II-22 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に合併し、著明な心機能低下を呈した好酸球性心筋炎の一例 中谷 浩章 1)、大槻 修司 1)、片山 岡部 竜太 1)、高村 慎太郎 1)、西出 興野 寛幸 1)、横山 直之 1)、上妻 琢男 3)、笹島 1) ゆう子 3)、近藤 悠紀子 1)、佐々木 征司 1)、奈良 謙 1)、根本 有悟 1)、片岡 かおり 2)、浅子 和哉 1)、高橋 明久 1)、紺野 来美 2)、河野 慎司 1)、 久美子 1)、 肇 2)、東海林 福雄 3) 循環器内科、2)帝京大学医学部附属病院 帝京大学医学附属部病院 学部附属病院 大河 1)、石黒 内科、4)帝京大学医学部附属病院 循環器内科、 3)帝京大学医 病院病理部 [症例]50 歳、女性[主訴]上下肢の痺れ[現病歴]2016 年2月から上下肢の痺れ、皮疹が出現、その後症状及び 範囲が増悪した。好酸球増加、気管支喘息の既往から好酸球性多発血管炎性肉芽腫症が疑われ精査加療目的で 入院となった。[経過]トロポニン I 13.5 の上昇、経胸壁心臓超音波で壁運動低下、心電図で異常 Q 波あり CAG 施行した。冠動脈に有意狭窄なく心筋生検を施行。臨床所見から現病に心筋炎を合併したと判断し同日からス テロイドパルス療法施行とした。後日判明した病理所見では好酸球主体の炎症細胞浸潤を認め好酸球性心筋症 の診断となった。加療後、経胸壁心臓超音波で EF は 50%以上まで改善を認めた。[考察]好酸球性多発血管炎 性肉芽腫症に合併した好酸球性心筋炎を経験した。若干の文献的考察を加えて報告する。 II-23 繰り返す人工弁機能不全に対して生体弁置換を施行し再発を免れた好酸球増多症候群の 1 例 平野 秀典 1)、佐伯 仁 1)、木村 尾澤 直美 2)、下川 智樹 2) 1) 弥生 1)、川村 隆貴 1)、森 大 1)、藤波 公益財団法人東京都保健医療公社豊島病院、2)帝京大学医学部附属病院 竜也 1)、畑 明宏 1)、 心臓血管外科 症例は 63 歳女性。1995 年、僧帽弁狭窄症に機械弁による僧帽弁置換術を施行された。2012 年 3 月、僧帽弁位 機能不全による急性心不全で再度僧帽弁置換術(機械弁 ATS 27mm)を施行された。術中所見は血栓弁であっ た。術後脳梗塞でリハビリ中に心不全を発症。stuck valve を認め、血栓弁による人工弁機能不全と診断した。 以前より好酸球増多があり、ステロイド投与と血栓溶解療法で弁の可動性が改善、軽快退院した。2014 年 6 月、就寝中の呼吸困難で緊急入院となった。stuck valve を認め、再発性人工弁機能不全と診断した。繰り返 す血栓弁を回避するため生体弁(Magna Mitral 25mm)による僧帽弁置換を施行した。その後現在まで好酸球 増多症候群の治療と抗凝固療法で再発を認めない。好酸球増多症候群による血栓弁に対し生体弁の有用性が示 唆された。 II-24 心膜炎が主病態であった好酸球性心膜心筋炎の一例 吉竹 田 功央一、関本 正行、並木 関東労災病院 輝雄、野口 薫、横田 裕之、宗次 裕美、佐藤 貴俊、近藤 武志、柴 淳郎 循環器内科 症例は 62 歳男性。慢性咳嗽に対して近医で内服加療され、労作時呼吸苦が出現したため当科受診した。心電 図では明らかな異常所見認めず、胸部レントゲンで心拡大、末梢血好酸球数の上昇、心エコーで左室駆出率の 低下、心嚢液貯留を著名に認めたため好酸球性心膜心筋炎の疑いで当科入院した。第 1 病日に緊急冠動脈造 影・心筋生検を施行し、同日メチルプレドニゾロン mg/kg/日で治療開始したところ末梢血中好酸球の減少、 症状の改善を速やかに認めた。心筋生検では心筋内に好酸球浸潤は認めず、心筋 MRI では遅延層異常増強効果 を認めなかったが、心嚢液で好酸球数の上昇を認めたため、心筋障害の軽度な心膜炎優位の好酸球性心膜心筋 炎と診断した。心膜炎優位の好酸球性心筋心膜炎の報告は少なく、文献的考察を含めて報告する。 II-25 レフレル心内膜炎の二症例 山口 祐美、柏村 央、小澤 健、五十嵐 拓也、尾崎 新潟大学医歯学総合病院 聖、松尾 和幸、南野 佑治、高野 俊樹、渡邊 達、保屋野 真、柳川 貴 徹 循環器内科 【症例 1】81 歳、女性。2015 年 10 月より消化器症状を自覚しており、2016 年 2 月の血液検査で好酸球が著増 していた(15781/mm3)。