「火打ち箱」へのリンク - デンマーク語でアンデルセンを読む

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2011年6月 25 日オーデンセにあるアンデルセン博物館近くの「fyrtoejet」にて「火打
ち箱」に登場する兵隊さんと魔女に扮した俳優さん
←アンデルセンが子ども時代を過ご
した家で買ってきた影絵。
「火打ち箱」のお話の影絵です。
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「火打ち箱」の翻訳を終えて
野澤みどり(2011 年8月7日)
デンマークに出発したのが6月 20 日。帰国が7月3日。出発前から読み始めて帰国後
読み終えました。
大畑末吉氏の完訳アンデルセン童話集全7巻の中で、1巻の最初に収められている作品
です。アンデルセンがこの作品を書いた当時はデンマークではアラビアンナイトが流行し
ていたそうです。
「火打ち箱」のストーリーの中にアラビアンナイトにある場面と似ている
箇所が2、3見られます。この作品がドイツで翻訳され人気となり、デンマークでも人気
になったそうです。犬の眼の大きさがとてもユニークだと思いました。
1.兵隊が戦争から帰ってくる場面
2.魔女に出会い、木の洞の中に入る場面
3.魔女に教わった方法で金貨をたんまり獲得する場面
4.魔女から頼まれた「火打ち箱」を魔女に渡さない場面
5.魔女を殺し、
「火打ち箱」と「大金」で豪遊する場面
6.お金は底をつき、貧乏に逆戻りの場面
7.「火打ち箱」の威力を知る場面
8.金持ちにもどり、城のお姫様を見たいと思う場面
9.姫は誰も見ることができないが、犬が城から連れてくる場面
10.姫に恋をした場面
11.女官が後をつけて兵隊の宿を発見する場面
11.犬の機転で兵隊の宿は追跡されない場面
12.女官が粉袋を作って姫の背に付ける場面
13.兵隊が捕まる場面
14.牢屋に入れられる場面
15.靴屋の丁稚に宿に行って火打ち箱を届けてもらう場面
16.処刑寸前に王様の許可を得て火を起こし、犬が飛び出す場面
17.犬が王様夫妻その他の人を粉々にしてしまう場面
18.国民から兵隊が王様にふさわしいと推される場面
19.姫が城から出てきて、2人は結婚する場面
20.犬は結婚の祝いの席で目玉を大きくしていた場面
デンマーク語の勉強に関してはこの作品は繰り返しが多用されていてわかりやすい作品で
した。
アンデルセンの生地オーデンセに行ってきました。
アンデルセン博物館のそばに「火打ち箱」という名前の施設があります。そこではアンデ
ルセンの名作のさわり部分をステージで演じて見せてくれます。
芝生の上に座って、しばし、劇を楽しみました。終わると、俳優たちが写真に応じてくれ
ました。
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火打ち箱
2011 年6月9日から8月4日のレッスンで学びました。
アンデルセン作 翻訳 野澤みどり
兵隊さんが通りかかる・・・魔女、不思議な3匹の犬と「火打ち箱」・・・兵隊さんはお金持ちに
ひとりの兵隊さんが街道にそって行進してきました。「いちにい。いちにい」彼は背中に
背嚢を背負いわきにサーベルを下げていました。彼は戦場にこの前までいたのです。そし
て今家に帰るところでした。そこで彼は街道でひとりの年老いた魔女に出会いました。魔
女はとても醜く、下くちびるが胸まで垂れていました。
魔女は言いました。
「こんにちは。兵隊さん。かっこいいサーベルをさげているし大きな背嚢を背負ってい
るから本物の兵隊さんだね!あんたが欲しいと思うだけのお金が手にはいるよ」
「ありがとう。年取った魔女さん」兵隊さんは言いました。
「あの大きな木が見えるかい」魔女は言いました。そして彼らのわきに立っている木を
指さしました。
「これはまったく中が空洞なんだよ。そこを這い登って行って空洞を見てごらん。空洞
