©NSCA JAPAN Volume 15, Number 6, pages 62-64 f r o m W e b S i t e / NSCA’s Performance Training Journal Nutrition ストレングス&パワーアスレティックの パフォーマンス向上のための 期分け栄養管理プログラム Periodized Nutrition for Strength and Power Athletic Performance Rodney Gaines, PhD, CSCS とインフォームドコンセント、医師の 体脂肪分析の後、除脂肪体重に基づい トレーニングをいくつかのサイクルに 承諾書を作成する。鉄分やカリウム、 てカロリーと栄養の所要量を計算する。 分割し、各サイクルでトレーニングの カルシウムなどの微量栄養素が欠乏し 例えば、体重59kg(130 ポンド) 、体脂 量や頻度、強度、時間、タイプを競技 ていれば、それを確認できるため、血 肪率15 %のジェニファーの場合、必要 種目の要求に応じて調整する方法であ 液検査を受けることも重要である。医 なカロリーがどの程度なのかを計算し る。トレーニングの可変要素が変化す 師の承認を得る前に、トレーナーは、個 てみよう。体脂肪率が15 %だとすれば、 るのに伴い、栄養面の管理にも変化が 人およびアスリートとしての目標、過 体脂肪は約8.8kg(19.5 ポンド)である。 必要である。トレーニングは、ミクロ 去3日間に摂った食事の詳細、体重、 アスリートに必要な必須脂肪も考慮し サイクル(1日∼1週間) 、メゾサイク 体脂肪分析、胴まわりの測定結果につ なければならない。減量を目指すアス ル(1週間∼3ヵ月) 、マクロサイクル いて評価を行う。医師の承認と審査の リートにとって、これは重要な評価項 (通年)に区分されることが多い。トレ 後、40 ヤードダッシュや100 メートル、 目である。ジェニファーの除脂肪体重 ーニングは、オフシーズン、プレシー 1.5 マイルラン、上半身と下半身のスト は約50kg(111.5 ポンド)である。この ズン、インシーズン、移行期/リカバ レングス、パワー、アジリティ、敏捷 数字に基づき、全体的なカロリーと栄 リーの主な4つの段階を通じて行われ 性など、パフォーマンスのテストを受 養素別のカロリー所要量を計算する。 る。トレーニングに必要な操作は段階 ける。 この他、栄養管理の計画を立てる際に、 ピリオダイゼーションとは、年間の 季節や目標、体脂肪を増減させる必要 によって異なるため、ピリオダイゼー 62 があるかどうかについても検討する。 ションの各段階で、パフォーマンス要 食事管理の構成を行う上で、体脂肪 件の変化に応じた栄養管理を行う必要 分析は必須である。この他、食事管理 がある。 を構成する前に、アスリートがどのシ 栄養管理の計画を立てる際に考慮す ーズンに入っているのか、理想的な身 べき主な事柄として、カロリーと糖質、 年間栄養管理プログラムの計画での 体組成の範囲にあるかどうかを検討す 脂肪、タンパク質の所要量が挙げられ 最初のステップは、評価に関する情報 る。筋力と筋量が不十分なのに、体脂 る。これらは季節や身体組成によって を収集することである。身体的評価と 肪が種目に必要なレベルを上回る場合 異なる。推奨カロリー所要量は、基礎 トレーニングの目標に応じて、カロリ は問題である。全体的な体重ではなく、 代謝率(BMR)の1.3 倍から1.5 倍であ ー摂取と多量栄養素、微量栄養素を考 除脂肪体重に基づいてカロリー所要量 る(3) 。基礎代謝率とは、1日の大半を 慮した計画を立てることが重要である。 を計算しなければならない。ここが従 占める消化・吸収後の安静状態で生理 組織的な環境で、まず既往歴の調査票 来のカロリー計算と違うところである。 活動を継続させるために必要な細胞と July 2008•Strength & Conditioning 組織の様々なプロセスのエネルギー所 りタンパク質1.4∼1.7g、糖質6∼10g、 増量を希望しているのなら、栄養管理 要量を概算した数値である。カロリー 脂肪がカロリーに占める割合は 20 ∼ の期間をオフシーズンの6ヵ月間に定 所要量を計算するには、まず体重(ポン 25 %が望ましいという数字が示されて めることができる。体重を増やすため ド)を0.45 で乗じるか、2.2 で除してキ いる。さらに微量栄養素の分析を行う には、必要以上のカロリーを摂取しな ログラムに換算する。さらにキログラ ことも推奨される。アスリートのパフ ければならないため、カロリーを増や ムに換算した体重を24 倍にしたものが ォーマンスを向上させる上で、ピリオ す必要がある。ジェニファーの場合、除 基礎代謝率(BMR)である。 ダイゼーションの特定段階で微量栄養 脂肪体重(50kg)の1.5 倍で計算すると、 素を増やすことも必須である。ジェニ カロリー所要量は最低1800kcal と考え 次に検討すべきことは、1日のエネ ファーに必要な糖質の上限値を計算し られる。