心エコー図検査にて心尖部血栓を認め、各種検査所見から好酸球性多発血管炎性肉 芽腫症と診断し、ステロイドの投与を行ったところ症状は軽快しリハビリ転院となった。 【症例 2】73 歳、女性。2016 年 3 月頃より労作時の呼吸苦を自覚し、血液検査上好酸球が 8932/mm3 と上昇し ていた。心エコー図検査で心尖部に血栓を認めた。入院後、好酸球は自然に低下し退院となった。その後の外 来で好酸球が再度増加したため治療を検討しているところである。 【考察】レフレル心内膜炎は症例によって、好酸球増多の原因・程度、他臓器障害の有無、経過などが多彩で あり、再発の可能性も勘案して治療方針を決定する必要がある。 II-26 マイコプラズマ感染症による劇症型心筋炎の一例 南川 翔、牛島 幸、河村 明子、及川 洋太、松陰 惠子、上野 崇、森田 亮、土居 典成、小林 祥子、堀之内 仁美、濱 知明、飯田 剛 義典 東海大学医学部付属八王子病院 症例は 32 歳男性。数日前より全身倦怠感を認め、その後発熱、悪寒を生じたため近医受診した。収縮期血圧 60mmHg、胸部レントゲンで肺うっ血を認め当院搬送となった。採血上心筋逸脱酵素上昇、心臓超音波検査で左 室壁運動のびまん性低下(EF20%)、心筋浮腫を認め劇症型心筋炎を疑った。冠動脈造影で有意狭窄を認めず、 大動脈バルーンパンピング(IABP)挿入、気管内挿管、検査中完全房室ブロックとなり一時的ペースメーカー留 置し集中治療室管理となった。γグロブリン大量投与、マイコプラズマ迅速検査陽性であり AZM 投与した。心 機能は徐々に回復し、第 11 病日に IABP 抜去、第 13 病日に人工呼吸器離脱、第 42 病日に退院した。迅速検査 による早期診断により早期治療を可能にしたマイコプラズマ感染症による劇症型心筋炎の一例を経験した。 II-27 ループス心筋炎が原因と考えられた心原性ショックの一例 上村 宗弘、岩間 岡崎 徹、山本 健太郎、石井 正也、原 久男、岡崎 国立国際医療研究センター病院 41 歳女性 梨奈、中村 友妃子、久保田 修、廣井 修司、粟屋 徹、中川 尭、 透雄 循環器内科 SLE により当院膠原病科で通院中であった。呼吸困難により近隣の大学病院へ救急搬送された。急 性心不全、心原性ショックとして、気管内挿管、IABP 挿入と CAG が行われ、LMT に 50%狭窄が確認された。当 院へ転院となり、原因として、ループス心筋炎を含めた心筋炎を第一に考慮したが、LMT 病変の関与も否定で きず、PCI を行った。右室からの心筋生検も行った。さらに、同日よりステロイドパルス療法が開始された。 心不全は、カテコラミン等を使用し、第 9 病日に人工呼吸から離脱した。UCG での左室収縮力も次第に改善し ていった。ウイルスペア血清では、異常所見はなかった。心筋生検の結果でも、特段の異常はなかった。原因 の特定には至らなかったが、経過からループス心筋炎が疑われる症例を経験した。 II-28 若年女性に発症した右室優位の心筋炎の1例 中澤 亮太、潟手 太郎、中島 庸道、山田 淑江、加藤 良大、坂下 律史、岩永 埼玉医科大学国際医療センター 徳、深澤 史郎、村松 佑介、筋野 俊裕、千本松 容守、丹野 孝明、西村 巡、中埜 信 重敬 心臓内科 【症例】20 代女性【主訴】胸痛【現病歴】入院 8 日前に 39℃台の発熱および胸痛を認め、他院受診。心エコ ー異常所見を認めたため当院紹介、精査・加療目的で入院。 【既往歴】顔面神経麻痺【入院時所見】血圧 112/69 mmHg、心拍数 102 bpm、体温 38.5 度、心雑音なし、心電図で poor R progression、心エコー検査で心嚢液貯 留、血液検査で心筋逸脱酵素の上昇を認めた。【入院後経過】安静加療を行い、第 8 病日に心臓 MRI 施行。右 室優位に T2強調画像の高信号および遅延造影を呈し、心筋炎が疑われた。その後症状改善し第 22 病日退院。 その後 MRI で T2 強調画像での高信号は改善した。【考察・結語】心筋炎の炎症は左室を主座とする事が多く、 右室優位例の報告は少ない。本症例では右室有意の心筋炎と考えられ、MRI が有用であった若年女性の 1 例を 経験した。
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