Ⅱ 木更津市教育研究会 研究・研修記録 造形部会 Ⅰ 部会長 吉野学司 研修主題 きらめく感性 ときめく思い うみだせアート 「自分なりの思いを持ち,深める表現活動」 Ⅱ 研修の内容 1 研修の経過 (1) 6月 7日(土) ○小学校 実技研修 於:久遠窯 ○中学校 実技研修 於:久遠窯 (2) 6月19日(木) ○小学校 作品合評会 於:南清小学校 ○中学校 版画実技研修 於:太田中学校 (3) 8月18日(月) ○小学校 人物写生会 於:君津教育会館 ○中学校 人物写生会 於:君津教育会館 (4) 8月22日(金) 於:平川公民館(四市合同開催) ○講演 「生徒の感性を育む学校教育におけるインスタレーションの可能性」 (含:実技研修) 講師 高須賀 昌志先生(埼玉大学教育学部美術教育講座教授) (5) 10月31日(金) ○木更津市小・中学校図工・美術作品審査会 於:高柳小学校 (6) 11月 6日(木) ○小学校 研究授業 於:岩根小学校 授業者 岩根小 松盛ひろ子先生 ○中学校 研究授業 於:木更津第二中学校 授業者 木二中 上田順次先生 2 研修の内容 (1)実技研修について *ひもづくりで器を制作し,赤土に白化粧技法で加飾をした。昨年度と同様,久遠窯の 陶芸家鎌田浩作氏のご指導のもと,和気あいあいとした雰囲気で充実した研修となっ た。 (2)作品合評会・実技研修会について *小学校 1年~6年の日頃の実践を持ち寄り作品鑑賞を行った。平面・立体作品ともに多く 持ち寄られた。絵の具の使い方の指導方法や,児童への言葉かけをどのようにした らよいかなど,活発に意見が交わされ授業を見直すよいきっかけになった。 *中学校 版画実技研修を行った。メディウム版画という新たな版画に触れる良い研修になっ た。授業へと生かせる内容であった。 (3)人物写生会について *小・中学校共に地方造形部会主催の人物写生会に参加した。鉛筆や,コンテ,水彩, 油絵など思い思いの画材で女性モデルを描いた。講師の先生方にていねいに指導して いただき,基礎となるデッサン力を高めることができた。人物画は描く機会が少ない ため,貴重な機会となった。 - 76 - Ⅱ 3 研究授業 <小学校> 題材名 木更津市教育研究会 「光と時間のアート」(造形遊び) 授業者 岩根小学校 研究・研修記録 松盛ひろ子先生 (1)題材の目標 ○懐中電灯の光を使って表現するおもしろさに気付くことができる。 (関心・意欲・態度) ○光の軌跡を予想しながら,特徴を生かした表現をイメージできる。(発想・構想) ○場の設定を工夫し,楽しみながら活動できる。(創造的な技能) ○他の班の良さや工夫を感じることができる。(鑑賞) (2)展 開 時配 学習内容と活動 言葉かけ「」指導内容○ 評価◎ 資 料 5 1, 前時までの学習を振り返る。「前回の活動を振り返ってみよう」 前の活動の写真 ○前回の活動を振り返る。 プロジェクター 5 2,本時の活動の確認 スローシャッターを使って,光で遊ぼう! 「グループで協力して様々な表現をしてみよ う」 ○参考作品を見せる。 (イメージ化) ○個人の表現の集合で,グループの表現を創 造させる。 カメラ6台 25 3,撮影開始 ○何秒か数えながら表現することで見通しを スクリーン ・アイディアを紙に描き,各分 持たせる。 B4用紙 担を決める。 ○カメラは各グループに一台準備し,何度で ペン (グループ活動) もチャレンジできるようにする。 懐中電灯 シャッタースピード6秒 ○他のグループの活動を参考にしてもよい。 カラーセロハ ○場の設定を工夫させる。 ン 跳び箱やマットなどを使っても良いことを 跳び箱 伝える。 マット ◎懐中電灯の光の軌跡で表現することを楽し 台など むことができる。 (観察) ◎光の軌跡を予想しながら,特徴を生かした (全員で活動) 活動を考えることができる ・全員が一斉に懐中電灯を持 (観察) ち,撮影する。 ○懐中電灯は途中で消したりつけたりしても シャッタースピード15秒 良い。 7 4,鑑賞する ○体育館全体に大きく広がらせ,活動させる。 ○スクリーンに各グループの活動を映し,そ れぞれのおもしろさや良さを発表し合う。 ◎活動の楽しさや,各グループの工夫や良さ を感じ取ることができる。 (発表) 3 5,片付けをする。 参考:「光のえんぴつ,時間のねんど」図工とメディアをつなぐ特別授業 岩井俊雄 (3)協議 ・シャッターを切らなくても,動きだけでもきれい。動画でも。 ・本時では時間がなかったことと,パソコンが上手く作動しなかったことで,鑑賞する - 77 - Ⅱ 木更津市教育研究会 研究・研修記録 ことができなかったが,班でのベストショットをあげてみたり,ストーリーを考えて みたり,見立てもできる。次につながる活動がたくさんある。 ・今後,まだまだ活動を広げることができる題材である。 Ⅲ 成果と課題 1 研修成果 (1) 6月の市研で小・中学校合同で陶芸の研修ができたことは,親睦を図る上で良かっ た。毎年久遠窯での研修を重ねてきたことで,制作手順の理解が深まり,新しい作 品作りに挑戦することができた。8月の人物画の実技研修会も合同で行ったが,お 互いに研鑽し合いながら制作に取り組めた。 (2) 中学校では,版画の実技研修を行った。材料も技術開発が進み,生徒の感性を育て る題材や表現方法を工夫できる素材であった。 (3) 11月の授業研では,小学校では「光と時間のアート」という題材で,中学校(四 市合同)では「粘土によるクロッキー」という,いずれも生徒の感性を刺激する優 れた授業が展開された。上田先生の授業では,鳥獣人物戯画の映像を導入に使い, 生徒の関心を高め,粘土による人物のクロッキーの授業が行われた。小学校の研修 では,デジタルカメラのスローシャッターを使った,光の軌跡を楽しむという造形 遊びが行われた。今までにない新しい造形遊びだったので,今後の活動の広がりを 考え合う意見が交わされた。小・中学校共に大変充実した研修の場となった。 2 今後の課題 (1)10月末に行われた図工・美術作品審査会では短時間題材でも生徒の感性が優れてい るものを選ぶという昨年度と同様の基準のもとで審査が行われた。小学校では昨年度 と同様7人の講師の方に審査していただき,丁寧に作品が選出され,先生方の有意義 な研修の機会となった。簡単な題材と長時間かけて制作したものとを比較することは やはり困難である。限られた時数の中でいかに児童・生徒の感性を引き出し,どのよ うにして教師が価値観を共有するのかが課題である。 (2)昨年度より図工・美術審査会の運営を市研事務局が担うことになった。各市会ごとに 担当者を決め,全員で市研を運営していく体制をとった。大変有効であり,全員で研 修する意識が高まってきている。しかし,審査会や市内作品展などにおいては,まだ 完全にセンター主催から切り替わってはいない。市研事務局の役員体制を変化させつ つ,部会全体で運営する体制の構築が今後の課題である。 - 78 -
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