平成26年度農山漁村6次産業化対策事業報告書(3)

③「魚と健康」講演用テキスト
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③「魚と健康」講演用テキスト
ロシア語版
中国語版
英語版
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③「魚と健康」セミナーの講演内容
あなたは、自分の健康のために何をしますか?
人間の健康・長寿を決定するのは「食」です。
人間の体を通過するのは「口から入る物」がほとんどで、体を構成する材料も「口から
入る物」
『何を食べるか』は、人間にとって非常に重要なテーマであり、『健康長寿』のアイテム
として大きな功績を挙げているのが「魚」です。
WHO(世界保健機関)が発表した世界の死因
トップ10=虚血性心疾患、脳卒中(脳梗塞・脳出血)、慢性閉塞性肺疾患、下気道感染
症、気管がん・気管支がん・肺がん、HIV/エイズ、下痢制疾患、糖尿病、交通事故、高
血圧性心疾患。
この中で、虚血性心疾患、脳卒中(脳梗塞・脳出血)が1位、2位を占めている。
それ以外では糖尿病や高血圧性心疾患といった生活習慣病から波及する疾患が死亡原因
の上位を占めている。
虚血性心疾患では、740万人、脳卒中(脳梗塞・脳出血)では、670万人の人が世
界でなくなっている。この二つの病気による死亡割合は全体の25.1%にも達してい
る。
虚血性心疾患も脳梗塞も、血液のつまりや動脈硬化が原因で生じるもの。
世界の 4 分の1の人たちは血管のつまりや動脈硬化によって死に追いやられているとも
いえる。4 人に 1 人が、その危険をもっている。
死亡原因の変化
虚血性心疾患、脳卒中(脳梗塞・脳出血)、慢性閉塞性肺疾患、下気道感染症、気管がん・
気管支がん・肺がん、HIV/エイズ、下痢制疾患、糖尿病、交通事故、高血圧性心疾患早
産合併症と結核を加えた12の病気について、2000 年と 2012 年で各死因の増減の比較を
すると、虚血性心疾患と脳卒中(脳梗塞)は、この 12 年間で明らかに増大しているのが
分かる。
これらの病気に罹らないためには、どのような努力や注意をしたら良いのか。
現代社会を脅かす死因は、虚血性心疾患や脳梗塞だということがはっきりした。
虚血性心疾患や脳梗塞を予防することで、私たちの健康寿命を延ばすことができるとい
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うことを示唆している。
さらに、生活習慣病が要因となる糖尿病や高血圧性心疾患にも注意をすれば、健康で楽
しい生活につながるといえる。
魚を食べる人
白人であるデンマーク人とグリーンランドに住むイヌイットの心臓病による死因を比較
した調査。
緑もなく氷ばかりの国で生きるイヌイットは、新鮮な野菜や果物を食べる機会も少なく、
アザラシや鯨、海鳥などを中心とした肉食系の食生活を送っていることから、圧倒的に
イヌイットの方が心臓の病気に罹り易いと思われる。
しかし、白人の心臓病による死亡率は34.7%で、イヌイットの心臓病による死亡率
は5.3%という結果がでている。圧倒的にイヌイットの方が低い死亡率である。
デンマークの Alborg 病院の H. O. Bang と J. Dyerberg の両氏が調査したところ、デン
マーク人よりイヌイットの方が血中脂質が低いことが分かった。さらに、血中コレステ
ロールや血中トリグリセリドも低いことが証明された。
「肉食習慣のイヌイットは西欧型食習慣のデンマーク人よりも、血中脂質レベルが低く、
虚血性心疾患などの循環器系の疾患に罹り難い」という事実が明らかになった。
これは、脂質に含まれる DHA(ドコサヘキサエン酸)や EPA(エイコサペンタエン酸)の
摂取量の違いによるもので、イヌイットは植物油や加工食品などに含まれるn-6 系脂肪
酸に比べ、DHA や EPA に代表されるn-3系脂肪酸の摂取割合が圧倒的に高い。
イヌイットが主食とするアザラシや鯨は、イワシなどの青魚を食べるために、EPA や DHA
が多く含まれ、イヌイットはその恩恵を受けていたことが判明した。
世界の寿命と魚介類の摂取量
世界の寿命と魚介類の摂取量の相関をみると、魚介類摂取量が多い国ほど、長寿国であ
る確率が高いということがわかる。
FAO(国際連合食糧農業機関)のデータによる、国の1人1年当たりの食用魚介類摂取量
は日本やアイスランド、ノルウエー、ポルトガル、韓国等が多く、トルコ、スロバキア、
ポーランド、米国、英国といった国は摂取量が少ない。
平均寿命は住む環境にも左右されるので即断は出来ないが、魚介類の摂取量が平均寿命
に大きく関わっている。
ロシアは、2012 年度の報告で男性平均寿命 62 歳、女性平均寿命 76.3 歳、男女ともの平
均寿命 70.5 歳(グラフでは表示できていない)
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ロシア人と日本人の寿命の違い
世界一の長寿国と言われる日本と比べると、男性は 17 歳、女性は 11 歳もの開きがあ
る。国別の寿命のランキングでは日本が 1 位であるのに対しロシアは 123 位。
ロシアは今後、寿命を延ばせる可能性が高い国。
中国人と日本人の寿命の違い
男性で5歳、女性で9歳の差で日本人が長寿。
ロシアにおける死亡原因の高い疾病ベスト3
1 位心筋梗塞、2 位脳卒中、3 位悪性腫瘍の順になっている。
心筋梗塞も脳卒中も、血管の詰まりや動脈硬化が大きな原因になる疾患で、ロシアも、
血管の詰まりや動脈硬化を予防することで、寿命の延長につながる。
中国における死亡原因の高い疾病ベスト3
悪性腫瘍(がん)、急性心筋梗塞、、脳卒中。
現代社会に起こっている国際的な問題
WHO(世界保健機関)は、現代社会の懸念材料として、世界的にアレルギー疾患が増加し
ていると発表。
アレルギー性鼻炎、喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など、代表的なアレルギ
