ヒ ト白血病性B細 胞株 に関 す る研 究 第1編 ヒ ト古 血 病 性B細 胞 株(BALL-1株)の 樹 立 とそ の 性 状 岡 山大学 医 学部 第2内 科学 教 室(主 任:木 村 郁郎 教 授) 中 村 一 夫 (昭和55年6月3日 Key words: human acute leukemic 緒 近 年,リ lymphoblastic B-cell 細 胞 一 に 分 け ら れ,各 tissue culture, れ る こ と は 極 め て 興 味 深 く,今 後 そ れ ぞ れ の 細 胞 型 に 最 適 な 治 療 法 の 確 立 が 期 待 さ れ る. 原 性, 機 能 等 の 違 い か ら,細 胞 起 源 の 異 な る2つ 腺 由 来 のT細 leukemia, line. 言 ンパ 球 は 細 胞 表 面 マ ー カ ー,抗 population-胸 受稿) さ て,こ のsub- れ らの リン パ 系 腫 瘍 に つ い て は,従 来 か ら 臨 床 的,病 理 組 織 学 的 研 究 が 進 め ら れ る 一方 ,腫 瘍 研 究 の 場 をinvitroに 移 す手 段 と し 胞 と骨 髄 由 来 のB 種疾 患 に おけ るその動 態 て 様 々 な 組 織 培 養 法 が 古 くか ら試 み ら れ て き た. が追 求 さ れ て い る1)-3).一般 に りン パ 増 殖 性 疾 患 造 血 器 系 細 胞 の 長 期 培 養 と して は, 1964年Eps は単 一 ク ロー ン増 殖 性 疾 患 と考 え ら れ る と こ ろ teinとBarr13)がBurkittリ か ら,腫 瘍 細 胞 の 細 胞 表 面 マ ー カ ー,抗 パ 芽 球 様 細 胞 株 の樹 立 に 成 功 して 以 来 ,悪 性 疾 患 原 性, ン パ 腫 患 者 か ら リン 細 胞生 化 学 的 特 異 性,超 微 細 構 造 等 の 面 か ら詳 患 者 の み な らず 伝 染 性 単 核 症 患 者 や 正 常 人 か ら 細 な検 討 が 加 え ら れ,そ の 細 胞 起 源 が 議 論 され も 多 数 の 同様 の 細 胞 株 が 樹 立 され て い る14)-17). る よ うに な っ て き た.リ ン パ 増 殖 性 疾 患 の う ち, 多発 性 骨 髄 腫, Waldenstrom's nemia, non-Hodgkin 性 白血 病 の 多 くはB細 Sezary症 と こ ろが 小 数 の 例 外18)-33)を除 い て は,従 来 報 告 macroglobuli lymphoma,慢 さ れ て い る 細 胞 株 の ほ と ん ど はEpstein-Barr 性 リン パ virus (EBV)に 胞 表 面 マ ー カー を 有 し, 候 群,mycosis fungoidesはT細 し た,い 胞表 よ っ て正 常B細 胞 がtransfom わ ゆ る リン パ 芽 球 様 細 胞 株 と考 え ら れ て お り14)-17)-34),35),造 血 器腫 瘍細 胞 に 由来 す る細 面 マ ー カ 一 を有 す る とい わ れ て い る1)-6)急 性 リ 胞 株 の 樹 立 は 容 易 な こ と で は な く,こ ンパ 性 白血 病(ALL)で 病 細 胞株 の樹 立 は極 め て 困難 で数 系 の報 告 をみ よびB細 の 約3/4はTお 胞 表 面 マ ー カ ー を も た な いNull細 型 で あ り,T細 ALLは は,そ 胞 型ALLが 少 数 と され て い る.さ 約1/4, 胞 る に す ぎ な い18)-23),31),32). B細 胞 型 最 近,著 者 はB細 胞 型ALLの1例 me陰 そ れ ぞ れ 特 徴 を有 し て お り, 功 し た の で,そ T細 胞 型ALLと 治 療 に 抵 抗 性 で,こ とに 後 者 の 性 白血 病 性B細 胞 株(BALL-1)の 抗 白血 病 剤 感 受 性,予 症 床 像, 後 に 明 らか な相違 が み ら 患 者: 75才,男 763 樹立 に成 の 性 状 に 若 干 の 文 献 的 考 察 を加 え て 報 告 す る. 予 後 の 悪 い こ とが 報 告 さ れ て い る7)-12).こ の よ っに細 胞 表 面 マ ー カー の 違 い に よ っ て,臨 を 経 験 し, 患 者 の 白 血 病 細 胞 由 来 と 考 え ら れ るEBV-geno らに 細 胞 型 の 違 い に よ る発 症 頻 度 の 差 ば か りで な く,臨 床 的 に も B細 胞 型ALLは とに 白血 性. 例 764 中 主 訴:血 尿,全 既 往 歴,家 実 験 材 料 と方 法 来健康 であ っ たが 中 旬 よ り全 身 倦 怠 感,下 頻 尿 を き た し た.さ 院 時,理 和51年1月 指 触知 す る以 外 には 床 検 査 上,尿 104/cmm, %,リ Thr WBC 7.8×104/cmmで 認 め た.肝 398× ン パ 芽 球83 葉 好 中 球1%,単 あ っ た.骨 数25×104/cmmで,末 め な か っ た.