草座釈迦像 江戸時代 (表紙、左)1幅 岩座上に草座を敷き、有髭の釈迦が坐す。頭光、草座や顎鬚な どから推して、成道後間もなくを表象すると考えられ、同様の釈 しゅつざん 迦が描かれる「出山釈迦図」との関連が伺える。現在、修正会の 道場入口に掛けられ、衆僧が礼拝焼香し入堂する。泉涌寺には本 画の写しが多数所蔵されており、古くより修正会の仏画として用 いられていたと考えられるが、宋朝天台における金光明懺法の道 場図が不明で、本画の使用は泉涌寺独自の可能性もある。 釈迦三尊像 南北朝時代 1幅 現在は本画写しが修正会中の堂宇中央に掲げられる。本画も宋 朝天台の金光明懺法に由来するかは不明。近隣の東福寺には、近 似する元時代の「釈迦三尊像」が伝来することから、東福寺本を ふんぽん 粉本にしたことが想起されるが、印相を異にする。かかる画題は 「草座釈迦像」などとともに禅系仏画として捉えられてきたが、 本画が懺法本尊として用いられている点からも、今一度、宋元仏 釈迦三尊像 画の受容の在り方を再考する必要がある。 不動明王像 南北朝・江戸時代 2幅 かいびゃく 修正会開白祭文 江戸時代(元禄年間) 2紙 修正会の周辺 釈迦十六羅漢図 南宋時代 1幅 中央に有髭の釈迦(「出山釈迦」)、周 修正会開白祭文 囲には十六羅漢が描かれている。下方 しゃっきょう には中国天台山の石橋を描くことから も、天台山系の羅漢図であることは明 白である。俊 と羅漢は多くの逸話を ふ か き 残しており(不可棄法師伝) 、泉涌寺僧 団独自の羅漢信仰が存在する。 い だ てん 韋駄天像 鎌倉時代 1幅 「諸天図」の韋駄天とは別系統の画像。 図様は泉涌寺・韋駄天立像や大徳寺伝来 「五百羅漢図」内に描かれるものに近く、 請来仏画が粉本と考えられる。韋駄天は 「金光明経」に記されるが、現存作例か らは宋代をさかのぼるものはない。宋代 の南山律復興の中でその開祖・道宣の伝 記と多くの神話が混淆する中で展開し、 信仰基盤を確立したものと思われる。 釈迦十六羅漢図 |4| 韋駄天像
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