精油の抗菌作用 - 統合医療研究所T-LAB

Medical aroma News
(月刊第 18 号)
2015 年 6 月号
Medical Aroma News
■発行/鳥居医療総研 統合医療研究所
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「Medical Aroma News」は、統合医療研究所「T-LAB.」より、皆様の健康の維持・増進、また「未病」に有効な情報
をお伝えしております。T-LAB は、アロマセラピーや音楽療法をはじめとした統合医療(holistic medicine)全般における心
とからだへ、その効果の客観的測定をおこなう施設です。人の無意識における気分の偏りやゆらぎ、それに伴う自律神
経系内分泌系の変調を把握し、より効果的な治療法を考案し、統合医療で未病やさまざまな症状や疾患への新しい治
「動的平衡」
療法の可能性の確立を模索する研究機関です。
精油の抗菌作用
アロマセラピーで使用する「精油=エッセンシャルオイル」には抗菌作用があると言われています。
何故、精油に抗菌作用があるのかは、植物が精油を保有する理由を知れば理解することが出来ます。
美しい花を咲かせる薔薇の香りや、ホッとした気持ちになるハーブティーの香り、緑の多い場所に
行った時に感じる木の香り、それらの香り成分が植物の抽出成分のうちの揮発性成分の精油です。
「植物は我々の気付かぬところで人知れず行動し、外敵と戦い、あるいは自分のテリトリーを確保
している(植物の香りと生物活性:谷田貝光克(フレグランスジャーナル))ことが科学の進歩とと
もに明らかにされています。植物のこの機能に精油が関わっており、細菌や害虫などから身を守っ
たり、他の植物の侵入を防いだりしているのです。
また、害虫に食害されている木が隣接する木に害虫の襲来を精油を介して通知し、この通知を受け
た隣接の木は、事前に害虫の嫌いな摂食阻害物質を蓄えて防御したりする情報伝達機能も備わって
います。精油は植物にとって自己防衛やコミュニケーションのツールとなるのです。
植物抽出成分の主な生物活性
植物に対する作用
微生物に対する作用
生長促進作用
抗菌・抗カビ作用
生長阻害作用
薬理作用
情報伝達作用
消臭作用
昆虫など動物に対する作用
酸化防止作用
摂食阻害作用
食品の腐敗防止
摂食刺激作用
老化防止
忌避作用
快適性増進作用
誘引作用
森林浴作用
殺虫作用
植物の香りと生物活性:谷田貝光克(フレグランスジャーナル)より)
このように、植物が自己防衛のために作った精油は、様々な形で使われており、アロマセラピーはそ
の薬理作用を良い香りと共に有効活用している療法であると言えます。
◆抗菌に効果的だと思われるアロマセラピー文献抜粋
■精油の抗菌力
精油の抗菌力は、
真菌 > グラム陽性球菌 >
緑膿菌は精油に抵抗性を示す。
グラム陰性桿菌
>
緑膿菌の順に優れるが、
井上重治:微生物と香り、フレグランスジャーナル社、東京、pp169~87(2002)
■レモングラス
シトロネラをアスペルギルス(アスペルギルスはどこにでもいる真菌で、たい肥の山、通気口、空気中の
ほこりの中などによくみられます)に作用させると、細胞膜の断絶とし細胞壁の郷士阻害に加えて、ミト
コンドリアの崩壊が観察された。
Effects of Cymbopogon nardus (L.) W. Watson essential oil on the growth and morphogenesis of
Aspergillus niger.
de Billerbeck VG1, Roques CG, Bessière JM, Fonvieille JL, Dargent R.
Can J Microbiol. 2001 Jan;47(1):9-17.
●タジェッツ(フレンチマリーゴールド)
タジェッツ精油をボトリチス(灰色かび病菌)に作用させると、細胞膜、角膜、液胞膜の変性と併せてミ
トコンドリアの内膜が破壊されることが認められた。
Chemical characterization and antifungal activity of essential oil of capitula from wild Indian Tagetes
patula L.
Romagnoli C1, Bruni R, Andreotti E, Rai MK, Vicentini CB, Mares D..
Protoplasma. 2005 Apr;225(1-2):57-65. Epub 2005 May 4.
●ラベンダー
白癬菌を接触した培地のシャーレの下方20センチに熱湯を入れたシャーレを置き、そのシャーレにラベ
ンダーオイルを低下してラベンダー精油を白癬菌培地に接触させて抗菌活性を調べたところ、10日間常
温で放置後、対照には白癬菌の増殖が認められたがラベンダー蒸気下のものには菌の発育が阻止されてい
た。
池亀公和、林真一郎:aromatopia,2(2),62(1993)
●ティートリー
マウス口腔カンジダ症モデルの口腔内にティートリー油を投与したところ、明らかに舌の白苔症状が改善
した。また、その治療効果は主として主成分の Terpinen-4-ol が関係すること、抗真菌薬に耐性な菌に
も有効であることを示唆。
The essential oil of Melaleuca alternifolia (tea tree oil) and its main component, terpinen-4-ol protect
mice from experimental oral candidiasis.
Ninomiya K, Maruyama N, Inoue S, Ishibashi H, Takizawa T, Oshima H, Abe S.
Biol Pharm Bull.35, 861-865 (2012)
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(月刊第 18 号)
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