を通って滑りおりられるよ。そして深い底まで行けるよ。あんたのおなかの周りにロープ
を巻いてあげよう。あんたが叫んだらあんたを上にあげられるようにね」
「じゃあなんのためにそこに行かなければならないのかな」兵隊さんは訊きました。
「あんたはお金持になれるのさ」魔女は言いました。
「木の底にあんたが行くと、大きな通路があってそこはすごく明るいよ。なぜなら 100
以上のろうそくが燃えているからね。それからあんたは3つのドアをみるだろう。ドアは
みんな開けられるよ。鍵がついているから。最初の部屋にはいると床の真ん中に大きな箱
が見えるよ。その上に一匹の犬が座っているよ。犬は紅茶カップと同じくらい大きい目を
しているよ。だけどそれを気にかけなくていいよ。わしはあんたに青いチェック模様のエ
プロンをやるからね。それを床に広げな。急いで行って犬を捕まえてエプロンの上に載せ
て箱を開けてあんたが欲しいだけのコインをとりな。コインはみんな銅貨だよ。
もし銀貨がいいなら次の部屋に入りな。一匹の犬が座っているがね。それは水車と同
じくらい大きい目をしているよ。だけど気にすることはないよ。犬をエプロンの上に載せ
な。そしてお金をとりな。
だけど金貨が欲しいなら金貨も手に入るよ。3番目の部屋に入ると欲しいだけ金貨が
手に入るよ。犬がお金の箱に座っていて円塔と同じくらいの目をしているよ。それは本当
の犬だよ。だけど全然気にすることはないよ。エプロンの上に犬を載せな。そうすれば犬
は何もしないよ。箱から好きなだけの金貨を取りな。
「それは悪くないね」兵隊さんは言いました。
「だけど年寄の魔女さん、何をあんたにあげたらいいかな。あんたはおそらく欲しい
ものがあると思うんだけど」
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「いや」魔女は言いました。
「たった一文もいらないよ。古い火打ち箱だけでいいからもってきておくれ。それは
わしのばあさんが最後にそこに下りた時に忘れてきたんだよ」
「わかった。おなかの周りにロープをつけてくれ」兵隊さんは言いました。
「ほら」魔女は言いました。
「これが青い格子柄のエプロンさ」
それから兵隊さんは木をよじ登り、空洞の中を下りて行きました。そして魔女が言った
ように大きな通路に出ました。そこには何百のろうそくが燃えていました。兵隊さんは最
初のドアを開けました。おお!そこには紅茶カップと同じくらいの大きさの目をした犬が
座っていました。そして兵隊さんをにらんでいました。
「あんたは気のいい犬だろ!」兵隊さんはいいました。そして犬を魔女から預かった前
掛けに載せて、ポケットの中に入れられるだけたくさんの銅貨を拾いました。
そして箱を閉めて犬をその上に再び載せて2番目の部屋に行きました。おや!水車と同
じくらいの大きさの目をした犬がそこに座っていました。
「そんなにじろじろ俺を見ないでくれよ」兵隊さんはいいました。
「目が痛くなるよ」そして犬を魔女のエプロンの上に載せました。しかし兵隊さんが箱
の中にたくさんの銀貨を見たときに、兵隊さんは銅貨全部を投げ捨てていました。そして
ポケットと背嚢を銀貨だけでいっぱいにしました。
さて兵隊さんは3番目の部屋にきました。わあ。これはひどい。そこにいる犬は円塔と
同じほどの目をしていました。その目は頭のところで回っていました。あたかも車輪のよ
うに。
「こんばんは」兵隊さんは言って帽子に手を当てました。というのはそのような犬を前
に見たことがなかったからです。しかし兵隊さんが犬を見たとき、もうこれで十分だろう
と思い犬を床の上におろし、箱を開けました。わあ。びっくりです。なんてたくさんの金
貨があるのでしょう。兵隊さんはそれでコペンハーゲン全体が買えます。それに世界中の
すべての鉛の兵隊やケーキ屋さんの豚の形のお菓子やむちと揺れる馬が買えるだけの十分
なお金がありました。兵隊さんはポケットと背嚢にいれたすべての銀貨を投げ捨ててその
