【本文】高松市自治と協働の基本指針(仮称)(案)(PDF、746KB

第1章
指針策定の趣旨
1.指針策定の背景
近年の都市化や核家族化の進展等により,地域における連帯感が薄れ,ま
た,本格的な尐子・高齢社会を迎える中で,本市では,平成14年から,多
様化する地域の課題の解決に向けて,地域住民が知恵を出し合い,力を合わ
せて,課題に取り組んでいく「地域みずからのまちづくり」を目指し,地域
コミュニティ推進事業に取り組んできました。
一方で,平成13年には「自助・共助・公助による協働のまちづくり」を
基本目標とした「市民活動団体と行政との協働に関する基本方針・基本計画」
を策定し,ボランティア活動をはじめとする市民活動を促進するとともに,
市民と行政との協働を進め,庁内の推進体制の整備などに取り組んできまし
た。
その後,合併による市域の拡大など,市民と行政を取り巻く環境が大きく変
化する中,「高松市自治基本条例」(平成22年2月15日施行)において,
市民が自治の主権者であることを基本理念に掲げ,市民参画と協働のまちづ
くりを進めていくために,市は地域コミュニティ協議会や市民活動団体など
の自主的な活動を尊重し,適切な支援を行うことが定められました。
このような状況の中,市民・市民活動団体・企業・行政などが連携し,そ
れぞれの特性をいかし,共に支え合いながら,地域や社会が抱える課題の解
決に向けて取り組んでいくことが重要となっています。
2.目的
この指針は,地域コミュニティ活動および市民活動の推進を図り,市民が
主役のまちづくりを実現するため,本市の目指すべき地域コミュニティの姿
と,そこに至る道筋をしっかりと見定め,地域が抱える課題の解決に向けて,
市民が取り組むもの,行政が取り組むもの,協働で取り組むものについて,
役割分担を明確にし,地方分権型社会にふさわしい「参加・協働で進めるコ
ミュニティを軸としたまちづくり」の実現を目指し,自治と協働のあり方や
方向性を示すものです。
1
3.高松市自治基本条例との関係
この指針は,条例の基本理念(市民主権)を実現し,市民主役のまちづく
りを進めていくうえで,より具体的な方向や目標を示す,基本的な指針とな
るものです。
高松市自治基本条例
・・・
◆ 第 22 条 協働の推進
◆
第 23 条 地域コミュニティ協議会
・
・
・
◆ 第 24 条 市民活動団体
・・・
具体的な
方向・目標
自治と協働の基本指針
2
第2章
高松市の現状と課題
1.これまでの歩み
(1)地域コミュニティづくり推進事業
高松市では,
「1校区1公民館」を合言葉に,学校施設とともに,生涯学
習施設が整備されてきた経緯があります。この公民館が,現在では,コミ
ュニティセンターとなり,新たにコミュニティ活動の拠点となっています。
各地区に公民館が存在するという土壌があったことが,44もの地域コミ
ュニティ協議会の構築がスムーズに実現する要因となりました。
<地域コミュニティ推進の経過>
年度
14
地域コミュニティの構築の動き
・高松市連合自治会連絡協議会から「地域コミュニティ構築支援等に関する要望書」が提出
される。
・地域コミュニティづくり推進本部(助役を本部長とする庁内横断組織)を設置。
・市内35地区中*13地区において地域コミュニティ組織が設立。
15
・地域コミュニティづくり支援施策を展開。
地域コミュニティ構築支援補助金 など
16
17
18
19
・新たに14地区において*コミュニティ組織が構築され*27地区となる。
・周辺6町と合併
・旧高松市域全35地区(校区)においてコミュニティ組織が設立。
・地区公民館をコミュニティセンターに転換し*管理運営を地域コミュニティ協議会に委託。
(旧市内全41館)
・合併地区の2地区において*コミュニティ組織が立ち上がり*37地区となる。
・コミュニティセンターの管理運営を指定管理者制度へ移行。
(地域コミュニティ協議会を非公募で指定管理者に選定)
・合併地区の3地区において*コミュニティ組織が立ち上がり*40地区となる。
・地域まちづくり交付金創設
(地域への補助金等を一元化し*地域の裁量による執行を可能とするもの。3ヵ年で13事業
の一元化を目標*初年度3補助金を統合する)
・協働推進員制度創設
(各課*各支所・出張所に1名以上の協働推進員を配置*市民との協働を推進)
20
・合併地区の4地区において*コミュニティ組織が構築され*高松市域全44地区(校区)で地
域コミュニティ組織の構築が完了。
・高松市コミュニティ協議会連合会が設立された。
