- 0 - 岩井 邦久 教授 (農学博士) 弘前市出身 【担当

栄養学科・教員紹介
いわい
くにひさ
岩井 邦久 教授 (農学博士) 弘前市出身
【担当科目】
食品学総論, 食品機能論, 食品学実験I, 食品学実験III, 栄養科学総合演習, 卒業研究,
大学院 (基礎栄養学特論, 健康栄養科学特別講義, 健康栄養科学特別研究など)
【主な研究・指導内容】
1. 食品の生理機能 (身体の調子を整える作用) と機能性成分 (ポリフェノール等) の研究
2. 機能性成分の体内での挙動 (吸収・代謝・排泄) に関する研究
3. 地域食資源の生理機能の探索・解明と高付加価値化による産業振興への寄与
●地域食資源から生理機能と機能性成分の探索・
解明と高付加価値化の推進
【キーワード】アピオス, ホヤ, カワラケツメイ, ツルアラメ, 血圧,
脂質低下, 血糖, 肝機能, 抗酸化, ペプチド, ポリフェノール
●研究室の様子
●りんごペクチンの吸収促進作用に関する研究
【キーワード】ペクチン, 吸収・代謝, フラボノイド, 抗酸化
●ガマズミ果実の抗酸化作用, 機能性成分の研究と
有効利用, 産業化の推進・普及
【キーワード】抗酸化, ポリフェノール, 事業化, 血糖, 種子
岩井研究室は、食品の研究を通じて地域社会に貢献
することを目指しています。その全体テーマは「地域
の食資源から生理機能および機能性成分の探
索・解明と体内動態の解明」です。大学院生, 4年生,
3年生がペクチン, ホヤ, カワラケツメイを各自の研究
テーマとして毎日精力的に実験しています。 研究だけでなく開発や普及にも携わるため、展示会
等にも出展します。新商品など食べる物には事欠かな
いことも研究室の特徴です。
●大学は美味しい!!フェアにて
●研究室メンバー (14年度) 【これまでの主な卒業研究, 修士論文, 博士論文テーマ】
●ガマズミに含まれる抗酸化成分の構造と抗酸化作用. ●ガマズミ種子油の生理作用に関する研究. ●褐藻ツルアラメのα-グルコシダーゼ阻害
作用とその作用成分に関する研究. ●アピオスの生理機能および活性ペプチドに関する研究. ●アピオス花の生理作用および作用成分の解明な
らびに有効利用に関する研究. ●ペクチンのフラボノイド吸収促進作用に関する研究. ●ポリフェノール類の生体利用性に及ぼす難消化性糖質の
影響に関する研究. ●肥満型糖尿病における陸奥湾産マボヤの生理作用に関する研究. ●陸奥湾産マボヤの新規生理活性の探索. ●アルコ
ール性肝障害ラットにおけるカワラケツメイの生理作用に関する研究. ● XYZ抗酸化活性測定法とβ-カロチン/リノール酸抗酸化活性測定法の比較.
●地域食資源から生理機能と機能性成分の探索・解明, 高付加価値化の推進
【県産食資源の研究と高付加価値化・・・企業と連携】
県産食素材を使った健康志向食品の開発に寄与する研究をしています。
■アピオス (マメ科のイモ)・・・ 『アピオ酢in青森りんご』の開発
私たちは、五戸町特産のアピオスというマメ科のイモに血圧を下げる作用を見
出しました。その成果を基に企業と検討を重ね、低カロリーのアピオスこんにゃ
くや豆腐の開発に成功しました。また、薬に匹敵する活性を持ったペプチドを発
見して特許を取得するとともに、企業と共同で日本初のアピオス入飲料を開発し
ました。さらに、アピオス花にも血糖降下作用を発見し、研究しています。
【論文など】■ Kawamura, 他: Effects of ingestion of Apios americana flower as a food material on safety and
plasma glucose level in normal and diabetic mice. Food Sci. Technol. Res., (in press). ■ Kuramoto, 他: Angiotensin-converting enzyme-inhibitory peptides isolated from pepsin hydrolyzate of Apios americana tuber and their
hypotensive effects in spontaneously hypertensive rats. Food Sci. Technol. Res., 19, 399-407, 2013. ■ Iwai, 他:
Antihypertensive and hypolipidemic effects of tuber of Apios americana Medikus in SHR. Comprehensive Bioactive
Natural Products, p.167-181, 2010. ■ Iwai, 他: Ingestion of Apios americana Medikus tuber suppresses blood
pressure and improves plasma lipids in spontaneously hypertensive rats. Nutr. Res., 27, 218-224, 2007. ■特許
第5060741号: アピオスの酢酸・酵素処理物製造方法、アピオス由来ペプチドおよびその製造方法. ■カワラケツメイ
野辺地町で栽培を進めているカワラケツメイ。私たちはカワラケツメイの肝機
能や脂質代謝に対する作用を研究しています。
■ホヤ
陸奥湾でも獲れるホヤ。青森市はホヤの産地化に取組んでいます。そこで、私
たちは青森市と協力してホヤから健康に有益な新しい生理機能を探索し作用成分
を解明する研究を行っています。
■ツルアラメ (海藻)
十分に利用されていない海藻から血糖低下作用と活性成分を発見しました。
現在は、他の生理作用やポリフェノール成分を研究
しています。
【論文】■ Iwai: Antidiabetic and antioxidant effects of polyphenols
in brown alga Ecklonia stolonifera in genetically diabetic KK-Ay
mice. Plant Food Human Nutr., 63, 163-169, 2008.
