平成25年6月定例会答弁書 - 香川洋二

32番
香川洋二
平成25年6月定例会一般質問及び答弁
お許しをいただきまして6月定例会の一般質問をさせていただきます。市
長・教育長・関係局長の積極的答弁を期待いたします。
なお、一部内容におきまして、他の議員と重複する部分もございますが、お
許しください。
まず、本市が制定を予定しているものづくり基本条例(仮称)についてお伺
いいたします。
私たちの住んでいる日本においては、戦後、地産地消を基本としていた地域
単位社会構造から中央集権的社会構造、大量消費社会へと大きく変化しました。
そのため、地方都市においては、人口の流出、高齢化、地場産品の弱体化が恒
常的になりました。
ところで、
「作る」という字の起源は、白川静先生の字統によると、木の枝を
曲げて家の垣などをつくると記述されております。すなわち、手作業です。
今回の条例の中心的産品は、漆器・盆栽・石材とお伺いしていますが、本市
の日常生活にかかわる地場産品は、これ以外にも数多くあります。
日本民藝館創設者の柳 宗悦氏は 1926 年、日本民藝美術館設立趣意書を発
刊、日常的な暮らしの中で使われてきた手仕事の日用品の中に「用の美」を見
出し、これを生かし、活用する民芸運動を起こしました。河井寛次郎氏、バー
ナード・リーチ氏など数多くの人々が、この運動にかかわりました。そして、
21 世紀の現在でも活動は引き継がれております。
私は、複数回、東京の日本民藝館を訪れておりますが、昨年、本市で開催さ
れた瀬戸内生活工芸祭のモデルとなった松本市のクラフトフェアまつもとを、
先月、見学してきました。
当日は、全国のものづくりにかかわる人々が、市内あがたの森公園に集結し、
作品の展示・即売が行われ、昨年度は、土・日両日で7万人以上の参加者があ
ったと聞いております。
また、昨年度の来場者実績ですが、来場者の 26%に当たる1万 9,000 人弱
の人々が松本市を中心に宿泊、大きな経済効果を上げたと実行委員会記録に記
載されておりました。
松本市立美術館では、柳宗悦特別展、地元出身作家 草間彌生氏の常設展、
商店街での歩行者天国と画廊展示、松本民芸館での作品展など、松本市全体が
民芸の祭典となっておりました。
さて、本市のものづくり基本条例(仮称)を制定するに当たり、私は、地場産
品のよさを内外に発信するのは当然ですが、下手すれば、芸術的価値のあるも
の、柳氏の言うところの上物に、どうしても注視しがちです。
ものづくりは、本来、日常什器として日常生活の中で使われるものを第一義と
すべきです。
ものづくりの過程で育まれる伝統技術で培われた「用の美」と、
「用の美」か
ら派生し、芸術的要素を加味したものが本来のものづくりのあるべき姿ではな
いでしょうか。
また、この条例を制定することは、高松市における、ものづくり高松ルネサ
ンス時代の到来を意味するでしょう。
そこでお伺いいたします。
ものづくり基本条例(仮称)の骨子となる地場産品と地場産品の置かれた現
状をお教えください。
ものづくり基本条例(仮称)の理念の一つに、柳 宗悦氏の日常的な暮らし
の中で使われてきた手仕事の日用品の中にある「用の美」を見出せる心を織り
込み、同条例が、単なる経済活動に限らず、ものづくり高松ルネサンス時代の
到来と位置づけることに対する市長の御所見をお聞かせください。
ものづくりに新風を吹き込むため、行政が異業種交流、産官学による研修な
どに積極的にかかわり、サポートする決意をお聞かせください。
次に、市有施設の危機管理についてお伺いいたします。
先日落成した高松国分寺ホール内覧会において、危機管理の立場から防犯カ
メラの設置状況をお聞きしましたが、ステージの進行確認のためのモニターカ
メラのみ設置しているとのことでした。
危機管理については、地震や都市型水害など自然災害や大規模な火災・爆発
などの重大事故、テロ災害、公共施設への不審者侵入などの重大事件など多岐
にわたっており、その基本的な対応が求められております。
市においても、危機管理指針の中で、市有施設の危機管理は、その他の項目
に記載されておりますが、本庁舎を除き、市有施設の多くが指定管理者により