3
年度
20
21
地域コミュニティの構築の動き
・高松市協働のまちづくり推進本部設置
(地域コミュニティづくり推進本部と高松市ボランティア・市民活動支援推進本部を一本化)
・地域ゆめづくり提案事業創設(公募型補助金)
・地域コミュニティ活動推進基盤整備事業
(ふるさと雇用再生特別基金事業を活用し*各協議会等へ 50 人配置)
(2)市民活動団体支援事業
本市では,平成10年の特定非営利活動促進法の施行を契機に,公益的な社
会サービスを担う市民活動の支援と,総合的かつ計画的な協働のまちづくりを
推進してきました。
あわせて,庁内組織体制を整備し,市民活動団体と行政とが共通の課題に取
り組む多様なパートナーシップによるまちづくりを進めています。
また,民間活力の積極的な導入を進めるため,高松市ボランティア・市民活
動センターの管理運営をNPO法人へ委託したり,公募型の協働企画提案事業
を実施しています。
<協働推進の経過>
年度
市民活動団体支援・協働推進の動き
9
・高松市ボランティア総合窓口を市民相談コーナー(市庁舎 1 階)に設置
11
・高松市ボランティア・市民活動支援推進本部(職員で構成)の設置
・高松市ボランティア・市民活動推進検討委員会(公募委員等で構成)設
置され,提言書「市民活動が拓く21世紀のまちづくり」が提出される。
12
・高松市市民活動団体と行政との協働づくり委員会設置
13
・高松市ボランティア・市民活動センターの設置
・高松市市民活動団体と行政との協働づくり委員会による提言書「21世
紀高松市参加協働型社会への提言」の提出
・「市民活動団体と行政との協働に関する基本方針・基本計画」の策定
15
・NPOと行政の協働を進めるための指針策定
16
・高松市ボランティア・市民活動センター管理運営をNPO法人に委託
18
・高松市協働企画提案事業の開始
19
・NPOと行政との協働に関する基本計画(改訂版)策定
20
・高松市協働のまちづくり推進本部設置
(地域コミュニティづくり推進本部と高松市ボランティア・市民活動支
援推進本部を一本化)
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2.地域コミュニティ協議会
(1)地域コミュニティ協議会とは
高松市自治基本条例では,この「地域コミュニティ協議会」を次のよう
に規定しました。
高松市自治基本条例抜粋
(地域コミュニティ協議会)
第23条 市は,市民主体の自治を推進するため,次項に規定する地域コミュニティ
協議会の活動を尊重し,その活動に対して適切な支援を行うものとする。
2 市民は,地域の個性および自立性を尊重した地域のまちづくりを行うため,地域
コミュニティ協議会(共同体意識の形成が可能な一定の地域において,その地域に
居住する個人および所在する法人その他の団体を構成員とし,民主的な運営により,
地域の課題を解決するために活動する組織で,一の地域につき一に限り市長が認定
したものをいう。次項において同じ。)を設置することができる。
3 地域コミュニティ協議会は,自らの活動に責任を持って,自主的かつ自立的に地
域のまちづくりに取り組むものとする。
主に小学校区を一つのエリアとして,自治会を中心にその地域に住む人や
団体を構成員とする組織で,地域における様々な問題に取り組むことを目的
に,自主的かつ主体的に活動を行う団体です。この地域コミュニティ協議会
には,今後,世代別,分野別に地域で活動する様々な団体や個人が含まれる
ため,これまでの自治会を包含し,地域を支える組織として,総合的なまち
づくり活動に取り組んでいきます。
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◆コミュニティプランとは
各地域コミュニティ協議会が作成する,地域のまちづくりの計画です。
地域コミュニティ協議会では,このプランに基づいて,様々な分野で活動
しています。
◆コミュニティセンターとは
各地域のまちづくり活動の拠点となる施設で,ふれあい交流,生涯学習,
地域情報収集・発信,市との連絡窓口等の活動の場として活用されていま
す。また,地域コミュニティ協議会が指定管理者となり,地域住民の方々
の手による管理運営の形態をとっています。
地域コミュニティ協議会の活動
● まちづくり活動 災害時の対応,安全で安心なまちづくり,地域福祉の充実,
文化・スポーツ活動,ふれあい交流活動など
● コミュニティセンターの管理・運営
(2)地域コミュニティ協議会と単位自治会・連合自治会の関係性