●野辺地町のカワラケツメイ
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●陸奥湾のマボヤ
栄養学科・教員紹介
●りんごペクチンの吸収促進作用に関する研究
●ガマズミに関する研究と地域貢献活動
優れた機能成分でも体に吸収
されなければ保健効果は享受で
きません。
私たちは、りんごのペクチン
にフラボノイドの吸収を高める
効果を発見しました。そこで、
■濃度測定
機能性成分 (特にポリフェノー
ル) の体内動態 (吸収, 分布, 代謝, 排泄) を解明するととも
に、ペクチン等の食物因子が機能性成分の吸収や生体利
用性を高める作用と、そのメカニズムや相乗効果を研究
しています。
【論文など】 ■ Nishijima, 他: Chronic ingestion of apple pectin can enhance
the absorption of quercetin. J. Agric. Food Chem., 57, 2583–2587, 2009.
■ Nishijima, 他: Simultaneous ingestion of high methoxy pectin from apple
can enhance absorption of quercetin in humans. Br. J. Nutr., (in press).
■特許第56978341号: ケルセチン生体吸収促進剤.
●その他の食資源
青森県には、カワラケツメイのようなあまり知られて
いないけど価値がありそうな食資源が豊富にあります。
私たちはこのような素材の研究を通じて生理機能を付加
価値とした産業振興や地域住民の健康に役立てることも
大きな使命です。
この観点から、地域特有の食資源や健康資源を掘り起こ
す調査と研究を行っています。
マタギに重用された紅いガマズミ果実を
15年以上研究しています。その結果、ビタミ
ンCやポリフェノールが多く、動物試験等で
抗酸化作用や血糖抑制作用を明らかにしまし
た。今では三戸町の特産品となったガマズミ
果実の機能性研究・製品開発・素材開発を地元
企業や生産者と一緒に行っています。
【ガマズミ活用研究会 (代表)】
2007年11月に研究会を設立し、ゼリー, ぽん酢や
リキュール等8製品を開発・発売しました。新たな
研究の展開, 開発の促進とともに、県内で健康教室
を開催し地域貢献にも力を入れています。全国規
模の展示会にも出展し好評を得ています。
【論文など】 ■特許第4324674号 ■岩井, 他: ガマズミ
果実 (神ッ実) の機能性と応用開発. FOODSTYLE21, 15,
35-37, 2011. ■岩井, 他: ガマズミ果実搾汁残渣から分
離した果肉皮粉末の血糖上昇抑制および抗酸化作
用. 日本食品科学工学会誌, 58, 413-420, 2011. ■ Iwai:
Healthy benefits and bioactive phenolic compounds in the
fruit of Viburnum dilatatum Thunb. Recent Progress in
Medicinal Plants, Vol.23, pp.121-140, 2008. ■岩井, 他:
ガマズミ果実のポリフェノールおよびラジカル消去
活性の季節変動. 日本食品科学工学会誌, 58, 21-25,
2011. ■ Iwai, 他: α-Glucosidase inhibitory and antihyperglycemic effects of polyphenols in the fruit of Viburnum
dilatatum Thunb. J. Agric. Food Chem., 54, 4588-4592,
2006. ■岩井, 他: ガマズミ果実搾汁残渣からの果肉
皮分離法の開発とそのラジカル消去活性. 日本食品
科学工学会誌, 58, 440-445, 2011.
【有効利用の研究】
●生理機能性の基礎研究と人材育成
食資源の研究や開発を行
うためには、分析・評価等
の基盤技術が必要です。研
究室では、抗酸化活性や生
理活性の評価法、機能性成
分の分析法等も研究してい
ます。 特に、大学院ではこの様な技術や知識を習得し、自ら
研究できる人材を育成しています。食品企業の研究員も
学位を取得するなど、高度な研究と教育を行っています。
果汁の他に、残渣も利用できます。果肉皮や種
子の生理機能の研究や素材開発も進めています。
【学生へのメッセージ】
ガマズミ料理レシピ
食品科学の学問と研究は管理栄養士の仕事だけでなく、
食品の栄養・嗜好・生体調節に関する研究、食品の加工や
製品開発などにも重要です。
保健大学で『食』を学び、研究し、一緒に明日の『食』
を創り上げよう!
●学外での活動など
食農連携コーディネーター*, 青い森の食材研究会,
青森市水産振興協議会, 知的財産活動など。
*社団法人食品需給研究センター登録.
●プロフィール・その他
東北大学大学院博士課程修了後、製薬企業・研究所入社、青森県の研究機関を経て、2005年より保健大学。
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