経済人口論

人口経済論 第2回
2006年4月24日
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ポリティカル・コレクトネス:political
correctness
政治的妥当性。非差別的な言葉遣い。略して“PC”。
性に関してはフェミニズムの立場に立ち、民族問
題では黒人や先住民など少数派の権利を擁護し、
文化的多元性・環境保護などを主張する。
PCが学問の自由や言論の自由の脅威になってい
る面もある。
本日の内容
1. 人口の種類
2. 人口統計学の基本概念
3. 基本用語
1.人口の種類
人口現象を分析研究するために、いろいろの仮説に
もとづいて理論上作られる人口を、理念人口(ideal
population)という。これに対して、現実に存在する
人口を実際人口(actual population)という。
また、人口解析面から見た人口もある。
理念人口
実際人口
統計上の人口
1-1. 理念人口(1)
封鎖人口:closed
population
特定地域における人口が、その地域以外との
間に人口の流出入がなく、人口の増減が出
生と死亡だけで変動する人口を言う。この人
口は理論上最も基本的な人口である。封鎖
人口に対し、人口の流出入が起こる人口を
「開放人口」という。
1-1. 理念人口(2)
安定人口
封鎖人口において、一定の性・年齢別死亡率及
び出生率にしたがって人口の再生産行動を繰り
返した場合、その人口は一定の増加率と年齢構
造を保つようになる。このような人口を安定人口
という。
静止人口
安定人口において出生と死亡が等しくなって、自
然増加率がゼロとなったとき、これを静止人口と
いう。
1-2. 実際人口(1)
現在人口(
de facto population)
特定の観察時刻に特定の地域にいる人間を、すべ
てその地域の人口として数えた場合を「現在人口」と
いう。
常住人口( de jure population)
特定の観察時刻に特定の地域に常住する人間をそ
の地域の人口として数えた場合を、「常住人口」とい
う。
常住人口=
現在人口+((一時不在人口)-(一時現在人口))
1-2. 実際人口(2)
法定人口
なんらかの法律上の関係にもとづいて、特定
の人々を特定の地域に帰属させて数えた人
口を「法定人口」という。
例:住民登録法による住民登録人口。
その他
夜間人口、昼間人口、従業地人口
1-3. 統計上の人口
平均人口
特定期間内における人口の平均を言う。出生
率や死亡率に代表される人口動態率の分母
人口として用いるには平均人口が良い。
中央人口
特定期間の中央時における人口を言う。その
期間の人口が直線的に増加するならば、中
央人口は平均人口に等しくなる。
2. 人口統計学の基本概念(1)
数
率
 比率
 構成比
 コーホート指標
 期間指標

2.人口統計学の基本概念(2)
数(count)
人口数、あるいは特定の期間(例えば暦年)に特定
の場所で起きた人口上の特定の事象数。
率(rates)
特定の期間に起きた人口上の事象の頻度をいう。
比率(ratio)
同じ人口のうち、ある部分人口に対して別の人口の
比率を言う。性比など。
2.人口統計学の基本概念(3)
構成比(proportion)
ある部分人口の総人口に占める割合をいう。
コーホート指標(cohort measures)
特定のコーホートに起こる人口上の出来事を、
一生あるいは長期にわたって観察する統計
的手法。コーホートとは、特定の期間に特定
の人口事象を共有した人々のグループを言う。
出生コーホート。
2.人口統計学の基本概念(4)
期間指標(period
measures)
特定の期間における、すべてあるいは一部の
人口に起こる出来事を分析する統計的手法。
2000年日本の死亡率など、多くの動態統計
はこの期間指標を示している。
人口の構造:年齢別に見る場合
ある特定の年齢階層の人口が人口総数に
占める割合を、「年齢構造係数」という。
 年齢別に人口構造をとらえる場合、
1. 各歳別
2. 5歳階級別
3. 年齢三区分別
に見る場合が多い。

人口の構造:年齢三区分別
年齢を三区分にする場合、
年少人口
生産年齢人口
老年人口
に分けて見る場合が多い。
この場合の年齢の区切り方は様々であるが、多くは、
年少人口=0-14歳、生産年齢人口=15-64歳、老
年人口=65歳以上を用いる場合が多い。
3-1. 年齢・性別構成
性比(sex ratio)
 中位数年齢(median age)
 従属人口指数(dependency ratio)
 人口ピラミッド(population pyramid)

