I-33 開心術とエキシマレーザーシースのハイブリット治療で根治した上大静脈症候群を呈した 植込みデバイス感染例 桐山 晧之 1)、荷見 治雄 2)、赤澤 映理子 1)、藤生 宏 1)、渡辺 1) 東京大学医学部附属病院 克仁 1)、小島 昌文 1)、小野 敏弥 1)、星野 稔 2)、小室 康弘 2)、木下 修 2)、山内 一成 1) 循環器内科、2)東京大学医学部附属病院 心臓外科 40 年前にペースメーカ植込みが行われている 50 歳男性。11 年前にデバイス感染が生じたが完全抜去は不可能 とされ、胸部から膿が流出し続けていた。鎖骨下静脈・上大静脈間に広範囲完全閉塞を認め、開心下でもリー ド抜去は困難と判断。40 年経過したリードは上大静脈で強い石灰化があり、通常の経皮的リード抜去は不可 能と判断した。そこで心臓内のリード先端を開胸下に剥離した後、開心下に心房から鎖骨下静脈へ逆行性アプ ローチを試みた。石灰化を外科的剥離し、エキシマレーザーシース等によってリードを剥離し抜去に成功した。 感染巣は閉塞した上大静脈内に留まっており、敗血症は幸い回避されていた。超長期遺残リードによる上大静 脈症候群を呈した症例に対して外科医・内科医による同時手術によって根治し得た最初の症例である。 I-34 リンパ球性心筋炎様の病理像を呈したγδTCR 陽性顆粒リンパ球増多症の一例 小松 稔典 1)、木村 木 博彦 1)、岡田 和広 1)、三枝 綾子 1)、伊澤 達也 1)、千田 淳 2)、小山 啓介 1)、三浦 潤 1)、中澤 崇 1)、海老澤 英之 3)、浅野 聡一朗 1)、元 直子 4)、植木 康志 1) 1) 信州大学医学部附属病院 循環器内科、2)信州大学医学部保健学科、3)信州大学医学部附属病院 血液内科、4)長野県立須坂病院遺伝子検査科 症例は 66 歳男性. 初回非代償性心不全で入院.前年の心電図と比較し全誘導で R 波減高,心エコーでは瀰漫 性に左室収縮能が低下していた.心内膜生検を施行し心筋組織への T リンパ球浸潤と心筋破壊を認めた.リン パ球性心筋炎が考えられ,心筋組織を用いた主要ウイルスゲノム PCR を施行したが陰性.3ヶ月後の心筋生検 でも T リンパ球浸潤が継続していた.経過中,好中球減少の進行及び体幹中心に皮疹も出現し,骨髄・皮膚生 検を施行.皮膚生検でも表皮及び血管周囲に T リンパ球浸潤を認めた.骨髄生検では細胞障害性 T 細胞が増殖 し,フローサイトメトリーでγδT 細胞受容体(γδTCR)陽性細胞が増加していた.各臓器病変はγδTCR 陽性 細胞の増殖によって惹起された一元的な病態と推察した.治療経過も含めて報告する. I-35 大動脈弁閉鎖不全症を合併する大動脈縮窄症および動脈管開存症に対し] ステントグラフト内挿術を先行した一例 瀬口 龍太、大竹 裕志、堀川 貴史、捶井 達也、木内 竜太、富田 重之、眞田 順一郎、 渡邊 剛 ニューハート・ワタナベ国際病院 心臓血管外科 症例は 20 歳男性. 先天性二尖弁による大動脈弁閉鎖不全症, 大動脈縮窄症, 動脈管開存症に対し手術目的に 当院へ入院した. 術前の上肢下肢血圧比は 0.56 (100/180)であった. 動脈管は大動脈縮窄部より中枢側に位 置してており, 同疾患に対する治療を先行することとした. 縮窄部を径 10mm のバルーンにて前拡張し動脈 壁の性状を確認の上, 径 31mm のステントグラフトを留置した. 造影にて縮窄の改善と動脈管の閉塞を認め, 上下肢の圧格差は 15mmHg に改善した. ステントグラフト内挿術 1 週間後に胸骨正中切開下に大動脈弁置換術 を施行し、術当日に人工呼吸器離脱, 術 12 病日に自宅退院となった. 開心術に先んじて菅後型大動脈縮窄症 に対するステントグラフト内挿術を行うことにより, 後負荷を軽減, 側方開胸を回避し, 低侵襲治療を施行 し得た. I-36 選択的パパベリン持続動注が有用であった経カテーテル的大動脈弁置換術後に発症した 非閉塞性腸管虚血の一例 野口 将彦 1)、田端 井 光太郎 1)、渡辺 1) 実 2)、伊藤 丈二 2)、中塚 大介 2)、河野 裕志 2)、柴山 謙太郎 1)、小船 弘之 1) 東京ベイ・浦安市川医療センター 循環器内科、2)東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管 外科 症例は 80 歳男性。症候性重症大動脈弁狭窄症に対して、経心尖アプローチによる経カテーテル的大動脈弁置 換術(TAVI)を施行。術後経過は良好であった。しかし、術後 30 時間後より強い腹痛を自覚し、血液検査にて 乳酸値の上昇を認めた。腹部造影 CT 検査では腸間膜動脈の閉塞や腸管壊死の所見は認めなかったが、腸間膜 動脈末梢の造影不良を認めた。これらの経過から非閉塞性腸管虚血(NOMI)を疑い、緊急選択的上腸間膜動脈造 影を施行。結果、上腸間膜動脈の狭小化を認め、プロスタグランジン E1 動注に引き続き、パパベリン持続動 注療法を開始とした。その後、乳酸値は徐々に正常化し、臓器障害なく独歩退院となった。TAVI 後の NOMI の 報告はなく、症例に対する文献的考察、さらには当院における NOMI に対する治療戦略も含めここに報告する。 I-37 心膜炎を初発症状とし、経過中に右心房腫瘤を認めた Erdheim-Chester 病の 1 例 南 1) 義成 1)、小暮 、芹澤 1) 智仁 1)、志賀 直紀 、庄田 1) 剛 1)、笹川 守男 、吉澤 佳苗 1)、逸見 隆太 1)、菊池 規子 1)、鈴木 敦 2) 2) 3) 3) 佐恵子 、宇都 長尾 充展 3)、萩原 誠久 1) 1) 循環器内科、2)東京女子医科大学 東京女子医科大学 健太 、松尾 有香 、福島 賢慈 、 第二病理学、3)東京女子医科大学 画像 診断・核医学科 症例は 77 歳男性。69 歳時、心嚢液貯留のため当科入院、当時原因を特定できず、特発性心膜炎の診断で心膜 切開術とプレドニゾロンの内服治療を開始した。以降、CRP が 1~2 mg/dL を推移するも血沈の亢進なく、心 嚢液の再貯留や症状の増悪もなく経過していた。8 年後、心房粗動の発症を契機に行った造影 CT で右心房へ の浸潤を伴う心周囲腫瘤と大血管系周囲をはじめとした全身臓器への軟部組織の浸潤を認めた。心筋生検よ り、間質の線維化と組織球系細胞の浸潤を認め、Erdheim-Chester 病(ECD)の診断に至った。また 8 年前に採 取された心膜組織を免疫組織学的に再検したところ、ECD に特徴的な組織球系細胞の浸潤を認めた。ECD に伴 う心病変の報告は少なく、今回心膜炎を初発症状とし、8 年後に心臓への浸潤を伴う腫瘤を認め診断に至った ECD の 1 例を報告する。
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