講義資料 - 北海道大学工学部

応用マテリアル工学コース
材料物性学講義資料
http://loamm-ms.eng.hokudai.ac.jp/member/member_hasimoto.html
北海道大学大学院工学研究院材料科学専攻
橋本直幸
1
1st
格子振動
~結晶中における原子の振る舞い~
ある温度において熱振動
平衡点において単振動
格子振動(Lattice Vibration)
3.1 原子間ポテンシャルエネルギー (Vt)
隣り合った格子点の原子間
引力 (Attractive Force)
斥力 (Repulsive Force)
Va
Vr
Va = -A/rn
Va = B/rm
2
1st
全原子間ポテンシャル Vt
Vt のもとで原子間に働く力 F
Vt = Va + Vr = -A/rn + B/r m
F = -bu
F
V
Potential Energy
Vr
V
V = (b/2)⋅u2
r0
F = -bu
V近
r
0
0
0
u
u
Va
3
1st
ばねとおもり
Newtonの第一法則: 慣性の法則
F = ma
Newtonの第二法則:
物体が力を受けると、その力の方向に
加速度を生じ、その加速度の大きさは
力の大きさに比例し、物体の質量に
反比例する.
Hookeの法則:
F = -bu
一次元調和振動
変位:u
時間:t
Newton’s Law: F = ma
Hooke’s Law: F = -bu
速度: v = du/dt
加速度: a = d2u/dt2
u(t) = Asin(ωt + α) または
u(t) = Aei(ωt+α) の虚数部
(A,αは任意の定数)
4
2nd
一次元格子振動 (1種原子)
Model
un-1
un
n-1
n
un+1
n+1
a
u: 平衡位置からの変位
t: 時刻
M: 原子の質量
a: 格子定数
b: ばねの力定数
ω
a
(4b/M)1/2
M(∂2un/∂t2) = b(un+1 – un-1 + 2un)
un(na,t) = Aei(ωt+qna)
q: 波数
ω: 角振動数
(-2π/a)
ω=
(-π/a)
第二
0
(π/a)
第一ブリユアン・ゾーン
(2π/a)
q
第二
(4b/M)1/2|sin(qa/2)|
5
3rd
一次元格子振動 (2種原子)
Model
M
m
a
un-1
vn-1
un
vn
un+1
vn+1
u: 平衡位置からの変位
t: 時刻
M, m: 原子の質量 (M>m)
a: 格子定数
b: ばねの力定数
格子定数
ω
M(∂2un/∂t2) = b(vn+1 – vn-1 + 2un)
m(∂2vn/∂t2) = b(un+1 – un-1 + 2vn)
un(na,t) = Aei(ωt+qna)
vn(na,t) = Bei(ωt+qna)
q: 波数
ω: 角振動数
(2b((1/M)+(1/m)))1/2
ω+ : Optical Transverse wave
(2b/m)1/2
(2b/M)1/2
ω- : Acoustic Transverse wave
q
0
(π/a)
ω2 = b((1/M)+(1/m))±b(((1/M)+(1/m))2-(4/Mm)sin2(qa/2))1/2
6
4th
固体の比熱
固体では,原子どうしがバネでつながっていて,平衡な
位置のまわりで微小振動をしているとする.
1つの原子には x,y,z 方向の3つの運動があるので,
1モルの中には 3NA 個のバネがあり、1つのバネには
kT のエネルギーが等分される.