血 RBC 25×104/cmm(リ ン パ 球15%,分 95%を 蛋白 沈 渣 に 赤 血 球 と 白血 球 を 多数 認 め た. 末 梢 血 液 検 査 で はHb12.3g/dl, 球1%), 梢 血 と 同 様 の リ ンパ 芽 球 機 能 お よび 腎機能 は 異常 を認 と に γglobulinが0.57g/dlと 採 血 し,培 養 に 用 い た.採 た(図 ①).こ の83%が 子 量264,000, 減 少 し て い た.末 浮 遊 させ,直 み, 37℃, 養 液2.5mlに 径35mmの 7.5% 牛 血 清(FCS, 含 むRPMI GIBCO製)を あ る こ とよ 量 を 静 か に 更 新 した2. daunoru 下 に は 減 少 せ ず,休 薬 中 ふ た た び 急 増 し た.次 soloneを い でneocarzinostatin, cytosine arabinoside, cyc predni 加 え た も の と, 20% ご とに 半 ゼ ッ トお よ び 細 胞 表 面 免 投 与 し た と こ ろ,末 梢 白血 球 数 は 一 時 こ れ ら の 検 索 は,い ず れ もJondalとKlein35) の 方 法 に準 じ て行 な っ た.ヒ Alsever液 中 で4℃ に 保 存 し, phosphate ered saline (PBS)に 家 兎 抗E抗 ツ ジ赤 血 球(E)は て3回 体: E5×109個 を計10回 家 兎 に静 注 し,そ た た め 上 記 治 療 を再 度 追 加 し た.な 得 られ た抗E抗 体 をセ フ ァデ ッ クスG200カ 過 の1週 間 後 に 採 血 して 抗E抗 中 に 軽 度 の 神 経 症 状 が 出 現 し,髄 液 中 に 白 血 病 ロ マ ト グ ラ フ ィー に てIgG 細 胞 多数 を認 め た た めmethotrexate, 分 画 に 分 離 し た.そ arabinoside, prednisoloneを cytosine 髄 注 し た.同 年2 月 岡 山 大 学 医 学 部 第 二 内 科 に 転 院 し た が,転 後 も 血 尿 が 続 き,尿 さ れ た.胸 認 め,高 剤,艶 培 養 でCitrobacterが 院 検出 部 レ線 検 査 で 左 下 肺 野 に 浸 潤 影 を 熱 が 出 現 し た た め 抗 生 物 質,抗 真菌 グ ロ プ リ ン製 剤 を大 量 投 与 した が効 果 管,中 門 部 リ ン パ 節, 枢 神 経 系 に 認 め た. な わち ゼ ッ トに, IgM分 Eロ ゼ ッ ト:培 養 細 胞4×106/meをFCSに EのFCS浮 ず つ 等 量 混 合 し, 500rpm の1滴 血 病 細 胞 浸 潤 を 骨 髄,肺 1時 間 の 反 ゼ ッ トに 使 用 し た. 遊 させ た も の と, 1% 時 間 反 応 させ た.そ 脾 臓,尿 れ ぞ れEと37℃ 画 は20倍 希 釈 でEACロ 死 亡 し た.病 で,白 ラム ク (7S)分 画 とIgM (19S) 画 は400倍 希 釈 でEAロ な く,全 身 状 態 が 急 速 に 悪 化 し,同 年3月11日 理 解剖 診 断 は急性 リンパ性 白血病 体 を得 た. 応 で 凝 集 を お こ さ な い 最 少 希 釈 濃 度,す IgG分 buff 洗 浄 後 検 索 に 用 い た. 減 少 した が 休 薬 す る と短 期 日で ふ た た び 増 加 し お,経 児 家 製)を 加 え た もの の 養 液 は3∼4日 EACロ ペニシ 1640に20%胎 疫 グ ロ ブ リ ン(Ig) bicinに よ る 化 学 療 法 を 開 始 し た が,末 梢 白 血 球 lophosphamide, E, EA, を 卵 器 に て 静 置 培 養 した 。 培 養 液 は ス トレ プ トマ イ シ ン100γ/mlと 2種 類 を使 用 し た.培 数 は5×104/cmm以 洗 浄 後, 細 胞2.5×107個 ガ ラ ス シャー レに植 えこ CO2ふ 胞 zinostatin, vincristine, prednisolone, 割合 1640 (Flow製)で1回 ヒ ツ ジ 赤 血 球 との ロ ゼ ッ ト陽 性 細 胞1%,細 診 断 さ れ た.直 ち にneocar キ ス トラ ン(分 白血 球 が 濃 厚 と な っ た 血 漿 層 を遠 沈 し,得 ち れ た 細 胞 をRPMI ヒ ト臍 帯 血 血 清(HCS,自 りB細 胞 型ALLと リ ンパ 芽 球 で あ っ Pharmacia製)を5:1の 梢 血 リ ンパ 系 細 胞 の 細 胞 表 面 マ ー カー の 検 索 で, 表 面 免 疫 グ ロ プ リ ン陽 性 細 胞99%で 梢 白血球数 に 混 じ, 37℃ ふ 卵 器 内 で45分 間 垂 直 に 静 置 し た. リ ン100単 位/mlを 低 値 で,こ 血 時,末 の 静 脈 血 に6%デ 培 養 に 用 い た.培 髄 は 有核 細 胞 清 蛋 白 は5.3g/dlと 養方法 25×104/cmmで,そ 某 病 院 に 入 院 し た.