第10章 最後の貸手(プレゼン用)

第 10 章 最後の貸手
貸し手責任
資(貸付)の実行・回収・管理の際に伴う金融機関に対する責任のことである。貸し
手は融資の際、借り手の返済能力等を確認したうえでないと、信用供与がなされ
ていけないとされる。更に貸し手は、契約内容、リスクの説明義務など顧客に対
し十分な説明が必要であり、顧客が不利益を及ぼすような金融機関の利益のため
だけの融資は絶対に行ってはならない。
終審
法律的には請願者(原告)あるいは(経済活動の問題であれば)金融機関を利用した借
り手の権利を重視するものである、という意味合いが強い。
流動性
交易上の商品などの資産が、いかに容易に交換できるかを示す性質を言う。貨幣
経済が主流となった今日では、貨幣そのものをさす場合もある。
最後の貸手は ~ すべく待機している(p. 240, lines 6)
交換対象となる通貨を市場に多く供給すれば、相対的に実物資産や流動性の低い
資産の価値が上がる、ということ。
これらのことは ~ 生じさせる(p. 240, lines 8)
それぞれの金融機関は金融・資本市場を円滑に進めていくために慎重な信用供与
をすることが求められるのに、それらのリスクマネジメントを怠って過剰に融資
をしてしまうと金融市場そのものの信用に問題を生じる。
合成の誤謬
例えば、家計の貯蓄などがこれに当たる。所得が一定の場合、一家計が消費を削
減した場合、必ず貯蓄額が増加する。一家計の支出削減は経済全体に影響せず、
その家計の収入を減少させる効果は無いと考えられているためである。しかし経
済全体の家計が貯蓄を増加させようと消費を削減した場合、貯蓄率が上昇するが
貯蓄額は変わらない。家計全体が消費を削減することで、家計の所得も減少する
ためである。収入が減少するため貯蓄額の割合は高まり、貯蓄率が上昇する。
1
合理的期待(仮説)
近代経済学の基礎には、市場経済を構成する個別的な経済主体(個人)が、さまざま
な制約条件のもとで、利用しうる限りの資源と情報とをできるだけ有効に使って、
みずからにとって最も望ましい結果をもたらすような行動を選択するという前提
が置かれている。
しかし、合理的期待が ~ 仮説は成立しない(p. 241, lines 16)
合理的期待仮説が人々の経済活動における行動原理の中心である現代においては、
「金利収入に依存する」あるいは「脆弱な立場に陥」る者は存在しないので、スペン
サーの「愚か者」の発想は適用されない。
「経済学者が危機対策についての ~ 恐慌は沈静した……」(p. 242, lines 3)
現在の「最後の貸手」機能は中央銀行が金融機関に資金供給を行うことを指すが、
当時は少なくとも直接的な「資金」ではなかったことがうかがえる。
大蔵省証券
最短期の政府短期証券で、蔵券、TB と略称される。期間は 1 ヵ月~1 年のものが
多く、割引発行方式が採用されている。
割引発行
額面株式、社債、公債などを券面額未満の価額で発行すること。
オディエの申し立て(p. 242, lines 16)
オータンゲールの着想(p. 243, lines 1)
1847 年恐慌
1844 年銀行条例が成立し、通貨学派によれば、経済が”安定する”はずだったが、
その後のイギリス経済は 1844 年までは産業と商業は全般的に繁栄していた。しか
し、1845、1846 年とアイルランドと欧州全般に不作が起こり、イギリスは穀物の
輸入に迫られた。この間、生産力全般に大きな前進があったが、当時問題になっ
ていた”自由貿易”の立場から 1846 年には穀物法が廃止となる。これは当時の穀
物輸入が大きな切欠になっている。
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ピール銀行法
産業革命とともに本格化した貨幣・金融制度のあり方をめぐる論争(地金論争、通貨
論争)と一連の銀行改革を総括したともいえる法律で、イングランド銀行の中央発
券銀行としての地位を明確に定め、その銀行券発行のルールを規定した立法とし
て、その後の世界経済の発展に重要な影響を与えている。
囚人のジレンマ
互いに協調する方が裏切り合うよりもよい結果になる事が分かっていても、皆が
自身の利益を優先している状況下では、互いに裏切りあってしまう。
共同で犯罪を行った思われる囚人 A、B を自白させる為警官は 2 人に以下の条件を伝えた。

もし、お前らが 2 人とも黙秘したら、2 人とも懲役 2 年だ。

だが、お前らのうち 1 人だけが自白したらそいつはその場で釈放してやろう(つまり懲
