一般演題 セッション3-2

III-7
心拡大を契機に発見された心臓原発の悪性リンパ腫の 1 例
吉田
彩乃、加藤
まどか、西村
中
博之、手島
賢、山形
睦弘、巴里
亘、木村
彰吾、森永
晃久、伊東
弘章、三ツ橋
勘介、岡部
佑哉、永田
雄太、小木曽
健一郎、磯貝
正隆、明石
俊明、田
保
東京都立多摩総合医療センター
1 か月前より労作時呼吸苦を自覚、心電図にて心房粗細動を認めた。近医で心拡大を指摘され、当院を紹介受
診した。心臓超音波検査で心嚢液貯留を認め、自覚症状から心タンポナーデの診断で入院となった。造影 CT
で肺主幹部~右室周囲、下大静脈周囲に腫瘤性病変を認めた。心嚢穿刺を施行したところ、心嚢液の細胞診は
class 5 であり、未熟異型リンパ球を多数認め、核分裂像も散見され、悪性リンパ腫が疑われた。その後心嚢
穿刺液の病理組織検査でびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の診断に至った。PET/CT では他臓器への集積は認
めなかった。心拡大を契機に紹介となり、心嚢液精査で心臓原発のびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫の診断に
至った稀な症例を経験したので、報告する。
III-8
心タンポナーデを発症し、後に右房原発の血管肉腫と診断された一例
蜂谷 祥子 1)、矢野
佳 1)、山口
博明 1)、小山
良治 1)、足立
博雅 1)、磯部
光章 2)、志水
秀
行 3)
1)
国家公務員共済組合連合会東京共済病院
義塾大学病院
循環器科、2)東京医科歯科大学
循環器内科、3)慶応
心臓血管外科
69 歳男性。呼吸困難にて来院。心タンポナーデの診断で入院し、心嚢ドレナージ施行にて速やかに軽快。心
嚢液は血性であったが、細胞診は Class2、生化学・腫瘍マーカー・培養・ウィルス抗体価で有意所見なし。
胸部 CT、腹部エコーで異常所見を認めなかった。以降外来にて定期的に心エコーを施行し 7 ヵ月後まで再発
なかったが、8 ヶ月後の胸部 CT にて多発肺結節影、心嚢水再貯留、多発肝結節、右房内に腫瘤影を指摘。冠
動脈検査にて右冠動脈からの腫瘍濃染血管が確認され、右房原発の血管肉腫が疑われた。肝結節生検にて血管
肉腫の診断となり、PTX による化学療法が開始されたが、病勢が悪化し臓器障害が進行。心タンポナーデ発症
から 19 ヶ月後に永眠された。心臓原発血管肉腫は非常に稀であり、貴重な症例と考え報告する。
III-9
経食道心臓超音波検査が診断の一助となった弓部大動脈内膜肉腫の 1 治験例
浅原 祐太 1)、吉武
明弘 1)、山崎
幸起 1)、飯尾
みなみ 1)、村田
香織 3)、福田
恵一 2)、志水
1)
慶應義塾大学
大学 医学部
医学部
真敬 1)、岡本
光繁 2)、板橋
一真 1)、飯田
裕史 2)、鶴田
泰功 1)、平野
暁教 1)、池端
ひかる 2)、川井田
みほ 3)、亀山
秀行 1)
外科(心臓血管)、2)慶應義塾大学
医学部
循環器内科、3)慶應義塾
病理診断部
79 歳女性。左前腕のしびれにて受診、急性動脈閉塞の診断で左上腕動脈の血栓除去術を施行。摘出塞栓から
は腫瘍成分を認めたため追加精査を行った。腎機能障害にて造影 CT 施行できず、経食道心エコーにて弓部大
動脈内に可動性の高い腫瘤を認めたため緊急手術の方針とした。手術直前に脳梗塞を発症したが手術施行。手
術は全弓部置換術を施行した。大動脈内の腫瘍は左鎖骨下動脈内まで進展しており、可視範囲内に残存病変が
ないように腫瘍を摘出、除去した。術後経過は概ね良好であったが、術後 MRI にて左上肢に腫瘍の多発骨、筋