入 異 常 所 見 を認 め な か っ た.臨 1.培 未 治 療 時 の 患 者 か らヘ パ リ ン加 静 脈 血10mlを 腹 部 痛, ら に 血 尿 と排 尿 障 害 が 出 現 学 的 に は 脾 を1横 陽 性,尿 夫 も に 特 記 事 項 な し. 現 病 歴 な らび に 臨 床 経 過:生 した た め,昭 一 身 倦 怠 感. 族 歴:と 昭 和50年12月 村 した.被 EAロ 3分 間 遠 沈 後, 4℃ 1 の 後 静 か に 再 浮 遊 させ,そ を ス ラ イ ドグ ラ ス に と り, 400倍 に て 鏡 検 検 細 胞 を300個 以 上 数 え, 付 着 し た 細 胞 をEロ Eを37℃ 浮 遊 液 を0.1me Eが3個 以上 ゼ ッ ト陽 性 細 胞 と判 定 した. ゼ ッ ト:抗E抗 体IgG分 30分 間 反 応 させ(EA), 画(A)で5% PBSに て3回 洗 ヒ ト白血 病 性B細 胞株 に関 す る研 究 765 図 ①: 患 者 末 梢 血 のMayGrunwaid-Giemsa染 色 標 本. ×1200倍.図 の よ うな リ ン パ 芽 球 が83%を 占 め,細 胞の 胞 体 は 幅 狭 く,核 は 大 型,核 網 は 繊 細 で,し ば しば1∼ 数 個 の 明 瞭 な 核 小 体 を認 め る. 図②: BALL-1細 胞 の位 相 差 像. ×150倍.細 胞 集 塊 を形 成 せ ず,単 遊 状 態 で増 一,浮 殖 し,個 々 の 細 胞 は ほ ぼ 球 形, 均 一 で,少 数 の 細 胞 に 突 起 を 認 め る. 図③: BALL-1細 胞 のMayGrunwald-Giemsa染 色 標 本. ×1200倍.図 ① に み られ る 患 者 の 白 血 病 細 胞 に 類 似 し,時 に 胞体 内 に数 個 の空 胞 を認め る.少 数 の 細 胞 は,小 型 で核 小 体 を 欠 き成 熟 リ ン パ 球 に 類 似 す る. 766 中 村 一 夫 細 胞 表 面Ig: FITC標 μ,δ,ε,κ,λ chain 識 ヤ ギ抗 ヒ トIg-γ.α. specific-はHyland製 の を使 用 し た.培 養 細 胞 をPBSに 10倍 希 釈 の 抗 血 清0,3meに させ, の も て3回 洗 浄後, 細 胞4×105個 を浮 遊 4℃ 30分 間 反 応 さ せ た 。次 い でPBSに 3回 洗 浄 後, 50%グ て リセ リ ン緩 衝 液 で封 入 し, オ リ ン パ ス 螢 光 顕 微 鏡(落 射 型)で 観 察 した-被 検 細 胞 を300個 以 上 数 え,明 ら か に 膜 螢 光 を発 す る もの を 陽 性 と判 定 し た. 3. EBV特 異 核 抗 原(EBNA)の ReedmanとKlein36)の 図 ④: BALL-1細 胞 の 透 過 型 電 顕 写 真. 細 胞 質 に 乏 し くorganelleの 型 のmitochondriaを lipid dropletが ×7500倍. 発 達 は 未 熟 で,や 数 個 認 め,し ば し ば1∼ 存 在 す る.核 は 大 型,ほ や大 数個 の ぼ 円 形 で, 大 多 数 に 小 型 の 核 小 体 を 認 め る. microvilliは B細 正常 を用 い た.培 検索 螢光抗体 補体法 の変法 養 細 胞 の 塗 抹 標 本 を一 晩 乾 燥 後, 四 塩 化 炭 素 で 室 温 に て15分 間 固 定 し,ま ず 非 働 化 したEBNA陽 性 血 清 とEBNA陰 体(非 働 化 して い な いEBNA陰 性血 清に補 性 血 清)を そ れ ぞ れ 混 じた もの(い ず れ も 最 終 濃 度10倍 希 釈)を37 胞 に 比 べ 少 数 で あ る. ℃30分 間 反 応 させ た.次 tion (BSS)に い でbalanced て 洗 浄 後,抗 salt solu ヒ トβIC/βIAヤFI- TC標 識 抗 体(40倍 希 釈)を37℃ た.ふ た た びBSSで 30分 間 作 用 させ 洗 浄 後, 50%グ リセ リ ン緩 衝 液 を 滴 下 し,ガ バ ー グ ラ ス を か ぶ せ て オ リン パ ス 螢 光 顕 微 鏡(落 射 型)で 観 察 した . 4.電 子顕 微 鏡観 察 培 養 細 胞 を2000rpm を 作 り,3%グ 定 し た 後,1%オ 図⑤: BALL-1細 胞 の 膜 螢 光 抗 体 写真. ×1400倍. 10分 間 遠 沈 し, cell pellet ル タ-ル ア ル デ ヒ ドで1時 間 固 ス ミ ウ ム 酸 で30分 間 固 定 した. 