役 0 年)。この場合自白しなかった方は懲役 10 年だ。

ただし、お前らが 2 人とも自白したら、2 人とも懲役 5 年だ。
この時、2 人の囚人は共犯者と協調して黙秘すべきか、それとも共犯者を裏切って自白すべ
きか、というのが問題である。 なお彼ら 2 人は別室に隔離される等しており、2 人の間で
強制力のある合意を形成できない状況におかれているとする。
囚人 2 人にとって、互いに裏切り合って 5 年の刑を受けるよりは互いに協調し合って 2 年
の刑を受ける方が得である。しかし囚人達が自分の利益のみを追求している限り、互いに
裏切り合うという結末を迎える。 これがジレンマと言われる所以である。
このようなジレンマが起こるのは以下の理由による。まず A の立場で考えると、A は次の
ように考えるだろう。

B が「協調」を選んだ場合、自分(=A)の懲役は 2 年(「協調」を選んだ場合)か 0 年(「裏切り」
を選んだ場合)だ。だから「裏切り」を選んで 0 年の懲役になる方が得だ。

B が「裏切り」を選んだ場合、自分(=A)の懲役は 10 年(「協調」を選んだ場合)か 5 年(「裏
切り」を選んだ場合)だ。だからやはり「裏切り」を選んで 5 年の懲役になる方が得だ。
以上の議論により、A は B がどのような行動をとるかによらず、B を裏切るのが最適な選
択と言える。よって A は B を裏切る事になる。しかし、それは B にも同じ事が言える(B
にも同じ条件が与えられている)ので、B も A と同様の考えにより、A を裏切る事になる。
よって実現する結果は(裏切り, 裏切り)となる。
(Wikipedia より引用)
3
1825 年恐慌
イギリスを発端とする初の世界恐慌。フランス、ドイツ、アメリカなどにも影響
した恐慌であったが、主な原因は近代的な過剰生産であるとされる。機械による
大規模生産が可能になったのに対し消費がさほど増加しなかったために発生する
このような恐慌はその後周期的にみられている。
1848 年
フランス革命(二月革命)の年である。文意から当時のフランスはパリ県などそれぞ
れの地域で経済的な自治意識を持っていたと思われる(要文献)。
フランス銀行
フランス銀行は 1848 年にまだもっぱらパリの銀行にすぎなかった。同行は地方に
ほとんど支店をもっていなかった。なぜというに、大港湾と大都市はそれぞれが
固有の銀行をもっていたからである。9 つの地方銀行がフランス銀行と競争しつつ
紙幣を発行していたが、フランス銀行券はパリから遠ざかると額面以下でしか受
け取られなかった。
松井道昭(横浜市立大学・名誉教授)
1831 年危機
伺いを立てる
目上の人などに指示を仰ぐ。
1868 年危機
ロスチャイルド家
ロスチャイルド家(Rothschild)は、元来ユダヤ系ドイツ人の一族であり、18 世紀か
らヨーロッパの各地で銀行を設立し、現在に至っている。現在、ロスチャイルド
家が営む事業は主に M&A のアドバイスを中心とした投資銀行業務と富裕層の資
産運用を行うプライベート・バンキングが中心である。
1882 年恐慌
89~93 ページ参照。
4
1763 年
七年戦争が終戦しプロイセンとオーストリアなどでフベルトゥスブルク条約が締
結された年である。
ケルン銀行
1799 年
ナポレオンがブリュメールのクーデターでフランス政権を掌握した。1789 年から
続いたフランス革命終焉の年でもある。
第一アメリカ合衆国銀行
1791 年 2 月 25 日にアメリカ合衆国議会によって公認された銀行である。その公
認期間は 20 年間だった。この銀行は新たに形成されたアメリカ合衆国中央政府の
財政的需要と要求事項を取り扱うために創設された。それまでは 13 植民地がそれ
ぞれに銀行、通貨および財政制度と政策を持っていた。
第二アメリカ合衆国銀行
1817 年 1 月にアメリカ合衆国議会によって公認されたアメリカ合衆国の銀行であ
る。1811 年に第一アメリカ合衆国銀行公認延長を拒んだのと同じ多くの連邦議会
議員によって公認された。第二アメリカ合衆国銀行が公認された最も大きな理由
は米英戦争の間にアメリカが厳しいインフレを経験し軍事行動の財政的手当が難
しくなったことだった。その結果、アメリカ合衆国の信用度や借入金の状況が建
国以来最低のレベルになっていた。
多少の曖昧さ(p. 250, lines 19)
合衆国銀行は政府の監督を受け、週 1 回その財務諸表を閲覧されるなど政府との
繋がりは強かったものと思われる。
寺地孝之(関西学院大学・教授)
インフレを経験...
