一般演題 セッション2-2

II-8
慢性心房細動の接合部調律時に右心耳のペーシングで心房波を確認できた一例
高部 智哲 1)、神山
3)
輝 、田淵
1)
江東病院
崇 1)、呉本
3)
晴名 、山下
健一 1)、田宮
3)
晴世 、岡崎
循環器内科、2)順天堂練馬病院
栄治 1)、加納
3)
真也 、代田
浩之
達二 1)、西野
顕久 2)、華藤
芳
3)
循環器内科、3)順天堂大学
循環器内科
症例は 71 歳女性。6 年前より慢性心房細動で通院。意識消失あり、Holter 心電図で 4.3 秒の休止を認めた。
原因となる基礎疾患を疑わせる所見はなくペースメーカ植え込み術を行った。植え込み直前の心電図は心拍数
40 台の接合部調律で QRS 波の後に P 波を認めた。心房中隔ではペーシングできなかったが、右心耳のごく一
部でペーシングが可能であり右心耳と右心室にリードを留置した。慢性心房細動の接合部調律時に P 波が出現
し、心房中隔ではなく右心耳で心房ペーシングが可能であり教育的症例と思われ報告した。
II-9
遠隔モニタリングによって無症候性心室細動および植え込み型除細動器の作動を記録できた 1 例
七尾
富久、網野
公一郎、伊苅
真理、木村
学、藤井
敏晴、橋田
匡史、藤林
大輔、神田
茂孝、吉岡
裕二
東海大学医学部付属病院
循環器内科
遠隔モニタリングシステムは Implantable Cardioverter Defibrillator(ICD)の機器情報を医療施設へ送信す
る こ と を 可 能 と し , そ の 利 便 性 及 び 有 用 性 に つ い て の 報 告 が 散 見 さ れ る . 無 症 状 の Ventricular
Fibrillation(VF)を記録し得た1例を報告する.症例は 66 歳男性.過去に原因不明の失神を繰り返していた.
61 歳時に他院で VF が記録され,特発性 VF (Brugada 症候群疑い)の診断で ICD 植え込み目的に当院紹介とな
った.術後 5 年の経過で失神及び ICD 作動は認められなかった.この度,遠隔モニタリングにて入眠中の VF
に対する初回 ICD 作動が記録された.翌日来院して頂き緊急入院としたが,明らかな心電図変化はなく,患
者は ICD 作動を自覚していなかった.無症候性の VF に対し早期発見及び介入を行うことは,速やかな受診を
可能とし予後改善を期待できる.
II-10
バセドウ病の再発により冠攣縮性狭心症が増悪し、心肺停止を来たした一例
神山
まゆ、大野
山下 周、杉山
正和、矢部
知代、近江
国立病院機構災害医療センター
顕人、増村
哲生、高橋
麻由美、榊原
良英、佐藤
温志、野本
英嗣、鈴木
雅仁、
康弘
循環器内科
症例は 40 代男性。冠攣縮性狭心症で他院で加療中。バセドウ病の合併を認め、チアマゾールによる加療を行
い、甲状腺機能安定し、半年前よりチアマゾール休薬となった。1 ヶ月前から胸痛発作が出現するようになり、
受診当日も胸痛発作が出現し、ニトログリセリン舌下後、意識消失した。救急隊到着時、心室細動を認め、除
細動を行い当院救急外来へ搬送された。緊急で冠動脈造影を行うも冠動脈に有意狭窄は認めなかった。甲状腺
機能亢進を認め、バセドウ病の再発と診断し、治療を開始した。低体温療法後、神経学的後遺症なく回復した。
Ca 拮抗薬、硝酸剤、ニコランジルの内服とし、植込み型除細動器を植込み、第 25 病日退院となった。今回、
バセドウ病の再発により冠攣縮性狭心症が増悪し、心室細動を来たした一例を経験したので報告する。
II-11
ペースメーカー留置 19 年後に留置部壁運動低下を生じ、同部位に FDG PET-CT で
集積欠落を認めた一例
角田 昇隆 1)、箸方
1)
NTT 東日本関東病院
健宏 1)、松原
巧 2)、山崎
正雄 1)
循環器内科、2)東京大学医学部附属病院 循環器内科
本症例は 1996 年、23 歳時に完全房室ブロックに対して右室心尖部に VDD ペースメーカーを留置された女性。
心機能低下なく長期的にも経過良好であったが、留置 19 年後の 42 歳時に心不全増悪の診断となり、心尖部の