次 い で エ チ ル ア ル コー ル 系 列 で 脱 水 し,プ ロ ピ ほ とん どす べ て の細 胞 は,図 の よ うに 細 胞 表面Ig強 レ ン オ キ サ イ ドを経 て エ ポ ン812に 包埋 し た. LKB 陽性 を示 す- ウ ル トラ トー ム を 用 い て ガ ラ ス ナ イ フ で超 薄 切 片 を 作 製 し,酢 浄 後1% EAと 106/meのPBS浮 rpm し た. 1% EAと 培 養 細 胞4× 遊 液 を0.1meず つ 等 量 混 合 し, 500 3分 間 遠 沈 後, 37℃ 30分 間 反 応 させ, Eロ ゼ ッ ト と同 様 に 陽 性 細 胞 を 算 定 し た. EACロ %Eと37℃ ゼ ッ ト:抗E抗 回 洗 浄 後,さ 清(C)を 画(A)を5 PBSに 0.1meず つ 等 量 混 合 し, 500rpm 37℃ 30分 間 反 応 させ, 細 胞 を算 定 し た. て3 マ ウ ス新鮮 血 に て30分 間complement て3回 培 養 細 胞4×106/meのPBS浮 HS-8型 電 子 顕 微 鏡 で観 察 した. 5.染 色体 分析 染 色 体 分 析 は 原 則 と してMoorheadら37)の PBSに ら に10倍 希 釈 のA系 等 量 加 え,37℃ を反 応 さ せ た(EAC). % EACと 体IgM分 30分 間 反 応 させ(EA), 酸 ウ ラ ニ ル お よ び クエ ン酸 鉛 で 重 染 色 を施 し, Hitachi 洗 浄 後, 1 遊液 を 3分 間 遠 沈 後, Eロ ゼ ッ トと 同 様 に 陽 性 方 法 に 準 じ て 行 な っ た.す な わ ち,培 養 シ ャー レに 1γ/mEの 濃 度 の コ ル ヒチ ン を加 え, 37℃ 60分 間 静 置 し た 後, 0.9%ク エ ン酸 ソ ー ダ に よ り低 調 処 理 を行 な っ た.次 い で メ タ ノー ル と氷 酢 酸 の等 量 混 合 液 に て 固 定 し,細 下 し,乾 燥 後Giemsa染 胞 を ス ラ イ ドグ ラ ス に 滴 色 し,顕 微 鏡 写 真 撮影 に よ り染 色 体 分 析 し た.次 に よ りbandingに な わ ち,写 にKajiiら38)の 方法 よ る染 色 体 分 析 を行 な っ た,す 真 撮 影 の 終 っ たGiemsa染 色標本 を ヒ ト白 血 病 性B細 胞 株 に 関 す る研 究 脱 色 し,ト 767 リプ シン 処 理 の 後,ふ た た びGiemsa 染 色 して 顕 微 鏡 写 真 撮 影 に よ り分 析 し た. 結 1.培 果 養経 過 用 い た2種 の 培 養 液 の う ち,培 養 液80% 1640+20% 後5日 FCSに RPMI は,培 1640+20% 図⑥: BALL-1細 胞 の 染 色 体 分 布 図.モ ー ドは46 HCSに 方,培 養液 植 え こん だ細 胞 養 開 始 後 徐 々 に 変 性 し, 14日 目頃 に は 生 細 胞 が 約60%に 本 で あ る. 養 開始 目頃 よ り急 速 に 変 性 し, 14日 目頃 に は ほ と ん ど 生 細 胞 を 認 め な くな っ た.一 80% RPMI 植 え こ ん だ細 胞 は,培 減 少 し たが,そ の 頃 よ り生 細 胞 は 漸 次 増 加 し始 め, 34日 目に 最 初 の 継 代 培 養 に 成 功 した.そ を 重 ね,現 の 後 は7∼10日 目ご とに継代 培 養 在 培 養 開 始 後25ヶ 月 を 経 過 し て い る. 細 胞 株 樹 立 後 約1年 間 は80% FCS+5% HCSで 培 養 を続 け,現 % RPMI 1640+15% あ る.細 胞 分 裂 指 数 は1.0で,細 timeは FCSで 培 養 液80% 時 間,培 RPMI 養 液80% 間 で, maximum あ っ た.位 た.個 1640+15% 在 培 養 液85 も培 養 維 持 が 可 能 で 胞 のdoubling 1640+20% RPMI HCSで80 1640+20% FCSで66時 cell densityは3.7×106/meで 相 差 顕 微 鏡 に よ る 観 察 で は,培 胞 は 細 胞 集 塊 を形 成 せ ず,単 殖 し,ガ RPMI 一,浮 養細 遊 状 態 で増 ラ スシ ャー レ底へ の付 着 は 認め な か っ 々 の 細 胞 は ほ ぼ 球 形 を呈 し,均 一 で 細 胞 質 突 起 は ほ とん ど 認 め な か っ た(図 ②).樹 胞 株 はBALL-1株 2.細 立細 と名 づ け た. 胞形態 BALL-1細 胞 はMay-Gruwald-Giemsa染 色 標 本 上,形 態 学 的 に 患 者 の 白血病 細 胞(図 ①)に 類 似 し,細 胞 の 直 径 は10∼21μ(平 均14μ)で,胞 は 幅 狭 く,中 等 度 の 好 塩 基 性 を 示 し,時 の 空 胞 を 認 め た(図 ③).核 核 網 は 繊 細 で あ り,し 核 小 体 を認 め た.少 は 大 型,ほ ば し ば1∼ 体 に数個 ぼ 円形 で 数 個 の 明瞭 な 数 の細 胞 は小 型 で核 クロマ チ ンが 凝 集 し,核 小 体 を 欠 き,成 熟 リンパ球 に 類 似 して い た. 透 過 型 電 子 顕 微 鏡 に よ る 観 察 で は, 図 ⑦: Giemsa-bandi㎎ 法 に よ るBALL-1細 胞の 核 型. 4本 の マ ー カ ー 染 色 体(大 き いmetacentricと telocentric各1本 ,中 等 大 のtelocentric 2本)を 有 す るpseudodiploidで あ る こ と を 示 す.