3-1. 年齢・性別構成:性比、中位数年齢
性比は、特定の人口における男女の比率。
一般的に女性100人に対する男性の数で示さ
れる。
性比=男性人口÷女性人口×100
中位数年齢
総人口のなかで若いグループと老いたたグ
ループをちょうど同数に分ける年齢。
3-1. 年齢・性別構成:従属人口指数
従属人口指数は従属人口(年少人口及び老
年人口)の生産年齢人口(15-64歳)に対する
比率をいう。
従属人口指数=(年少人口+老年人口)÷生
産年齢人口×100
年少従属人口指数=年少人口÷生産年齢人
口×100
老年従属人口指数=老年人口÷生産年齢人
口×100
年齢構造に関する指標:1950~2050年
老年人口
年次
従属人口指数
老年化指数
平均年齢
中位数年齢
比率
(高齢化
総数
年少人口指数 老年人口指数
率)
1950
4.99
67.5
59.3
8.3
14.0
26.6
22.2
1960
5.78
55.7
46.8
8.9
19.1
29.0
25.6
1970
7.12
44.9
34.7
10.2
29.5
31.5
29.0
1980
9.10
48.4
34.9
13.5
38.7
33.9
32.5
1990
12.08
43.5
26.2
17.3
66.2
37.6
37.7
2000
17.40
46.9
21.4
25.5
119.1
41.4
41.5
2025
28.70
67.5
19.5
48.0
246.5
48.3
49.8
2050
35.70
86.7
20.1
66.5
330.8
51.3
53.4
3-1. 年齢・性別構成:人口ピラミッド(1)
人口ピラミッドは、人口の年齢・性別構成を図
式的に示すものである。
人口ピラミッドは過去に経験した人口的出来
事を示すことができる。
人口ピラミッドは、その国の過去及び現在の
出生力・死亡・移動によって異なる。主に次の
3つのパターンがある。1.拡張型、2.拡張収束
型、3.マイナス成長型
3-1. 年齢・性別構成:人口ピラミッド(2)
http://www.stat.go.jp/data/nihon/g0202.htmより
3-1. 年齢・性別構成:人口ピラミッド(3)
3-2. 出生力(fertility)








出生率(birth rate)
総出生力(general fertility rate)
年齢別特殊出生率(age-specific fertility rate)
完結出生率(completed fertility rate)
合計特殊出生率(total fertility rate)
総再生産率(gross reproduction rate)
純再生産率(net reproduction rate)
置き換え水準出生力(replacement level fertility)
3-2. 出生力:出生率
出生率(birth
rate)
特定の年の、人口千人あたりの出生数。普通
出生率あるいは、粗出生率(crude birth rate)
とも呼ばれる。
出生率(‰)=出生数÷総人口×1000
3-2. 出生力:
総出生率、年齢別特殊出生率
総出生率(GFR)
特定の年の、再生産年齢(15-49歳)の女性千
人当たりの出生数。
総出生率=
出生数÷15-49歳の女子人口×1000
年齢別特殊出生率
特定の年齢階級ごとの出生率。
3-2. 出生力:完結出生率
完結出生率
再生産年齢(15-49歳)を終えた女性について
の累積の出生率
3-2. 出生力:合計特殊出生率
合計特殊出生率(TFR)
一人の女性が生涯で生むとされる平均子ども
数。これは、1人の女性が、再生産年齢を通じ
て、特定の年の年齢別特殊出生率にしたがっ
て子どもを生むと仮定した場合に一生涯で子
どもを平均して何人生むかを示したもの。
これは、合成指標である。
3-2. 出生力:総再生産率(GRR)
総再生産率
一人の女性が、その再生産年齢期間におい
て、特定の年の、年齢別出生率によって子ど
もを生むと仮定した場合に、一生涯で生むと
される平均女児数。
日本の人口動態の推移
40
出生率
死亡率
自然 増 加 率
30
(‰)
20
10
0
1900
1925
1950
1975
(10)
図
日本の人口動態の推移
2000
日本の出生数と合計特殊出生率の推移
5.0
4.5
4.0
3.5
合
計 3.0
特
殊 2.5
出
生 2.0
率
1.5
1.0
第1次ベビー
ブーム
1947-49年
出生数
1949年
2,696,638人
第2次ベビー
ブーム
ひのえうま
1966年 1971-73年
合計特殊出生率
1973年
2,091,983人
3000000
2500000
2000000
出
2000年
1500000 生
1,190,547人
数
人口置換水準(2.07)
2000年計算
1000000
1966年
1.58
1989年
1.57
0.5
2000年 500000
1.36
0.0
0
1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
年次
3-2. 出生力:純再生産率(NRR)
純再生産率
純再生産率(NRR)とは、一人の女性が、その再生
産年齢期間を通じて、特定の年の年齢別出生率に
したがって子どもを生み、また年齢別死亡率にした
がって死ぬ確率を仮定した場合に、一生涯で生むと
される平均女児数。
純再生産率(NRR)は総再生産率(GRR)に似てい
るが、純再生産率は、女児が誕生し、再生産年齢期
間中に死亡する可能性も考慮しているので、GRRよ
りも必ず小さくなる。
3-2. 出生力:置き換え水準出生力
置き換え水準出生力
ある出生コーホートが、次の世代に同じ人口
数を維持するために必要な出生力レベル。
純再生産率(NRR)が1であるときの出生力と
等しい。
合計特殊出生率(TFR) で考えると、1組の
カップルが自分たちを置き換えるために必要
な子どもの数。2000年日本の場合、2.07。
3-3. 死亡(mortality)
死亡率(death rate)
 乳児死亡率(infant mortality rate)
 平均余命(life expectancy)
 生命表(life table)

