一般演題 セッション1-1

I-1
血管径が大きな多量の血栓を有する RCA の Recent MI に対して血栓溶解療法を併用し、
二期的に治療し得た一例
武田 悟秋、櫻井
将之、森本
隆史、江田
医療法人社団誠高会おおたかの森病院
一彦、秋山
一秀
循環器内科
【症例】50 歳男性【経過】入院3日前から持続する胸痛で他院を受診し、ACS の疑いで当院に救急搬送。同日
準緊急で CAG 施行したところ、6mm の血管径を有する RCA#2 100%であったため引き続いて PCI を施行。血栓吸
引を繰り返し行ったが TIMI1 flow であったためウロキナーゼを冠注して血栓溶解療法を併用し TIMI3 flow
を得た。#1 および#3 に血栓が残存していたがこの日はステント留置を行わず、5 日間抗凝固療法を行った後
に CAG を施行した。その結果#2 の血栓は消失しており、#3 90%を認めたため同部位に DES を留置した。【結
語】血管径が大きな多量の血栓を有する RCA の Recent MI に対して血栓溶解療法を併用し、二期的に治療し得
た一例を経験したので報告する。
I-2
特発性血小板減少性紫斑病に血栓性病変による左主幹部急性心筋梗塞を発症した一例
益子 有美 1)、石井
絢子 1)、冨士田
康宏 1)、相賀
護 1)、田中
信大 1)、山科
章 2)
1)
東京医科大学八王子医療センター循環器内科、2)東京医科大学病院循環器内科
症例は 80 歳台男性。特発性血小板減少性紫斑病の既往があり、4 年前に急性前壁心筋梗塞で左前下行枝中間
部(#7)に対してベアメタルステントを留置した。以後当科外来で、抗血小板剤一剤(バイアスピリン)を処
方されていた。今回、再度胸痛を認め、急性前側壁心筋梗塞の診断で緊急冠動脈造影を行った。左主幹部分岐
部遠位部に血栓を認め、血栓吸引、冠動脈バルーン拡張術を施行し、再灌流を得た。特発性血小板減少性紫斑
病に関しては、脾臓摘出術後、副腎皮質ホルモンとトロンボポイエチン受容体作動薬の内服にて状態は安定し
ていたが、抗血小板剤内服下に二度目の血栓性急性心筋梗塞を併発することは稀と考えられ、文献的考察をふ
まえ報告する。(283/345 文字)
I-3
右冠動脈の大量血栓に伴う ST 上昇型急性心筋梗塞の一例
戸塚
亮、一戸
能麿、加門
辰也、北原
慧、山中
哲雄、小松
宏貴、深津
徹、平田
恭
信
東京逓信病院
臨床研修医
1 年次
症例は 51 歳男性。放散痛を伴う胸痛を主訴に当院紹介受診。心電図にて下壁誘導で ST 上昇、心臓超音波にて
下壁に壁運動低下、採血にて心筋逸脱酵素の上昇を認めた。急性下壁梗塞の疑われたため、緊急冠動脈造影を
施行。右冠動脈#1 に完全閉塞を認めた。同部位が責任病変と判断し、緊急冠動脈形成術に移行。血管内超音
波にて多量の血栓を認めたため、血栓吸引を施行するも十分には回収できず。ステント留置し、最終的に TIMI3
得られ、手技を終了した。大動脈内バルーンパンピングを挿入し、抗凝固を効かした上で、翌日冠動脈造影を
施行。血栓は残存しており、TIMI2 に低下していた。再度血栓吸引を施行すると多量の赤色血栓が回収でき、
TIMI3 に改善が得られた。抗凝固を効かせた上で血栓吸引に成功した一例を経験したのでここに報告する。
I-4
心原性ショックに至った 3 枝病変を伴う急性心筋梗塞に対して PCPS, 1 期的完全血行再建により
救命し得た 1 症例
吉田 律 1)、磯谷
弘二 1)、関
亮太 1)、長谷川
晋吾 1)、吉村
潤 1)、鳴井
亮介 1)、柴山
健理 1)、松尾
征一郎 1)、山崎
道博 2)
1)
東京慈恵会医科大学附属葛飾医療センター、2)東京慈恵会医科大学附属病院
43 歳男性。急性心筋梗塞による心原性ショックをきたし、救急室で心停止に至った。心肺蘇生により一時的
