第100回薬剤師国家試験 総評 平成 27 年 3 月 27 日現在 1 薬剤師国家試験合格率の推移 93 回 94 回 95 回 96 回 97 回 98 回 99 回 100 回 新卒生 86.3% 84.8% 39.7% 33.5% 95.3% 83.6% 70.5% 72.65% 総数 76.1% 74.4% 56.4% 44.4% 88.3% 79.1% 60.8% 63.17% 【第 99 回と第 100 回の比較】 第 99 回薬剤師国家試験 第 100 回薬剤師国家試験 (厚生労働省発表) (厚生労働省発表) 6年制新卒 70.49% 6年制新卒 72.65% 合格率総数 60.84% 合格率総数 63.17% 合格者人数 総数 受験者数 総数 出願者数 合格者人数 7,312 人 総数 受験者数 12,019 人 総数 14,039 人 出願者数 -1- 9,044 人 14,316 人 16,546 人 2 第 100 回薬剤師国家試験 総評 第 100 回薬剤師国家試験は、前年度の第 99 回と同様、必須問題では高校レベルを含めた「基 礎的能力」、一般問題では「問題解決能力」を問う問題が多く、また、第 99 回と比べても従 来の出題とは全く切り口の異なる新傾向の問題が多く、 「難しい」というよりも、受験生にと って「点数が取りにくい」出題であったと思われます。 そのため、第 100 回薬剤師国家試験の全体(345 問)の平均点は、配点の補正が無ければ、 第 99 回に比べ低下していたと思われます。しかしながら、第 100 回薬剤師国家試験の合格率 は第 99 回に比べて、新卒生、総数ともに2~3ポイント上昇しています。 これは、不適切問題が3問あったことに加え、問題として適切であるにも関わらず、受験 者の正答率及び識別指数を考慮し、全員正解として採点した問題(補正対象問題)が11問 (必須問題で5問、一般問題で6問)あったため、補正後の平均点は上昇し、素点では合計 65%に達していなかった学生や、必須問題の一領域において 50%に達していなかった学生が 合格したためと考えられます。 不適切問題:いわゆる「解なし」・・・全員を正解として採点する。 (一般問題3問)問192,問211,問300 補正対象問題:問題としては適切であるが、受験者の正答率及び識別指数等を考慮し、 全員正解として採点する。 (必須問題5問)問2,問4,問9,問20,問60 (一般問題6問)問108,問177,問181,問193,問196,問272 -2- 3 第 100 回薬剤師国家試験の科目別の総評 第 100 回予想平均点 第 99 回との比較 かなり点数をかせぎやすい 前回より平均点は上昇(易化) 点数をかせげる 前回より平均点はやや上昇(やや易化) 普通 前回並 点数を取りにくい 前回より平均点はやや低下(やや難化) かなり点数を取りにくい 前回より平均点は低下(難化) ①必須問題(1日目① 問 1~問 90、出題数 90 問) ※以下予想平均点は自己採点システム『咲いてん君』によるもの 【物理・化学・生物】 予想平均点 65%前後 前回より平均点はやや低下 補正対象問題:3問 物 理 予想平均点 65%前後 物理化学 放射化学 分析化学 前回並 難易度は昨年より易化しているが、学生は難しいと思っている感がある。基本的な問題であり、 必須問題としては適切な問題と思われる。 基本的な問題であり、必須問題としては適切な問題と思われる。 難易度は昨年並み。完答できる。基本的な問題であり、必須問題としては適切な問題と思われ る。定量分析に関して、基本的な問題。本校の模擬試験に全く同じ問題があったので、この模 試を受験した学生は容易に正答できたと思われる。 予想平均点 60%前後 化 有機化学 学 生薬学 前回より平均点は低下 難易度は昨年に比べて、「必須」として出来て当然の問題が多く、簡単な問題であった。しか し、問6、9のような高校レベルの化学の問題があり、大学の講義や病院・薬局の実務研修で の知識ではなく、大学入学前の基礎的なレベルの知識が必要であり、大学入試の時点で、「化 学」を選択せずに大学に入学した学生にとっては、 「?」となる問題。そのため、簡単なのに、 平均点は低下すると予想される。 例年通り出題なし。 予想平均点 70%前後 生 物 機能形態学 生化学 免疫学 微生物 前回より平均点は低下 難易度は昨年並み。容易に正答できる。 基本的な問題であり、正答しやすい。