2015/9/30 政策科学ゼミ 1 少子化について ◆少子化・・・合計特殊出生率の低下。 合計特殊出生率・・・女性が一生の間に生む平均子ども数。 この値が約2.07を下回ると 、 総人口は徐々に減少。 少子化 2015/9/30 高齢化 若年労働力 の 減少 政策科学ゼミ 市場の縮小 低成長 年金制度の崩壊 2 少子化の原因 【90年代初頭】 女性の高学歴化 社会進出 晩婚化 未婚化 少子化 【90年代中盤~】 ・出産後、仕事と子育てを両立できない。 ・両立できる環境の整備不足 2015/9/30 政策科学ゼミ 少子化 3 政府の動き ◆ エンゼルプラン(1994) ◆ 新エンゼルプラン(1999) ◆ 少子化対策基本法(2003) ◆ 少子化社会対策大綱(2004) 「男女共同参画社会」の実現 2015/9/30 「女性の就業率の高い国は出生率も高い」 政策科学ゼミ 4 女性が継続して就業する国では出生率が低い傾向がある という考え方もあるが、育児負担の大きい25歳から34歳の 女性の労働力率と合計特殊出生率の関係について先進諸 国の状況をみると、女性の労働力率の高い国では、合計特 殊出生率は比較的高くなっていることが分かる。 我が国に比べ労働力率も出生率も高いスウェーデンなどで は男性も含め育児休業制度が普及し、保育サービスも充実し ているなど、女性が仕事と育児の両立をしやすい、働きやす い状況にあるため、女性の就業が必ずしも少子化につながっ ていないと考えられる。 『男女共同参画白書』より 2015/9/30 政策科学ゼミ 5 著者が言う『トンデモ発言』とは 『OECDなど先進国では、女性の就業率が高い国ほど、出生率も高い。日 本も考え直さなければいけませんね。』(ニュースキャスター) 発言の根拠が 明らかでない! ・利用されたデータの出典。 ・何年度のものを何カ国について集計した のか。 発言や事実の正否、検証不可能。 ⇒情報の垂れ流し 2015/9/30 政策科学ゼミ 6 現代の社会調査 世論調査・社会調査 政策提言 社会運動 報道 正しいデータ 2015/9/30 政策科学ゼミ 7 リサーチ・リテラシー ◆社会調査、世論調査、統計データを批判的に解読すること。 『素朴な人』 『批判的な人』 すべて事実に 違いない! 本当に正しい調査 なのだろうか?! 2015/9/30 政策科学ゼミ 8 図1 女子の労働力率と出生率《阿藤氏のグラフ》 2.2 r=0.53 合計特殊出生率 2 スウェーデン 1.8 1.6 日本 1.4 1.2 1 50 2015/9/30 55 60 75 70 65 女子の労働力率(%) 政策科学ゼミ 80 85 9 グラフの統計的解釈 ◆統計的な解釈 ⇒ 相関係数を用いる。 正の相関関係 r が1に近い ↓ 関連性強い 2015/9/30 相関関係なし rが0に近い ↓ 関連性弱い 政策科学ゼミ 負の相関関係 rがー1に近い ↓ 関連性強い 10 図1 女子の労働力率と出生率《阿藤氏のグラフ》 2.2 r=0.53 ノルウェー 合計特殊出生率 2 1.8 1.6 日本 スウェーデン 1.4 1.2 1 50 2015/9/30 55 60 65 70 75 女子の労働力率(%) 政策科学ゼミ 80 85 11 このグラフの問題点 ① 低出生率の国同士を比較しているにすぎない。 ② 13カ国で相関係数を計算することに無理がある。 アイルランド、アメリカ、イギリス、イタリア、オランダ、 スウェーデン、スペイン、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、 フランス、ポルトガル、日本 ◆OECD(経済協力開発機構)の加盟国の一部。 ◆先進国として扱われる国々。 2015/9/30 政策科学ゼミ 12 13カ国が選ばれた理由 OECD加盟国だから? G8が選ばれたの? 国内総生産(GDP)の順に選ばれた? この13カ国の選択基準や根拠は、はっきりしていない。 2015/9/30 政策科学ゼミ 13 OECD24カ国の出生率と女子労働力率《著者のグラフ》 図2 2 .6 2.48 2 .4 トルコ 2 .2 合計特殊出生率 2.13 2.12 2.02 2 1.92 1 .8 1.77 1.86 1.82 1.71 1 .6 1.54 1.551.53 1.48 1.44 日本 r=-0.311 1 .4 1.39 1.36 1.32 1.32 r=0.238 1 .2 1.74 1.75 1.71 1.64 1.22 1.15 1 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 女子の労働力率(%) 2015/9/30 政策科学ゼミ 14 サンプルの選び方でこんなにも違いが! 1 図1:阿藤誠氏のグラフ r=0.53 2 図2:著者のグラフ r=ー0.311 3 図2の著者のグラフからトルコを除い r=0.238 た場合 4 新しいデータを用いて13カ国の相関 r=0.449 係数を求めた場合 ◆サンプルやデータの選び方によって、 相関係数の値が大きく異なる。 ◆図1で用いた13ヵ国は、相関係数が高くなることを 2015/9/30 15 政策科学ゼミ 想定して選んだサンプルである。 考えられる反論 【反論】 低出生率に移行した、先進諸国同士を比較することに 意味がある。 認める! 労働力率と出生率の間には 高い相関がある。 相関関係が存在すること ≠ but!! 二変数に因果関係がある 擬似相関(見かけ上の相関)である可能性もある。 2015/9/30 政策科学ゼミ 16 擬似相関 女性の労働力率 第3の要因 因 果 関 係 相 関 関 係 出生率 2015/9/30 政策科学ゼミ 17 「女子労働力率が高いから、出生率も高い」という 因果関係を、正しいものとして認めてみる。 ◆模範国とする基準は何? ◆過去ばかりを見て、現在を見失っているのでは? ◆様々な政策の影響や効果を定量化することは困難。 ◆文化、社会基盤の違いを考慮する必要があるのでは? 「女子労働力率が高いから、出生率も高い」という結果を 導き出し、利用したかったのではないか。 2015/9/30 18 政策科学ゼミ この本の内容 前半:「男女共同参画社会は少子化を防げるのか」 後半:男女共同参画社会と少子化対策について 2015/9/30 政策科学ゼミ 19
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