ご参考資料 Vol. 143 (対象期間:2016年11月28日~2016年12月9日) インドネシアの金融市場は、株高、債券高、通貨高のトリプル高となりました。株式市場では、海外投資家の売越しが続きまし たが、政情安定に向けたジョコ大統領の強い姿勢を好感した国内投資家の買いなどに支えられて、代表的株価指数のジャカル タ総合指数は対象期間中に3.6%上昇しました。債券市場では、海外投資家が国債の買越しに転じる中で、インドネシア10年国 債利回りは大幅に低下(価格は上昇)しました。為替市場では、対米ドル、対円ともに、インドネシアルピア高となりました。イン ドネシアの政治状況についてはニュース欄、ルピアと主要通貨の動向については2ページ目の基礎講座をご参照ください。 [株式市場]ジャカルタ総合指数の推移 [株式市場] (ポイント) 6,000 5,000 日付 終値 11月25日 5,122.10 12月2日 5,245.96 12月9日 5,308.13 海外投資家によるインドネシア株式の売買状況を見ると、トランプ 氏が次期米大統領に決まった11月9日から売越しが続いています。 11月は12.4兆ルピア(約1,070億円)、12月も9日までで2.7兆ルピア (約230億円)の売越しとなりましたが、年初来では17.1兆ルピア(約 1,470億円)の買越しとなっています。 週間騰落率 (前週末比) 2.4% 1.2% 4,000 [債券市場] 3,000 2,000 1,000 2006年12月 2009年12月 2012年12月 2015年12月 [為替市場] 出所:Bloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。 上記のグラフは2006年12月28日からの推移を示しています。 米大統領選後の米ドル高の流れが一段落する中で、インドネシア ルピアは対象期間中に対米ドルで1.6%高となり、対円では円が対 米ドルで下落する中で、3.2%高となりました。 [債券市場]インドネシア自国通貨建て10年国債利回りの推移 25% 日付 利回り 20% 11月25日 12月2日 12月9日 8.32% 8.06% 7.66% 15% インドネシア10年国債利回りは、海外投資家のインドネシア国債保 有残高が増加に転じる中で大幅に低下(価格は上昇)しました。海 外投資家によるインドネシア国債の保有残高を見ると、米大統領選 のあった11月8日から28日まで22.6兆ルピア(約1,950億円)減少し ましたが、その後は12月8日までで10.7兆ルピア(約920億円)の増 加となりました。 変化幅 (前週末比) -0.26% -0.40% [ニュース] 大統領、デモの現場に登場: 政情安定に強い姿勢 10% 5% 0% 2006年12月 2009年12月 2012年12月 2015年12月 出所:Bloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベトメンツ作成。 上記のグラフは2006年12月29日からの推移を示しています。 政治 [為替市場]インドネシアルピアの対円レートの推移 インドネシアルピア高円安 (円) 1.5 1.3 日付 為替レート 11月25日 12月2日 12月9日 0.835 0.844 0.862 週間騰落率 (前週末比) 1.1% 2.1% インドネシアでは、ジャカルタ特別州のバスキ知事がイス ラム教を侮辱したとして、大きな政治問題となっていま す。ジョコ大統領は、12月2日にジャカルタで行われたバ スキ知事の逮捕を求める大規模デモに姿を見せ、デモが 平和裏に行われていることに感謝の意を表すとともに、 政情の安定に向けて強い姿勢を示しました。今回のデモ には、警察推計で20万人が参加したとされています。大 統領が自らデモの現場に登場したことは、インドネシアの 統合と安定化に向けた強いシグナルと受け止められ、株 式市場にも追い風となりました。この日は香港ハンセン指 数が1.4%安となるなど、アジアの株式市場は概ね下げ 基調でしたが、ジャカルタ総合指数は0.9%高となりまし た。バスキ氏は中国系のキリスト教徒で、ジョコ大統領が ジャカルタ特別州知事時代に副知事を務め、2014年には ジョコ氏の大統領就任に伴い知事に昇格しました。 OECD経済見通し: 成長率は加速、物価は安定 1.1 0.9 インドネシア ルピア安 円高 0.7 2006年12月 経済 2009年12月 2012年12月 2015年12月 出所:Bloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。 上記のグラフは2006年12月29日からの推移を示しています。 (100インドネシアルピア対 円レート) 経済協力開発機構(OECD)は、11月28日に発表した最新 の「経済見通し」において、インドネシアが経済成長ペー スを徐々に速める一方、物価は比較的安定した水準で推 移するとの見通しを示しました。