ただし、問 12 は高校の生物の内容であり、覚えてなけ れば正解できないと思われる。 出題なし 少し難しい設問はあるが、答えとなる誤りの設問は明確。いずれも基本的な問題。 【衛生】 予想平均点 75%前後 前回より平均点はやや低下 補正対象問題:1問 昨年に比べると平均点が少し低下すると思われるが、容易な問題であり、足切りの危険性もないと考えられる。 -3- 【薬理】 予想平均点 90%前後 前回より平均点はやや上昇 難易度は昨年より易化。極めて基本的な問題。できて当たり前レベルである。 【薬剤】 予想平均点 85%前後 薬物動態学 物理薬剤学 製剤学 前回並 難易度は平年並み。基本的な問題であり、必須問題としては適切な問題と思われる。 難易度は昨年より易化。基本的な問題であり、必須問題としては適切な問題と思われる。 基本的な問題であり、必須問題としては適切な問題と思われる。 【病態・薬物治療】 予想平均点 75%前後 前回より平均点はやや低下 補正対象問題:1問 難易度は昨年よりやや難化。しかし、過去問の知識から正答を導くことができる問題が多数あった。また、一般用医薬 品の添付文書に記載されている症状から副作用を解答する《実務》で出題されるような問題もあったが、正答を導き出 すのは容易であると思われる。医薬品情報の問題は、1問出題された。過去問レベルの内容なので、容易に正答できる と思われる。今まで《病態・薬物治療》の範囲で出題されていた EBM や POS、医薬品インタビューフォームなどが《実 務》の範囲で出題されたため、驚いた学生もいると思われる。推計学の問題数は、実践問題にはなかったとはいえ、必 須問題で3問、理論問題で3問と、昨年同様5~6問しっかり出題されている。難易度は、昨年度の問題が非常に難し かったのに対して、今年度は勉強していれば普通に解ける問題である。つまり、 「推計学を勉強していれば点数が取れる」 「推計学を勉強していなければ取れない」。 「どうせ、推計学って2~3問しか出ないから、捨てればいいや」なんて、 昔のような考え方をする学生は困ったであろうが、今の時代の国家試験対策をしっかりやっていれば、十分に対応でき る問題であった。 【法規・制度・倫理】 予想平均点 75%前後 前回より平均点は低下 難易度は昨年より難化。法改正の内容も出題されておらず、普通に解答できるが、過去の問題と表現を変えて出題され た問題があったため点数は取りにくい。 【実務】 予想平均点 85%前後 前回より平均点は上昇 難易度は昨年より易化。過去に出題された内容の問題の問い方を変えている問題や、用語の意味を問う問題が出題され ていたため、正答を導くことはできると思われる。 -4- ②一般理論問題(1日目②、③ 問 91~問 195、出題数 105 問) 【物理・化学・生物】 予想平均点 45%前後 前回より平均点は低下 補正対象問題:1問 予想平均点 45%前後 物 理 物理化学 放射化学 分析化学 前回並の平均点 学生にとって難しい問題であったと思われる。国家試験出題基準の過去出題がない範囲を出題 したいという意図を感じる問題と、過去出題のアレンジした問題が出題され、それぞれ自分の 知識を使いつつ、考える力が備わっていないと解くことができない。 出題なし 難易度は昨年より難化。毎年出題されている容量分析からの出題が無く、新傾向の問題が多か った。1つの物質を題材に複数の分析法の特徴を問う問題が増加傾向にあり、難しいと感じた 受験生も多いと思われる。 予想平均点 35%前後 有機化学 化 学 生薬学 前回より平均点は低下 難易度は昨年よりやや難化。点数の取りにくい難しい問題となっている印象。 実践問題で出題されていたような医薬品の薬理作用や物性を構造から考える問題も理論問題 で出題されている一方、医薬品合成に関する問題も出題されている。昨年同様、反応を「覚え ている」のは当然として、それを「使えるか」問題解決能力を問う問題であり、いわゆる知識 がある・ないではなく、知識はあることは当然で、頭の回転がよい・悪いで点数が取れるかど うかに差が出る出題となっている。 生薬鑑別(問 109)は初出題。代表的な生薬の性状や基原植物、有効成分、用途を覚えておか なければ正解するのは難しい。縮合型タンニンと加水分解型タンニンに関する出題(問 110) は初出題であるが、選択肢から正解はできると思われる。 予想平均点 55%前後 機能形態学 生 生化学 物 微生物 前回より平均点はやや低下 難易度は昨年並み。機能形態に限らず、生物では図表を使った問題が多かった。