◆
単位自治会とは
団地や町内などを単位として,そこに居住する方々が地域生活向上のた
めに作る自治組織です。単位自治会は,お互いに助け合い,支え合って,
住みよい地域とするため,防災・防犯活動,清掃活動,広報の配布など,
これまで地域に密着した活動を行ってきました。自主的な任意団体ではあ
りますが,地域における最も身近な基礎的な住民団体です。
◆
連合自治会とは
地域の課題の中には,1つの自治会だけでは解決が難しいこともあり
ます。そんなとき,小学校区(地区)の中で連携し,みんなで取り組めば活
動の幅も参加者もぐっと広がります。そこで,校区(地区)の自治会が結集
し,連合自治会という組織ができました。
市内には,この連合自治会が46校区(地区)で設立されていて,その代
表者で構成される高松市連合自治会連絡協議会があります。
単位自治会
自治会
連合自治会
(主に小学校区ごとに組織)
6
◆地域コミュニティ協議会と単位自治会と連合自治会
自治基本条例において,地域の代表として規定しています,地域コミュ
ニティ協議会は,自治会をはじめ,こども会,婦人会,老人クラブ,交通
安全母の会,体育協会,消防団,市民活動団体など,地域の様々な世代,
分野で活動している団体や個人からなっているため,単位自治会や連合自
治会の領域だけでは対応できない地域の課題解決に,総合的に取り組む組
織です。
また,単位自治会は重要な基礎的団体であり,その集合体である連合自
治会は,地域コミュニティ協議会を動かしていく軸と考えており,同協議
会を構成する各種団体の中でも,中心的な役割を担うと言えます。
<地域コミュニティ協議会と自治会の関係>
単位自治会や各種団体に結集していな
い団体や個人をも構成員とする地域コミ
ュ二ティ協議会が,今後,地域の代表的
組織としての位置づけを確固としたもの
にするための,しくみづくりや組織強化
に取り組むことが重要になります。
(3)地域コミュニティ協議会の現状と課題
平成20年度までに44地域コミュニティ協議会が全市で設立され,平
成22年度には51コミュニティセンター化が完了しましたが,全市的に
見ると,これまでは,いわば基盤整備の期間であり,今後はコミュニティ
プラン,会則の充実を図って,より民主的,自立的な運営に努めていかな
ければなりません。今後の主な課題としては,次の通りです。
①コミュニティ活動を推進する人材の不足
②コミュニティ活動に対する地域住民の関心が低い
(特に若年層,マンション世帯,転勤族等)
③地域コミュニティ協議会の組織強化
(単位自治会の再生)
④コミュニティ活動を行うためのノウハウの不足
⑤活動資金・財源の不足
⑥活動拠点の整備
⑦地域コミュニティ協議会どうしの交流・連携の不足
⑧地域の代表であることの認知
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3.市民活動団体
(1)市民活動団体とは
高松市自治基本条例では,この「市民活動団体」次のように規定しました。
高松市自治基本条例抜粋
(市民活動団体)
第24条 市は,自発的かつ主体的に行われる非営利の活動で,不特定かつ多
数のものの利益の増進に寄与することを目的とする市民活動団体の活動を尊
重するとともに,その活動に対して適切な支援を行うものとする。
この指針において市民活動団体とは,特定非営利活動法人(NPO法人)や
ボランティア活動団体など,非営利の公益的社会貢献活動を行う団体で地域コ
ミュニティ協議会以外をいい,法人格の有無は問わないものとします。ただし,
次に掲げるものを除きます。
① 宗教の教義を広めるもの
② 政治活動を行う(特定の政党・政治家を支援する)もの
③ 暴力的不法行為を行うまたは助長するおそれがあるもの
※非営利とは
活動を通じて得た利益や財産を構成員で分配せず、社会貢献活動
(運営上の経費を含む)に再投資すること。「収益をあげない」と
いう意味ではありません。
(2)市民活動団体に期待される役割
分権社会の到来にあって,新たなまちづくりの重要な担い手としての役
割を担い,その活動の広がりが,市民本位の地域社会の実現・コミュニテ
ィの活性化の原動力となることが期待されています。
また,市民活動団体の活動に市民が参加することにより,
◆新たな自己実現の機会を得ること
◆働く場の創出により雇用を拡大すること
などが期待されます。
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(3)市民活動団体の現状と課題
