週間天気予報解説資料

週間天気予報解説資料
2016 年 12 月 29 日 10 時 00 分 発表
気象庁予報部
予報期間
12 月 30 日から 1 月 5 日まで
1.アンサンブル資料
●アンサンブル(ENS):西北西の流れで冬型の気圧配置が続く中、いくつかのトラフが日本付近を通過する。1月1日に5400~5460
m付近の弱いトラフが北日本を、2~3日に5280~5520m付近のトラフが北・東日本を通過する。その後ENSでは不明瞭だが、GSM
では4日に5340~5520m付近のトラフが前のトラフより深まって東日本を通過する。これらトラフ通過のタイミングにはイニシャ
ル変わりがあり、T850偏差時系列のイニシャル変わりに現れている。また東・西日本では、上記トラフ以外でも5580~5700m付近
の正渦度移流が顕著な日がある。今期間太平洋側では概ね晴れベースではあるが、冬型の気圧配置が緩んでシアーラインが顕在
化しやすく、気温場も高いため明瞭な冬型の気圧配置の時よりも雲の広がりやすい所がある。
●500hPa基本場(週間予報支援図):実況は、日本付近はゾーナルで広く正偏差。予報期間は、120E付近がリッジとなって東谷が明
瞭。高度偏差は西日本を中心に更に大きくなる。高度偏差パターンを見ると、寒気は日本の東海上を指向する。
●1月1~4日:冬型の気圧配置が断続的に緩みながら続く。2日頃は比較的深い気圧の谷が日本付近を通過する。北・東日本日本
海側では雪や雨の降る日が続く。西日本日本海側は雲の多い天気が続くが、寒気が弱く雨や雪の降る所は少ない。太平洋側は、
トラフ通過や正渦度移流により雲の多い日はあるが、基本的に晴れベース。
●5日:日本の東海上のトラフが東に移動するのに伴い、高気圧が日本付近を東進する。西日本は次第に高気圧後面となって雲の広
がる所があるが、北・東日本日本海側を含め、天気の崩れる所は少ない。
●沖縄・奄美:期間のはじめは西南西流場だが、その後リッジ場ないし西北西流場。期間のはじめ寒気の影響で曇る日もあるが、高
気圧に覆われて概ね晴れる。
・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:1月5日は、多くのメンバーが冬型の気圧配置か日本海に高気圧を予想しているが、1割のメ
ンバーが日本海に低気圧または気圧の谷の予想。
・ スプレッド:昨日資料からの差は小さく、期間を通して比較的小さいが、4日目から5日目にかけての拡大幅がやや大きい。特
定高度線は、ショートトラフのタイミングにばらつきはあるが、シルエットは東谷を示し、期間終わりは5400mの日本の東海上の
トラフは東進傾向。
・ 降水頻度分布:高降水頻度域は、北日本日本海側に断続的に現れる。昨日に比べ2日は縮小、3日は拡大。4日は10%以上の領
域が陸上にかからなくなった。
・ 予想T850時系列:札幌は31~2日が正偏差で、2日は昨日の負偏差から正偏差に転じた。館野は1、2日が正偏差で、1、3
日は昨日より低く、2日は昨日より高くなった。福岡は30日以降、那覇は31日以降正偏差。
2.防災事項等
・ 特にない。
3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照)
・ 500hPaの流れはWNW流場の中、5220m付近のトラフが北日本を、5580m付近の逆位相のトラフが西・東日本を通過する。
・ 冬型の気圧配置が緩み、西・東日本は高気圧に覆われて概ね晴れるが、前者のトラフは北日本~北陸に雲を広げ一時雪や雨をも
たらし、後者のトラフは中上層の湿りを日中広げる見込み。また、南西諸島は、高気圧の縁となり、先島諸島を中心に曇りとな
る。
4.全般週間天気予報(案)
・ 北日本から西日本にかけては、冬型の気圧配置が続くため、日本海側は曇りや雪または雨の降る所が多く、太平洋側は概ね晴れ
る。
・ 沖縄・奄美は、期間のはじめ寒気の影響で曇る日があるが、高気圧に覆われて概ね晴れ。
・ 最高気温・最低気温ともに、北海道地方は平年並か平年より低い。その他は平年並か平年より高い日が多いが、期間のはじめと
終わりは平年並か平年より低い所がある。
この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの
形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。