講義題目 WKB 法と固有値・レゾナンスの漸近分布 講義概要・目標 本講義では、シュレディンガー方程式の漸近解(WKB 解)の構成と、それを用いた固有値やレゾナンスの漸近分布につい て解説する。 シュレディンガー方程式は、プランク定数と呼ばれる小さな定数 h を含む。これを小さなパラメータとみなし、h → 0 におけるシュレ ディンガー方程式の解や固有値、レゾナンスの漸近挙動を調べるこ とを準古典解析とよぶ。準古典極限において、量子力学は古典力学 と繋がる。 WKB 解は h のべきで展開された漸近解であるが、一般に発散級数 である。そのため、局所的には真の解の良い近似になっているもの の、対応する古典力学系のコースティクスや不動点(一次元の場合 は変わり点)において漸近挙動が不連続的に変わってしまう(ストー クス現象)。こうした点(集合)における漸近解の接続のルールが わかれば、解の大域的な漸近挙動がわかり、固有値やレゾナンスの 分布が調べられる。 講義では、最も簡単な例であるエアリ関数、ウェーバー関数の漸近 展開から初めて、ボーア・ゾンマーフェルトの量子化条件、連立の 一次元シュレディンガー方程式、多次元におけるホモクリニックな 軌道が生成するレゾナンスの量子化条件など、具体的な問題をいく つかピックアップして、WKB 法の様々な利用方法を概説する。 成績評価方法 出席およびレポート 1
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