肉内転移を認め、術後 44 日目にリハビリ転院となった。術後病理では内膜肉腫であった。非常に稀な本症例
につき文献的考察を加え報告する。
III-10
脆弱な糸状組織によって左房壁に係留され, 粘液腫との鑑別に苦慮した左房内血栓の一例
金濱 望、吉岡
賢二、立石
岩塚 良太、水上
亀田総合病院
暁、木村
遼、橘
伸一、原
茂樹、鈴木
聡史、新井
誠、松村
紘史、早坂
和人、黒田
俊介、
昭彦
循環器内科
78 歳男性. 他院にて鼠径ヘルニア術前の心機能評価目的に施行された心エコー検査にて左房内に可動性のあ
る 15x19mm 大の腫瘤を認め, 塞栓症のリスクがあり当院へ転院搬送となった. 各種検査にて腫瘤は左房後壁
~下壁に糸状組織で係留されていることが判明した. 心房細動にてワーファリンを内服していたものの
PT-INR は治療域を下回っていたため, 血栓の可能性も疑われたが, 形態からは粘液腫が強く疑われた. 遊離
し塞栓症を発症する可能性が高いと考えられ, 第 11 病日に腫瘤摘出術を施行し, 病理検査で血栓と判明し
た. 左房内の遊離血栓や係留された血栓は主に僧帽弁狭窄症での報告が多いが, 本症例では僧帽弁狭窄症は
認めず, 非典型的な症例と考えられた. 文献的考察を踏まえ報告する.
III-11
収縮性心膜炎、慢性心房細動による両心耳血栓に対し、外科的加療が奏功した一例
高木 理央、井上
筑波記念病院
堯文、西
智史、吉本
明浩、藤崎
正之、森住
誠、末松
義弘
心臓血管外科
症例は 45 歳、男性。特記すべき既往なし。感冒症状、動悸を認めて以降、全身浮腫を自覚。その 2 ヶ月後に
脾梗塞、急性心不全を発症し、CT、エコーから収縮性心膜炎疑い、持続性心房細動、両心耳血栓の診断となっ
た。抗凝固療法が開始され、心耳血栓は消失し一旦退院となったが、その後も心不全を繰り返した。CT で心
膜肥厚、石灰化、心嚢液貯留は継続して認め、心エコーでは拡張障害を認めた。根治目的で、心膜切除術、両
心耳切除術が施行された。病理所見では、心外膜の硝子化、石灰化が中心であり、収縮性心膜炎の診断とした。
術後経過は良好で洞調律となり、拡張障害は改善した。術後半年のフォローアップにおいて心不全、心房細動、
血栓塞栓症の再発を認めていない。両心耳血栓は稀な病態であり、文献的考察を加え報告する。
III-12
巨大左心耳内に頻脈性心房細動を伴う心不全発症により血栓を生じた滲出性収縮性心膜炎の一例
久保田
芳明 1)、岩崎
な子 1)、泉
佑樹 1)、淀川
石井 庸介 2)、新田
1)
雄樹 1)、斉藤
研 1)、轟
顕司 1)、淺井
崇弘 1)、菅原
邦也 1)、清水
一樹 1)、藤本
渉 1)、川瀬
雄飛 1)、萩原
康裕 2)、坂本
か
俊一郎 2)、
隆 2)
日本医科大学付属病院
循環器内科、2)日本医科大学付属病院
心臓血管外科
症例は 40 歳男性,生来健康.一か月前から次第に増悪する労作時呼吸困難を主訴に来院.頚動脈怒張あり,
胸部 X 線で左第 3 弓突出と心拡大を認めた.心電図で心拍数 122bpm の頻脈性心房細動,BNP 値 559pg/mL,心
エコーで心嚢液貯留及び巨大左心耳内に血栓を認め入院.CT,MRI では巨大左心耳内に最大径で約 5x2cm 大の
血栓,心膜の石灰化,肝腫大,腹水を認めた.心嚢液の性状は黄色透明で滲出性であり,心臓カテーテル検査
で両心室圧曲線は共に dip and plateau 型を呈し滲出性収縮性心膜炎と診断した.若年症例であり,薬剤抵抗
性の心不全および巨大左心耳内血栓に対し,心膜・左心耳切除術・Maze 手術を施行.肥厚した心膜と,巨大
左心耳内に血栓を認めた.滲出性収縮性心膜炎に合併する巨大左心耳は極めてまれであり,貴重な症例と考え
報告する.