かわりに金貨を拾いました。そうなんです。すべてのポケット、背嚢、帽子と長靴を金貨
で満たしたので、兵隊さんはかろうじて歩けました。兵隊さんは犬を箱の上に載せて、ド
アをパンと閉め、木の洞の中に響く声で叫びました。「私を引っ張り上げてくれ。年寄の魔
女さん」
「火打ち箱を持ってるかい」魔女は尋ねました。
「そうだそうだ」兵隊さんは言いました。
「すっかりそのことを忘れてしまった」。そして兵隊さんは行ってそれをもってきました。
魔女は兵隊さんをひっぱりあげて兵隊さんはまた田舎道にもどりました。ポケットや長靴
背嚢、帽子をお金でいっぱいにして。
「この火打ち箱で何をするんかね」兵隊さんは尋ねました。
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「お前には関係ないよ」魔女は言いました。
「もうお金を手に入れたんだろう。とにかく火打ち箱をよこしな」
「意味ないよ」兵隊さんは言いました。
「すぐにお前がそれを何に使うかいうか、あるいはサーベルを抜いてお前の頭をはねる
かどちらかだよ」
「いやだ」魔女は言いました。そこで兵隊さんは魔女の頭をはねました。魔女は地面に
ころがりました。
兵隊はお金の力で、上流紳士に、友人も増えて…でもお金が無くなるのも早い
しかし兵隊さんは魔女の前掛けの中にお金を縛ってそれを束にして背中に背負い、火打
ち箱はポケットに入れてまっすぐ村に行きました。そこはすてきな町でした。いちばん素
敵な宿に入りました。そして一番良い部屋を所望しました。また好きな食べ物を所望しま
した。というのは兵隊さんはいまやたくさんお金を持っていたので金持ちだったのです。
兵隊さんの靴を磨くように頼まれている使用人はこのような金持ちの紳士にしては奇妙
な古めかしい長靴だと強く思いましたが、兵隊さんはまだ新しい靴を買っていなかったの
です。
翌日兵隊さんは長靴を買いました。それにすてきな服も買いました。いまや兵隊さんは
上流の紳士になりました。人々は兵隊さんに町にあるすべてのきれいなもの、王様のこと、
王様のお嬢様がいかに美しいかなどを話しました。
「どのようにしたらお姫様をみることができるのか」兵隊さんは尋ねました。
「決して見ることができないのです」みんな答えました。
「お姫様はまわりにたくさんの壁と塔で囲まれた大きな銅のお城に住んでいます。王様
以外の誰も出てお姫様のところには行けないのです。なぜならお姫様はほんとうに普通の
兵隊と結婚すると予言されていて、王様はそれが気に入らないのです」
「なんとかお姫様をみたいものだ」兵隊さんは思いました。しかしゆるしを得ることは
できませんでした。
さて兵隊さんは楽しく暮らして演劇を見たり、王様の庭園を馬車に乗ったり、たくさん
の金を貧しい人にあげました。それを喜んで行いました。兵隊さんは昔から、お金がない
ことがどんなにたいへんなことが知っていました。兵隊さんは今は金持ちでした。きれい
な服を着てとてもたくさんの友達もできました。友達は兵隊さんのことを楽しいやつだと
か、本当の男だとかいい兵隊さんもそういわれることがうれしかったのです。
しかし毎日兵隊さんはお金を使いお金は入ってこなかったので、2シリングより多くの
お金は手元になくなりました。そして兵隊さんの住んでいた素敵な部屋から出ていき屋根
裏のとても小さな部屋に移らなければなりませんでした。長靴には自分でブラシをかけ針
で自ら補修しなければなりません。兵隊さんの友達はだれも来なくなりました。なぜなら
上らなければならない階段がたくさんあったからです。
火打ち箱が魔法の箱だと分かる・・・ついに兵隊さんはお姫様にお会いできた
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それは本当に暗い夕方でした。兵隊さんはろうそく一本も買えませんでした。しかし兵
隊さんは火打ち箱に小さな燃えさしがあることを思い出しました。火打ち箱は魔女が木の