運営されている現在、危機管理対応は指定管理者に一任されていると伺ってお
ります。
近年、学校・公共施設において、威力業務妨害事件など多発しております。
本市でも、本庁舎並びに市有施設における危機管理体制構築は緊急を要する事
項です。
危機管理対応機材として防犯カメラがあります。ボストンマラソン爆弾テロ
事件における防犯カメラが犯人逮捕に果たした役割は周知の事実です。
現在、日本は、過去に言われたような安全な国ではありません。
市庁舎では、守衛による巡回等が行われておりますが、危機管理体制から言
えば、無防備そのものです。事件・事故が起きてからでは遅いのです。特に、
本庁舎の出入り口には防犯カメラを設置すべきであり、設置することが事件・
事故の抑止力になると考えます。
そこでお伺いいたします。
市有施設管理における危機管理対応マニュアルの現況と、今後、取り組むべ
き改善点をお示しください。
不特定多数の市民が出入りする市庁舎を初めとする市有施設において、防犯
カメラを早急に設置すべきと考えます。市長のお考えをお示しください。
次に、航空路線強化についてお伺いいたします。
本年開催の第2回瀬戸内国際芸術祭春会期も、予想来場数をはるかに超え、
来月から始まる夏会期開催も多くの入場者を期待するところです。
こうした芸術観光資源や既存の観光資源を活用しながら観光客の誘致を図る
ため、本市では、現在、新高松観光振興計画(仮称)策定に入っております。
検討資料の事前調査業務委託報告書によれば、宿泊を伴う旅行者のエリア別調
査における利用者第1位は首都圏関東地区であり、アクセスとしては航空機が
トップとなっております。
首都圏を核とする関東地区は最も魅力ある商圏であり、同地域からの観光客
誘致は大きな経済効果が得られます。無論、多様な宿泊施設整備の必要性など
の課題はありますが、まずは、アクセス向上としての航空路線充実が大切です。
本年3月には、中華航空の台北便の就航により、国際線は3路線となりまし
たが、国内線においては、羽田・那覇便2便のみで寂しい限りです。
現在、国内航空業界では、ローコストキャリア──LCCにより路線拡大が
図られております。国内における一部のLCCを除き、大半のLCCは、JA
L・ANAと何らかの関係を保っており、価格体系は、欧米におけるLCCと
は差異があります。
私は、2月、同僚議員と沖縄宮古島へ地下ダム視察のため、神戸発那覇経由
のLCCスカイマーク航空を利用しましたが、運賃は、片道1万 3,800 円でし
た。
最近、日本法人の春秋航空が成田-高松間に新路線を開設するという情報も
ありますが、私は、高松-羽田間に、もう1社乗り入れるトリプルラインの空
路拡充こそ、高松にとって経済効果を生み、急務を要する航空施策だと考えて
おります。
観光に力を入れている北海道・九州・沖縄では、トリプルライン導入など航
空施策を積極的に図っております。首都圏・関東地区の観光客を取り込む鍵の
一つは、ここにあるのではないでしょうか。
価格競争のあるところには人が集まります。空路誘致にはエアポートセール
スが必要です。航空行政は香川県が主導しておりますが、本市は、県内で唯一、
空港所在地であり、高松空港振興期成会へも多くの資金協力をしております。
今後、香川県とともに、積極的に航空施策を推進することを期待しております。
世界におけるエアポートセールスの潮流は、航空会社と空港側が現地レベル
で調整を図る協業型となっており、空港側は、地元観光資源や企業の出張需要
などをベースとした潜在需要が他空港よりも上位であること、路線ネットワー
ク担当者が収益上のメリットを感じることのできるセールスポイントをアピー
ルすることは大切です。
海外でのLCCは、大都市近郊の空港を使うのではなく、地方空港をセカン
ダリー空港として利用する傾向があります。海外向けエアポートセールスの場
として、ルート・ディベロップメント・フォーラムが毎年開催されており、こ
うしたフォーラムに一地方都市として参加する積極的行動が、新しい世界へ進
出する起爆剤となるでしょう。 そこでお伺いいたします。
過去3年間の高松-羽田線の利用状況と昨年度の利用率をお教えください。
