第一席 姿勢 山下 成葉

第一席
姿勢
福岡県立筑紫中央高等学校二年(福岡県)
山下 成
葉
てもらった。しかし、多勢の視線に舞いあがってしまい、茶筅を落
としたりとミスをしてしまった。あせった私はその時ふと先生のア
ドバイスを思い出した。すると「お客様の為に点てよう」と思った
途端、頭の中がすっきりとしてきた。そうして無事お点前を終える
事が出来た。不思議な事に、後半は自信を持ってお点前する事が出
来た。その時に祖母の言っていたことが分かった。冷静になれば自
然と手が動くほど無心で一つの物事に向かう事、それが茶道をやっ
せるものだ。これからも茶道を続け、成長し続けていきたいと思っ
てきて自然に身についていた。その事を私はその時理解した。それ
茶道をする事で学べる事の一つである姿勢。その姿勢を良くする
という事には二つの意味がある。その事を私に教えてくれたのは祖
た。
と同時に私は茶道のすばらしさを再確認した。茶道とは人を成長さ
母だった。茶道を始めてしばらくして、私は祖母の家を訪れた。そ
の時祖母は私に「姿勢が良くなったね」と言ったのだ。部活で教わっ
たのだと返すと、祖母は「ほんとに立派になった」とだけ言い、た
だ微笑んだ。それから数ヶ月後、同級生に姿勢について誉められた
時、ふと祖母の事を思い出して疑問に思っていた。姿勢が良くなっ
た事の何が立派なのかがよく分からなかったのだ。なので、祖母の
家へ行った時に聞いてみると、
「姿勢っていうのは体の構え方を表す
言葉でもあるけれど、心の構え方や物事に対する態度についても表
すんだよ。そのどちらもが茶道を始めてとても立派に成長した。だ
からそう言ったんだよ」という言葉が返ってきた。私はこの言葉を
聞いて、納得すると同時に混乱した。心構えなどと言われても、まっ
たく意識した事がなかったからだ。しかし、祖母の言った事が身に
沁みる出来事があったのだ。二年生になり、お点前もだいぶ覚えた
頃、文化祭で亭主をする事になった。必死で覚えて、いざ本番とい
う時、先生に「お客様を思ってお点前しなさい」とアドバイスをし