過去問の知識 から解答できるが、普段から図表を見て慣れておくことも重要だと思われる。 難易度は昨年よりやや難。素直な問題が1問もなく、物理・化学・生物のうち、物化が苦手で 生物頼りの学生にとっては、厳しかったと思う。 遺伝子や免疫の問題が多く、大学入試センター試験で問われるような基本的な内容が多かった と思われる。そのため、基本的な内容であっても、国試的には、今までとは異なる問われ方の 問題(新傾向問題)ばかりであったため、基本的な学力のある学生は容易に正答できると思わ れるが、過去問しか解いていない学生や丸暗記の学生には難しく感じられると思われる。 歴史的な実験の問題であり、大学入試センター試験レベルの問題であったが、学生には難しか ったと思われる。 【衛生】 予想平均点 45%前後 前回より平均点はやや低下 難易度は昨年並みであるが、とれる問題をしっかり取らなければならない。毎年出題されているが、いわゆる時事問題 (問 123)もあり、グラフや表、構造式の問題が例年より多く出題されていたので、ほとんど解けなかったと思った学 生も多いと思われる。図やグラフの問題は、覚えた知識を使い、図やグラフを見て考えられるかが正答のポイントであ った。 【薬理】 予想平均点 80%前後 前回より平均点は上昇 難易度は昨年よりやや易化。学生にとって少し難しいかと思う問題があったが、ほとんどは過去問レベルであった。昨 年では多く出題されていた新薬も少なく薬物の作用機序を覚えていれば容易に正答できると思われる。 -5- 【薬剤】 予想平均点 50%前後 前回より平均点は低下 補正対象問題:1問 薬物動態学 物理薬剤学 製剤学 難易度は昨年並み。過去問レベルの問題。確実に誤っているものを導ければ、正解文章に対する 知識がなくても、解答を導くことが可能であるため、得点源になったと思われる。計算の出題は あるものの例年になく簡単であるため、ほとんどの学生は解けたと思われる。 難易度は昨年並み。しっかりとした知識が備わっていれば容易に解答を導くことができる。 物理化学の反応速度に関する計算問題(問 180)が、≪薬剤≫で出題され、しかも、小数点以下の 細かい値まで正確に計算しなければ正答を導くことができない、解き方だけでなく、計算力を必 要とされる問題が出題された。 難易度は昨年に比べやや難。新しい傾向の問題があり、≪薬剤≫の領域で高得点をとるには薬物 動態学での得点が必要となる。内容的には過去に出題されたことばかりであるが、かなり古い過 去問であるため学生にとっては新しい問題と感じたかもしれない。 【病態・薬物治療】 予想平均点 50%前後 補正対象問題:2問 前回より平均点はやや低下 不適切問題:1問 難易度は昨年並みでやや難。純粋な病態・薬物治療 11 問のうち、半分は過去問レベルだが、残りの半分はかなり細かい 部分まで理解しておく必要がある。また、出題範囲に偏りがあったため、得意・不得意で得点に差が出たものと考えら れる。 推計学の問題数は、実践問題にはなかったとはいえ、必須問題で3問、理論問題で3問と、昨年同様5~6問しっかり 出題されている。難易度は、昨年度の問題が非常に難しかったのに対して、今年度は勉強していれば普通に解ける問題 である。つまり、 「推計学を勉強していれば点数が取れる」 「推計学を勉強していなければ取れない」。 「どうせ、推計学 って2~3問しか出ないから、捨てればいいや」なんて、前時代的な考え方をする学生は困ったであろうが、今の時代 の国家試験対策をしっかりやっていれば、十分に対応できる問題であった。 医薬品情報の問題はなし。 【法規・制度・倫理】 予想平均点 85%前後 前回より平均点は上昇 難易度は昨年に比べ易しい。法規で点数の貯金を作って、不得意教科の点数のマイナスを埋める。合格するためのこの 鉄則は、今も昔も変わらない。法規を舐めて勉強しなかった人でも、法規で 65%はとれるかもしれないが、法規で満点 をとっておけば、総合点で 225 点に達する確率が高くなるのは確かである。とにかく「医療法」の出題が多い。 「血液」 の法律も突っ込んで出てきている。しかし、昨年度、大幅に法改正されたところはほとんど出題されてない。 -6- ③一般実践問題(2日目①、②、③ 問 196~問 345、出題数 150 問) 【物理・化学・生物】 予想平均点 60%前後 前回より平均点はやや上昇 不適切問題:1問 予想平均点 45%前後 物理化学 物 理 分析化学 前回より平均点はやや上昇 学生にとって難しい問題であったと思われる。