vol.239 国交省、ネット上での「重説」に向け、ガイドライン公表

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2015 年 5 月15 日号
239
ハウジング・トリビューン【ウィークリー】
http://www.sohjusha.co.jp
今週のトピック解説
国交省、ネット上での「重説」に向け、
ガイドライン公表
国土交通省は5月14日、
「ITを活用した重要事項説明に係
る社会実験のためのガイドライン」を公表した。
重要事項説明(重説)とは、不動産の売買契約・貸借契
約・委託契約に際し、契約に関する重要事項を消費者に対し
説明すること。不動産取引に関する紛争を未然に防止するた
め、宅建業法の中で、宅建業者に重説の義務を課している。
重説については対面で行うことを宅建業者に義務づけてい
るが、国土交通省は昨年4月、
「ITを活用した重要事項説明
等のあり方に係る検討会」を設置し、規制緩和の検討を開始。
今年1月に策定した最終とりまとめのなかで、テレビ電話な
テレビ会議の画面イメージ
どを活用した重説(IT重説)の実施に向け、
「個人の賃貸取引」
と「法人間の賃貸・売買取引」を対象に実証実験を行う方針
物取引士証の提示を明示。さらに、IT重説後の責務につい
を示した。そして、今回、実証実験の実施に向け、実証実験
ては、相手方にアンケートを取ることを求めている。実証実
を行う際のガイドラインを公表した。
験後と入居半年後の2回行うとしている。
今年度中には実証事業者の登録を開始
アンケートも実施
ガイドラインでは、実証実験を実施するにあたっての利用
また、ガイドラインではWebページから実証実験への参
加希望事業者登録の募集を行うとしている。参加にあたって
は、事業者および宅地建物取引士の基本情報、想定される
IT重説の実施件数、IT重説の実施方法・実施体制等といっ
可能な情報ツールや、注意事項、事業者の責務、やり取りの
た情報の登録を求めており、条件に合った事業者を採択する。
具体的な流れなどを示している。
参加希望者が多い場合は上限を設ける予定。事業者登録の募
このうち、
「利用可能な情報ツール」については、テレビ
集開始時期については未定だが、国土交通省は「今年度中に
会議やテレビ電話など、動画と音声を同時に、かつ双方向で
は実証実験を開始する予定であり、事業者登録の募集につい
やり取りできるシステムとしている。
てもそう遅くはならないだろう」としている。
また、国土交通省が特に重要と強調するのは、
「事業者の
実証実験の開始後は半年に1回程度、成果を検証する検討
責務」の部分。例えば、IT重説前の責務として、重要事項
会を開催。検討会において、問題ないと判断された段階で、
説明書を郵送で交付する必要や、相手方(IT重説を行う相手・
まずは「個人の賃貸取引」と「法人間の賃貸・売買取引」か
貸主双方)からの同意を必ずとる必要を示している。相手方
らIT重説の本格運用へ移行。また、
「個人の売買取引」につ
の同意については、原則として登録事業者と相手方の記名押
いても、社会実験の検討を踏まえて検討していく方針だ。
印をした書面の同意書を策定する必要性を明示。相手方の記
今回公表されたガイドラインは今後のIT重説のベースに
入押印の取得方法については、郵送、電子署名、本人限定受
なっていく。IT重説が実現すれば、ネット上だけで不動産
取郵便、Webのいずれかの方法で行うこととしている。
取引が完結できる可能性があるだけに、今後も実証実験の動
IT重説中の責務については、録画・録音の実施や宅地建
向に注目が集まりそうだ。
今週の主なニュース
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・積水ハウス 太陽光発電の出力制御に対応した住宅
を開発 出力制御対応型蓄電池を採用
・パナホーム 多層階住宅の魅力を発信する戦略営業
拠点を開設 上質な音を楽しむための実証実験も
・レオパレス21 新たな賃貸住宅ブランドを提案 異
なるコンセプトの2タイプを新設
・アキレス 北海道地区限定で展開していた現場吹付け硬質ウ
レタンフォームを全国販売 優れた断熱性、気密性を実現
・阿部興業 創業70周年を記念して超個性的な7つのドア
を発売 世界的なデザイナー佐藤オオキ氏がデザイン
・マグ・イゾベール 床下から施工するリフォーム用
断熱材を開発 様々な床の仕様に対応可能