最初の1週間で体重が増えな ルギー消費である。これは、目標やト たところ、1日当たり500g(体重1kg い場合、必要な増量が確認されるまで、 レーニングを行う時期によって異なる。 当たり10g の50 倍)という結果が得ら 週250 ∼500kcal を追加する。オフシ BMR に3つの推定値を乗じれば、エネ れた。タンパク質の所要量は1日当た ーズンに増量することが目標なので、体 ルギー所要量を計算することができる り85g(体重1kg 当たり1.7g の50 倍) 重1 kg 当たり6 g の 50 倍に相当する (活動性が低く、減量を目的とする場合 と推定される。まだ脂肪の摂取を計算 300g の糖質を1日に摂取する必要があ は1.3、活動性が中程度で体重の維持を に入れていないのに、すでに2340kcal る。オフシーズンのタンパク質所要量 目的とする場合は1.4、活動性が高く、 になっている。これに必要なカロリー は、体重1 kg 当たり 1.4g に相当する 増量を目的とする場合は 1.5)。体重 の20 %の脂肪を加えれば、ジェニファ 70gを開始の値とする。彼女の場合、オ 59kg(130 ポンド) 、体脂肪率15 %のジ ーは脂肪52g で468kcal を摂取する必 フシーズンに除脂肪体重を増やすこと ェニファーの場合、脂肪のカロリーを 要があると考えられる(2) 。 が目標なので、脂肪の所要量をさらに 増やすこともできる。1800kcal の20 % 計算に入れたくないので、体重を約 に相当する40g が脂肪の所要量と考え 50kg(111.5 ポンド)とみなす。まず、体 最初のピリオダイゼーションの段階 重(ポンド)に0.45 を乗じて除脂肪体重 として、オフシーズンについて検討し をキログラムに換算する。キログラム たい。オフシーズンは1年で最も長く、 換算した彼女の体重は50.2 となる。さ アスリートにとって、筋量の増加や弱 20 ∼26 週間にわたる長期のストレン らに 5 0 . 2 を 2 4 倍すれば、B M R は 点の克服、傷害からの回復を図るのに グス&コンディショニングを終了した 1204.8kcal と推定される。ジェニファ 最適な時期である。この段階では、レ ら、新しいシーズンに向けて準備に取 ーの活動性は中程度と考えられたため、 ジスタンストレーニングの量を増やし、 り掛かる時期だ。これから、プレシー 1204.8kcal に1.4 を乗じた1686.72 が 心臓血管系トレーニングの量を減らす。 ズンの段階に突入する。オフタイムに 彼女の体重維持に必要なカロリーとい オフシーズンの期間は、種目によって 行った栄養管理の成果を評価するのに える。体重測定を毎週行えば、この数 異なるが、通常4∼6ヵ月である。 最適な時期でもある。体重が増えてい 字が目標達成に十分なものかどうかを 我々が最初に検討するのは、アスリー たならば、目標の半分を達成できたと 判断できる。体重測定を毎週、体脂肪 トの体重が種目に最適なものかどうか いえる。体脂肪を再チェックして、増 測定を各月末に実施することが望まし ということである。減量が必要な場合、 分に占める脂肪と筋の割合を確認する い。 オフシーズンの4∼6ヵ月の間にゆっ ことも重要である。練習や学校、仕事、 くりと減量を行う。増量が必要な場合 トレーニングなどで忙しくなるため、カ も同様である。 ロリー計算を行う際の活動性レベルを 糖質は1g 当たり4kcal、タンパク られる。 1.5 に引き上げる。体脂肪が多すぎる場 質も4kcal、脂肪は9kcal に相当する。 アスリートの場合、糖質55 ∼60 %、タ それでは、ストレングストレーニン 合、活動性レベルを 1.3 でスタートす ンパク質15 ∼20 %、脂肪20 ∼25 %の グの目標に応じて、栄養管理のピリオ る。体重1kg 当たりに必要な糖質は8 割合で食事を構成するのが望ましい。 ダイゼーションをどのように決定すれ g、タンパク質は1.5 ∼1.7g、脂肪のカ American Dietetics Association によれ ばよいのだろうか。ジェニファーが次 ロリーはほぼ同じである。水分と微量 ば、アスリートの場合、体重1kg 当た のシーズンまでに4.5kg(10 ポンド)の 栄養素に十分注意することが大切であ July 2008•Strength & Conditioning 63 る。マルチビタミンのサプリメントも とも重要である。シーズン中は、カロ 推奨される。 リーと炭水化物を適切に摂取すること が重要なカギとなる。 インシーズンのトレーニングについ ては、さらに詳しい説明が必要である。 シーズン終了直後、移行期(回復期) 競技会や試合の時期によって異なるが、 に入る。所要期間は2週間から1ヵ月 試合や競技のピークに合わせて食事の 程度である。この時期は休息に努め、 管理を行う必要がある。ピリオダイゼ 食事やトレーニングの規制もほとんど、 ーションによる栄養管理と評価を計画 あるいは全くない。