一般演題 セッション1-4

I-22
閉塞性肥大型心筋症にたこつぼ心筋症を合併した一例
矢部 功祐、宮崎
尾崎
大、横松
隆司、中里
哲朗、粕谷
友紀、内藤
宏樹、金子
亮、小田切
智洋、柿原
史徳、宮崎
翠、島井
彩記子、柳沼
亮輔、磯貝
憲志、横山
浩之、
健、戸叶
祐二
順天堂大学医学部付属浦安病院ハートセンター
循環器内科
48 歳女性。持続する胸痛を主訴に近医受診、急性冠動脈症候群の診断で当院に救急搬送。心電図で広汎な ST
上昇と陰性 T 波、心臓超音波では中隔基部の壁肥厚と過収縮、心尖部の壁運動低下を認めた。冠動脈造影では
有意狭窄なく、たこつぼ心筋症と診断。また心尖部からの引き抜き圧は 100mmHg と高値でありβ遮断薬持続静
注を開始し、経過は良好であった。慢性期の心臓超音波では全周性の壁肥厚、僧帽弁収縮期前方運動を認め閉
塞性肥大型心筋症と診断。右心カテーテル検査で安静時左室流出路圧較差は 30mmHg、心房ペーシング(150bpm)
で圧較差増大するも、シベンゾリン投与により改善を認めた。今回、閉塞性肥大型心筋症にたこつぼ心筋症を
合併、急性期に左室内圧較差の増悪を来した症例を経験したので報告する。
I-23
顔面肩甲型筋ジストロフィーにたこつぼ型心筋症を合併した 1 例
大東 周碁 1)、芝田
1)
、高橋
1)
貴裕 1)、森
弘武 1)、蒔田
力 1)、稲田
憲太朗 1)、吉村
東京慈恵会医科大学附属病院
慶一 1)、香山
洋介 1)、堤
穣志 1)、村嶋
英達
道博 2)
循環器内科、2)東京慈恵会医科大学附属病院本院
【要旨】症例は 66 歳女性。2009 年下肢筋力低下から他院神経内科で精査され遺伝子検査から、顔面肩甲型筋
ジストロフィーと診断。2016 年 8 月末に当院に胸部絞扼感を主訴に受診。高感度トロポニン I の来院後の経
時的上昇を認めたため、緊急で冠動脈造影検査を施行。結果冠動脈に有意狭窄はなく、左室造影では#2、#4
で減弱、心基部は過収縮を呈していた。特徴的な左室造影所見よりたこつぼ型心筋症と診断。翌日の心電図検
査では 1、aVL、V4~V6 に T 波陰転化が出現した。追加の BMIPP および MIBG シンチグラフィーでもたこつぼ型
心筋症を示唆する所見を認めた。またその後の心電図で T 波陰転化の改善が認められた。顔面肩甲型筋ジスト
ロフィーとたこつぼ型心筋症に関連性の報告は少なく今後の症例の集積が望まれる。
I-24
たこつぼ型心筋症を契機に発見した褐色細胞腫クリーゼの一例
平野
仁士、鈴木
陽、大橋
紅、安倍
浩一、佐々
東京都立墨東病院
大輔、弓場
隆生、黒木
識敬、油井
慶晃、春成
智彦、高山
達郎
循環器科
症例は 38 歳女性。3 回経妊、3 回経産。第三子産直後から持続する胸部絞扼感と心電図での ST 変化あり。ト
ロポニン T 陽性であるため ACS を疑い CAG 施行した。Normal coronary であったものの LVG にて心尖部のみ過
収縮しておりたこつぼ型心筋症の診断に至った。CAG 後から循環動態不安定であり、急性期は IABP、PCPS 挿
入し挿管管理とした。血中カテコラミン三分画の上昇しており、腹部エコーにて右腎上部に 6×7cm 大の腫瘤
影を認めたため褐色細胞腫クリーゼと診断。その後、クリーゼは離脱し第 15 病日に退院となった。本症例で
は出産のストレスもしくは造影剤投与が褐色細胞腫クリーゼ発症の原因となったと考えた。たこつぼ型心筋症
を契機に発見した褐色細胞腫クリーゼは非常に稀有な症例であり文献的考察を交えて報告する。
I-25
右室優位に壁運動低下を認めたたこつぼ型心筋症の一例
山本
裕子、魚住
博記、上原
和幸、初瀬
慧、山田
臣太郎、山本
渓介、瀧澤