1モルの固体の全エネルギー
E=3NAkT=3RT
固体のモル比熱 = 3R = 5.93 cal/mol⋅K
固体の比熱の問題点
エネルギー等分配則 によって,比熱は 原子の運動から うまく説明ができる
ように 見え、高温の場合には問題がないが、低温の場合には成立しない。
(固体 のモル比熱は0 K に近くなると 限りなく 0 に近づく)
古典論ではうまく説明できない。
7
4th
原子模型の推定
α粒子の散乱に関する知見
1. 入射したα 粒子の大多数は そのまま直進し散乱しない
2. ごくわずかであるが大角度(90~180O)の散乱が起きる
3. 散乱の大きさ (散乱の起きる確率) は原子量に比例する
J.J. トムソンのレーズン・パン模型
大きさが約 10-10 m 程度のプラスに帯電した 球形
の連続的なパン生地の中に乾ぶどうが如く電子が
散らばっている
ラザフォードの有核原子模型
原子内の陽子は中心付近に局所的に存在し、
陽子とα 粒子のプラス電荷とがクーロンの斥力で
反発しあう結果、α 粒子の大角度の散乱が起きる
8
4th
ラザフォードの原子模型の問題点
ラザフォードの有核原子模型 → 原子核の周りを電子が回転運動
クーロン力 と 電子の回転運動による 遠心力 とのつり合い?
原子の半径は 電子の速さの2乗に 反比例 → 原子は任意の大きさをもてる
1
実際の原子サイズは一定
加速度をもって 運動する荷電粒子は 電磁波を放射しエネルギーを損失
速さ は減少し上式は不成立
原子の崩壊
2
実際の水素原子は 安定
9
4th
ラザフォードの有核原子模型の困難
「原子の安定性に関する困難」
ラザフォードの有核原子模型では、+Zeの電荷をもった重い原子核 が原子
の中心にあり,その周りを軽い電子が取り巻いて運動している
3
この構造自体が不安定
「原子のスペクトルに関する困難」
放電管や種々の物質の電極の 間に高電圧をかけて放電させたとき放射さ
れる光は,その物質に特有の線スペクトル(決まった波長の光)を示す.
4
原子模型を考え,古典論に従えば,
原子は線スペクトルではなく,広がりをもつはず
10
4th
ボーアの原子構造論
ラザフォードの有核原子模型 + 新しい仮説
↓
ボーアの量子論
ボーアの量子論 仮説
1 原子は飛び飛びの値のエネルギーをもった状態でのみ存在し、
原子が光を放出・吸収するのは定常状態を遷移するときのみ
2 定常状態間の遷移によって放出・吸収される光の振動数nは,
振動数条件(hn=E’-E”)によって決まる
3 定常状態において電子は古典論の法則に従い,古典論で許され
る可能な運動のうち,量子条件(∫pdq=2pap=nh: hはプランク定数)を満す
状態のみが定常状態として許される
11
5th
結晶中のポテンシャルエネルギー
ボーアの理論
ラザフォードの原子模型
定常状態において電子は古典論の法則
に従い,量子条件を満して運動する.
量子条件: 2prmv = nh
v = nh/mr
陽子は中心に局所的に存在し、電子の回転
運動による遠心力とクーロン力がつり合う.
