Medical aroma News (月刊第 17 号) 2015 年5月号 Medical Aroma News ■発行/鳥居医療総研 統合医療研究所 T-LAB.〒231-0003 神奈川県横浜市中区北仲通 3-34-2 キクシマ関内ビル3階 TEL 045-305-6853 「Medical Aroma News」は、統合医療研究所「T-LAB.」より、皆様の健康の維持・増進、また「未病」に有効な情報 をお伝えしております。T-LAB は、アロマセラピーや音楽療法をはじめとした統合医療(holistic medicine)全般における心 とからだへ、その効果の客観的測定をおこなう施設です。人の無意識における気分の偏りやゆらぎ、それに伴う自律神 経系内分泌系の変調を把握し、より効果的な治療法を考案し、統合医療で未病やさまざまな症状や疾患への新しい治 「動的平衡」 療法の可能性の確立を模索する研究機関です。 禁煙 2015 年 5 月 31 日(日)は世界禁煙デーです。 「2020 年、スモークフリーの国を目指して ~ 東京オリンピック・パラリンピックへ向けて~」をテーマとして禁煙週間 5 月 31 日(日)~6 月 6 日(土)も設けられます。厚生労働省は、 「たばこが健康に悪影響を与えることは明らかであり、 禁煙はがん、循環器病等の生活習慣病を予防する上で重要である。“健康日本21(第二次)”やが ん対策基本計画の目標でもある“未成年者の喫煙をなくす”ためには、喫煙による健康影響を認識 させることが重要である。また、 『たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約』に基づく第2回締 約国会議において、『たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン』が採択され、 我が国においても、平成22年2月に、基本的な方向性として、公共の場は原則として全面禁煙で あるべき等を記した通知を発出し、平成24年度においては、受動喫煙防止対策の徹底について通 知を発出したところである。今年度は、たばこを減らすことで命を守ることを目的として、禁煙及 び受動喫煙防止の普及啓発を積極的に行うものである。 」としています。 『たばこを吸う人は吸わない人に比べ、糖尿病からくる心臓病が 2.6 倍、メタボリック症候群 3 倍、 脳卒中 3.8 倍ほどリスクが多いとされ、さらには男性更年期にもみられるうつ症状が 1.6 倍、ED がたばこ 1 箱で 1.5 倍とメンズヘルスに対する全体的なリスクファクターとも考えられます(鳥居 伸一郎 AROMA RESEARCH No.58 Vol.15/No.2 2014) 』 。 たばこをやめたくてもやめられない「ニコチン依存症」は、経口禁煙補助薬で禁煙の成功率を高め る事が出来ます。 禁煙外来を保険診療で行うには下記の4項目すべてを満たした方が対象になります。 ■ ニコチン依存についてのスクリーニングテスト(TDS)の結果が5点以上であること ■ ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200点以上であること ブリンクマン指数=一日の平均喫煙本数 ×喫煙年数 ■ 直ちに禁煙することを希望されている方 ■ 禁煙治療について説明を受け、その治療を受けることを文書により同意される方 ※4項目すべてを満たさない場合、自費診療として治療は可能です。 ブリンクマン指数が400点以上で癌の発生率が高くなるとされ、1300点以上で喉頭がんや肺 がんの危険性が極めて高くなるといわれています。 喫煙の快感はニコチンが脳内のニコチン受容体と結合しドパミンが放出されることによると考えら れています。日本初の経口禁煙補助薬であるチャンピックス錠は、成分のバレニクリン酒石酸塩が脳 内のニコチン受容体と結合し、刺激作用と拮抗作用の2つの作用を示します。刺激作用は部分的でニ コチンの作用よりも弱いため、ニコチン受容体を軽く刺激し、少量のドパミンを放出させて、禁煙に 伴う離脱症状やたばこに対する欲求を軽減します。拮抗作用は、ニコチンの受容体への結合を妨げ、 その作用を弱めます。ニコチンによるドパミン放出を抑制するため、喫煙による満足感を得られにく くなります。脳内でニコチンに代わるはたらきをする精油を用いることで、禁煙、減煙の助けになる と考えられます。 ◆禁煙に効果的だと思われるアロマセラピー文献 ■ブラックペッパー(Piper nigrum) 米国の大学の喫煙の習慣がある学生、職員、教員を対象に研究。たばこを吸いたくなってから 2 分間ブ ラックペッパー精油の香りを嗅ぐと、ニコチンを欲する程度が減少し、次にたばこを吸うまでの時間が延 長された、ニコチン離脱の有用性を示唆。 The effects of aromatherapy on nicotine craving on a U.S. campus: a small comparison study .Cordell B1, Buckle J. J Altern Complement Med. 2013 Aug;19(8):709-13. doi: 10.1089/acm.2012.0537. Epub 2013 Mar 28. ■メリッサ(レモンバーム)(Melissa officinalis) メリッサのヒトのニコチン受容体結合特性を示唆。 Modulation of mood and cognitive performance following acute administration of single doses of Melissa officinalis (Lemon balm) with human CNS nicotinic and muscarinic receptor-binding properties. Kennedy DO1, Wake G, Savelev S, Tildesley NT, Perry EK, Wesnes KA, Scholey AB. Neuropsychopharmacology. 2003 Oct;28(10):1871-81. ■ペパーミント(Mentha x piperita L) ラットにおけるペパーミントなどに含まれるメントールの脳への効果の検証により、メントールが GABAA 受容体への直接的な関与を示唆。このことから GABAA 受容体への働きかけから結果、ドパミン が上昇すると考えられ、喫煙時と同様の満足感が得られることが予想される。 Menthol enhances phasic and tonic GABAA receptor-mediated currents in midbrain periaqueductal grey neurons. Lau BK1, Karim S, Goodchild AK, Vaughan CW, Drew GM. Br J Pharmacol. 2014 Jun;171(11):2803-13. doi: 10.1111/bph.12602. 現在 T-LAB では「禁煙における精油の効果の検証」の臨床研究を行っております。経口禁煙補助薬を服 用していても参加が可能です。ご興味のある方はクリニック受付、もしくは T-LAB までお気軽にお問い 合わせください。(この研究はボランティア参加型となりますのでご了承ください) 精油、アロマセラピーのお問い合わせは T-LAB 有限会社 鳥居医療総研 (月刊第 17 号) [email protected] まで、お気軽にどうぞ。 Medical aroma News 2015年5月号
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