「ちんねんともくねん」 ねらい 自分勝手な都合で、うそをついたりごまかし

「ちんねんともくねん」
ねらい 自分勝手な都合で、うそをついたりごまかしたりすることで、自分の心を暗くするばかりか、
周りの人にも迷惑をかけることを主人公を通して考え、自分の過ちは素直に認め、正直に明る
い心で生活しようとする心情を育てる。
道徳的価値についての理解を深めるために
授業前の考え方や態度
授業を通して高めたい考え方や態度
・ わざとじゃない。
・ うそをついたりごまかしたりしている
・ 本当のことを言うのが怖い
とさらに悪いことを重ねることになる。
・ 黙っていれば分からない。
・ 正直に話すと気持ちが明るくなる。
・ 叱られるのはいやだ。
・ 正直な態度で人に接すると周りも明る
・ 後で分ったら、もっと叱られるから
くなる。
本当のことを言おう。
展開
学
習
活
動 主な発問と児童の思考の流れ 指
導
者
の
支
援
1.資料を一読して、 ○ お話しの中で「これは問題だな」 ○ 資料を一読した後、問題点を見つ
課題をつかむ。
と思うところはどこか考えながら聞
け出し、課題を明確にする。また、
きましょう。[資料を範読]
事前に取ったアンケート結果を提示
○ 問題だなと思ったところはどこで
し、うそをつく行為はだれにでもあ
すか。
り珍しいことではないことを強調す
・ ふざけて、走り回って障子を破
る。
いたところ。
・ 破いたことを言わなかった
こと。
2.資料「ちんねん ○ 障子を破ってしまったとき、二人 ○ ちんねんのふざけがきっかけで、
ともくねん」を読
はどのような気持ちになったでしょ
もくねんが障子を破ってしまったと
んで話し合う。
う。
きの二人の会話をペアで役割演技を
① 障子 に 過っ て
・ どうしよう。
させ、ごまかそうとする気持ちに共
手をつっこんで
・ 怒られる。
感させる。
破いたとき
・ 謝ったほうがいい。
・ だれも見ていないから黙ってい
よう。
② おし ょ う様 の
○ おしょう様が「だれか知ってい ○ 黒板にハートを貼り、二人の不安
話を聞いて、二人
るものはいないか。
」といったのに、
やあせり、恐れる気持ちをぶら下げ
が顔を見合わせ
二人が黙っているのは、どんな気持
るようにして板書する。
たとき
ちからでしょう。
・ 怒られたくない。
・ 自分たちが破ったことはだれも
知らないんだ。
・ このまま黙っていよう。
・ いまさら言いにくい。
③ ほうねんが
○ ほうねんが「わたしがやぶってし ○ 二人の葛藤に焦点を当て、ワーク
「わたしがやぶっ
まいました。
」と言ったおかげで、食
シートに両方の考えを書かせる。そ
てしまいまし
事を始められたものの、ごはんもの
の後、児童を二分して「本当のこと
た。」と言ったと
どを通らなかったとき、二人はどん
を言う」
「黙っている」それぞれの立
き
なことを考えていたでしょうか。
場で意見を出し合い、双方の考え方
(本当のことを言おう)
をできるだけ多く引き出すようにす
・ ほうねんさんは悪くない。
る。
・ 自分たちのせいで罰を受けさせ
られるのは申し訳ない。
・ このまま黙っているのは苦しい。
(黙っていよう)
・ 本当のことを言うとみんなに攻
められる。
・ いまさら本当のことを言う勇気
がない。
・ 今まで黙っていたことで、もっ
と叱られる。
○ 二人のこのときの心はどんな様子
でしょう。
・ どきどきしている。
・ 暗い。
・ つらい。
・ もやもやしている。
④ 二人が、おし ○ 二人が、おしょう様に本当のこと
ょう様に本当の
を言ったのは、どんなことを考えた
ことを言ったと
からでしょう。
き
・ たとえ、叱られても本当のこと
を言うほうがいい。
・ 過ちを素直に謝ったほうがすっ
きりする。
・ 周りの人に迷惑をかけてまで、
うそを突き通すのはよくない。
○ 二人のこのときの心はどんな様子
でしょう。
・ すっきりした。
・ 明るくなった。
・ 元気になった。
○ 明るくなったのは、ちんねんとも
くねんだけですか。
・ おしょう様も。
・ ほうねんさんも
3.自分を振り返る。 ○ 今日の学習で学んだことを道徳ノ
ートに書きましょう。
4.事前アンケート
の結果と児童が書
いた「正直にでき
た自分」の作文を
紹介する。
○
「本当のことを言う」か「黙って
いる」かで葛藤している間も、心が
どんどん暗く沈んでいく様子や状態
を言葉で具体的に表現させことで、
共感的に捉えられるようにする。
○
弱い心を克服したことを板書で視
覚的に捉えさせる。
1分間自分の考えをつぶやかせた
後で、ペアでお互いの考えを聞きあ
い、より良い生き方を求めようとし
た考え方が誠実な行為につながって
いることをじっくり考えさせたい。
○
うそをついていたときの心の様子
と比較し、心のもやもやが晴れたこ
とを押さえる。
○
周りの人も明るい気持ちになって
いることに気付かせる。
○
今までの自分は、どうだったのか
を思い起させ、道徳的価値を通して
自己理解をさせる。どう書けばよい
のかまよっている児童には、
「今まで
の自分は、どうだったか」
「そのこと
を今はどう思うのか」
「これからはど
うしようと思うのか」具体的に、考
える視点を助言するようにする。
○ 事前に取ったアンケートの結果か
ら「正直にできてよかった」という
経験を多くの児童がもっていること
を知らせる。また、事前に書いた児
童の作文の中から、本時のねらいに
迫る作文を選び紹介することで、正
直にすることの良さを実感し、実践
意欲を高めるようにする。
出典:
「あすをみつめて 4年」日本文教出版