に自己心拍再開したが、カテコラミン投与にても循環動態が安定せず、補助人工心肺、大動脈内バルーンパン
ピングにより循環動態を安定化させた後、緊急心臓カテーテル検査を施行した。RCA#2 閉塞、LAD#9 閉塞、LCX#11
高度狭窄を認めた。責任病変は右冠動脈と考えられたが、循環動態の不安定性も考慮し、1 期的に 3 枝とも PCI
による血行再建を施行した。その後、循環動態は改善傾向、心機能も改善を認め、人工心肺、大動脈内バルー
ンパンピングの離脱に成功した。今回、3 枝病変に伴う急性心筋梗塞で心原性ショックに至ったが 1 期的な完
全血行再建、補助人工心肺導入などにより循環動態の安定化に成功し救命し得た 1 症例を経験した。
I-5
薬剤溶出性ステント留置後に顕著になった冠攣縮性狭心症の一例
降旗 修太、赤澤
祐介、早川
済生会横浜市南部病院
梓、近藤
愛、郷原
正臣、福島
裕介、泊
咲江、猿渡
力
循環器内科
77 歳男性。2007 年 9 月労作性狭心症で入院。右冠動脈#1 の高度狭窄に対してベアメタルステントを留置、
左前下行枝#6 の高度狭窄に対して冠動脈バイパス手術(左内胸動脈-左前下行枝)を行った。2016 年 1 月頃
より労作時胸痛が認められ、3 月に冠動脈造影(CAG)を施行。左回旋枝#11 の高度狭窄に対して薬剤溶出性
ステントを留置した。退院後より、安静時の胸痛が夜から朝にかけて頻回に認められるようになったため、2016
年 6 月に CAG を施行。有意狭窄は認められなかったが、アセチルコリン負荷を行ったところ、ステント留置部
位以外に冠攣縮が認められた。ステント留置に伴う内皮機能障害の可能性が示唆されたため報告する。
I-6
冠動脈の高度多枝攣縮による急性下壁心筋梗塞後に拡張期性心不全を生じた一例
濱島 ゆり、和田
浩、間瀬
卓顕、林
武邦、坂倉
自治医科大学附属さいたま医療センター
循環器内科
建一、藤田
英雄、百村
伸一
症例は 88 歳女性。胸痛と心電図上 ST 上昇を認め、急性下壁梗塞疑いで救急搬送された。冠動脈造影では右冠
動脈の完全閉塞を含む 3 枝にびまん性攣縮を認め、冠攣縮性狭心症による急性下壁心筋梗塞と診断した。硝酸
薬及びカルシウムブロッカーを中心に内服を導入。狭心発作を反復したため、硝酸薬を漸増し退院となったが、
肺鬱血と全身性浮腫を伴う急性心不全を発症し再入院した。心エコーでは LVEF73%と左室収縮能は良好だった
が、E/e’ 20 と拡張期障害が認められた。冠攣縮性狭心症は短時間可逆性の冠攣縮を生じることが多いが、
本例では心筋マーカー上昇を伴う急性心筋梗塞に移行し、さらに遠隔期に治療抵抗性の攣縮と拡張期心不全を
発症した。冠攣縮と心筋傷害および拡張障害を主体とする心不全の病態について考察し報告する。
I-7
良好な転機をたどった冠動脈自然発症解離の 2 症例
矢崎
恭一郎、加畑
遠田 賢治、石井
荻窪病院
充、大塚
雅人、片岡
翔平、熊谷
麻子、井上
康二、小金井
博士、
康宏
循環器内科
症例 1:55 歳女性、就寝時発症の急性冠症候群にて冠動脈造影を施行。第 2 体対角枝の完全閉塞を認め、IVUS
では、造影剤貯留を伴う三日月状の血腫形成を認めており内膜破綻に伴った冠動脈解離と判断。 Cutting
balloon の低圧拡張にて血流改善が得られた。慢性期造影では血流に増悪無く IVUS でも血腫の退縮を認めて
いた。症例 2:39 歳女性、喧嘩中に安静時胸痛を発症し緊急カテーテル検査を行った。鈍縁枝の完全閉塞を認
め、IVUS,OFDI を用い限局性壁内血栓が強く疑われた。Cutting balloon を使用し entry 作成に成功し血流は
改善。慢性期の OFDI の所見では血腫退縮及び内膜の治癒所見が観察された。一般的に冠動脈解離は治療方針
が系統的で無く、本 2 症例は、冠動脈解離に対する治療方法の決定の一助になり得る報告と考え、考察を交え
ここに報告する。