国家試験出題基準の過去出題がない範囲を出題 したいという意図を感じる問題と、過去出題のアレンジした問題が出題され、それぞれ自分の 知識を使いつつ、考える力が備わっていないと解くことができない。しかし、一般理論よりも 一般実践の方が点は稼ぎやすかったように思える。 難易度は昨年並み。過去の複合問題で出題頻度の高かった画像診断やイムノアッセイからの出 題が無かったため、戸惑った受験生も多いと思われるが、基本的事項が理解できていれば正答 できる問題だった。 定量分析の出題なし。 予想平均点 55%前後 有機化学 化 学 生薬学 前回並 難易度は昨年並み。点数の取りにくい難しい問題と感じる学生がいる一方、医薬品などの構造 の問題を薬理学などの知識を使って解ければ、一般理論よりは点はとりやい。 昨年同様、薬理作用や生体内での薬物の反応を問う問題が多く、「薬理」は「薬理」、「化学」 は「化学」として、勉強している学生にとっては難しい問題であるが、「薬理」を「化学」を 意識しなが勉強する。「化学」を「薬理」を意識しながら勉強する。といったように、「薬理」 と「化学」をしっかり繋げて勉強した学生は、点数につながる問題である。 難易度は昨年並み。構造をしっかり読みとれば、正答できる。 予想平均点 80%前後 生化学 生 物 機能形態学 前回より平均点はやや上昇 難易度は昨年より易化。問 222 のように、薬理の知識をもとに、本来、生体内で行われている 生体反応を問う問題など1問の中で生物と医療系科目の複合になっている問題も新たに出題 された(昨年までは、生物の問題の中に医薬品の薬理作用を問う選択肢が含まれていた)が、 いずれも基本的な問題であった。過去問類似問題はもちろん、新傾向問題も正答しやすかった と思われる。 免疫学の問題は、「ホスファターゼ=カルシニューリン」に気付ければ易しい拒絶反応の問題 であった。 難易度は昨年より易化。病態や薬理と絡めた出題が増加傾向にある。 【衛生】 予想平均点 55%前後 前回より平均点はやや低下 難易度は昨年より難化しているが、普通に勉強している学生であれば一般理論でとれなかった分をとりかえすことがで きるレベルの問題であった。 【薬理】 予想平均点 75%前後 前回並 難易度は昨年とほぼ同じ。ほとんどは過去問レベルの易しい問題。前問≪実務≫の答えがわからないと解答できない問 題もあったが、 昨年では多く出題されていた新薬も少なく薬物の作用機序を覚えていれば容易に正答できると思われる。 【病態・薬物治療】 予想平均点 70%前後 前回より平均点は上昇 不適切問題:1問 難易度は昨年より易化。色々な切り口で出題されているため、全体的には面白い問題だと思う。そのためか、薬理や実 務として出題されてもおかしくない問題とも思えた。しかし、過去問の知識で正答できる問題が多かった。 医薬品情報の問題はなし。 推計の問題はなし。 -7- 【薬剤】 予想平均点 65%前後 薬物動態学 物理薬剤学 製剤学 前回より平均点はやや低下 難易度は昨年より易化。確実に誤っているものを導ければ、正解文章に対する知識がなくても、 解答を導くことが可能であるため、得点源になったと思われる。計算の出題はあるものの例年に なく簡単であるため、ほとんどの学生は解けたと思われる。2-コンパートメントモデルの問題 の出題もあり、今後増える可能性がある。 出題無し 難易度は昨年より難。新しい傾向の問題があり、複合問題のうち、≪薬剤≫で出題された問題の 内容も実務的な内容が絡んでおり、≪薬剤≫で高得点をとるためには実務的な知識が必要となっ た傾向にある。本校の模擬試験に類似した複合問題が2問あったため、この模擬試験を受験した 学生は容易に正答できたと思われる。 【法規・制度・倫理】 予想平均点 70%前後 前回並 難易度は昨年並み。 【一般理論】 【一般実践】のいずれも易しい。基本的な問題。新傾向の内容や細かい内容を含むとは いえ、過去問類似問題や過去問組合せ問題が多く、過去問をしっかり解いておけば、容易に正答できると思われる。法 規で点数の貯金を作って、不得意教科の点数のマイナスを埋める。合格するためのこの鉄則は、今も昔も変わらない。 法規を舐めて勉強しなかった人でも、法規で 65%はとれるかもしれないが、法規で満点をとっておけば、総合点で 225 点に達する確率が高くなるのは確かである。 【実務】 予想平均点 70%前後 前回並み 補正対象問題:2問 難易度は昨年並み。