週間天気予報解説資料

週間天気予報解説資料
2017 年 2 月 2 日 10 時 00 分 発表
気象庁予報部
予報期間
2 月 3 日から 2 月 9 日まで
1.アンサンブル資料
●アンサンブル(ENS):現在日本付近を通過しているトラフは、アリューシャン近海のリッジに東進を抑えられ、カムチャツカ半島
から千島近海海付近で寒冷渦となって停滞する。トラフに伴う寒気は寒冷渦の中を昇温しながら反時計回りに回り、期間後半に
北日本に再接近する。期間終わりには5400m付近のトラフが朝鮮半島付近に進む。地上では、5日本州付近を低気圧が発達しなが
ら東進し期間終わりにかけて千島の東付近で停滞し、8日頃にかけて冬型の気圧配置になる。9日はトラフ接近に伴い冬型の気
圧配置は緩んで、西から気圧の谷となる。
●500hPa基本場(週間予報支援図):実況は、140E付近を境に西はリッジで正偏差、東がトラフで負偏差。トラフのさらに東のアリ
ューシャン近海付近には優勢なリッジがあって、偏差パターンは縦縞。予報期間は、アリューシャン近海のリッジがベーリング
海からシベリアにかけて東西に発達し正偏差でその南が規模の大きい寒冷渦となり負偏差。偏差パターンは横縞になる。流れは
期間を通して西北西が続く。
●5日:ENSでは明瞭でないが、GSMでは日本海と本州南岸に低気圧が予想されている。低気圧の影響の小さい北海道地方を除き広い
範囲で雨や雪が降る。気温場は高く、雪が主体となる所は限定される。
●6~8日:冬型の気圧配置で冬型の天気分布が続く。6、7日は西日本太平洋側にもT850で-6℃以下の寒気移流があり、雲の広が
る所がある。冬型の気圧配置は8日には西日本から緩み、西・東日本では日本海側でも雪の降る所は少なくなる。
●9日:朝鮮半島付近に進むトラフに対応して日本付近は気圧の谷となり全国的に雲が広がりやすく、西日本と沖縄・奄美では雨の
降る所がある。
●沖縄・奄美:寒気や気圧の谷の影響で、曇りや雨の日が多い。5日は本州付近を通過する低気圧からのびる前線の通過により、期
間の終わりは気圧の谷の影響で雨の降る所がある。
・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:9日、西日本を中心に降水予想のあるメンバーは約7割あるが、低気圧の位置が区々で、FEFE
19の低気圧は明瞭ではなく、降水域もあまり広がっていない。
・ スプレッド:5日目が昨日と同値の他は拡大。特定高度線は、高緯度のブロッキングHを反映して5400m線が大きく暴れている。
・ 降水頻度分布:高降水頻度域は、5日東日本で縮小。
・ 予想T850時系列:札幌は概ね正偏差。館野、福岡、那覇は期間前半は正偏差、後半は負偏差。昨日からの変化は小さい。
2.防災事項等
・ 期間のはじめに最高気温が平年よりかなり高くなる所がある。積雪の多い所では、なだれや融雪に注意。
・ 5日は、発達しながら通過する低気圧の影響で、北~西日本では荒れた天気となるおそれがある。
3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照)
・ 日本付近は弱いリッジ場となる。高気圧が本州の南をゆっくり東に進み、西日本・東日本を覆う。夜には黄海にトラフが進み、
地上では低気圧が九州の西海上に接近する見込み。
・ 北日本の日本海側は雲が多く雪の降る所があるが、太平洋側は概ね晴れる。東日本は概ね晴れる。
・ 西日本は、晴れのち曇りで、九州では夜には雨の降る所がある。南西諸島は晴れる所が多いが、高気圧縁辺の湿った気流の影響
で雲の広がる所もある。
4.全般週間天気予報(案)
・ 北~西日本の日本海側は、寒気や気圧の谷の影響で曇りや雪または雨の降る日が多い。
・ 北~西日本の太平洋側は、高気圧に覆われて概ね晴れるが、期間の前半と終わりに低気圧や前線の影響で雨または雪の降る日が
ある。
・ 沖縄・奄美は、寒気や気圧の谷の影響で曇りの日が多く、期間の前半と終わりに雨の降る所がある。
・ 最高気温・最低気温ともに、北~西日本は期間の前半は平年並か平年より高く、平年よりかなり高い所がある。期間の後半は平
年並か平年より低い。沖縄・奄美は平年並か平年より高い。
この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの
形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。