多くの市民活動団体が,その活動において課題をかかえています。また,
地域コミュニティ協議会や行政,企業等との協働を希望する市民活動団体は
多いものの,協働事業の実施までに至りにくくなっています。主な課題とし
て,次の通りです。
①スタッフの不足
②活動資金の不足
③活動の拠点となる施設の不足
④市民への情報提供の不足
⑤他の組織と協働・連携するためのコーディネートのしくみが十分でない
また,「市民活動団体」の認知度は徐々に浸透してきていますが,依然と
して「市民活動団体=無償ボランティア」と考える市民が多く,更なる啓発
が望まれています。
※市民活動団体とボランティア
市民活動団体・・・社会的使命の達成を目的とする組織。
非営利で収益的事業を行い,多くの場合有給の
スタッフを有します。
ボランティア・・・個人の自発的な社会貢献。
基本的に無報酬で,収益を目的としません。
9
4.行政の現状と課題
(1)地域コミュニティ協議会との関係
現在,協働のパートナーの一つとして位置づけられている地域コミュニ
ティ協議会に対し,行政は様々な支援を行っていますが,両者の関係にお
いては,次のような課題があります。
①市職員の意識改革(地域コミュニティ協議会への認識不足)
②地域コミュニティ協議会への依存
③縦割り行政の弊害からの脱却を図るための庁内体制の整備
④地域コミュニティ協議会の実情に即した支援
⑤地域コミュニティ協議会の取組みに対する行政評価の仕組みづくり
⑥協働推進員の活用
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(2)市民活動団体との関係
市民活動団体の多くは,財政基盤が弱く,人材・情報・活動場所・組織運営
能力等が不足しています。市民活動団体が自立して独自性を発揮し,活発に活
動ができるような社会環境の整備が求められています。
市民活動団体との関係における行政の課題は,次の通りです。
①市民活動団体の自立性や自発性を損なわないための配慮と,団体に対する行
政関与の客観性・透明性の向上
②これまで行政が行ってきた市民サービスについて,協働の視点から市民活動
団体と行政の領域整理,役割と責任分担の明確化
③市民活動団体が地域コミュニティ協議会等と連携・協力し,地域において多
様な主体が協働を進めていく体制を形成するための新たなしくみづくりへの
取組み
④高松市ボランティア・市民活動センターの活用が十分になされていない
⑤高松市ボランティア・市民活動センターと他の中間支援組織との連携による
事業運営や情報発信などの不足
⑥協働推進員の活用
■協働推進員制度
市政への市民参画や協働を積極的に推進するため,地域コミュニティ協議会
や市民活動団体等からの公益性のある計画や提案をまちづくりにいかすため,
各課・室,支所・出張所に1名以上の協働推進員を配置するとともに,庁内の
横断的な連携が必要な場合には,これを調整する各部局の次長級職員による協
働推進調整員を配置する制度で,平成20年度4月から実施。
11
第3章
目指すべき理想像
1.協働の基本理念
高松市自治基本条例では,協働の原則を自治運営上の三原則に位置づけると
ともに,次のように協働を推進するとしています。
高松市自治基本条例抜粋
(協働の推進)
第22条 市は,協働を推進するための仕組みを整備するとともに,協働の推
進に当たっては,市民の自主的な活動を支援するものとする。この場合におい
て,市の支援は,市民の自主性および自立性を損なうものであってはならない。
協働は,市民と市が,または市民相互が,互いを理解し,対等な立場で,そ
れぞれの責任と社会的役割を踏まえ,共通の目的達成のためにともに取り組む
ことをいいます。
2.自助・共助・公助の考え方
これまでの一極集中,中央集権的な仕組みを,国と地方,県と市町の関係を
上下関係から,対等協力の関係にしていく地方分権改革が進展しつつあります。
【補完性の考え方のイメージ】
個人
家庭
地域
市
県
国
自助
共助
公助
自
共
公
助:個人や家庭でできることは,自分たちで解決する。
助:個人や家庭で解決できないような地域課題を,地域で解決する。
助:個人や家庭,地域で解決できないようなことは,行政が担う。
「個人や家庭,地域と行政とがお互いに補完し合う」ということが,これから
の地域のあり方を考えるうえで基本となるものです。
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3.理想像
