II-15 拡張型心筋症に併発した VT storm に対して中心静脈からのアブレーションが有効であった一例 丸 有人 1)、高橋 一 1)、山本 健太 1)、小野寺 剛 1)、清水 1) 日本医科大学付属病院 健太 1)、黄 渉 1)、岩崎 俊憲 1)、三軒 雄樹 2)、林 豪仁 1)、太良 修平 1)、圷 宏 明聡 2) 心臓血管集中治療科、2)日本医科大学付属病院 循環器内科 症例は 53 歳男性.2012 年に拡張型心筋症と診断,失神を伴う心室頻拍(VT)が認められ ICD 植込み術を施行し た.2016 年 6 月に ICD 頻回作動を認め,入院後も薬剤抵抗性の VT が繰り返し出現したため緊急カテーテルアブ レーションを施行した.頻拍周期 400msec の VT の心電図波形は下壁誘導で QS パターン,V1 から V6 誘導まで R 波極性は一致し房室間溝と後室間溝の交差部(Crux)起源が疑われた.心腔内超音波および冠静脈造影で冠静 脈および中心静脈(MCV)の走行を確認した.各部位でペーシングを行い,QRS 波形を確認したところ MCV 開口部 から約 1.5cm 遠位部で VT 波形とほぼ一致した.同部位に対する焼灼を行い以降 VT は出現しなかった.Crux 起 源 VT は稀であり,心外膜アプローチによる焼灼を要することが多い.MCV 内からの通電が有効であった Crux 起 源 VT を経験したので報告する. II-16 左室憩室を起源とした心室頻拍が心停止の原因と考えられた 20 歳男性 千丈 創 1)、川松 2) 、大野 直人 1)、西畑 雅文 1)、望月 宏樹 1)、會田 幹彦 1)、椎名 由美 1)、横山 郎 1)、小宮山 伸之 1) 1) 庸介 1)、木全 敏 1)、小松 泰廣 1)、新沼 聖路加国際病院心血管センター 啓 1)、吉野 邦彦 2)、伊藤 一貴 1)、福田 廣幸 1)、阿部 旭伸 1)、水野 恒平 2)、三隅 循環器内科、2)聖路加国際病院 丈二 2)、山崎 篤 1)、中岡 寛恭 2)、丹羽 心血管センター 学 公一 心臓血管外 科 20 歳男性.友人とバドミントンをしている最中に突然心停止した.BystanderCPR が施行され AED が計 6 回作動 したが蘇生せず当院に救急搬送された.64 分間の心停止後に心拍再開したが循環が保てず気管挿管管理下に PCPS・IABP を必要とした.一時 PCPS から VV-ECMO に切り替えるなど呼吸循環管理に難渋したが後遺症なく蘇生 後 13 日で自立歩行可能となった.冠動脈造影およびアセチルコリン負荷試験,心筋生検では異常を指摘しなか ったが,心臓 MRI で左室後側壁に径 18mm の心室憩室を認めた.電気生理学的検査を行うと容易に心室頻拍が再 現され,この憩室が起源と考えられた.心室頻拍根治を目的に左室憩室の外科的切除を行った.現在心室頻拍は 再発していない.左室憩室が心室頻拍の起源と考えられたものの,切除術を行うことでコントロールが可能で あった本例を報告する. II-17 Short-coupled variant of Torsades de Pointes による院外心停止の一例 伊藤 竜、堀 泰彦、鈴木 国保松戸市立病院 雅博、高橋 秀尚、福島 賢一 循環器内科 【症例】31 歳女性,2016 年 5 月職場で心停止となり職員による AED 装着で心室細動(VF)が確認された.除細動/ 心肺蘇生が行われ,自己心拍再開が確認された.当院へ搬送後,緊急冠動脈造影検査で有意狭窄は認めなかった が,検査中に同一波形の心室性期外収縮(PVC)から VF が頻発した.人工呼吸器を用いた鎮静とアミオダロンを 開始し,ICU 管理となるも VF storm は変わらず,頻回の DC 作動を要した.一時ペーシングを導入し,ニフェカラ ント,ランジオロール併用後,VF storm は回避され,第 2 病日より PVC はほぼ消失した.心臓超音波,心臓 CT で 器質的心疾患は否定的であり,臨床的に short-coupled variant of torsades de pointes が考えられ,trigger になる PVC に対するカテーテルアブレーションを行った.Trigger となる PVC の焼灼に成功し,後日 ICD を植え 込み,後遺症なく退院した. II-18 QT 延長症候群にカテコラミン心筋症を合併し torsades de pointes が誘発された一例 中尾 仁彦 1)、山口 石丸 剛 1)、岡田 1) 草加市立病院 正男 1)、古浦 寛之 1)、稲垣 賢二 1)、中島 裕 1)、土信田¥ 永美子 1)、大滝 伸夫 1)、高元 循環器内科、2)東京医科歯科大学医学部附属病院 陽一 1)、大西 俊彦 1)、磯部 健太郎 1)、 光章 2) 循環器内科 52 歳女性。高血圧と QT 延長を指摘され前医でフォローされていた。