米英戦争後、アメリカは巨額の負債を背負ったが、ヨーロッパにおけるナポレオ
ン戦争での荒廃のために合衆国の農業生産が拡大し、銀行がその貸付によって経
済膨張を助成して土地に対する投機を促した。
cf. マカロック対メリーランド州事件
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通貨投機家が不確実さで儲ける
投機家にできることは、将来を予測することだけである。彼らは、ある資本が割
安の時に将来の値上がりを予測して買い、予測が当たれば売る。割高の時には将
来の値下がりを予測して空売りして、予想が当たれば買い戻す。割高な時に買い、
割安な時に売り続ける投機家が現れても、その投機家の資金はたちまち底をつく
ので、市場から淘汰される。このことは、投機家が儲けている限り、割安になり
すぎたり、割高になりすぎたりしない、つまり市場は安定するということである。
http://www.systemicsarchive.com/ja/a/speculator.html
穀物の回送によって生じた金融逼迫期(p. 251, lines 5)
政府債以外の証券を ~ とることを認めたり(p. 251, lines 6)
政府が個人や企業から資金を調達する際に、資金を受け取る代わりにその返済の
担保として国債でない物を発行する、あるいは受け渡すことの意か。
グリーンバック紙幣
緑背紙幣とも。現在では広く米ドル紙幣のことを指す(裏--back--が緑--green--のた
め)。1866 年にインフレ収束のため財務長官であったヒュー・マカロックの意見に
よって当時流通していたグリーンバック紙幣約 4 億 3,100 万ドルのうち 8,100 万
ドルを回収している。
1907 年恐慌
添付サイト(1907 年恐慌 - Wikipedia)参照。
1857 年恐慌
世界レベルで波及した恐慌の初めての例。それまで凶作とクリミア戦争により
ロシアからの穀物輸出が減少し穀物価格が高騰していたが、終戦するやいなや
輸出が再開され、輸入先各国の穀物価格が大暴落したために発生。
真正手形学説
この主張の論拠は、商業手形が商品流通の第 1 段階で振り出され、商品の消費に
より決済、消滅するという自己決済性にもとづいている。この理論は 18 世紀英国
において生成し、欧米諸国やわが国にも取り入れられたが、金融資産の多様化と
ともにその現実的妥当性は失われるにいたり、今日では銀行資産の流動性は資産
内容の分散により維持されるべきであるとの主張が一般的である。
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商業手形
売買等、現実に成立した商取引に起因して振り出された手形。商取引が介在しな
いにもかかわらず金融だけの目的で振り出された融通手形と区別され、実手形、
真正手形ともいわれる。商業手形の典型は、商人が仕入商品代金決済のために振
り出した手形であるが、商人はその商品を売却して代金を回収する可能性が高く、
したがってその手形の決済も確実であるといわれる。
そしてもし ~ であろうと思う(p. 258, lines 9)
万策尽くしても危機が発生するのならどんな責任が付きまとっても後悔はないだ
ろう、という意か。
再割引
おもに金融機関が資金繰りの必要上から、すでに取引先からの依頼により割引し
た手形を、その金融機関が割引依頼人となり、他の金融機関あるいは中央銀行に
よって再度割引を受けることをいう。
手形割引
手形の所持人が満期前に現金化したいとき、銀行などの金融機関に依頼して手形
金額から満期までの利息を差し引いた金額を受け取り、その手形を裏書譲渡する
行為。割引。
権力の真空地帯
ここにおける真空地帯とは盲点、脆弱な箇所のことを指す。当時のニューヨーク
の金融市場そのもののことか。
公開市場操作
具体的には、中央銀行が公開市場において手形、政府短期証券、国債などの売買
を行い、中央銀行信用やベース・マネーを増減させることを指す。
担保の健全性は ~ ジレンマが生じる(p. 260, lines 1)
その個人や銀行に融資を行えば経済・金融の健全化が図れるかどうかということ
で借手の担保の価値が変わってくるが、資金繰りが必要(=資金が不足している)
ということはその借手は信用がないということとほぼ等価であるので、そう言っ
た人々に融資すれば必然的にその担保は健全とは言えなくなってくる。
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生殺与奪
生かすも殺すも、与えるも奪うも思いのままであること。他のものを自由自在に
支配することのたとえ。
「オランダの投機家 ~ とられた処置」(p. 261, lines 2)
シンジケート
同一市場の諸企業が出資して共同販売会社を設立し、これが一元的に販売する組
織をいう。生産面ではあくまで参加企業が企業としての独立性を保持するが、販
売は共同販売会社にゆだねて、その独占的な販売組織(とくに同一市場の全企業が
参加したシンジケートでは販売面では完全な 1 社独占となる)によって独占的市場
支配力を享受しようとするものである。
合衆国銀行
フリードマン等は恐慌は累積的悪循環に入って居なかったので、この時期に連銀