高度壁運動低下を認めた。心房リードのアンダーセンシングによる変時性応答不全は否定的で、冠動脈に有意
狭窄はなく、Ga シンチグラフィーや採血・心臓超音波検査上でも二次性心筋症を疑う所見も認めなかった。
FDG PET-CT で異常集積は認めなかったが、心尖部の壁運動低下部位に集積欠落を認めた。ペースメーカー留
置後慢性期に、留置部の壁運動低下と同部位への FDG PET-CT での集積欠落を観察した症例は現在まで報告が
なく、貴重な症例と考える。この報告により、機序解明や治療介入について様々な検討が可能となることが期
待される。
II-12
ペースメーカ植え込み後に血栓による内頸静脈閉塞を認めた一例
塩崎
上
正幸、木村
健司、藤原
友紀、石浦
康昌、住吉
純子、近田
雄一、福田
健太郎、山瀬
美紀、田村
浩、井
正孝
順天堂大学医学部附属練馬病院
循環器内科
症例は 70 歳代女性。めまい症状を伴う完全房室ブロックのため、左胸部に DDD ペースメーカ植え込み術を施
行した。術中・術後に問題なく、退院となった。3 週間後、左頚部痛を主訴に来院、発熱(37.8 度)および左
頚部の腫脹・発赤を認めた。造影 CT 検査において、左鎖骨下静脈から左内頸静脈にかけて連続性の血栓を認
めた。入院後抗凝固療法を開始した。その後、徐々に症状改善、第 10 病日に施行した CT 検査では残存血栓を
認めるものの症状は寛解しているため、第 13 病日に退院なった。4 ヶ月後に外来で施行した造影 CT 検査では、
血栓は完全に消失していた。ペースメーカ植え込み後の静脈血栓症についてはしばしば報告されているが、血
栓閉塞に対して内服加療のみで良好な経過を得られた一例を経験したため、文献考察と合わせて報告する。
II-13
多発性疣腫を有するデバイス感染症例
井関
瀬
陽平、前田
康裕、佐々木
基博、村田
孝、坂本
日本医科大学付属病院
智洋、青山
純也、芝田
匡史、森嶋
素子、栗田
二郎、川
俊一郎、宮城
泰雄、石井
庸介、師田
哲郎、新田
隆
心臓血管外科
デバイス感染においてはリードに疣腫が付着する場合があり治療選択に難渋する場合が多い。今回多発性疣腫
を有するデバイス感染症例を経験したので報告する。症例) 61 歳男性。56 歳時 DCM・CHF・VT の診断にて CRT-D
植え込み術施行。56 歳時の電池交換術施行 6 ヶ月後、ポケット創部の離開・リード一部の露出を認めた。血
液培養で staphylococcus ephidelmidis(CNS)が検出。TEE では右房内の RV リードと CS リードの間に 33x21mm、
冠静脈洞入口付近の CS リードに 10x6mm、三尖弁付近の RV リードに 20x10mm の疣腫を認めた。エキシマレー
ザーシースを用いて全リードを経静脈的に全抜去、吸引カテを用いて残存疣腫の一部を吸引破砕した。抗生剤
を術後6週間継続し血液培養陰性確認後、ICD 再植え込み術を施行。1年以上の外来フォローでも感染の再燃
を認めていない。
II-14
デバイス感染に対してリード抜去を施行した後に炎症反応上昇が遷延し診断に難渋した2症例
森
仁、加藤
一郎、岩永
律史、豊崎
史郎、西村
雄一、浅野
重敬、村松
埼玉医科大学国際医療センター
奏、田中
俊裕、松本
沙綾香、後藤
貢士、池田
礼史、志貴
祐
万夫
心臓内科
症例1は 86 歳女性。洞不全症候群に対して電池交換後に炎症反応高値が持続し、血液培養でグラム陽性球菌
が検出されデバイス感染が疑われリード抜去を施行。リード抜去後に抗菌薬による治療を行ったが炎症反応高
値が持続した。ガリウムシンチで炎症の評価を行ったところ、関節に集積を認め、抗 CCP 抗体陽性も認め関節
リウマチによる炎症反応上昇と診断した。症例2は 71 歳女性。完全房室ブロックに対してペースメーカー埋
め込み後に発熱持続し、血液培養でグラム陽性球菌が検出されリード抜去を施行。術後抗菌薬による治療を行
ったが炎症反応高値が持続し、採血で抗カルジオリピン抗体の上昇を認め、膠原病に起因する炎症反応の上昇
と診断した。デバイス除去後も炎症反応上昇が持続する場合には再度原因検索を行うことが重要であると考え
られた。