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感じる子ども
私の教え子のある元気な女の子の話です。
私のクラスには、とてもおとなしい女の子がいたのです。1 日中ほとんど話を
することはありません。友達が外で元気に遊んでいる時も、近くで見ているだ
けの子でした。授業中、私にあてられても、小さな声でボソッと言葉を発する
だけでした。
体育の授業で鉄棒をやっている時のことです。逆上がりをやっていたのです
が、そのおとなしい女の子はどうしてもできないのです。みんなで教え合って
ほとんどの子ができるようになったのですが、やっぱりそのおとなしい女の子
はできるようになりません。そしたら、ある男の子が「あいつに教えてもでき
るようにならないよ。」と意地悪なことを言いました。おとなしい女の子は今に
も泣きそうな顔つきになったのです。それを聞いていた元気な女の子は「可愛
そうに、だれにだって苦手なことはある。」
「なんてひどいことを言うのだろう。」
と思いました。
次の日から、元気な女の子とおとなしい女の子の特訓が始まりました。朝、
少し早く来て、鉄棒の練習を始めたのです。1 週間が経ちました。でも、できる
ようになりません。10 日目の朝、やっとおとなしい女の子はくるって回ってで
きるようになったのです。二人の歓声が校庭に響き渡りました。
その次の体育の授業で、おとなしい女の子は、みんなの前で見事に逆上がり
を成功させました。意地悪を言っていた男の子も、黙ってしまいました。後で
聞いたのですが、元気な女の子は「ひどいことを言うなあ、かわいそうだなあ」
って感じたそうです。そして、
「きっとできるようになる」って感じていたそう
です。そう、この女の子の「感じる気持ち」が、おとなしい女の子を変えてい
ったのです。
猿楽小学校の教育目標の一つに「感じる子」があります。この元気な女の子
は友だちの悲しい気持ちを感じることができたのです。そして、
「きっとできる」
と友だちの可能性を感じることができたのです。どうか皆さん、友だちの気持
ちやよいところを感じることができる人になってください。
「感じる子」はその他に季節を感じるとか、日本のよさを感じるとか、食べ
物のおいしさを感じるとかありますね。
「感じる子」は猿楽小学校の教育目標の
一つです。