雅隆、池
ノ内 浩
日本赤十字社医療センター
循環器内科
89 歳女性。2016 年 3 月、脊髄硬膜外出血に対し血腫除去術を施行後、リハビリ病院に入院中。5 月某日、昼
食時に咳嗽著明となり SpO2 低下、胸痛を訴えた。心電図で ST 変化を認め、同日当科へ転院搬送。来院時の心
電図で V1-V4 及び aVL 誘導の陰性 T 波を、心エコーで心基部以外の壁運動低下を認めた。緊急冠動脈造影検査を
施行し有意狭窄なし。入院後の心エコーで著明な右室拡大および右室壁運動低下と中隔の圧迫像を認めた。造
影 CT 検査により肺塞栓症等による右室負荷は否定的であり、誤嚥性肺炎に伴う一過性の低酸素血症を契機に
発症した右室優位のたこつぼ型心筋症と診断。一過性に胸水貯留を来すも、利尿薬投与のみで経時的に右室壁
運動及び心電図所見の改善を認め、心機能は自然軽快した。文献的考察とあわせ報告する。
I-26
たこつぼ型心筋症に blow out 型心破裂を合併するも救命し得た 1 例
植村 祐公 1)、吹野
1)
帝京大学
恵子 1)、篠原
ちば総合医療センター
宏樹 1)、天木
幹博 1)、宮城
循環器内科、2)帝京大学
直人 2)、中村
文隆 1)
ちば総合医療センター
心臓血管
外科
冠攣縮性狭心症の 70 代女性. ダンス中に倒れ緊急搬送. GCS15, BP 54/37, PR 120, ECG で I,aVL,V2-6 ST
上昇,心エコーで心嚢液貯留を認め, 造影 CT にて解離を否定, 急性冠症候群除外目的に施行した CAG にて LAD
中間部以遠の攣縮と LVG で apical ballooning を認め、心破裂と冠攣縮を伴うたこつぼ型心筋症と診断. LVG
で造影剤漏出なく, 心嚢ドレーンと IABP で安定したため保存的に経過をみたが, その後大量出血し循環破
綻. 再破裂と診断し, PCPS 下に心尖部の心筋断裂に対し修復術施行. 第 5 病日に PCPS,第 10 病日に IABP 離
脱.第 59 病日に独歩退院.退院前造影で冠攣縮は解除, 心エコー上心尖部の一部以外壁運動は正常化した。
たこつぼ型心筋症に伴う blow out 型心破裂から独歩退院した報告は稀であり報告する.
I-27
慢性期まで Multi-modality で評価し得た Mid-vetricular balloon type たこつぼ型心筋症の一例
野原 剛 1)、高橋
1)
太 、曽根
直人 1)、伊藤
1)
教子 、高木
石原 嗣郎 1)、石川
祐輔 1)、大熊
1)
宏治 、徳山
昌弘 1)、佐藤
慧 1)、三石
1)
榮男 、中摩
直樹 1)、清水
達也 1)、石塚
1)
健二 、表
淳史 1)、鴫原
1)
俊也 、菊池
祥
1)
有史 、
渉 2)
1)
日本医科大学武蔵小杉病院、2)日本医科大学付属病院
【背景】apical balloon type を主座とするたこつぼ型心筋症において壁運動異常の局在が non-apical であ
る症例が散見されるが、その病態については未だ不明な点が多い。【症例】58 歳女性。突然の胸痛を主訴に
救急搬送され心電図にて ST-T 変化と心筋逸脱酵素の異常を認め緊急カテーテル検査を施行。冠動脈に有意狭
窄を認めず、左室造影にて中部前側壁・下壁の無収縮と基部・心尖部の過収縮を認め Mid-vetricular balloon
type たこつぼ型心筋症と診断した。病態をより明確にするために Multi-modality(心臓 MRI, SPECT)で評価を
行った。慢性期のアセチルコリン誘発試験は陰性で壁運動は正常であり、さらに慢性期において同様に心臓
MRI, 2 核種心筋 SPECT で評価し得たこつぼ型心筋症ついて文献的考察を加え報告する。