地域コミュニティ協議会を構成するすべての人に,居場所と出番があり,そ
れぞれが助けあい支え合って,様々な地域課題に取り組むことを通じて,お互
いに,人の役に立つというすばらしさを感じられる社会をつくることが,これ
からのまちづくりの姿と考えております。
また,地域における個々の帰属意識の薄れ等から,地域全体で解決する力(地
域力)が弱体化しているという状況も踏まえ,この地域力を回復・強化するこ
とにより,個々の能力を超えた課題に対して,地域コミュニティ協議会が解決
の主体となる姿も想定して,理想像を検討したいと考えています。
具体的に,この項目でお示しする予定でしたが,課内での調整が十分でない
ことから,次回で(案)を明らかにいたします。
13
第4章
取り組みの方向性
1.地域コミュニティ協議会の方向性
~地域の特性を生かした個性豊かなまちづくり~
(1)人づくり
◆ 人材養成
地域コミュニティ協議会,行政の協働を進めるには,それぞれの活動にお
いて,リーダーや参加者など,いろいろな役割の人が必要です。また,活動
の段階によって,技術や知識などこれまで以上の能力が必要になってくるた
め,活動推進のノウハウを持ち,まちづくりのコーディネートが担える人材
の養成を実施します。
◆ 次代を担う子どもたちに
保護者や教師への働きかけを通して,教育の場においても,次代を担う子
どもたちが地域コミュニティ協議会の活動に積極的に関わる機会を設けます。
これらの活動に子どもたちが参加することによって,家族も目を向けるきっ
かけとなるとともに,地域と子どもたちを結びつけ,子どもたちの中に自然
にまちづくりに参加する意識を育てることにつながります。
◆ 団塊世代のパワーを生かす
地域には,豊富な知識と経験を持った団塊の世代と呼ばれる方々がいます。
これらの人々の「専門性」や「経験」を生かしたコミュニティ活動や社会貢
献活動は,地域のまちづくりにおいて,大きな支えになるとともに,生きが
いづくりにもつながります。団塊世代の参画の機会を設ける必要があります。
◆
地域への愛着と意識の醸成,市民活動への関心を高める
若年層やマンション世帯,転勤族など,地域との関わりを持たない,また,
持ちにくい人も,まずは,地域のことを知ることで,地域への関心が生まれ,
やがて地域への愛着や地域住民として主体的に関わろうという意識へ発展す
ることが期待されます。
そのため,個人への呼びかけや,若年層を主役にした事業を実施するなど,
これらの地域住民が地域コミュニティ協議会の活動に参加・参画する機会を
設ける必要があります。
14
(2)しくみづくり
◎持続可能な組織づくり
◆ 総意に基づくコミュニティプランの点検
地域コミュニティ協議会では,より地域の実情に応じたまちづくりを行う
ため,構成員の総意に基づき,評価の視点を持ち「コミュニティプラン」の
見直しや整備を図る必要があります。
◆ 地域コミュニティ協議会の規約・会則
自治基本条例に規定される公益団体として,地域コミュニティ協議会は,
自分たちの規約や会則を整備し,常に,自治の基本原則(情報共有・参画・
協働)を意識し,見直しを図ることが求められます。例えば,総会の実施方
法の再検討や内容の開示など,広く住民の参画につながるしくみを作る必要
があります。
◆ 地域コミュニティ協議会の運用における透明性の確保
公益団体として,地域コミュニティ協議会の運用には透明性が確保される
必要があります。会則や規約,会計などは常に地域住民に説明でき,また地
域住民に公開する必要があります。
◆ まずは単位自治会の再生から
地域コミュニティ協議会において,単位自治会は,最も重要で基礎的な団
体であり,今後,地域コミュニティ協議会の組織強化には,単位自治会の再
生が必要です。
Plan
Do
15
Check
Action
◎自主的かつ自立的な組織に向けて
<地域コミュニティ協議会の活動イメージ図>
◆
各種団体の役割
地域の各種団体は,地域コミュニティ協議会を
構成する団体として部会に所属していますが,相
互に協力,連携し,地域の課題解決に向けて活動
する必要があります。そこで,各種団体独自の活
動はもとより,地域コミュニティ協議会における
各団体の役割を明確にする必要があります。
◆
活動拠点の充実
地区コミュニティセンターは,特定の団体だけではなく,地域の様々な
団体や住民が活動し,相互に交流できる場として機能を充実させる必要が
あります。
◆
コミュニティビジネス
コミュニティビジネスは,地域の人々が,地域にある資源を活用し,自
