Medical aroma News (月刊第 4 号) 2014年 4 月号 Medical Aroma News ■発行/鳥居医療総研 湘南代替医療研究所●イクス 〒236-0021 神奈川県横浜市金沢区泥亀 1-15-8K’s ビル 1B アロマセラピー&リフレクソロジースタジオIXは、本年より補完代替医療の研究施設「湘南代替医療研究所●IXイクス」と して生まれ変わりました。これからも更に皆様の健康の維持・増進に有効な情報をお伝えできるよう努力して参ります。 「Medical Aroma News」では国内外の様々な精油に関する学術情報を毎月発信いたします。 不眠 -Insomnia- 日本人を対象にした調査によれば、5 人に一人が「睡眠で休養が取れていない」、 「何らかの不眠がある」 と回答しています。加齢とともに不眠は増加します。60 歳以上の方では約 3 人に一人が睡眠問題で悩 んでいます。そのため、通院している方の 20 人に 1 人が不眠のため睡眠薬を服用しています。 (厚生 労働省 e-ヘルスネットより)。 不眠症は「入眠困難」 「中途覚醒」 「早朝覚醒」 「熟眠障害」などの睡眠問題が 1 ヶ月以上続き、日中に 倦怠感、意欲低下、集中力低下、食欲低下などの不調が出現する病気です。不眠と他疾患では、糖尿病 との関係が指摘されています。糖尿病性神経障害のしびれや痛みで中途覚醒や熟眠障害があったり、口 渇や低血糖などで 3 割が不眠を合併したりするとされます。また、高血圧も不眠を合併する率が高く 3~5 割に不眠がみられ、短時間睡眠者に高血圧の割合が高くなることが報告されています。疫学的に は睡眠時間と生活習慣病リスクにはU時型カーブの関係があり、短すぎても長すぎても良くないことが わかっています。(漢方医学 2013,Vol.37 No.1 p.13-14) また、睡眠と覚醒をあやつる脳内物質「オレキシン」も注目されています。体内時計や情動、栄養状態 などの影響を受けると、オレキシンが覚醒中枢に供給されます。すると覚醒中枢のはたらきが睡眠中枢 のそれを上回り,大脳皮質を賦活し、目が覚めます。オレキシンの助けが小さくなると、睡眠中枢のは たらきが覚醒中枢のそれを上回り、覚醒中枢やオレキシンのはたらきを抑制する信号が睡眠中枢から送 られ、脳の活動は沈静化し,眠くなります。(金沢大学ホームページより) 睡眠時間は個々によってまちまちです。日中快適に過ごすことが出来るよう、自身にとって至適な睡眠 時間は把握しておいた方が良いかもしれません。 ■精油 -essential oil- 〇睡眠の改善 ・サンダルウッド(Santalum album) サンダルウッドの主成分であるサンタロール吸入の睡眠障害のラットにおける研究では、覚醒時間の大幅な減少 とノンレム睡眠の増加が確認された。また、その作用機序は呼吸器などの粘膜を介して血中に吸収されることを 示唆。 Effect of santalol on the sleep-wake cycle in sleep-disturbed rats. Ohmori A1, Shinomiya K, Utsu Y, Tokunaga S, Hasegawa Y, Kamei C. Nihon Shinkei Seishin Yakurigaku Zasshi. 2007 Aug;27(4):167-71. ・ラベンダー ( Lavandula angustifolia )、カモミールローマン ( Anthemis nobilis )、ネロリ ( Citrus aurantium)のブレンド 集中治療室の経皮的冠動脈インターベンション患者の睡眠の質に関するアロマテラピーの効果において、ラベンダー: カモミールローマン:ネロリを 6:2:0.5 の比率で吸入させたところ、不安感を減少させ、睡眠の質を向上させたこ とを報告。 Effects of aromatherapy on the anxiety, vital signs, and sleep quality of percutaneous coronary intervention patients in intensive care units. Cho MY1, Min ES, Hur MH, Lee MS. Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:381381 ・(インディアン)バレリアン(Valeriana wallichii) バレリアンの根からの抽出物をラットに経口投与後の前頭葉と脳幹におけるノルアドレナリン、セロトニンの濃 度は投与前と比較し減少、ドパミンは皮質で減少した。ノンレム睡眠・レム睡眠の持続時間も有意に増加した。 Valeriana wallichii root extract improves sleep quality and modulates brain monoamine level in rats. Sahu S1, Ray K, Yogendra Kumar MS, Gupta S, Kauser H, Kumar S, Mishra K, Panjwani U. Phytomedicine. 