校内研修通信 No.1

小樽市立菁園中学校 校内研修通信
平成 27 年 5 月 12 日
No.01 研修係発行
確かな学力を身に付け,自ら学び自ら考える生徒の育生 ~言語活動を取り入れた学習展開の工夫~
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とりわけ書く活動をその中核に位置付ける必要があると言えよう。
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書くことは考えること。書くことは,自分と向き合い自分を振り
第 2 回 校内研修ならびに第 1 回 相澤先生による示範授業(道徳)公開
返ること。まさしく自尊感情を育むことに直結するのです。
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かといえば,教師以外いません。ですから,先生が豊かな言葉の使い手,あるいは話し手,語り手,読
受付業務も精力的にお手伝い頂いたりと,学校全体が一丸となって様々な
み手として,モデルを子どもの前で示してほしい。それが子どもたちの言語活動に対する意欲を喚起さ
加者は 15 名にものぼり,相澤先生からは「子どもの学びをみんなで観る。
せ,持続させていくのだと思います。
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得たものを 1 つでも多く,日々の授業で生かしていきましょう。外部参加
者 38 名(保護者含)に答えて頂いたアンケートの一部をご紹介します。
示範授業
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講演会
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1 人 1 人を励ます声かけやプラス思考を引き出す言葉かけを行うなど,学ぶところがたくさんあり,明日から
の授業づくりに生かしていこうと思いました。
全員の書いたことをうまくつなげながら授業をすすめる技術がすごいと思いました。
50 分間全力で生徒と向き合い,すべての子どものよい部分を取り上げるよい授業でした。
生徒指導の観点がたくさん含まれた授業であったなと印象を受けました。また,言語活動は単なる発声では
なく,話し合いからの深め合いであることを再確認しました。
机間巡視をしながら「どの生徒からどの言葉を発表させるか」を瞬時に決められていたこと「ただ手を挙げ
させても意味がないこと」,大変勉強になりました。
今後の授業づくり等において本当によいモデルとなる授業に出会ったと思います。
くり返し,自己存在感,あて方,ひきつけ方…etc 見える教師になりたいと思いました。
あたたかい声と言葉かけ。机間指導での働きかけのすばらしさ。夏の国語の授業も参加したいと思います。
演習的なことができ,明日からの自分に役立てることができると思いました。
具体的な賞賛は背中を押すことにつながると感じた。
道徳の副読本の扱い,
「(全文そのまま提示せず)カットする」は大変響きましたし,勉強になりました。
相澤先生以外の先生方が授業(公開研)する機会があれば,またぜひ参観させて頂きたいと思います。
時間が足りなく感じました。もっと話を聞きたいと思いました。
さて,事前にお配りした相澤先生による初等教育資料の 2 つの記事を改めて読み直すと,授業や講演
国語や算数,道徳等の授業では,これまでもノートづくりを大切な指導事項としてきた。文字どおり,
ノートに書くことによって考えをもたせたり広げたりするとともに判断させたり表現を工夫させたりし
これが本当の地域連携だね」との力強い言葉も頂きました。今回の研修で
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言語活動の充実のポイントの一つは,やはり身近なモデルが必要だということです。それは学校では誰
みをお願いしたり(GW5/5 には教室掃除まで)船橋先生には分担以外の
支えがあったからこそ,終えることができました。保護者・地域からの参
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なぜ昔から我が国では(中略)書かせることを大事にしてきたの
か。それは単に,そこに考えを表出させることではありません。
「どの⼦にも学ぶ喜びと居場所を」
にご協力頂きありがとうございました。特に,吉岡先生には資料の読み込
思考力・判断力・表現力等を高める言話活動の充実を図る場合,
てきたのである。ノートは子どもの思考・判断,表現の「運動場」なのである。
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こども一人一人の考えをどう引き出すか。先んじて手を挙げる子どもを優先的に発表させる授業に見ら
れるように,形骸化した表面的な学習活動,言語活動があまりにも多い。
これらの示唆を受け,6 月の研修日に授業改善の方向性を打ち出したいと思います。まずは目の前の
子どもの実態を前提にして,2~3 つの視点で整理したものを提案する予定です。
意図的指名 〜指名の背後にあるもの
「子どもの考えを一瞬で捉える方法や意図的指名の順の考え方
をその場で見せるから,2 回の机間指導の時に 5~10 人くらいの先
生方についてきてもらいたい」と提案して下さり,実際,私も側で
拝見しました。ノートの記述から瞬時に「言葉をひろう」姿はまさ
にプロの技術でした。
「意図的指名」自体は,全く新しい話というわけではなく,これ
までも「多様な考え方をどのように取り上げ,まとめていくのか」
ということが検討される中で出てきている指導技術です。以下,数
の中で出たキーワードが散りばめられていることに気付きます。(資料から一部抜粋)
学の例になってしまいますが,私の手元の資料から引用します。
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(相馬一彦,
「問題解決の授業」pp.66-71,1997,明治図書)
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言語活動の目的や意図(中略)を学習者である子どもにも伝える必要がある。こ
れからは,なぜグループで話し合うのか,また,話し合いの方向はどちらか,発
表する目的は何かなどをそのつど教師が子どもに明示することが求められる。
何よりも言語活動の原点に位置付けられる「対話」の仕方を「ペア学習」などを
通してどの子どもにも身に付けさせることが肝要である。ペア学習は,単なる話
合いの方法・手段にとどまらず,思考や感情の醸成の場であり,互いの存在を確
かめ合い,学び合いを実感できる機会でもある。文字どおり,集団思考の原点に
位置付けられる言語活動である。付言すれば,ペア学習ができなければ,グルー
プ活動もその成果は期待できない。
「グループに分かれて話し合いなさい」という指示ではすまないということである。
「話し合って考えを
1 つにまとめなさい」という明確な指示を出して収束的な思考の方向で言語活動をさせるのと「話し合
って,できるだけ多くの見方や考え方を見付けなさい」という指示によって拡散的な思考の方向で話し
合わせるのとでは,言語活動の質が異なってくる。
→ 関連:第 1 回校内研修 p3(4 つ目の□)
「話合いは考え合い」です。そこで問われてくるのは考え合いの方向性なのです。(中略)「話合いは考
え合い」という合言葉のもとに,もう一度これまでの話合い活動の問題点を振り返り,よりよい話合い
活動を子どもにさせていきたいものです。
多様な見方や考え方の取り上げ方
a. 机間指導をもとにして,生徒の考えを把握した上で意図的に指名
この取り上げ方には,教師の意図が強く反映される。「どの考え方を先
に取りあげるのか」などの判断をしながら指名することができる.
b. 生徒の考えを把握しないまま,意図的ではなく,挙手で指名する
生徒からはどんな考え方が出されるのか予想はできない.発表する生
徒の考え方に応じて柔軟に対応することが求められる.
(中略)例えば,a と b の組み合わせもある.
最初の生徒は指名し,その後は挙手をさせて,1 つずつ順にとりあげる
グループセッション
(詳細は G
S にファイル添付します)
限られた紙面では語りきれませんが,どの教科でもお互いに少し
意識してみたいものです。その上で,6 月以降の研修では,子ども
の姿で授業を語り合えたら,と願っています。
(文責@齊藤敏)