そ の 他 に も 複 雑 な 染 色 体 異 常 が 存 在 す る. 細 胞 は 細 胞 質 に 乏 し く, 熟 で,や rough organelleの や 大型 のmitochondriaを endoplasmic しば し ば1∼ reticulumの 数 個 のlipid BALL-1 発達 は 未 数 個 認 め た. 発 達 も悪 く, dropletを 認 め た.核 768 中 は 大 型,ほ 村 ぼ 円 形 で 大 多数 に 小 型 の 核 小 体 を認 め た(図 ④).な お,ウ ィ ル ス様 粒 子 の 存 在 は 認 め られ な か っ た. 3-細 胞 の 細 胞 表 面 マ-カ EACロ EAロ ー の 検 索 で は, ゼ ッ ト陽性 細 胞 ゼ ッ ト陽 性 細 胞35.6%,細 面Ig陽 性 細 胞(図 ⑤) 100%で 胞表 あ っ た.細 胞 表 面Igの subclassの 検 索 で は, γ-10%以 下, α-0%, μ-100 %, δ-100%, ε-0%, κ-0%, λ-100%で あ り, BALL-1 細 胞 が λ型 のIgMとIgDの2種 方,患 パ 系 細 胞 の 細 胞 表 面 マ-カ-の ゼ ッ ト陽 性 細 胞1%, EACロ 4. EAロ 者末 梢 血 リン 検 索 で は, Eロ ゼ ッ ト陽 性 細 胞40.5 ゼ ッ ト陽 性 細 胞59.5%,細 Ig陽 性 細 胞99%で 胞表 面 あ っ た. あ る と い う.そ め他の報告 B細 胞 型ALLの 胞 型ALLとT細 胞 型ALL, 間 に は 発 症 頻 度 の差 ば か りでな く, 臨 床 像 に も明 らか な相 違 が 認 め られ,こ とにB細 胞 型ALLの 予 後 の 悪 い こ とが 知 られ て い る7)-12). 私 達 の 症 例 は, 75才 と い う高 令 者 に 発 症 し た ALLで,末 梢 白 血 球 数 は 著 増 し,そ ま た,臨 の ほ とん ど 髄 像 も同 様 で あ っ た. 床 経 過 の 面 か らは,強 力 な化学 療法 を 行 な っ た に もか か わ ら ず 治 療 に抵 抗 性 で,寛 解 を 得 る こ と な く急 速 な経 過 で 死 亡 し た.こ 点 は,大 多 数 のALLの の 白 血 病 細 胞 がB細 れ らの 臨 床 像 と一 致 せ ず,患 者 胞 表 面 マ ー カー を有 した 点 細 胞 型 と臨床 像 との 間 に 緊 密 な 相 関 が み られ る こ とは 極 め て BALL-1細 胞 のEBNAは,細 胞株 樹 立 後早 期 よ り数 回 に わ た っ て 検 索 した が 常 に 陰性 で あ っ た. 色体 培 養9ヶ れ ぞ れ26%,4%で が 注 目 さ れ る.こ の よ うにALLの EBNA 5.染 胞 表 面 マ ー カ ー を有 す る も の は そ を リ ン パ 芽 球 が 占 め,骨 類 の 細 胞 表 面Ig を有 す る こ と を 示 し た.一 %, Tお よ びB細 に,大 多数 のNull細 Eロ ゼ ッ ト陽 性 細 胞0%, 40.1%, 夫 で も大 体 同 様 の 結 果 が 得 ら れ て い る7)-11).さ ら 胞 表面 マ ー カー BALL-1細 一 興 味 深 く,こ の こ と はALLが 能 性 を示 し, in vivoに 単 一 疾 患 で な い可 お け る そ れ ぞれ の細 胞性 格 が 臨 床 像 に 反 映 さ れ て い る の か も知 れ な い. 月 目 にBALL-l細 胞50個 の 核 板 に つ い て染 色 体 分 析 を行 な っ た.染 色 体 数 の モ ー ドは した が っ て, ALLに こ の よ う な 細 胞 型 分 類 を試 み る こ と は, Wybran2)やBelpommeら12)の い 46本 に あ り(図 ⑥),こ れ ら は す べ てpseudodiploid う よ う に 予 後 の 判 定 や 治 療 面 で よ り有 効 かつ 選 で, 4本 の マ ー カ ー 染 色 体(大 き いmetacentric 択 的 な化 学 療 法 を 確 立 して ゆ く上 か ら も有 意義 とtelocentric各1本,中 等 大 のtelocentric 2 本)を 有 し(図 ⑦),そ の ほ か に も複 雑 なbanding で あ ろ う. 腫 瘍 研 究 の 場 をin vitroに 移 す 手 段 と して種 異 常 が 認 め られ た 。 患 者 の 白血 病 細 胞 に つ い て 々 の 培 養 法 が 古 くか ら試 み ら れ て きた.造 も染 色 体 分 析 を行 な い,分 析 可 能 な2個 系 細 胞 の 長 期 培 養 に つ い て は, と も にpseudodiploidで の核 板 は あ っ た. 