ら課題解決に向けて活動するもので,この取組みを通し,資金確保だけで
はなく,自主的で自立的な組織づくりが期待されています。今後,地域コ
ミュニティ協議会では,コミュニティビジネスも視野に入れて活動を展開
していくことが望まれます。
<地域コミュニティ協議会の今後の取組み>
①人材確保,住民参画
①人材確保・住民参画
・世代ごとのリーダー養成,プロフェッショナルボランティアの活用
・コミュニティ活動への参加,参画の機会づくり
②組織充実・強化
②組織の充実・強化
③計画的な運営
・規約,会則の整備
・地域コミュニティ協議会の地域代表性の確立
③計画的な運営
・コミュニティプランに基づく運営
・運営を評価するシステムづくり
④財源の確保
⑤まちづくり
の環境整備
④財源の確保
・行政からの安定した財源
・新たな財源つくり:コミュニティビジネス,受益者負担の徹底
⑤まちづくりの環境整備
・コミュニティセンター整備
・連携づくりの拠点整備
16
(3)今後の運営
本市では,自治基本条例において,市民主体の自治を推進するため,地域コ
ミュニティ協議会の活動を尊重し,支援することとしており,1地域に1地域
コミュニティ協議会を市長が認定することにしています。
《地域コミュニティ協議会に求められること》
地区・校区での様々な課題等を,住民や団体で考え,話し合い,行動し,解
決していくためには,この組織が,民主的で,また,住民の誰にも開かれた運
営がなされる必要があります。そこで,地域コミュニティ協議会が活動してい
くうえで,次の6項目が求められます。
① 幅広い年齢層の住民や各種団体の参加による組織構成
② 役員の民主的選出
③ 協議による意思決定
④ 自主財源の確保
⑤ 事業計画・予算作成および執行の透明性
⑥ 会計処理の透明性
<自治基本条例に基づく地域コミュニティ協議会の要件>
上記の6項目も踏まえたうえで,本市では,
「地域の特性を生かした個性豊か
なまちづくり」の実現のために活動する地域コミュニティ協議会について,次
の5点を要件と定めています。
1 共同体意識の形成が可能な一定の地域(小学校区を基準として,市長が適
当と認める区域とする。以下「活動地域」という。)を活動範囲とするもので
あること。
(申請の際に「活動地域の範囲を示す図面」を添付 別冊「資料編」
5Pに例示)
2
活動地域に居住する個人および所在する法人その他の団体を構成員とする
ものであること。
(申請の際に「構成員の状況が分かる書類」添付 別冊「資
料編」3Pに例示)
3
活動地域の課題を解決するために自主的かつ自立的に活動を行うものであ
ること。
4
透明性が確保され,かつ,民主的な運営が行われるものであること。申請
の際に「組織体制および役員に関すること」,「事業運営の決定手続,会議等
に関すること」,「会計に関すること」,「規約の変更に関すること」添付 別
17
冊「資料編」1~4Pに例示)
5
活動地域における相当数の住民に支持されていると認められるものである
こと。
(申請の際に,規約(会則)に規定された総会の構成員や議決方法,役
員の選任方法などで確認 別冊「資料編」1~4Pに例示)
● 地域コミュニティ協議会の規約
このようなことから,本市が地域コミュニティ協議会に求める規約(会則)
には,上記「地域コミュニティ協議会に求められること」に記載している6
項目を盛り込んでいただきたいと考えています。
(別冊「資料編」1~2Pに
例示)
● 地域コミュニティ協議会の組織
協議会の最高議決機関として,総会を設置していますが,規約(会則)に
よって,総会で決定する事項,開催回数,召集,定足数などが規定されてい
ます。
● 地域コミュニティ協議会総会の開催方法
総会は,地域コミュニティ協議会の方針を決定する最高機関となります。
総会では,以下の事項について,審議議決を行います。
・1年間の事業報告と決算
・新年度の事業計画と予算
・役員の選出
総会の開催には以下の方法がありますが,それぞれの地域コミュニティ協
議会の実情に応じて,一番やりやすい方法を採用してください。
Ⅰ全員参加型
地域コミュニティ協議会の全ての構成員によって,意思決定が行われる。
(別冊「資料
・地域コミュニティ協議会の規模が小さく,全住民の把握が可能な場合は導
編」4P 例示) 入できる。
・世帯ではなく,個人に意思決定権があることに注意する
Ⅱ代議員制
地域コミュニティ協議会の役員と,選出された代議員によって意思決定が行
われる
・地域コミュニティ協議会の規模が大きく,全ての構成員の参加が困難な場