3-3. 死亡:死亡率
死亡率
特定の年の人口千人あたりの死亡数。普通
死亡率あるいは、粗死亡率(crude death
rate)とも呼ばれる。
死亡率(‰)=死亡数÷総人口×1000
3-3. 死亡:乳児死亡率
乳児死亡率
乳児死亡率とは、特定の年の出生数千あたり
の1歳未満の乳児死亡数を言う。乳児死亡率
はその地域の保健状態を見るのに適してい
る。
乳児死亡率(‰)=
乳児死亡数÷出生数×1000
参考:年齢階級別死亡率
男性
年
齢
女性
1930 年 1950 年 1970 年 2000 年
1930 年 1950 年 1970 年 2000 年
数
18.6
11.5
7.7
8.6
17.7
10.4
6.2
6.8
0~ 4
47.1
20.9
4.3
1.0
42.6
19.2
3.2
0.8
5~ 9
4.1
2.2
0.6
0.1
4.4
2.0
0.4
0.1
10~14
2.7
1.2
0.4
0.1
3.8
1.2
0.3
0.1
15~19
7.3
2.5
1.1
0.5
8.7
2.5
0.4
0.2
20~24
9.2
4.9
1.3
0.7
10.1
4.4
0.7
0.3
25~29
7.8
5.7
1.4
0.7
8.9
5.1
0.9
0.3
30~34
7.0
5.4
1.7
0.9
8.6
4.9
1.0
0.4
35~39
7.9
6.0
2.5
1.1
9.2
5.3
1.4
0.6
40~44
10.2
7.2
3.5
1.8
9.7
6.0
2.1
1.0
45~49
14.3
9.6
5.0
3.0
10.7
7.5
3.1
1.5
50~54
20.0
13.7
8.0
4.7
13.7
10.3
4.8
2.3
55~59
28.8
20.9
13.2
7.5
18.7
14.4
7.5
3.2
60~64
43.4
31.7
21.8
11.3
28.1
22.1
12.2
4.7
65~69
61.9
51.7
37.5
18.2
42.4
35.7
21.0
7.5
70~74
96.4
78.6
60.9
28.8
69.6
56.3
37.5
12.5
75~79
138.3
114.6
98.2
45.8
106.5
87.3
67.3
22.7
178.2
151.3
80.8
143.1
115.5
43.4
259.2
232.6
132.1
217.7
192.6
82.0
410.6
298.0
224.5
329.8
285.5
163.3
総
80~84
85~89
90 歳以上
223.4
184.5
3-3. 死亡:平均余命
平均余命
それぞれの年齢で平均してあと何年生きるか
を示したもの。これは、特定の年の、年齢・性
別死亡率にしたがって人々が死亡すると仮定
した場合の仮想の指標である。死亡率の動
向が変化すると平均余命も変化する。
0歳の平均余命
90
85.59
(2004年、女)
85
80
平
均 75
寿
命 70
女
53.96
(1947年、女)
男
(
年 65
)
78.64
(2004年、男)
60
50.06
(1947年、男)
55
50
1945
1955
1965
1975
1985
1995
2005
3-3. 死亡:生命表
生命表
ある人口集団について、その人口集団の年
齢別死亡情報を元に、初期の出生数が年齢
の経過とともに減少する過程を、いくつかの
生命表関数によって表したもの。
人口増加率

算術平均増加率

年幾何平均増加率

瞬間増加率