首都圏・関東地区からの観光客誘致のために、高松-羽田間に新規航空会社
を誘致し、トリプルラインにする考えと、ローコストキャリア──LCCに対
する市長の御所見をお聞かせください。
次に、牛海綿状脳症──BSE検査についてお伺いいたします。
平成 13 年9月、国内初のBSE感染牛が確認され、同年 10 月からBSE
の全頭検査が全国一斉に実施されました。
BSE対策としては、BSE発症国からの肉骨粉等の輸入禁止、肉骨粉の哺
乳動物への供給禁止など飼料規制強化、BSEの原因であるプリオンが蓄積し
やすい脳や回腸遠位部などの特定部位を除去するなどの対策が行われました。
国内では 36 頭の感染牛が確認されましたが、その後、平成 14 年1月生ま
れの牛を最後に 11 年間BSE発生はなく、無論、高松市食肉センターでも、
現在まで確認されておりません。
国では、BSE検査対象を、全月齢から、平成 17 年8月、21 カ月以上、平
成 25 年4月、30 カ月超え、本年7月からは 48 カ月超えに引き上げると伺っ
ておりますが、今なお、本市を含む全ての自治体で全頭検査を実施している状
況です。
5月 27 日、浜田県知事は、定例記者会見で、BSE検査について、高松市
と協議しながら全頭検査について見直す方向であると述べ、国においても、全
自治体が一斉に全頭検査の見直しを行うことが適切であるとの方針を打ち出し
ました。
私は、今回の検査対象月齢の見直しをきっかけに、高松市も全頭検査の見直
しを行うのが望ましいと考えています。市民の食肉に対する安全を守るために
は、科学的根拠に基づいた施策がとられるべきであり、この施策を正しく市民
に伝え、理解していただくことにより、食に対する安心感を持っていただける
と考えております。
そこでお伺いいたします。
高松市は、香川県と協議しながら全頭検査を見直すべきと考えますが、市長
の御所見をお示しください。
最後に、教育問題についてお伺いいたします。
昨年、大津市におけるいじめ事件発覚以降、教育委員会の対応が全国的に問
題となりました。
過去、幾度となく起きた、いじめによる悲惨な事件は、必ず学校側の管理者・
教育委員会の対応などに批判が集中し、教育委員会の役割、あり方、責任の所
在などに言及されました。
しかしながら、同様の、いじめによる事件が繰り返され、どの事件も、抜本
的解決がないまま、最終的に分かち合えない状況が続くという悪循環に陥って
おります。
このような問題解決のため、自由民主党文部科学部会は、5月8日、いじめ
の防止等のための対策の推進に関する法律案を了承、公明党との共同の議員立
法として、16 日、国会に提出しました。
法案の第1章は総則、第2章いじめ防止基本方針等、第3章いじめの防止等
に関する措置、第4章重大事態への対処、そして附則となっております。
現在、衆議院で審議されておりますが、こうした問題に法律をもって対応し
なければならないことを憂います。
ところで、ニホンザル社会は、よくボスを頂点としたピラミッド型を構成す
ると言われております。その調査は、大分県高崎山での餌づけという条件下で
立証されました。その反面、石川県の白山におけるニホンザルのカムリ群など
は、餌づけという状況環境ではなく、樹皮をはぐなどして食べ物を確保し、互
いに厳しい冬を乗り越えなければならないために、順位を持たない社会構造を
構築すると報告されています。
この例えから考察すると、現在の教育委員会と教育現場との関係は、高崎山
型でしょうか、白山型でしょうか。多くのいじめ問題の中で、かいま見られた
両者の関係は高崎山型ではないでしょうか。
教育委員会は、いつも、教育現場 360 度どの方向から見ても見渡すことので
きるコア──中心部に位置すべきではないでしょうか。
教育委員会制度の課題として、日本教育新聞が行った全国の市区町村の教育
長のアンケートでも、教育行政の権限・責任が曖昧である、合議制であるため、
迅速な意思決定ができない、上意下達の傾向が強く、教育の地方分権が難しい
という意見が多く占めており、教育委員会制度変更不要とする意見は3割のみ
でした。
私は、いじめ問題解決のためには、教育委員会自身が変わらなければ抜本的