2016 年 8 月に動悸症状を訴え前医受診し、 その際の心電図検査で torsades de pointes(以下 TdP)の所見をみとめたため、当院に紹介された。救急外 来での診察中に TdP から心室細動になり、除細動施行・マグネシウム投与されたのちは洞調律化した。初診時 の心エコーでは壁運動異常をみとめなかったが、翌日施行した冠動脈造影検査で冠動脈に有意狭窄なく、左室 造影では前壁の壁運動低下をみとめた。心電図所見としては当初前胸部誘導で陰性 T 波をみとめ、数日の間に 正常化した。QT 延長症候群がベースにある患者が、カテコラミン心筋症と思われる心筋障害を合併し TdP が 誘発された示唆に富む症例を経験したので、文献的考察を加え報告する。 II-19 意識消失を繰り返し、てんかんと初期診断されていた先天性 QT 延長症候群の一例 八木 伸 1)、服部 1) 横浜労災病院 正幸 2)、黒崎 初期研修医 健司 3)、柚本 和彦 2) 1 年次、2)横浜労災病院 循環器科、3)横浜労災病院 不整脈科 症例は 16 歳男性。2011 年から強直を伴う意識消失を繰り返し認め、てんかんの診断を受けバルプロ酸を内服 していた。頭部 CT, MRI では明らかな異常見られず、脳波では後頭葉中心に極徐波様の異常所見を認めていた。 同時期の心電図で QT 500ms と延長を認めていたが経過観察とされていた。2016 年 7 月に再度意識消失を認め、 QT 延長の精査目的に当科紹介となった。安静時心電図では QTc 550ms と延長、V2,V3 誘導で notched T 波を認 めた。Schwartz の診断基準から LQTS 確診例と考えられた。エピネフリン負荷試験、トレッドミル負荷試験で は LQT2 を示唆する所見が得られ、遺伝子検査では HERG 遺伝子に変異を認め、LQT2 の診断となった。本症例 はてんかんと初期診断されたが、抗てんかん薬内服後も意識消失を繰り返し、LQTS の関与が考えられた一例 であり報告する。 II-20 炭酸リチウム製剤にて顕在化したブルガダ症候群の一例 佐藤 根 秀範、徳田 道史、徳竹 賢一、横山 賢一、日置 美香、山下 省吾、吉村 道博、山 禎一 東京慈恵会医科大学 循環器内科 症例は 28 歳男性。過去に心電図異常の指摘はない。3回の前駆症状を伴わない失神、頭部外傷にて当院救急 外来受診された。来院時心電図上 V1-2 で Coved 型の ST 上昇を認め、Brugada Type1 心電図と診断された。家 族歴はなく、他の失神の原因疾患や器質的心疾患も否定的であった。2ヶ月前より双極性障害に対して心療内 科にて炭酸リチウム 20mg/日を開始、その後 80mg/日まで増量されていた。入院後炭酸リチウムを漸減・中止 したところ心電図は正常化した。心臓電気生理検査を施行したところ、右室流出路よりの心室頻回刺激にて心 室細動が誘発された。本人の希望もあり ICD 植込術を施行した。術後経過問題なく退院し、その後 ICD 作動は 認めていない。炭酸リチウムの内服にて顕在化し失神をきたした Brugada 症候群の稀有な症例と考え報告とし た。 II-21 第 2 世代 320 列心臓 CT と最新逐次近似画像再構成法 FIRST を組み合わせによる CT 遅延造影診断能の改善 高岡 浩之 1)、船橋 伸禎 1)、上原 1) 千葉大学医学部附属病院 雅恵 1)、小澤 公哉 1)、佐野 剛一 2)、小林 欣夫 1) 循環器内科、2)東千葉メディカルセンター 心臓 CT、MRI を施行した 74 例の内、初期連続 56 症例は 16 列 CT(管電圧 140 Kv、管電流 330 mA)で撮像、後 半連続 18 例は第 2 世代 320 列 CT で低管電圧、高管電流(管電圧 80~120 Kv, 管電流 350~900 mA)で撮像+ 最新逐次近似法の Forward Projected Model-based Iterative Reconstruction SoluTion (FIRST)で画像再構 成し、左室遅延像を評価し MRI を基準としと比較した。左室遅延造影、症例別診断能(感度、特異度、陽性的 中率、陰性的中率、正診率)は 16 列 CT 群で 90、89、90、89、89%。320 列 CT 群で 78、100、100、82、89%で あり、両群差はなかった。AHA 左室 17 区域別診断能は 16 列 CT 群で 67、92、68、91、87%、320 列 CT 群で 68、 98、83、96、94%で、320 列 CT 群で特異度と陰性的中率、正診率が高かった(p<0.05)。左室遅延造影診断能 は、第 2 世代 320 列 CT で改善した。
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