービス利用割合、物価など
回帰分析の流れ
回帰式
単回帰分析
重回帰分析
y  a1x1  a0
y  a1x1  a 2 x2    a p x p  a0
独立-従属変数間の回
帰モデル(関係式)を
想定する
→係数決定
a1 , a2 ,  , a p
回帰式の精度の評価
→寄与率
各独立変数の影響の
大きさの検討
変数はひとつなので
単独で評価
標準偏回帰係数を
算出する
ただし、 y :目的変数、 x1 , x2 ,  , x p :説明変数、 p :説明変数の個数
2 、 2 :目的変数(予測値、実測値)の分散
a1 , a2 ,  , a p :係数、 a0 :定数項、
重回帰式の有効性の評価
重相関係数(R) :0.956
決定係数(R2)
:0.914
重相関係数の値を見ると
信頼性は高そうである。
決定係数と回帰式の満足度の判定基準
0.5≦R2<0.8 まあまあ信頼できる
0.8≦R2
かなり信頼できる
<重回帰式の信頼性の検定>
ここでは上表のF値(分散比)を用いて
帰無仮説「決定係数(R2)は大きいとはいえない」
帰無仮説「 F値は大きいとはいえない」
と同等の
を設定する。
検定結果:
P<.0001 であることから帰無仮説は棄却される。(5%の棄却率)
これにより
重回帰式の信頼性
が証明された。
重回帰分析の結果
偏回帰係数の有意性が示されたもの(棄却率5%)
これら2つの要因は少子化に対しての関連性が示された
偏回帰係数の有意性は示されないが、
比較的関連が強いと考えられる要因(P=0.1で判断)
検定基準を変えることで判断した。
0.05<P<0.1の範囲にある要因
偏回帰係数の有意性が示されなかったもの
(標準回帰係数順)
(0.575)婚姻率
(0.334)女性有業率
(0.33)管理的職業従事者・専門的技術的職業従事者に占める女性の割合
(0.311)初婚男性平均年齢
(-0.254)平日・男の一日平均通勤通学時間
(-0.208)離婚率
(-0.172)男性非正規有業率
(-0.152)正規女性有業率
(0.138)育児時間(女)
(-0.132)一日就業時間(男) (0.112)人口一人当たり教育費
(-0.076)三世代同居率
(0.073)家事や育児に占める男性の時間の割合
(-0.072)非正規女性有業率 (0.068)育児時間(男)
(0.065)失業率(女)
(0.048)保育サービス利用割合
(-0.008)平日19時在宅比率 (-0.006)物価(教育)
これらの要因の偏回帰係数は、有効性が示されなかったが、
少子化との関連が無いとはいえない
まとめ
今回の重回帰分析から、合計特殊出生率の変動に対しての偏
回帰係数の有効性が認められるのは、
ボランティア活動参加割合 と 失業率(男) である。
しかし、今回の検定では有効性が認められなかったが、
他の要素の偏回帰係数の有効性がないとは言えない。
実際に、晩婚化(初婚女性平均年齢の上昇)や他の要因によ
る少子化の影響は無視できないと考えられれる。
女性の平均初婚年齢の変化
• 日本人の平均初婚年齢
28
1975(昭和50)年
夫:27.0歳、妻:24.7歳
↓
2004(平成16年)
夫:29.6歳、妻:27.8歳
27.8歳
女性の初婚年齢
27.5
27
26.5
26
25.5
約30年間に、夫は2.6歳、妻は3.1
歳、初婚年齢が高くなっている。
25
24.5
1975
24.7歳
1980
1985
1990
1995
2000
2005
• 晩婚化の傾向は最近に
なってさらに速度が速まっ
ている。
年齢と婚姻件数
• 結婚件数の減少
120000
婚姻件数
100000
20~34歳の女性の未婚率
80000
H16
H2
S54
60000
40000
1980(昭和55)年:33.3%
→2005(平成17)年:57.4%
20000
• 晩婚化の進展
0
15
20
25
30
35
年齢
40
45
50
結婚コホート別にみた出生動向
• 調査資料
昭和54年~平成16年「人口動態統計」(厚生労働省)
“嫡出出生数、結婚生活に入った年、母の年齢”
• 調査方法
ある年に結婚生活に入った女性の出生状況に着目し、結婚時の年齢別
に出生数を積み上げて計算
結婚コホート別にみた出生動向
1990(平成2)年に結婚した女性が2004(平成16)年まで15年間に出産した子供の数
4
3.5
平均出生児数
3
2.5
2
H2
1.5
1
0.5
0
15
20
25
30
35
40
45
50
結婚時年齢
• 結婚年齢が上昇するほど出産児数が減少
• 晩婚化による出生率の低下
結婚コホート別にみた出生動向の相違
女性が結婚後7年間に出産した子供の数
3.5
平均出生児数
3
2.5
H10
H2
S54
2
1.5
①
1
0.5
②
0
15
20
25
30
35
40
45
50
結婚時年齢
① 結婚時年齢が20代後半~30代前半の人の出生児数がほ
ぼ一定
→晩婚化による出生率低下に歯止め
② 結婚時年齢が30代の人の平均出生児数が増加
→晩産化
人口動態モデル1
人
口
(
比
)

世代間隔の違いによ
る人口の相違

微生物モデル
30年
25年
0
20
40
60
80
100
経過時間(年)
x(t )  2
x(t )  2
t
25
t
30
世代間隔が長い方が、
人口増加の程度は
小さい。
人口動態モデル2

Q
ロジスティックモデル
Q
x(t ) 
人
口
(
比
)
1 e
T=20
T=40
x(t ) 

Q
1 e

経過時間(年)
Q;人口上限
t
25

t
30
世代間隔が長い方
が、人口増加の程度
は小さい。
総括





国際的には、合計特殊出生率が上昇・安定している国も
あるが、日本国内では、ほぼすべての都道府県で低下
傾向が見られる。
国内共通の低下要因は、晩婚化・晩産化。
低下に歯止めをかける対策のひとつとして、「出産・育児
の機会コスト」の減少が必要。
⇒育児休業や勤務体制の柔軟性(フレックスタイム)など
その他;適切な労働時間、女性や若者の正規雇用など
仕事と出産・育児の両立を支える社会環境の整備