改革には到達できないと考えております。
そこでお伺いいたします。
平成 24 年度高松市教育委員会に報告された、いじめの実態をお教えくださ
い。また、問題解決に向けた教育委員会の具体的な支援についてお教えくださ
い。
いじめを受けている児童生徒からの声を受けとめる仕組みは、どうしている
のか、お教えください。
教育長の立場として、教育委員会が、教育現場から見て、どのような位置に
あり、教育現場と教育委員会との関係は、どのようにあるべきか、お聞かせく
ださい。
さて、最後に、道徳の教科化についてお伺いいたします。
文部科学省は、教育再生実行会議の提言を受けて道徳の教科化を検討してお
ります。日本教育新聞5月6日・13 日号では、全国の市区村教育長に、道徳の
教科化についてアンケート調査を行った結果が掲載されておりました。賛成派
は、規範意識が高まる、反対派は、教育活動全体で培うという意見などがあり、
反対が6割という結果になりました。
そこでお伺いいたします。
道徳の教科化について、教育長の率直な考えをお示しください。
これで私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。
市長(大西秀人君) 32 番香川議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、ものづくり基本条例(仮称)のうち、理念の一つに、
「用の美」を見出
せる心を織り込み、条例が単なる経済活動に限らず、ものづくり高松ルネサン
ス時代の到来と位置づける考えについてであります。
我が国伝統の手仕事から生み出され、日々の暮らしの中で用いられる工芸品
の美しさや、その魅力は、大量生産品には決して見られないものであると存じ
ております。
このため、御提案のような「用の美」を見出せる心を育むことは、我が国の、
ものづくりの伝統を次世代に継承し、発展させていく上で重要な視点の一つで
あるものと存じております。
現在、本市では、盆栽・漆器・庵治石など、本市の伝統的ものづくりを再生・
振興するため、ものづくり基本条例(仮称)の制定に取り組んでいるところで
ございます。
この条例の制定を契機に、本市の地場産業の再生が図られるだけでなく、そ
の伝統的な価値が再評価されることは、創造都市実現のための重要な柱の一つ
であると認識をいたしております。
このようなことから、現在、策定中の創造都市推進ビジョンとの整合を図り
ながら、御指摘の趣旨も踏まえ、高松ならではの、ものづくりの振興が図られ
るよう取り組んでまいりたいと存じます。
次に、ものづくりに新風を吹き込むため、行政が異業種交流、産官学による
研修などに積極的にかかわり、サポートする決意についてであります。
現在、ものづくり基本条例検討委員会におきましては、ものづくりの振興支
援策として、個々の地場産業をつなぐネットワークを構築し、交流を促進する
ために必要な措置を講じることなどが議論されているところでございます。
ふだんは、かかわることのない未知のものに触れることは、新たな価値や革
新的な発想が生まれるきっかけになるものと存じております。
このようなことから、私といたしましては、御指摘の趣旨も十分踏まえ、検
討委員会での議論を今後の取り組みに反映させながら、本市地場産業振興のた
めの施策を積極的に推進してまいりたいと存じます。
次に、市有施設の危機管理のうち、本庁舎を初めとする市有施設への防犯カ
メラの早急な設置についてであります。
現在、本市では、本庁舎を初め市内の小学校、高松市美術館などに防犯カメ
ラを設置しておりますが、その設置の判断は、設置する場所も含め、当該施設
ごとに行っている現状にございます。
他方、昨今の複雑な世相を反映してか、本庁舎を含む市有施設におきまして
は、威力業務妨害や職員への暴行事件などの発生頻度が高まっております。
これら不当行為等のうち、発生報告書作成までに至った事件は、平成 22 年
度は3件でありましたが、23 年度以降の2年余りで 24 件と急増しており、こ
のうち、警察官の出動を要請したものが 14 件ございました。