遠心力 = mv2/r
クーロンの斥力 = -Zq2/4πε0r2
原子半径: r = (4h2πε0/mq2)⋅(n2/Z)
Z=1, n=1 のとき
r = 0.529Å
水素原子の半径(ボーア半径)
12
5th
ド・ブローイの物質波
古典論における光子 (Photon)の発見→光は波動性と粒子性の2重性を持つ
ド・ブローイ の逆転の発想
電子や陽子のような 物質粒子は, ときに波動性を持つ
ド・ブローイ波 (物質波 )
アインシュタインの関係(E=hn, h=pl)を物質波に応用
量子条件: (2pa)p=nh
アインシュタインの関係: h=pl
2pa = nl
光も物質もともに粒子であり波動 である
13
5th
エネルギー量子の発見
物質や電気は不連続な基本単位の集合体 → 「原子的性質」
エネルギーの「原子的性質」 → エネルギー量子(Phonon)
エネルギーもまた 不連続であり,hnという エネルギー素量が存在
(振動数nを もつ固有振動のエネルギー E = nhn (波長の整数倍)
アインシュタイン と デバイ による比熱の再現
仮定: 振動数nの固体の固有振動 のエネルギーはhnを単位として
その整数倍しか許されない
低温の領域を含む全ての温度領域で固体の比熱を再現可能
「エネルギーの原子的性質」は固体においても成立
14
6th
シュレディンガーの波動力学(量子力学)
シュレディンガー方程式の最も簡単な解(自由粒子の波動関数)
Point 1
波動関数 は一般に複素数
シュレディンガー方程式の一般解
Point 2
量子力学の基本方程式であるシュレディンガー
方程式が決定するのは波動関数であり、
波動関数からわかるのは粒子の存在確率である。
15
6th
参考:シュレディンガー方程式の導出
E = p2/2m …………… (1)
p = h/l,E= hn ……… (2)
ニュートン力学:
アインシュタイン,ド・ブローイの関係:
波動関数: Y(x, t) = sin(qx-wt)
(波数: q=2p/l, 角振動数:w=2pn)
Y(x, t) = sin((p / h) x-(E / h) t)
(2)より
波動方程式: A(∂Y /∂t) = (∂2Y/ ∂x2)
……… (3)
Y(x, t) = cos((p / h) x-(E / h) t) + isin ((p / h) x-(E / h) t)
= exp(i(px-Et)/h)
……… (4)
(1), (3), (4)より
A = -(i/h) (p2/E) = - 2mi/h
粒子に働く力のポテンシャル: V(x)
これらより
E = p2/2m + V(x)
(i/h) (∂Y /∂t) = - (h/2m)(∂2Y/ ∂x2) + V(x)Y
シュレーディンガー方程式
16
7th
波動関数の意味
3次元空間中の座標 (x , y , z)近傍における3辺の長さが
dx , dy , dz の 微小体積 (直方体) dV = dx dy dz を考える
時刻 t においてこの微小体積中に粒子が見出される確率
すなわち“粒子の存在確率” をP (x , y , z , t ) dx dy dz とする.
「粒子の "存在確率"の確率密度は,波動関数の絶対値の2乗に等しい」
粒子は任意の時刻 t において空間のどこかに存在するから、
“存在確率”を全空間にわたって積分(全確率)すると1になる.
規格化条件
17
7th
エネルギー固有値
波動関数の絶対値の 2乗 |ψ|2 は質点の確率密度である
|ψ|2 は x のすべての範囲で有限
エネルギー E は 特定の値をもつ
→
エネルギー固有値
ばね(調和振動子)のエネルギー
ばねのポテンシャルエネルギー
エネルギーE が与えられたときの運動範囲
ポテンシャルの壁
18
8th
定常状態におけるシュレーディンガー方程式の解 (1)
弾性波モードエネルギー: e
e = (1/2) hn + nhn = (n + 1/2)(hw/2p)
フォノンの数
零点エネルギー
一次元無限井戸型ポテンシャルのシュレーディンガー方程式を解く
定常状態におけるシュレーディンガー方程式の解(波動関数) : fn(x)
(1) V(x) = ∞ (x ≤ -L, L ≤ x ) のとき
(2) V(x) = 0 (-L ≤ x ≤ L)
のとき
fn (x) = 0
fn (x) = Pcos(npx/2L) + Qsin(npx/2L)
19
8th
定常状態におけるシュレーディンガー方程式の解 (2)
全区間において波動関数の絶対値の2乗を積分: 規格化
∫-LL | fn (x) |2 dx = 1
シュレーディンガー方程式の一般解(波動関数)