合等に導入する
・代議員の選出母体や選出人数等は,各地域コミュニティ協議会の規約など
で定める
・公募による個人も代議員として選出されるよう規約などで定める
18
Ⅲ部会代表制
地域コミュニティ協議会の役員と,各部会の代表者によって意思決定が行わ
れる
・地域コミュニティ協議会の規模が大きく,全ての構成委員の参加が困難な
場合等に導入
・公募による個人もいずれかの部会に所属できるよう規約などで定める
いずれの場合にも,地域住民に認められた民主的な運営と,透明性の確保が
大切です。
民主的な運営を確保するためには,いかに多くの住民の意見が,総会に反映
されるかが大切であり,一部の団体や個人の主張だけで地域コミュニティ協議
会全体の方針が定まることは避けなければなりません。
そのため,
・個人の参画を進めるしくみを取り入れる。
・総会の内容をホームページに掲載したり,掲示板に告示するなど,事前
に公表するとともに,終了時には,議事録や決議内容を公開するなど,そ
の透明性を確保する。
・上記のことが実施できるよう,毎年の総会時に向けて,常に会則の整備
に努めることが大切です。
● 情報公開・PR
地域コミュニティ協議会の活動を住民等に理解してもらうには,情報を知
らせPRすることが大切です。広報紙やインターネットを活用して,予算や
決算の内容も積極的に情報発信することが大切です。
● 自主点検および評価
地域コミュニティ協議会は,民主的で住民の誰にでも開かれた運営が求め
られていることから,役員の選出方法,総会等の開催状況,会計や資産の状
況など,自主的な点検が求められています。また,実施事業の効果や今後の
課題把握のために,行政の監査など外部の評価を受けることも透明性の確保
に有効です。
19
2.市民活動団体の方向性
~知恵を出し,共に創る
協働のまちづくり~
(1)協働推進体制としくみづくり
地域を包括する地域コミュニティ協議会と,特定の分野の活動を行う市民活
動団体が協働することにより,それぞれの特性が生かされ,より幅広く,専門
的な公益活動が,行われることが期待されるため,地域社会の抱える課題を市
民活動団体が積極的に対応するしくみづくりが必要です。
企業のCSR(社会貢献活動)と,特定の分野の活動を行う市民活動団体が
それぞれの得意な分野を生かして補完し合うことにより,一層の市民サービス
の向上が期待されるため,相互の情報交換と交流を積極的に行い,自立と連携
の下,様々な形の協働が可能なしくみづくりが必要です。
※企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibility)
企業が、事業活動において利益を追求するだけでなく、社会的存在と
して、顧客・株主・従業員・取引先・地域社会などとの様々な関係を
重視しながら果たすべき社会的責任のこと。
(2)中間支援組織の機能強化
ボランティア・市民活動センターについては,市民活動団体を取り巻く環境
の変化やニーズに適切に対応するとともに,利用者の意見や外部の委員会の評
価等への適切な対応に加え,運営する市民活動団体の独創性や柔軟性など特性
を生かしながら,一層の機能強化を図る必要があります。
ボランティア・市民活動センターを、地域コミュニティ協議会連合会等の設
置が予定されている四番丁小学校施設跡地へ移転させ,これを契機に,同施設
を本市の地域のまちづくりの拠点施設として位置付け,多くの団体が,主体的
に連携できるしくみづくりが必要です。
(3)協働推進人材の養成
ボランティア・市民活動センターを始め,生涯学習や男女共同参画・国際交
流・環境施策などの個別の分野での中間支援機能を担う本市の各組織はもとよ
り,大学や国・県の機関のほか,各種団体が実施する事業も含め,多様な人材
養成事業を,地域共有の資源として相互に連携させ,より効果的な人材養成が
必要です。
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(4)情報収集と発信,コーディネート機能の充実
市民活動団体は,様々な団体との交流・連携を進めるためには,自らの情報
を収集・整理し,分かりやすく発信・提供しなければなりません。また,様々
な団体のつながりづくりには,団体間の連絡・調整を行うコーディネート機能
の充実も図る必要があります。
第5章
行政の支援体制の拡充
未定稿
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