考 とBarr13)がBurkittリ 1964年Epstein ンパ 腫 患 者 の リンパ 節生 検 材 料 か ら リ ンパ 芽 球 様 細 胞 株 の 樹 立 に 成功 し 察 て 以 来,悪 1970年 頃 よ り,動 物 に お け る リ ンパ 球 のsubpopulationの 血器 性 腫 瘍 患 者 の み な らず,伝 染 性単核 症 患 者 や 正 常 人 か ら も 多数 の 同 様 の 細 胞 株 が 樹 知 見 か ら,ヒ トに つ い て も 同 様 の 立 され て い る14)-17).と こ ろ が 最 近,多 概 念 が 導 入 さ れ は じめ,正 常 人や 各種 疾 患 にお 者 に よ っ て,正 常 ヒ ト リ ン パ 球 がEBVに くの 研 究 感染す け る そ の 動 態 が 追 求 さ れ て き た1)∼3).リン パ 性 白 る とtransformationを 血 病 は,従 で 恒 久 的 増 殖 系 とな る こ とが 報 告 され14)-17),34)-36), 来 よ り臨 床 経 過 や 細 胞 形 態 の 面 か ら 慢 性 リン パ 性 白 血 病(CLL)と お こ し,容 易 にinvitro 急 性 リン パ 性 白 血 サ ル の リ ン パ 球 に つ い て も ま っ た く同 様 の結 果 病(ALL)に 分 け られ て き た が,細 胞 表 面 マ ー カ ー の 検 索 が 進 む に つ れ て 次 の よ う な こ とが 明 らか が 得 られ て い る36),39).こ れ らの 細 胞 は,形 態 学 とな っ て き た.す 由 来 す る 細 胞 と悪 性 腫 瘍 患 者 に 由 来 す る 細 胞 と 胞 表 面 マ-カ な わ ち, CLLの 大 多数 がB細 ー を有 す る5)の に 対 し, Belpomme ら12)の報 告 に よ る と, ALLの70%はTお 細 胞 表 面 マ ー カ-を も た な いNull細 よ びB 胞 型 で あ り, 的 に リ ン パ 系 幼 若 細 胞 の 形 態 を 呈 し,正 常 人 に が 極 め て 類 似 し, EBV抗 原 やEBNAが 陽 性 で, B細 胞 性 格 を 有 す る こ とが 明 らか と な った.さ ら に,そ の 細 胞 表 面Igが し ば しば 多 ク ロー ン性 ヒ ト白 血 病 性B細 胞 株 に 関 す る研 究 769 を示 す こ と,培 養 液 中 で 細 胞 集 塊 を 形 成 す る こ を 占め るNull細 と,活 発 な 運 動 能 を 有 し,形 態 学 的 に しば しば ー カ ー を有 し な い と さ れ て い る が ,こ れ が リ ン hand-mirror パ 球 の 腫 瘍 化 に 伴 う現 象 で あ る の か,あ shapeを 呈 す る こ と,成 熟 度 の 異 胞 型ALLは 既 知 の細 胞表 面 マ る いは な る リ ンパ 系 細 胞 が 混 在 す る こ と,正 常 な 染 色 リ ン パ 球 の 機 能 分 化 の 過 程 で よ り幼 若 な 段 階 に 体 構 成 を有 す る もの が 多 い こ と な ど 多 くの 共 通 あ る 細 胞 が 腫 瘍 化 した の か と い う 問 題 も解 決 さ し た特 性 を 有 す るこ とが知 ら れ て い る14)-17)-34)-36) れ て い な い.最 こ の結 果,少 ト, EACロ 数 の 例 外18)-33)を除 い て は,こ れら 近, BALL-1細 胞 にEAロ 細 胞 株 の ほ とん どは 培 養 に 用 い た 細 胞 に 少 数 混 な り,こ れ は 長 期 培 養 の 経 過 でEAレ 在 し た正 常B細 EACレ し た,い 胞 がEBVに よ っ てtransform わ ゆ る リ ン パ 芽 球 様 細 胞 株 と考 え ら れ て お り,ヒ トの 造 血 器 腫 瘍 細 胞 自身 に 由 来 す る 細 胞 株 の 樹 立 は 容 易 な こ と で は な い. こ の こ とが 細 胞 の 分 化 や 幼 若 化 と関 係 して い る か ど うか に つ い て も明 ら か で な い.こ 来 し て い る こ と は 次 の 点 か ら 明 ら か で あ る.す 胞 が形 態学 的 に患者 の 白 す べ き で,将 来,細 胞生 化学 や細 胞機 能 面 か ら の 積 極 的 ア プ ロー チ が 必 要 と な ろ う. BALL-1株 樹 立 の 経 過 でFCS添 血病 細 胞 に 極 め て 類 似 し て い る こ と, ② BALL-1 は 樹 立 さ れ ず, HCS添 細 胞 の細 胞 表 面 マ ー カ ー がEロ れ た こ と は 興 味 深 く, HCSがin ゼ ッ ト0%, EACロ 面Ig 100%で,患 者 の 白血 病 細 胞 の 細 胞 表 面 マ EBNA陰 ゼ ッ ト35 .6%,細 EA ロ ゼ ッ ト40.1%, ー カー と-致 性 で あ っ た こ と, ④ BALL-1細 dodiploidで 胞表 し た こ と, ③ 数 回 に わ た る検 索 で 色体 構 成 が4本 胞の 染 の マ ー カ ー染 色 体 を 有 す るpseu- あ り,患 者 の 白 血 病 細 胞 の 染 色 体 構 成 もpseudodiploidを の よ う に, こ と は 難 し く,そ の 検 査 結 果 の 解 釈 も慎 重 を期 胞 性 格 を有 し,患 者 の 白 血 病 細 胞 に 由 な わ ち, ① BALL-1細 セ プ タ ー, セ プ ター が 消 失 した もの と考 え られ る が, 現 在 細 胞 表 面 マ ー カ ー の 意 義 を正 当 に 評 価 す る 今 回,.