(1) x ≤ -L, L ≤ x のとき
(2) -L ≤ x ≤ L のとき
fn (x) = 0
fn (x) = (1/L)1/2cos(npx/2L) … n:odd
fn (x) = (1/L)1/2sin(npx/2L) … n: even
このとき k = (2mE/h2)1/2 = (np /2L) より
En = n2p2h2/8mL2
n = 1のとき
エネルギー固有値
Emin = p2h2/8mL2 ≠ 0 → 絶対零度においてもエネルギーをもつ
フォノンという準粒子の実験的証拠
20
9th
低温における比熱の再現
アインシュタイン と デバイ による比熱の再現
仮定: 振動数nの固体の固有振動 のエネルギーはhnを単位として
その整数倍しか許されない
低温の領域を含む全ての温度領域で固体の比熱を再現可能
「エネルギーの原子的性質」は固体においても成立
アインシュタイン → 低温で比熱が零になることの説明
デバイ → 結晶を等方性連続弾性体で近似
21
9th
アインシュタインの理論 (1)
量子仮説における調和振動子のエネルギー:e
en = (1/2) hn + nhn = (n + 1/2)(hw/2p)
en = (1/2) hnE + nhnE
(n = 0,1,2, …)
h: プランク定数
w: 角振動数
n : 振動数
Nn = exp(-en/kBT), (Nn/N0) = exp(-nhnE/kBT)
<en> = (Sn en Nn)/(Sn Nn)
振動子の個数の分布 →
Maxwell・Boltzmannの分布
< en >=(SenNn n)/(SNn)n
=(S
nhnE exp ((-nhnE )/kT))/(n=0
S exp ((-nhnE )/kT) + (hnE /2))
n=0
(-hnE )/kBT = x
(hnE /2) =0
en = nhnE
<nhnE> = hnE<n>
< en > = (hnE /2) + hnE (S
nexp(nx))/(Sn=0exp(nx))
n=0
= (hnE /2) + hnE (1/(exp(hnE /kBT) -1))
< n > = 1/(exp(hnE /kBT) -1))
Planck Distribution
温度Tの熱平衡状態におけるフォノンの数の平均
22
9th
アインシュタインの理論 (2)
高温のとき (hnE << kBT)
< n > ≈ (kBT/hnE)
低温のとき (hnE >> kBT)
< n > ≈ exp(-hnE /kBT)
<e> = (hnE/2) + <n>hn より
<e> ≈ hnE/2 + kBT
平均エネルギーは振動数nEとは無関係
温度にのみ依存(古典論と同様)
<e> ≈ hnE/2 + hnEexp(-hnE /kBT)
<n>は非常に小さくなり、 <e> は零点
エネルギーより少し大きいだけ
23
9th
アインシュタインの理論 (3)
1つの格子点が3次元での振動をする場合、1モルN0個の原子に対し3N0の振動子が存在
内部エネルギー: Uモル
Uモル = 3N0<e>
= 3/2N0hnE + 3N0hnE(exp(hnE /kBT) -1))-1
定積モル比熱: CVモル
CVモル = (∂Uモル / ∂T)V
= 3R(hnE /kBT)2 exp(hnE /kBT)(exp(hnE /kBT) -1))-2
hnEを特徴づける特性温度をQE ( hnE/kB)とする
CVモル = 3R(QE/T)2exp(QE/T)/(exp(QE/T) -1))-2
 3R fE (QE/T)2
fE (x)  x2ex(ex-1)-2
x  QE/T
fE (x): アインシュタイン関数
QE: アインシュタインの特性温度
24
10th
デバイの理論(1)
結晶を等方性連続弾性体で近似
フォノンの状態密度:
g(w) = (Vw2/2p2) (vl-3 + 2vt-3) = Cw2
C  (V/2p2)(vl-3 + 2vt-3)
vl : 縦波(Longitudinal Wave)の速さ
vt : 横波(Transverse Wave)の速さ
V : 3次元結晶体の体積
wが連続的に変化する → ∫ g(w) dw によりフォノンの占用数が決定する
積分範囲の決定が重要
格子点がN個存在する結晶において、 g(w)dwの積分値が3NとなるようにwDを決める
g(w) = 9Nw2/wD3 (0≤w≤wD)
QD  hwD/kB
QD: デバイの特性温度
wD: デバイの角振動数
25
10th
デバイの理論(2)
フォノンの状態密度:
g(w) = 9Nw2/wD3
(0≤w≤wD)