底に行く手助けをしてくれてそこで手に入れたものでした。
兵隊さんは火打ち箱と燃えさしを取り出し、火を起こしたとき、火花が飛びました。ド
アがぱっと開き紅茶カップの大きさの目をした木の洞の中で見た犬が兵隊さんの前にいま
した。犬は言いました。
「ご主人様、何かご用ですか」
「何かって?」兵隊さんは言ました。
「もし俺が欲しいと思うものが手に入るならなんて面白い火打ち箱だ。お金をもってき
てくれ」兵隊さんは犬に言いました。そして犬は出て行きました。さっと犬は帰ってきて
口にお金がいっぱい入った袋をくわえていました。
兵隊さんはこれは素晴らしい火打ち箱だと分かりました。兵隊さんが一回打つと銅貨の
入った箱に座っていた犬が来て、2回打つと銀貨を持った犬がやって来ました。3 回打つと
金貨を持った犬がやって来ました。
再び兵隊さんは階下の素敵な部屋に移ることができました。よい服を着ました。すぐに
友達全員がこれはあの裕福な男だと分かりました。そして友達は兵隊さんと仲良くしたい
と思いました。
前に兵隊さんは、お姫様を誰も見ることができないのはおかしいと思いました。お姫さ
まはとても素晴らしいとみんな言っています。しかし、お姫さまはいつもたくさんの塔の
ある銅のお城におられるのではそれは意味がありません。
俺はお姫様に会えないのだろうか。そうだ、おれの火打ち箱はどこにあるのだろう。そ
して兵隊さんは一回火打石をたたくとさっと紅茶カップの大きさをした目の犬がやってき
ました。
「真夜中だけど」兵隊さんは言いました。
「お姫様にお目にかかりたい。一目だけでも」
兵隊さんが考えるより前に犬がすぐにドアから出て行ってお姫様を連れてきました。お姫
様は犬の背中に眠っていました。それは本当のお姫様だと誰でもわかるような素晴らしさ
でした。
兵隊さんはお姫様にキスしないではいられませんでした。というのは本当の兵隊だった
からです。
犬はお姫様を連れて戻りました。朝になったので王様と王妃さまはお茶を召し上がられ
たとき、お姫様は言いました。
「夜中におかしな夢を見たの。犬と兵隊さんが出てきたのよ。私、犬の背中に乗ってね。
兵隊に私キスされたわ。」
「それはお行儀のよいお話だわね」王妃様はおっしゃられました。年を取った女官が翌
晩はお姫様のベットのわきで見張りをすることになりました。それは本当に夢なのかそれ
とも何だったのか確かめるためでした。
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兵隊は素晴らしいお姫様に会うことを強く熱望しました。そして犬は夜になるとお姫様
をつれて力の限り走りました。しかし女官はブーツを履いて後について走りました。女刊
はかれらが大きな家に入るのを見たとき「ここはどこだかわかったわ」と思いました。そ
してチョークで門に大きな十文字を書きました。そして家にもどり眠りました。
犬はお姫様を連れて戻りました。しかし犬が見たとき、兵隊が住んでいる家の門に十文
字が書いてありました。犬はチョークを取り出し、町全体の全部の門に十文字を書きまし
た。それは賢い行いでした。というのは女官は正しい門を探すことができませんでした。
全部の門に十字が書いてあったからです。
朝にさっそく王様と王妃様と年寄の女官とすべての侍従たちがお姫さまが居られた場所
を知るためにやってきました。
「あそこだ」王様は十文字の付いた最初の門を見たとき言いました。
「こっちにもありますわ。あなた」王妃さまはいいました。十文字のついた別の門があ
りました。
「しかしこっちにもあっちにもある」みんなが言いました。彼らが見たところの門には
十文字がありました。そこでみんな探すのができないと悟りました。
王妃さまは袋にそば粉を入れて兵隊を探し当てた
しかし王妃様はかしこい女性でした。豪華な馬車に乗っているだけでなくもっと多くの
ことができました。大きな金のハサミを持ってきて絹の大きな生地を切りました。布きれ