が相当規模の買いオペを断行して通貨量を増やしていればこの後の恐慌は幾分減
じていたと主張する。
抵当を流す
その土地の権利を他に受け渡し、土地権利を喪失する。
コンソル公債
イギリスで発行されている永久に一定額の利子(クーポン)が支払われる債券公債
のことである。償還しない代わりに、永久に利子が払われる契約に基づく永久債
の代表的な例の一つで、しばしば、経済学で利子率と債券や流動性選好説、流動
性の罠を説明する際に用いられる。
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デカルト式の考え方(p. 263, lines 17)
これか。
Travelers who, when they have lost their way in a forest, ought not to wander
from side to side, far less remain in one place, but proceed constantly towards
the same side in as straight a line as possible, without changing their direction
for slight reasons, although perhaps it might be chance alone which at first
determined the selection; for in this way, if they do not exactly reach the point
they desire, they will come at least in the end to some place that will probably
be preferable to the middle of a forest.
シリング
1 ポンド = 20 シリング。つまり 1 ポンド当たり 20 シリング支払ったということ
は借り入れた全額を完済したということ。1 シリング = 12 ペンス。
懲罰金利(penalty rate)
rates of pay, such as double time, paid to employees working outside normal
working hours
English Collins Dictionary
便法
物事をするのに便利な方法。一時しのぎの便宜上の手段。
1809 年
ナポレオン戦争の真っ只中。ナポレオン 1 世のフランスによる覇権に対向するた
め、この年の 4 月 9 日にオーストリア帝国とイギリスは第五次対仏大同盟を結ん
だ。また「1809 年オーストリア戦役」と呼ばれる 3 つの戦いが起こった。
選択的に割引 ~ かけようとした(p. 265, lines 10)
これだけの信用を持つ会社の振り出した手形は割り引くが、その条件を満たさな
い会社の手形は割り引かないというように選択的に割引を制限すれば、額面以下
の手形が横行しなくなり手形の積極的な売買が行われなくなる。
適格手形
中央銀行が銀行に貸出しを行う場合、一定条件に照らして再割引または貸付けの
担保の対象として認める手形。
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イングランド銀行が ~ 貸し出しを制限した(p. 266, lines 3)
過剰生産恐慌の形を思い浮かべる。過剰に生産されるということは実体の経済以
上に会社が利潤を生み出そうとモノを作ることであり、それには当然資本も必要
となる。どこから資本を増やすかというと、モノは売れるまで利益が出ないのだ
から手形や債券を振り出すしかない。そうして得た資本で生産したモノも、その
ために必要だった賃金の下落のせいで思うように需要を伸ばすことが出来ず、急
に市場が収縮してしまう。
コール・ローン
コール市場において、資金を貸し手(運用)側から見た場合の名称をいう。これに対
して、資金を借り手(調達)側から見た場合の名称を「コールマネー」という。コール
市場とは、日本で最も歴史のある代表的な短期金融市場であり、銀行などの金融
機関同士で短期の資金の貸借が行われるマーケット(インターバンク市場)をいう。
マネタリスト
マクロ経済の変動において貨幣供給量(マネーサプライ)、および貨幣供給を行う中
央銀行の役割を重視する経済学の一派およびその主張をする経済学者を指す。貨
幣供給量の変動が、短期における実質経済成長、および長期におけるインフレに
対して、決定的に重要な影響を与えるとする。
肩代わり
人の債務などをかわって引き受けること。
ニューヨークの銀行全体 ~ 払われるという結果(p. 267, lines 11)
ここで言っている「商品」や「現物」を債券や証券のことだと仮定すると、このよう
にローンを肩代わりしてもらうような NY 以外の銀行や、あまつさえ(安易にでは
ないだろうが?)NY の銀行に対しても「この銀行は大丈夫なのか」という疑心がか
けられる(=信用が下がる)。そうすると銀行全体の株価も下落し労働者の賃金が低
下、株価のみならず他の商品にまでその下落が波及するということか?
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