内部エネルギー: U = ∫0w (hw/exp(hw/kBT)-1)(9nw2/wD3)dw
D
定積モル比熱: CVモル = (∂U/∂T)V
= ∫0w kB(hw/kBT)2exp(hw/kBT)(exp(hw/kBT)-1)-2(9Nw2/wD3)dw
D
hnEを特徴づける特性温度をQD ( hwD/kB)とする
CVモル 9R (T/QD)3 ∫0Q /T x4ex(ex-1)-2dx
D
QD  hwD/kB
x  hw/kBT
低温において、格子比熱は T3に比例して0に近づく
26
11th
絶縁体の熱伝導度
フォノン熱伝導度
結晶格子の熱振動
波動性 → 格子の弾性波
粒子性 → フォノンの準粒子性
絶縁体結晶: フォノンのブラウン運動
温度
高温
低温
高密度
低密度
フォノン密度
27
11th
熱伝導率: K
v : フォノンの速度
l : フォノン衝突間の平均自由行程
t : 衝突間の平均時間
n : 濃度
T : 温度
c : 比熱
C : 単位体積当たりの比熱 ( nc)
ju :エネルギーの正味の流れ
低温
熱伝導率:K = (1/3) Cvl
フォノンの
数
フォノンの
衝突
平均自由行程
熱伝導率
(l)
(K)




中温
高温
ju = (1/3) Cvl (dT/dx)
備考
T<QD , KT3
Peak




T>QD , lT-1, KT-1
28
12th
固体の熱膨張
l : 固体の長さ
V : 固体の体積
T : 固体の温度
 : 線膨張率
g : 体膨張率
 = (1/l)(Dl /DT) = (1/l)(dl/dT)
g = (1/V)(DV/DT) = (1/V)(dV/dT)
V = l3 → dV/dl = 3l2
g = (1/V)(dV/dT)
V
r
0
r4
r3
= 3l2(1/l3)(dl/dT)
= 3 (1/l) (dl/dT)

e3
r2
e2
r1
e1
e0
r0
∴ g = 3
e4
振動エネルギー準位
a0
a1
格子振動振幅
ポテンシャルの非対称性により熱膨張が起こる
29
13th
金属中の自由電子
自由電子モデル
原子の荷電子(valance electron)は伝導電子(conduction electron)となり、
金属中を自由に動きまわる。
a
Na (b.c.c.), a = 4.28 Å
最近接原子間距離 = (√3/2)a
= 3.71 Å
a
a
Na: (1s)2(2s)2(2p)6(3s)1
Naイオン半径 = 0.95 Å
e-
e-
e-
e- e
ee-
4.28 Å
e-
ee-
最外殻軌道半径 ≈ 2Å
e- e-
ee-
30
13th
金属中の自由電子の特徴
ee-
1.伝導電子は、他の伝導電子と衝突
したり原子の核に衝突して曲げられた
りせず、長距離を自由に運動できる。
ee-
e-
ee-
ee-
ee-
e-
ee-
2.伝導電子は、周期的格子の上に
配列したイオン核により散乱されない。
ee-
e-
e-
3.伝導電子は、互いにほとんど散乱
されない。
31
14th
自由電子の衝突時間と流動速度
E : 電界
m : 自由電子の質量
-q : 電荷
vi : i番目の電子の速度
ti : i番目の電子が次に衝突するまでの時間
v0 : 衝突直後の速度
v0i : i番目の電子の熱速度
(1/N)Si vi  vd
(1/N)Si ti  t
n: 電子の数密度
J: 電流密度
r: 電気抵抗率
s: 導電率
m: 移(易)動度
運動方程式より
F = ma
= m (dvi /dt)
= -qE (q>0)
ドリフト速度: vd = -qtE/m
J = E/ r = s E
m = qt/m
s = 1/r = (-q)2tn/m = nqm
32
参考資料
33
原子の大きさ
アボガドロ定数: NA = 6.0221367 x 1023 mol -1 ≒ 6 x 1023 mol -1
金属結晶中において, 原子が隣の原子と密接しているとする。
原子半径: r cm → 1 cm の中には 1/(2r) 個の 原子
→ 1 cm3 の 体積の中には 1/(2r)3 個の 原子
金属の密度:ρ [g/cm3], 分子量 :A → A /ρ :1 モルの体積
1 原子の占める体積: 1 モルが占める体積/アボガドロ定数 NA
∴ 原子半径
34
電子の質量
電気素量(素電荷) e =電子の電荷
電子の比電荷 = e / m = 1.75881962(53) x 1011 C/kg
電子の質量 = m = 9.1093897(54) x 10-31 kg
電子に関する重要な知見
1.物質を 細かく分割していくと分子や原子になり, 最初はこれらが
物質を構成する 最小の基本単位だと 考えられた.