ー疾患の殆どが増加しており、今や全世界の 20%以上の人たちが何らかのアレルギーを
持っていると言われている。
アレルギー性疾患は、慢性になると重い障害を起こす可能性があり、個人にとっても社
会全体にとっても大きな影響を与える。
ロシアのアレルギー学・臨床免疫学学会による調査(資料:Report by Russian Association
of Allergology and Clinical Immunology)
罹患傾向として喘息(小児、成人)、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、アナフィラ
キシー、食物アレルギー、混合性・多臓器アレルギー等々、ほとんどのアレルギー疾患
が増加している。重傷喘息は減少傾向。
成人人口の18%、小児人口の21%、ロシア人全体で約 20%、つまり 5 人に 1 人が一
つまたは複数のアレルギー性疾患に罹患しているという結果がでている。
魚に含まれる代表的な栄養素と効能
EPA、DHA、タンパク質、タウリン、カルシウム、コラーゲン
等。
EPA は、抗血栓作用(血液をサラサラにして動脈硬化を予防)、中性脂肪を低下させる、
抗アレルギー作用(抗炎症作用)等の効果がある。
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DHA は、認知症の予防、抗アレルギー作用(抗炎症作用)
魚には、抗血栓作用や動脈硬化予防など、血管の健康性を保ち、心臓疾患や脳卒中の予
防に期待が持てる。
さらに、増加し続けるガンやアレルギーを抑える効果にも期待が持てます。
また、健康長寿には欠かせない運動器症候群の予防やアンチエイジングにも役立つ栄養
素までが含まれている、驚異の存在が『魚』。
魚に豊富に含まれる EPA や DHA
油脂の中の脂肪酸と呼ばれるものは飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の 2 つに分けられる。
不飽和脂肪酸はその構造の違いからオメガ 3 系・オメガ 6 系・オメガ9系の 3 つに分類
される。魚の脂はオメガ 3 系。
オメガ 3 系脂肪の働き
オメガ 3 系に分類される魚油は、虚血性心疾患、高血圧、動脈硬化、脳卒中に代表され
る脳血管障害などの予防や改善に役立つと言われ、重要な役割がある。
また、抗アレルギー作用やアルツハイマー病の改善、記憶・学習能力にも影響を与える
ことが分かりつつあり、近年、大きな注目を浴びている成分です。
ただ、オメガ 3 系の脂が豊富に含まれるものは魚油やシソ油、亜麻仁油などと数が少な
く、意識して摂取しないと十分な量は摂れない。
魚に多く含まれるアブラと牛や豚などに多く含まれるアブラの違い
日本では、漢字で区別され、「脂」と「油」。常温に置いたときの形状は、魚のアブラは
液状で動物性のアブラは固形であることがほとんど。これが、不飽和脂肪酸と飽和脂肪
酸の違い。
どちらも人間が生きて行くためには必要なアブラですが、動物性のアブラは摂り過ぎる
と血液中の中性脂肪やコレステロールを増やし、血管の詰まりや動脈硬化を引き起こす
原因になってしまう可能性がある。摂り方に注意が必要ということも忘れてならない。
調理法による体内への EPA・DHA の摂り込みの違い
生で食べる時の摂取量を 100%とした時、グリルまたはボイルすると摂取量は 80%に、
フライにすると 50%まで下がってしまう。
健康のために EPA・DHA を摂っても調理法によって、摂取量に大きな違いが出てしまう。
不飽和脂肪酸である EPA・DHA の弱点
熱や空気、紫外線に弱く酸化されやすい。
調理による加熱などにより、容易に EPA・DHA は酸化され健康をサポートする働きが失わ
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れてしまう可能性がある。
EPA・DHA を効率よく、そして健康のための活用するためには、新鮮な状態の魚を生で食
べることが一番と言える。
魚に豊富に含まれるたんぱく質の 1 つであるグルタミンは、免疫力を高めたり、新陳代
謝の活性化、胃腸機能の改善などがあると言われているが、このタンパク質も加熱によ
り働きが弱まってしまう。
魚の摂取回数とアルツハイマー病・認知症の発症率の相関
毎日魚を食べる人に比べ、ほとんど魚を食べない人はアルツハイマー病で約 6 倍、認知
症で約 5 倍もの発症率となっている。
長寿になれば、必然的にアルツハイマー病や認知症を患う人口も増えてくる。
若い頃から、魚を食べる習慣をつけることが非常に重要と言える。
私たちは虚血性心疾患を代表とする心臓病や脳の血管が詰まることによる脳梗塞などによ
る死の恐怖に脅かされ、そして、様々なアレルギー性疾患により日常生活の快適さや自由
を束縛されていると言える。
現代社会を脅かす、血管系の疾患、アレルギー、悪性腫瘍、痴呆などの
予防と改善に加え、免疫力や胃腸機能の向上にも役立つのが魚
そんな素晴らしい魚の力を最大限に生かすために、
生で食べる食文化を海外に広められたら、どんなに素敵なことか
お刺身、寿司、カルパッチョなど、日本に根付く生食文化と
海外の伝統的な食文化が融合することを期待!
そんな世の中で、私たちの健康を守るために何をすれば良いのでしょうか?
答えは
『日本の魚を食べます!!』
筆者:馬渕知子医師(学校法人食糧学院理事)
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④DVD の内容
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⑤セミナー使用品
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大漁旗①
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