このような現状を勘案いたしますと、防犯カメラの設置につきまして、現在
の守衛職員等の監視業務の補助といった活用方法を、危機管理の観点から早急
に問い直していく必要があるものと存じます。
このため、映像データの取り扱いなど個人情報の保護にも留意をしながら、
まずは、不特定多数の市民の皆様が来庁される本庁舎から、新たな防犯カメラ
の設置について検討してまいりたいと存じます。
次に、航空路線強化のうち、首都圏・関東地区からの観光客誘致のため、高
松-羽田間に新規航空会社を誘致し、トリプルラインにする考えについてであ
ります。
高松空港の航空ネットワークは、本市の産業や観光の振興、拠点性の確保等
を図る上で欠くことのできない重要な交通インフラでございまして、特に、主
要路線の羽田線につきましては、本市と首都圏を結ぶ大動脈として、本市の社
会経済を支える重要な路線でございます。
私といたしましては、このような羽田線のトリプルライン化の必要性は認識
をいたしておりますが、当面の首都圏へのアクセス向上のための追加路線とし
ては、日本最多の国際航空ネットワークへの接続が可能であり、東関東エリア
からの観光客誘致も期待される成田線が優先されるべきものと存じております。
このようなことから、まずは、成田線の開設に向け、本市も主要メンバーで
ある高松空港振興期成会を母体として、県ともども積極的に取り組んでまいり
たいと存じております。
また、ローコストキャリア──LCCに対する所見についてであります。
近年、我が国においても、格安航空会社──LCCの国際線参入が相次ぎ、
国内線におきましても、昨年3月以降、関西国際空港や成田国際空港を拠点と
するLCCの就航が続いているところでございます。
空港間の競争が激化する中で、本市が、環瀬戸内海圏における中核都市とし
て、さらに飛躍発展していくためには、高松空港の就航路線の拡充など、交通
拠点性の向上に向けた取り組みが重要であると存じております。
このようなことから、新たな利用者層の開拓や近隣県からの広域利用の拡大
等により、需要の底上げも期待できますLCCの活用は、私といたしましても、
これまで以上に重視すべきものであると存じております。
今後、高松空港振興期成会を推進母体として、エアポートセールスなどLC
Cの高松空港への就航促進策に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
次に、BSEの全頭検査を見直す考えについてであります。
平成 13 年9月に、国内初のBSE感染牛が確認されたことを契機に、同年
10 月からBSEの全頭検査が全国一斉に開始をされました。その後、順次、国
が定める検査対象月齢が引き上げられてまいりましたものの、今なお、本市を
含め全ての自治体で全頭検査を実施している状況にございます。
このような中、本年4月、国においては、近年の国内外のBSEリスクの低
下を踏まえ、食品安全委員会の科学的評価に基づき、7月1日から、検査対象
月齢を 48 カ月を超えるものへ引き上げることとし、あわせて、全地方自治体
が一斉に全頭検査を見直すことが適切であるとの考えを示したところでござい
ます。
また、先月、国際的な動物衛生基準などを決める国際獣疫事務局におきまし
ても、日本を、BSEのリスクに関して最も安全な国の一つとして認定したと
ころでございます。
こうしたことから、私といたしましては、先ごろ、BSE全頭検査の見直し
の方向を表明した県とも歩調を合わせ、見直しを検討してまいりたいと存じま
す。 なお、その他の件につきましては、教育長並びに関係局長から答弁いた
しますので、よろしくお願いをいたします。
◎市民政策局長(加藤昭彦君) 32 番香川議員の御質問にお答え申し上げます。
航空路線強化のうち、過去3年間の高松-羽田線の利用状況でございますが、
平成 22 年度が 121 万 2,429 人、23 年度が 113 万 4,252 人、24 年度が
123 万 663 人でございまして、東日本大震災の影響を受けた 23 年度は、一
時的に利用者が減少しております。また、昨年度の利用率でございますが、
62.2%でございました。御理解を賜りたいと存じます。