2.電気素量 e: 電気における普遍的な基本単位
3.電子:原子よりも はるかに軽く、電気素量 e と同じ電荷をもつ
物質も 電気量も不連続であり、微小な基本単位の集合体
35
電子の個数(原子によるX 線の散乱)
原子 → 中性
電子 → マイナスに帯電
陽子 → プラスに帯電
電子の質量 = (水素)原子の質量/1800
陽子の質量 ≈ 原子の質量
入射X 線(電磁波) → 電場が原子内の 荷電物質 を振動させる
振動する荷電物質は 電磁波を四方に放射
電子の数え方
電磁気学→ 加速度を持った荷電粒子が放射する電磁波の強さは粒子の加速度の2乗に比例
ニュートンの運動方程式→ 加速度は働いた力を質量で割ったものである
放射される電磁波の強さは質量の2乗に反比例
陽子が放射する電磁波の強さ < 電子が放射する電磁波/1,000,000
X 線は電子だけによって散乱される
各原子における電子の個数を推定可能
36
5th DAY
参考:ハイゼンベルクの 不確定性原理
完全に真空にした部屋の中において鉄砲から水平に発射された電子は,重力
によって鉛直下方に力を受ける.
古典論 (ニュートン力学)によれば電子は放物線 を描いて落下するはずであり,
この電子の軌道を光源のランプを点灯して精密に測定(但し,光は電子に圧力を
加えるので,電子の軌道が歪められないよう限りなく弱い光をあてる.→古典論
では,光の強度に下限はない)すれば,測定された電子の軌道は限りなく放物線
に近くなり, 私達の常識 を 実験的に確かめる ことができる はずである.
光が粒子(光子)である場合
光の振動数を ν,波長をlとすると,光はエネルギー h ν,運動量 h /lを持った粒
子として電子に衝突し,衝突された電子は最大でDp= h/lの運動量を受け取り,
その結果 軌道が歪む.
軌道の歪を小さくするためには, Dpを小さくする(l を大きくする)とよいが,波長
l が望遠鏡の大きさより大きいと電子の位置の識別は不可能となる.
不確定性原理を説明する仮想実験装置
Dx=l
電子の運動量の あいまいさ (誤差) : Dp= h/l
ハイゼンベルクと ボーアは, さまざまなケース
に対する このような仮想的な実験 を行い, ど
んな場合でも 不確定性原理を 越えて正確な
位置と 運動量を確定することは できないという
結論に達し, ミクロの世界では古典論的な常
識 は捨ててしまっても かまわない と主張.
電子の位置のあいまいさ(不確定性)を小さくしようとすれば,運動量の不確定性
が大きくなり,逆に,電子の運動量の不確定性を小さくしようとすれば,位置の
不確定性が大きくなってしまう.位置と運動量の両方の測定値をきっちりとした
値に確定することは できない.
電子の位置のあいまいさ(誤差):
∴
DxDp=h
37