私 達 が 樹 立 に 成 功 した 細 胞 株(BALL-1 株)はB細 ゼ ッ ゼ ッ ト陽 性 細 胞 を ほ と ん ど 認 め な く 示 し た こ と で あ る.こ れ 加培養 液か ら 加 培養 液か らのみ 樹 立 さ vitroに お け る 細 胞 の 増 殖 開 始 に 促 進 的 に 働 くな ん らか の 物 質 を 有 し,培 養 細 胞 中 に 少 数 混 在 し た正 常B細 のEBVに よ るtransformationを と 考 え ら れ る.ヒ 胞 抑制 した もの トの 造 血 器 腫 瘍 細 胞 に 由 来 す る細 胞 株 の 樹 立 は 容 易 な こ とで な く,現 在 ま で にALL18)-23). 33),リ ンパ 腫24)-27),多 発 性 骨 髄 腫 28)-30) ,急 転 時CML31)-32)患 者 か ら少 数 の 細 胞 株 ら の 点 は 前 述 の リ ンパ 芽 球 様 細 胞 株 の 特 性 と は の 樹 立 が 報 告 され て い る に す ぎ な い.こ ま っ た く異 な っ て い る.な 血 病 細 胞 に 由 来 す る細 胞 株 の 樹 立 は 極 め て 困 難 細 胞 表 面Igのheavy が λ型 を示 し た が,こ お, BALL-1細 chainが の こ とはRowe40)やFu ら41)がそ れ-それ,正 常 リン パ 球, CLL細 た よ うに 同 一 細 胞 表 面 に2種 と考 え ら れ,染 胞 株 が 単-ク 胞の μ, δ,light chain 胞 で示 し のIgを 有す る も の 色体 分析 の 結果 とともに この細 ロ ー ン 細 胞 か ら成 る こ と を強 く示 で あ る.造 血 細 胞 の う ち,リ とに 白 ンパ 系 の 腫 瘍 細 胞 に 由 来 す る 細 胞 株 に つ い て は, 1972年Minowadaら18)がALL患 者 か らEBV抗 原 陰 性 で, T細 胞 表 面 マ ー カ-を 有 す るMOLT株 の 樹 立 を初 め て 報 告 した.そ の 後, T19)-22), B23)-30), Null 19),27).32).33)細 胞 性 格 を有 す る リンパ 系 腫 瘍 細 胞 株 唆 す る.本 症 例 で 低 γグ ロ プ リ ン血 症 を 認 め, が そ れ ぞ れ数 系 ず っ樹 立 され て い る.文 す べ て の 免 疫 グ ロ プ リン 分 画 が 減 少 し て い た こ とに つ い て は い くつ か の 可 能 性 が 考 え ち れ る. 骨 髄 腫 細 胞 と リ ン パ 腫 細 胞 に 由 来 す るB細 胞 株 24)-30)を除 い て は ,ヒ ト白 血 病 性B細 胞 株 と して す な わ ち,白 の 報 告 は, Minowadaら23)がALL患 血病 細 胞の 著増 の ため 正常 な免疫 グ ロブ リ ン産 生 細 胞 やhelper細 胞 が 減 少 した こ に 成 功 し たBALM株 と,白 血 病 細 胞 に よ る こ れ らの 細 胞 へ の 抑 制 効 がBALM株 果,あ 考 え た 根 拠 は,細 る い は 多発 性 骨 髄 腫 やWaldensttrom's macroglobulinemiaの 細 胞 が 細 胞 表 面Igを 献 上, 者 よ り樹 立 を み る だ け で あ る.彼 ら を患者 の 白血病 細 胞 に由 来 す る と 胞 表 面Igのsubclassが それぞ 場 合 とは 異 な リ,白 血 病 れ 一 致 し,同 じマ ー カ ー 染 色 体 の 存 在 を 認 め た 有 して もその分 泌能 を欠 い 点 で あ る.と こ ろ がBALM株 て い た こ と な どの 可 能 性 で あ る. ALLの 大 多数 胞 集 塊 を形 成 し, EBNA陽 は培 養 液 中に 細 性 で あ る.こ の こと 770 中 村 一 夫 た,い わ ゆ る リンパ芽球 様細 期 に あ っ た か は 不 明 で あ る に して も, Burkittリ 胞 株 と考 え られ, EBNA陽 性 で あ る こ とが 特 徴 ンパ 腫 由 来 の 細 胞 株 以 外 に もEBNA陽 的 と され て い る.今 回,著 者 が 培 養 樹 立 に 成 功 し は, EBV感 染 がBALM株 樹立 の経 過 の どの 時 性 の リン よ りtransformし パ系 腫瘍 細 胞株 が樹 立 され る可 能性 を示す 知 見 たBALL-1株 と して 重 要 で あ ろ う.