意 思 決 定 に 必 要 な 情 報 の 把 握 に 向 け た 取 組 み

事業部門や配下の連結グループ会
となる。
績管理の体系としくみを構築する要
のまま投下資本効率性指標による業
中心としたシステムとプロセスはそ
業のキャッシュ・フローを管理する
年頃から運転資本=投融資を除く事
いて目標管理してきたが、2010
などの回転期間・率などの指標を用
には売掛金回転期間や在庫回転期間
点はビジネスパートナーとの協業の面
仕入債務の支払を遅らせること
(この
売 掛 金 回 収の早 期 化、 在 庫の圧 縮、
CCCの値を小さく することは通常、
状 態であ り、キャッシュは増 加 す る。
ローが増加することであり、事業価
チ ェ ー ン に お け る キ ャ ッ シ ュ・ フ
は増大する。これは事業のバリュー
付 )は 減 少 し、 結 果、 R O I C の 値
資 本( 親 会 社、 本 社 か ら の 投 資・ 貸
産が一定の場合、事業に必要な投下
値の向上につながる。ROICの向
で難点はある)
、または売上の回収を
直接キャッシュで行うようにビジネスモ
指 標 と し て C C C( キ ャ ッ シ ュ・ コ
ン バ ー ジ ョ ン・ サ イ ク ル )が 注 目 さ
上において最も重視され、事業活動
社の成果指標としての目標値が設定
されればそれを実際のビジネスの組
デルを 変 更 させるな どの取 組みによ
関連の指標であるが、CCCは事業
れ、 利 用 さ れ る よ う に な っ て き た。
CCCについて投下資本効率性の
遂行の現場で使用できる財務関連指
織、現場
(業務プロセス)
、必要に応
CCCの値は小さい程、資金効率が
視点でみるとどうか。CCCの値が
標かつ事業価値の向上につながる先
の現場で重視される成果指標は損益
の概念図のとおり具体的にはROI
向上、すなわちキャッシュ・フローの改
小さくなることは事業負債が事業資
行指標として非常に有用である。
り実現できる。
C、売上高、利益など成果指標を定
善となり、CCCがマイナスの状態は
産に対して相対的に増加することで
CCCは図表9の式で表される。
義し、さらにそれを達成するために
債 権、在 庫からの資 金の回 収より 負
あり、ROICの算定において総資
じ個人レベルまで展開する。図表9
必要な施策・プロセスについてKP
債 支 払のための資 金の支 払が遅れる
投資家、株主の多くは株主価値向上
計 算 書 中 心 の マ ネ ジ メ ン ト を 行 い、
し か し、 2 0 0 7 年 に は じ ま っ た
売上高と利益を増大させていれば大
かったことにより、システムをはじ
リーマンショックによる世界的な景
を そ こ ま で を 求 め て い な か っ た し、
意思決定に必要な情報の
把握に向けた取組み
将来予測と連結レベルの製品別収益性
I
( 財 務・ 非 財 務 数 値 に よ る 成 果 指
標および先行指標)
をセットし、
日々
の業務の目標管理を通じて業績の向
上を図ることとなる。日本企業が長
く取り組みかつ多くの企業が実行し
ている領域である。
CCC:キャッシュ・
コンバージョン・サイ
クルとROIC
事業やその他の投融資への投資意
めとする業績管理や情報収集のしく
気後退は日本企業のマネジメントに
きな問題は起きなかった。
結局のところ、ROEを初めとす
みの整備に投資をする、という動機
大きな影響を与えた。経済や事業の
経営者もその必要性を感じていな
る企業価値や株主価値に立脚した経
が低かったからである。経営者は伝
急激な変化が生じている状態におい
それでもやはり
重要なのは収益力
であり、実際の事業遂行の現場にお
営手法が日本企業に浸透しなかった
統的な実績に基づく予算管理、損益
トップマネジメントやCFOの役割
いてコントロール可能な範囲は通
のは、外国人株主を除く日本市場の
思 決 定 や 財 務 レ バ レ ッ ジ の 検 討 は、
Ⅳ
常、運転資本の範囲である。伝統的
前述のとおり、企業グループ全体の
パート
22
経理情報●2016.2.20(No.1438)