2012 Jul 15;19(10):924-9. ○不眠誘発症状に有効と思われる精油 不安 ・オレンジスィート(Citrus sinensis) ラットにおけるオレンジスィートによる抗不安効果の報告 Anxiolytic-like effect of sweet orange aroma in Wistar rats. Faturi CB, Leite JR, Alves PB, Canton AC, Teixeira-Silva F. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2010 May 30;34(4):605-9.. ・月桃(Alpinia zerumbet) マウスにおける月桃の抗不安効果の報告。 Effects of the essential oil from leaves of Alpinia zerumbet on behavioral alterations in mice. Murakami S, Matsuura M, Satou T, Hayashi S, Koike K. Nat Prod Commun. 2009 Jan;4(1):129-32. ・ラベンダー(Lavandula angustifolia)、ベルガモット(Citrus bergamia)のブレンド ブレンドオイルの腹部への塗布で、脈拍数の減少、収縮期拡張期の血圧の低下がみられ、主観評価では「感情が 穏やかになった」 「リラックスした」との評価が得られた。 Effects of the essential oil from leaves of Alpinia zerumbet on behavioral alterations in mice. Murakami S, Matsuura M, Satou T, Hayashi S, Koike K. Nat Prod Commun. 2009 Jan;4(1):129-32. ・ラベンダー精油を原料とした医薬品 Lasea○(Silexan) R ドイツの医薬品で 1 カプセル中にラベンダー精油 80 ㎎含有。 この製剤を用いた二重盲検によるランダム化比較試験では、不安障害への効果が認められた。 (プラセボ群ラベン ダー精油 0.08 ㎎) Silexan, an orally administered Lavandula oil preparation, is effective in the treatment of 'subsyndromal' anxiety disorder: a randomized, double-blind, placebo controlled trial. Kasper S1, Gastpar M, Müller WE, Volz HP, Möller HJ, Dienel A, Schläfke S. Int Clin Psychopharmacol. 2010 Sep;25(5):277-87. うつ ・オレンジビター(Citrus aurantium L.) マウスにおけるオレンジビター精油投与後の検証で、オレンジビターが、5-HT1A(セロトニン受容体)を介し て、抗うつ作用を示すことが示唆された。 Citrus aurantium L. essential oil exhibits anxiolytic-like activity mediated by 5-HT(1A)-receptors and reduces cholesterol after repeated oral treatment. Costa CA, Cury TC, Cassettari BO, Takahira RK, Flório JC, Costa M. BMC Complement Altern Med. 2013 Feb 23;13:42. 頭痛 ・ペパーミント(Mentha piperita) 二重盲検、プラセボ対照、無作為化クロスオーバーで 32 人の健康な被験者において調査。ペパーミン ト、ユーカリ(学名不明)をエタノールで希釈したものをスポンジでこめかみと額に塗布して検証し、 (ペ パーミント 10%、ユーカリ5%)鎮痛効果を報告。 Essential plant oils and headache mechanisms. Göbel H1, Schmidt G, Dworschak M, Stolze H, Heuss D. Phytomedicine. 1995 Oct;2(2):93-102. 吐気 ・ジンジャー(Zingiber officinale) 術後の吐気を防ぐための検証。ガーゼに含ませた精油を3回吸い込んでもらい、5分後に評価。ジンジ ャー精油、または、ジンジャー精油とスペアミント、ペパーミントのブレンドの吸入で吐気の軽減を評 価できることを報告。 Aromatherapy as Treatment for Postoperative Nausea: A Randomized Trial. Hunt R, Dienemann J, Norton HJ, Hartley W, Hudgens A, Stern T, Divine G. Anesth Analg. 2012 Mar 5. 精油、アロマセラピーのお問い合わせは 湘南代替医療研究所●イクス (月刊第 4 号) [email protected] まで、お気軽にどうぞ。 Medical aroma News 2014年 4 月号
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