◎総務局長(岡本英彦君) 32 番香川議員の御質問にお答え申し上げます。
市有施設の危機管理のうち、施設管理における危機管理対応マニュアルの現
況についてでございますが、本市の危機管理に関する基本的な事項を定めた危
機管理指針におきましては、市有施設の事件や事故に対応するため、施設を管
理する管理部局により危機管理対応マニュアルの作成に努めることとなってお
ります。
このため、毎年、人事異動に伴い、緊急連絡網を整備するとともに、不当行
為への対応等については、共通のマニュアルを備えておりますほか、学校や保
育所・幼稚園などでは、事件・事故への対応マニュアルを整備しております。
また、今後、取り組むべき改善点といたしましては、これらの危機管理対応
マニュアルが非常時に実効性のあるものとするため、随時、訓練を実施するよ
う指導してまいりたいと存じます。御理解を賜りたいと存じます。
◎創造都市推進局長(宮武寛君) 32 番香川議員の御質問にお答え申し上げま
す。
ものづくり基本条例(仮称)のうち、条例の骨子となる地場産品でございま
すが、本市では、ものづくり基本条例(仮称)の制定に向けて、昨年8月に、
関係者から幅広い御意見をお伺いするため、ものづくり基本条例検討委員会を
設置し、議論を進めているところでございます。
現在、この検討委員会では、盆栽・漆器・庵治石や伝統的工芸品等を中心と
した事業者を対象とし、支援する体制を整え、伝統的な技術を継承・発展させ、
豊かで活力ある地域社会の実現を目指す方向で議論が進んでいるところでござ
います。
また、地場産品の置かれた現状でございますが、本市の代表的地場産品であ
る盆栽・漆器・庵治石については、生活様式の多様化などに伴い、ここ数年、
事業所数や出荷額等の指標において減少傾向が続いております。
ただし、盆栽の輸出数量は、関係者が海外市場に目を向けていることや、ヨ
ーロッパを中心に盆栽に対する評価が高いことなどから、ここ数年、増加して
いる状況でございます。
また、庵治石は、8年前から新しい取り組みとして、石あかりとまちづくり
を連携した、むれ源平石あかりロードを実施するなど、魅力の発信や新たな購
買層の開拓に取り組んでいるところでございます。
今後、現下の地場産品を取り巻く厳しい状況を、しっかりと認識した上で、
検討委員会での議論を踏まえ、実効性のある条例を制定してまいりたいと存じ
ます。御理解を賜りたいと存じます。
◎教育長(松井等君) 32 番香川議員の御質問にお答え申し上げます。
教育問題のうち、平成 24 年度に高松市教育委員会に報告された、いじめの
実態と、問題解決に向けた教育委員会の具体的な支援についてであります。
24 年度、本市に報告された、いじめの実態といたしましては、23 年度に比
べ減少しており、その内容は、冷やかし、からかい、悪口や嫌なことを言われ
ることや、軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして、たたかれたりすることなど
が多い状況となっております。
また、問題解決に向けた教育委員会の具体的な支援についてであります。
学校で、いじめが発生した場合には、まず、教育的視点に立ち、児童生徒の
心に寄り添いながら、最大限指導するのが最も重要でありますが、学校だけで
は抱え込まず、保護者や関係機関と連携を図りながら、教育委員会の指導・助
言のもと対応する必要があるものと存じております。
具体例といたしましては、いじめの報告を受けた際には、事案によりまして
は、指導主事を学校に派遣して指導・助言・支援を行うほか、スクールカウン
セラーにより児童生徒の心のケアを図ることや、緊急対応として市費講師を配
置するなど、各学校を支援するとともに、保護者・警察等関係機関と連携しな
がら、その解決に向けて取り組んでいるところでございます。
次に、いじめを受けている児童生徒からの声を受けとめる仕組みについてで
あります。
各学校におきましては、教職員が、児童生徒の表情や態度、友人関係など毎
日の学校生活の様子を観察するとともに、相談ポストの設置や個人面談、定期
的なアンケート調査、児童生徒が毎日提出する日記や生活記録などを活用して、
