「生き方を学ぶ」

曹洞宗大本山總持寺・ニコニコ法話
平成27年4月
「生き方を学ぶ」
石川県 月心寺住職 勝田浩之(本山 単頭)
「晴れた日は晴れを愛し 雨の日は雨を愛す 楽しみあるところに楽しみ 楽しみ無
きところに楽しむ」作家・吉川英治氏のことばです。人は、晴れた日が続き、また暑い
日が続くと少し雨が降って涼しくならないかと思い、雨の日・雪の日が続くと晴れた青
空を見たいと望むものです。そんなに都合の良い風に天候は変わってくれないことは解
っていても人は自分中心に物事を考えようとします。
吉川氏のように生きられたらどれだけ毎日が有意義でしょうか。この自分勝手な自我
を超越した時に『般若心経』で教えられている空の世界が展開されるのです。「とらわ
れない、こだわらない」無我の境地が空なのです。
何年か前に古老がこんなことを教えてくれました。人生「かきくけこ」で生きなさい。
と言うのです。何だろうと聞いてみると、「か」は感謝「き」興味「く」工夫「け」健
康「こ」恋だと言うのです。感謝していく心を持って生きるとは、与えられたいのちへ
の感謝、食べ物、家族、知人、自然。生きている限り沢山の感謝すべき対象が存在しま
す。素直に「ありがとう、お蔭様で」と言える人になることの大切さを教えています。
興味は何事においても関心を抱き「何でだろう、どうしてだろう」と自問自答していく
ところに自ずと向上の道が開けてくるのです。工夫は自分が見て、聞いて、考えて行動
していくという心構えが脳の活性化になるのです。
健康こそ一番の宝物です。自分の体は自分が一番良くわかっているものです。自己管
理を徹底する。また食事への注意を払うことも忘れてはいけません。過食、過労は禁物
です。最後の恋は、男女間の恋愛ばかりが恋ではないと言うのです。自分を善き道に導
いて下さる先生、友、仲間、その方々に対して慕いなさいということなのです。
この「かきくけこ」で生きていく生き方を、私たちにとって一つの指針として受け止
めてみては如何でしょうか。