この時期を利用し 通りに実行すれば、エネルギーレベル て今シーズンを振り返り、適切な食事 と身体組成を最適化することができる。 とトレーニングでストレスを解消する。 シーズン中に低カロリーダイエットを ここでさらに目標を設定し、シーズン 行うのは危険であり、この時期は糖質 中の体重を基準に、体重の変動が2.26 とカロリーの所要量は最高レベルに保 ∼4.5kg(5∼10 ポンド)を超えないよ つ必要がある。練習の前後に食事管理 うに注意する。また、自分が専門とす の構成を行うことが重要である。また、 る競技以外のことにも取り組み、活動 競技の前後に食事管理の構成を行うこ 性を維持することも大切である。◆ References 1. American Dietetic Association, Dieticians of Canada, and the American College of Sports Medicine.(2000). Nutrition and athletic performance. Medicine & Science in Sports & Exercise. 32(12):2130 - 2145. 2. Moore P. (2006). Nutrition for Intermittent, High Intensity Sports. Presented at NSCA Southeast Regional Conference; Boone, NC. 3. Williams, M.H.(1992). Nutrition for Fitness and Sport.Dubuque, Iowa:Wm.C.Brown Publishers. From NSCA’s Performance Training Journal Volume 5, Number 6, pages 18-20. 著者紹介 Rodney Gaines : Norfolk State University 助 教授。同校で主任ストレングス&コンディショニン グコーチを務める。 information Category D CEU 0.6∼1.2 NSCA ジャパン CEU 対象セミナースケジュール ●新潟大学公開講座 日 程 時 間 9/13(土) ・14(日) 各9:00∼17:00 ※2日間実施 0.6∼1.2 最新の情報はウェブサイトをご確認ください 講習会名 講 師 ・中高齢者を対象とした運動指導等の事業評価の基本原理 ・成果の分析を念頭に置いたアンケートの作成法 ・エクササイズ実施を考慮した栄養学 ・運動プログラム作りの実際① ・高齢者運動指導の基礎理論―安全・効果的で楽しいプログラムの作成― ・適切な運動指導を行うための指導方法上の留意点 ・プログラム作りの実際② ・運動習慣定着化の実際―自宅プログラムによる展開― CEU数 田辺直仁,MD, PhD 岡村太郎,PhD, 作業療法士 小林奈穂,管理栄養士 1.2(D) 篠田邦彦,PhD, CSCS 篠田浩子,CSCS 【開催地】新潟大学(新潟市西区五十嵐 2 の町 8050 番地) 【受講料】7,200 円 【定 員】40 名 【申し込み、問い合わせ先】新潟大学研究支援部産学連携課 Tel:025-262-7633(平日 8:30 ∼ 17:15) http://www.niigata-u.ac.jp/ ●TNPセミナー 日 程 9/28(日) 時 間 9:30∼16:30 最新の情報はウェブサイトをご確認ください 講習会名 講 師 小峠健太郎,CSCS,NSCA-CPT 金子 毅,NSCA-CPT ・脊柱の構造と姿勢の重要性について ・メディカルチェックとその活用法 【開催地】アクシオン福岡(福岡市博多区東平尾公園 2-1-4) 【受講料】一般:5,250 円、学生:3,150 円 【定 員】各 50 名 【申し込み、問い合わせ先】TNP 事務局 Tel:080-1714-1392 E-mail: [email protected] *NSCAジャパンCEUプロバイダープログラムでは、継続教育の指針に沿うと認定された教育活動を「CEU対象セミナー」とし、CEUを付与します。 NSCAジャパンでは、資格認定者に対し、常に新しい情報を吸収し専門能力をさらに高めるために、継続教育活動を行うことを奨励しています。 NSCA資格認定者は、その資格を保持する条件として、3年毎に1.0∼7.0単位のCEU(継続教育単位)を取得しなければなりません。 *主催者の都合による会場・日程変更、中止等の結果が生じた場合、本会は一切の責任を負いません。 NSCA ジャパン 事務局 Tel: 03-3452-1684 64 http://www.nsca-japan.or.jp July 2008•Strength & Conditioning CEU数 0.6(D)
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