私 達 の 樹 立 し たBALL-1 が そ れ ぞ れ 患 者 の 白血 病 細 胞 の もの と一 致 し, 株 はEBNA陰 EBNA陰 性 で あ る 点 がBALM株 た く異 な り, EBNA陰 とは ま っ 性 の ヒ ト白 血 病 性B細 胞 胞 回 転,細 は,ヒ トの 白 血 病 細 胞 の 代 謝,細 胞 機 能,抗 胞 表 面 マ ー カー くの 点 で リ ン パ 芽 球 様 細 胞 株 の 性 格 と は 異 な っ て い た.細 り扱 胞株 樹立 の経 加 培 養 液 か らの み 樹 立 され た こ と は 興 味 深 く, HCSがEBVに 原 性 な ど を研 究 す る上 で, 純 粋 な 細 胞 材 料 を常 に容 易 に 供 給 で き,取 胞 形 態,細 性 で あ り,多 過 で, HCS添 株 と して は 最 初 の 報 告 で あ る. BALL-1株 は,細 transformationを よ る 正 常B細 胞の 抑 制 し, in vitroに お け る細 胞 の 増 殖 開 始 に 促 進 的 に働 くな ん ら か の 物 質 を い が 簡 便 で あ る こ とか ら, in vitroに お け る 種 有 す る こ と を示 唆 す る が,そ 々 の 実 験 系 の 成 立 を可 能 に す る.さ ら に, in vitro 未 だ 明 らか で な い.リ ンパ 腫 や 骨 髄 腫 に 由 来す る に お け る抗 白 血 病 剤 の 薬 剤 効 果 の 判 定 に 有 用 で B細 胞 株 を 除 い て は,ヒ あ る ば か りで な く, in vivoに と して の 報 告 はMinowadaら お け る種 々 の 実 験 系 成 立 へ の 可 能 性 を秘 め て い る 点 か ら も,す ぐ れ た 実 験 手 段 を提 供 す る もの と して 重 要 で あ る. で あ る.と 著 者 はB細 語 胞 表 面 マ ー カー を 有 し,治 療 に 抵 ち に,こ の 樹 立 に 成 功 した.文 例 の患 者 の末 梢 血 中の リ ン パ 系 細 胞 を培 養 に 用 い,細 こ ろ がBALM株 はEBNA陽 だけ 性 であ とは ま っ た く 性 の ヒ ト白血 病 性B細 胞株 と は, 今 後 多 方 面 に わ た る 白 血 病 研 究 の 上 で極 め て 有 用 で あ り,す ぐれ た 手 段 を 提 供 す る もの と考 え ら れ る. 胞 株(BALL-1株) 献 上,現 在 ま で 多数 の リ ン パ 系 細 胞 株 の 報 告 が あ る が,今 細 胞 株 の ほ とん ど は 正 常B細 胞株 のBALM株 し て は 著 者 の 報 告 が 最 初 で あ る. BALL-1株 抗 性 で 急 速 な 臨 床 経 過 をた ど っ たALLの1症 を 経 験 した.さ トの 白 血 病 性B細 る 点 が 著 者 の 樹 立 したBALL-1株 異 な り, EBNA陰 結 の性 状 につ いては 日では これ ら 胞 がEBV感 染に 本論 文 を欄 筆 す るに あ た り,御 懇篤 な る御 指 導な らび に御 校 閲 を賜 わ った 恩 師 木 村郁 郎 教 授 に深 甚の 謝 意 を表 します.ま た,終 始 御 懇 篤 な る御 指導 を賜 わ っ た三 好 勇 夫 講 師,平 木 俊 吉博 士 に深 謝 します. 文 献 1. Seligmann, M., Preud' Homme, J. L. and Brouet, J. C.: B and T cell markers blood diseases and primary immunodeficiencies, globulins. Transplant. Rev. 16, 85-113, in human proliferative with special reference to membrane 1973. 2. Wybran, J. and Fudenberg, H.: How clinically useful is T and B cell quantitation? 80, 765 -767, 3. bound immuno Ann. Intern. Med. 1974. Seligmann, M.: B-cell and T-cell markers in lymphoid proliferations. N. Engl. J. Med. 290, 1483 -1484, 1974. 4. Alper, C. A.: B-lymphocyte malignancy. N. Engl. J. Med. 289, 154-155, 5. Piessens, W. F., Schur, P. H., Moloney, W. C. and Churchill, W. 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