を組み合わせて縫って小さなかわいい袋を作ったのです。そして小さな細かいそば粉を入
れてお姫様の背中にくくりつけました。そして仕上げに、小さな穴をあけたのでお姫様が
通る道のり全体に粉がまかれました。
夜に犬が再びやって来て、お姫様を背中にのせ走って兵隊さんのところまできました。
兵隊さんはお姫様が大好きでした。心から王子になることを願っていたのです。つまりお
姫様を妻にしたかったのです。犬はそば粉が城から兵隊さんのいる家の窓までずっとこぼ
れていることを全然知りませんでした。犬はお姫さまを背負って走って城を駆け上りまし
た。
朝になって王様と王妃様はお姫様がどこにいたのかはっきりわかりました。そして兵隊
は捕まえられ牢屋にいれられました。
牢屋に兵隊は座っていました。
「ああ、なんて暗くて退屈なんだ」。人々はかれに言いました。「あしたお前は絞首刑に
なるんだよ」
。そんなことを聞くのはうれしくありません。兵隊さんは宿屋に火打ち箱を忘
れてきました。
火打ち箱から犬が飛び出し、処刑をまぬがれる・・・ついに兵隊さんはお姫様と結婚する
朝になりました。兵隊は小さな窓にある鉄格子から、人々が町から出ていくのを見ました。
それは兵隊が絞首刑になるのを見るためでした。兵隊は太鼓の音を聞きました。そして兵
隊たちが行進するのを見ました。人々は皆走ってその場を離れました。革の前掛けをして
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室内履きを履いた靴職人の見習いが小走りに走ったので、片方の室内履きが脱げて飛び、
兵隊さんが外を見ている鉄格子に当たりました。
「おい、靴やの見習いさん。そんな急がなくてもいいよ。
」兵隊は見習いに言いました。
「わしが行かないと何も起きないよ。だけどわしが住んでいたところまで行ってきてくれ
ないかい。わしの火打ち箱を持ってきておくれ。そうすれば4シリングをあんたにあげる
よ。だけど急がなければだめだよ。
」靴職人の見習いは4シリングが欲しかったのです。そ
して見習いは矢のように飛び出しました。そして火打ち箱を兵隊に渡しました。さあその
先を聞いてみましょう。
街の外では大きな処刑台ができていました。その周りに兵隊たちが立っていました。そ
して数十万の人々、王様、王妃さまが裁判官と顧問官全員の向かい側の素晴らしい玉座に
座っておられました。兵隊さんは階段をすでに登っていました。しかし執行人が兵隊さん
の首にロープを巻きつけようとしたとき、兵隊さんが言いました。
「いつでも罪人は処刑される前に罪のない願いをかなえてもらえるってことがあるけど、
わしは煙草を一服所望したいと思うんだけど」
王様はだめだとは言えませんでした。兵隊は火打ち箱を出して火打石を打ちました。
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2,3」紅茶カップの大きさの眼をした犬と水車と同じ大きさをした目の犬と円塔の大き
さをした目の犬、全部の犬が出てきました。
「絞首刑にならないように助けてくれ」兵隊は言いました。そして犬たちは裁判官と全部
の顧問官たちの脚に突進しひとりは脚をとらえ、またほかの人の鼻にかみつきました。そ
してその人たちを空中高く投げつけたので、取り巻きたちは倒れて粉々になってしまいま
した。
「わしに向かうでない」王様はおっしゃいました。しかし一番大きい犬が王様と王妃様に
かみつきほかの者たちの後ろに投げつけました。兵隊たちは驚き、人々は叫びました。
「兵隊さん。あなたが王様にふさわしい。素晴らしいお姫様と結婚しなさい」そして人々
はかれを王様の馬車に載せました。3匹の犬は前方で踊り、叫びました。
「万歳」
。
男の子たちは口笛を鳴らし、兵隊たちは鉄砲を上に掲げ恭順を示しました。お姫様は銅
でできた城から姿を現しになりました。そして王妃になりました。王妃様もそのことを喜
ばれました。結婚式は8日続きました。犬はテーブルについて大きな目をしていました。
(了)