複合問題は、それぞれがバラバラで、前問が解けないと次の問題が解けないという問題が非常に少 なかった。 出題範囲の偏りを感じた。毎年出題されていた「医薬品の用法・用量」に関する問題が少なく、 「チーム医療」に関する 問題や、 「副作用」に関する問題、 「薬剤師のとるべき対応」など実践的な内容が多かった。 「知っているから解けた」あるいは「知らないから解けなかった」という問題もあったが、過去に出題された内容から 一歩踏み込んだ問題、過去に出題された問題を少し変えた問題も多くあった。そのため、問題文を読み取る力と、幅広 い知識(薬理・病態、薬剤などの他の科目で得た知識と、実務の知識、一般常識) 、それを使いこなす(自分で考える) 力が必要であると思われるので、丸暗記に頼っていた学生は、答えを絞りきれない可能性がある。 計算問題が複合問題に出題されておらず、3問と少なかった。カロリー計算では、少しひねった問題が出題されていた が、問題文を読み取れれば正答を導き出すのは容易であると思われる。 -8- 4 全体的な問題の分析 第 100 回薬剤師国家試験問題を総合的に分析すると、第 99 回と同様の傾向があります。 ① 計算問題 ② 過去に出題されていない新規の薬物 ③ 高校レベルの「基礎的学力」を問う問題 ④ 「考える力(問題解決能力)」を問う問題 ⑤ 薬剤師としての「医療現場での実践力」を問う問題 ①②は過去の国家試験でも、出題内容に波がある(多く出題される回(年)もあれば、少 ない回(年)もある(①②ともに 99 回<100 回))ため、今後の対策を考える上で、それほど 問題視するものではないと考えます。しかし、③「基礎的学力」を問う問題は、大学の定期 テストの一夜漬けや国家試験前の過去問を解く、参考書を読んで覚えるだけの勉強では対応 できず、大学低学年から養ってきた実力が試されます。また、④『「考える力(問題解決能力) 」 を問う問題』や⑤『薬剤師としての「医療現場での実践力」を問う問題』についても、単に 『ゴロ合わせ』などで覚えていれば解ける問題ではなく、「理解し、考える」勉強をしていな ければ対応できません。 これらの問題から正答を導きだすためには、各科目(物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、 病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務)で得た知識に加え、高校で勉強したような基礎的 な内容や、実習で得た経験・知識などの実践的な内容を結びつけ、総合的に考える必要があ ります。 -9- 5 第 101 回薬剤師国家試験に向けて 【国家試験の出題傾向から見る勉強法】 キーワードは、問題解決能力! 問題を解くために「知識」を身につけるのは当然ですが、国家試験において「点数を取る」 ためには、その知識を使って自分で考えて正解を導くことが必要です。 第 100 回の国家試験でも、過去問で既出の内容や参考書に記載されている基本的な内容をし っかりと理解できていれば解答できる問題も多く、 「知らないから解けない」という問題は決し て多くはない。しかし、「知っているから解ける」という問題もほとんどない。「知識が有るか 無いか」 「勉強をしたかどうか」ではなく、 「問題を解くための発想ができたかどうか」。まさに、 問題解決能力を問う問題が非常に多く、この出題傾向は今後も続いていくと予想されます。 国試対策の参考書を自分で勉強して暗記すれば、確かに必要な知識は身に付きますが、その 知識を本番で使えなければ点数はとれません。 勉強をする、授業を受けるといっても、「参考書の重要な部分に線を引く」とか、「語呂合わ せを使って重要な語句を憶える」とか、「簡単な問題を繰り返し解いて憶える」とか、そんな勉 強で点数が取れるのは、CBT レベルです。 必要なことは、問題解決能力。 Step1 基本的なことを「ただ憶える」のではなく、しっかり「理解して憶える」。 Step2 理解して憶えた知識を、問題で出題された時にどのように使うのかを問題演習で理 解する。 Step3 実際に問題を見たときに、自力で正解にたどり着くための考え方ができるように訓 練する。(ここが重要!) ファーマプロダクトは、第 100 回薬剤師国家試験の問題内容から、第 101 回対策をこのよう に考えています。 - 10 -
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