資 産 ・ 負 債 の 時 価 評 価 方 法 の ポ イ ン ト

特集 基準改正で乖離が広がった!?
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持分法の場合は部分時価評価法
資産・負債の
時価評価方法のポイント
新日本有限責任監査法人
鶴田 琴子
公認会計士
相当する部分については被投資会社
の個別貸借対照表上の金額のままと
するものである。この部分時価評価
法は、投資会社による株式の取得の
結果、投資会社が保有する持分を重
視する考え方であり、株式の取得価
額がその時点ごとにおける被投資会
社の資産および負債の時価を反映し
て決定されているはずであるという
見方に基づいている
(資本連結実務
項)。
ち、被投資会社の資産および負債を
資本連結または持分法の適用に先立
連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に お い て は、
ある。この全面時価評価法は、投資
評価額
(時価)により評価する方法で
負債のすべてを支配獲得日の公正な
部分を含め被投資会社の資産および
おいて、非支配株主持分に相当する
全面時価評価法とは、支配獲得日に
設例1をご参照いただきたい。
ている。具体的な会計処理は、後掲
照表上の金額によることも認められ
負債は、時価評価せずに個別貸借対
価差額に重要性が乏しい資産および
被投資会社が企業集団に含まれるこ
価 評 価 法 が 支 配 権 を 獲 得 し た 結 果、
用されるのは、前述のとおり全面時
子会社の場合と異なる評価方法が適
持分法適用関連会社において連結
指針
公正な評価額
(時価)
にて評価する手
会社が被投資会社の支配権を取得し
結子会社の資本とされる。また、評
続が行われる。本稿においては、被
た結果、当該会社が企業集団に含ま
項 )。
投資会社の資産および負債の評価方
れることになった事実を重視する考
に て 行 わ れ る( 連 結 会 計 基 準
法について、連結子会社の場合と持
え方であり、一度取得した支配権に
持分法の適用においても部分時価評
はじめに
分法適用関連会社の場合における相
ついては時価の変動による再評価は
関連会社の資産および負債の評価は
価法により認識された持分法適用関
一方、持分法適用関連会社の場合、
による評価額と、当該資産および負
連結子会社の資産および負債の時価
全面時価評価法により認識された
株式の取得日ごとに当該日における
資会社の持分に相当する部分のみを
投資会社の資産および負債のうち投
針 6 項 )。 部 分 時 価 評 価 法 と は、 被
適 用 関 連 会 社 の 資 本 と さ れ、 ま た、
る税効果額を控除したうえで持分法
価差額」)は、原則として、これに係
別貸借対照表上の金額との差額
(「評
る評価額と当該資産および負債の個
なお、連結子会社の場合と同様に、
によるものであるといえる。
ることは適切ではないという考え方
においては全面時価評価法を適用す
め、支配を獲得していない関連会社
とになった事実を重視しているた
違点を、設例等を交えて解説する。
必要ないという見方に基づいている
部 分 時 価 評 価 法 に て 行 わ れ る( 持 分
持分法適用関連会
社の場合~部分時
価評価法~
また、文中意見に係る部分は、筆
項、 資 本 連 結 実 務
者の私見である旨、あらかじめ申し
項)。
連結子会社の場合
債の個別貸借対照表上の金額との差
公正な評価額(時価)により評価する
指針
~全面時価評価法~
額
(
「評価差額」)は、原則としてこれ
添える。
連結子会社の場合、子会社の資産
評価差額に重要性が乏しい資産およ
26
(連結会計基準
連会社の資産および負債の時価によ
58
法会計基準 ―2項、持分法実務指
20
方法で、投資会社以外の株主持分に
61
に係る税効果額を控除したうえで連
58
および負債の評価は全面時価評価法
経理情報●2015.4.20
(No.1411)
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Ⅱ
持分法と連結はここがこう違う