いじめの実態把握に努めているところでございます。
また、各学校に配置しておりますスクールカウンセラーのほか、ハートアド
バイザーやスクールソーシャルワーカーが児童生徒や保護者からの相談に応じ
ているところでございます。教育委員会におきましては、電話相談事業──い
じめ 110 番や、いじめ相談窓口を開設し、いじめの実態や悩みを聞くとともに、
相談者に助言や関係機関の紹介などを行っているところであります。
また、本年度から、24 時間相談できる機関も紹介し、わかりやすくカラー印
刷したスマイルテレフォンカードを全児童生徒に配付し、市や県の電話相談機
関の周知を行うなど、児童生徒や保護者が、いつでも相談できるよう取り組ん
でいるところでございます。
次に、教育委員会が、教育現場から見て、どのような位置にあり、教育現場
と教育委員会との関係は、どうあるべきかについてであります。
近年、少子高齢化や情報化など社会が大きく変化する中で、いじめや不登校
の問題、子供が狙われる犯罪や加害者となる事件、児童虐待など、子供をめぐ
る、さまざまな教育課題が発生いたしております。
これらの教育課題に迅速かつ的確に対応するため、国におきましては、教育
再生実行会議の第2次提言として、教育委員会制度改革の方向性が示されたと
ころでございます。
本市教育委員会におきましては、教育行政の基本方針として、平成 22 年3
月に策定した高松市教育振興基本計画に基づき、毎年度、教育指針や重点施策
等を作成し、4月に園長・校長・副校長研修会や教頭研修会等を開催し、その
教育指針等の周知・伝達を行っております。
各学校におきましては、この教育指針等を踏まえて、児童生徒の実態や地域
の実情等を勘案の上、それぞれの校長が作成する学校経営方針を全教職員が共
有し、目の前にいる子供たちと向き合いながら、確かな学力と豊かな心、そし
て、健やかな体の育成に一丸となって取り組んでいるところでございます。
また、教育委員会といたしましては、現場主義を第一として、毎年5月から
11 月の学校訪問において、授業参観や子供たちとの触れ合いにより、その学校
の現状を直接把握した上で、校長・教職員と学校運営についての面談を行うな
ど、常に現場に足を運び、現場の声に耳を傾けながら、学校経営に対する改善
などの指導・助言や支援等に努めております。
お尋ねの、教育現場と教育委員会との関係につきましては、日ごろから、相
互に連携・協力し合う、双方向性のある風通しのよい関係づくりに努めている
ところでございますが、保護者やPTAなど地域関係者と情報の共有を図るこ
とによる協力体制の構築も重要と存じておりまして、今後も、これら学校関係
者を含め、教育現場と教育委員会とが、それぞれの教育課題の解決に向け、責
任と役割を果たしながら、一体となって取り組んでまいりたいと存じます。
次に、道徳の教科化の考えについてであります。
いじめなど児童生徒の問題行動が社会問題となる中で道徳教育の重要性が改
めて指摘されており、現在、国において、道徳の教科化についての検討が進め
られております。
道徳について、学習指導要領におきましては、自分自身に関すること、他の
人とのかかわり、自然や崇高なものとのかかわり、社会や集団とのかかわりの
四つの視点から、人として身につけておくべき規範意識や、人と人とのかかわ
りの大切さなどを学ぶものとされており、次世代を担う児童生徒の心を育む上
で大きな意義を持つものと考えております。
本市におきましては、道徳的実践の場として、挨拶運動や掃除教育などの心
を育む体験活動を取り入れたり、魅力的な教材を開発・活用したりするなど、
創意工夫ある指導を行うとともに、道徳の時間を保護者に積極的に公開したり、
その学びを学校だより等で発信したりすることによって、家庭や地域と連携を
深めながら子供の道徳性の育成に努めているところでございます。
道徳の教科化につきましては、道徳教育の抜本的な充実を図るために検討が
進められておりますが、評価のあり方や教科書、教員免許の問題など、さまざ
まな課題もありますことから、今後、国の動向を注視してまいりたいと存じま
す。御理解を賜りたいと存じます。