実質国内総生産(GDP) 成長率は2015年の前年比+4.8%を底に、2016年は同 +5.0%、2017年は同+5.1%、2018年は同+5.3%に加速し、 消費者物価指数(CPI)は2015年の前年比+6.4%から 2016年は同+3.6%に鈍化した後、2017年は同+3.9%、 2018年は同+4.0%で推移すると予想しています。 英国プルーデンシャル社はイーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社です。最終親会社およびそのグループ会社は主に米国で事業を展開 しているプルデンシャル・ファイナンシャル社とは関係がありません。 1/2 ご参考資料 Vol.143(対象期間:2016年11月28日~2016年12月9日) [インドネシア基礎講座] 為替市場: 経済改善・政権基盤強化でルピアは安定、米大統領選後のルピア安は小幅 為替市場では、11月8日の米大統領選で共和党のトランプ候補が次期大統領に決まったことを受けて、米ドル高が進みました。同氏の掲げ る積極的な財政政策でインフレ圧力が高まるとの見方から、米国債の利回りが急騰したことが背景にあります。インドネシアルピアも米大統 領選後に対米ドルで下げましたが、他通貨と比較して小幅な下落に留まっています(図表1)。ルピア安が小幅だった背景には、インドネシア 経済の改善と政治の安定があります。実質GDP成長率は昨年4-6月期の前年同期比+4.66%を底に加速して10-12月期以降は5%前後で推 移しており、CPI上昇率は昨年11月以降おおむね政府目標の前年比+3~5%に留まっています。経済の改善に伴ってジョコ大統領の支持率 は上昇、今年5月には最大野党であったゴルカル党が与党に加わるなど、政権の基盤は強化されてきました。インドネシアルピアの対米ドル レートの推移をみると、昨年9月まではルピア安基調でしたが、ジョコ政権が相次いで打ち出した経済対策を受けてルピア高となった後は比 較的安定した動きを示しています(図表2)。 (図表1)主要通貨の対米ドル騰落率 (2016年11月8日~12月9日) 2% (図表2)インドネシアルピアの対米ドルレートの推移 (1米ドル当たり、2015年1月1日~2016年12月9日) (ルピア) 0% 12,000 -2% -4% 12,500 -6% 13,000 -8% -10% ー ー ー ブ ト 日 ラ ル 本 ジ コ ル ー ー 英 カ ロ イ イ 中 ニ シ 南韓 豪 ユ ス マ 国 ナ シ ン ン 国 ュ ン ア 国 州 イ レ ロ ス ダ ア ド ド ガ フ ジ ポ リ シ ネ ア シ カ ラ ル ア ン ド (注)ユーロ以外は、通貨の国名を示しています。 インドネシア ルピア高 13,500 14,000 14,500 15,000 2015年1月 インドネシア ルピア安 2015年7月 ※左軸は逆目盛 2016年1月 2016年7月 出所:上記の図表はいずれも、Bloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。 イーストスプリング・インベストメンツ株式会社について 165年以上の歴史を有する英国の金融サービスグループの一員です。 ●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社は、1999年の設立以来、日本の投資家のみなさまに資産 運用サービスを提供しています。 ●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社は、英国、米国、アジアをはじめとした世界 各国で業務を展開しています。 ●最終親会社グループはいち早くアジアの成長性に着目し、アジアでは14の国や地域で生命保険および 資産運用を中心に金融サービスを提供しています。最終親会社グループの運用資産総額は、2015年 12月末現在、約5,090億ポンド(約90兆円、1ポンド=178.78円)に上ります。 アジア株式・債券の運用拠点であるイーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)リミテッドについて ■アジア地域を幅広くカバーする資産運用会社で、インドネシアを含むアジア株式・債券に関する専門知識と豊富な経験を最大限活用した運用を行い ます。 ■株式運用においてはボトムアップ・アプローチによる銘柄選択で厳選したポートフォリオの構築とリスク管理を重視、債券運用においては金利、クレ ジット、為替に対してファンダメンタルズ、バリュエーション、テクニカル等複数の視点で分析、ポートフォリオを構築し、トータル・リターンの最大化を目 指した運用を行います。 [当資料に関しご留意いただきたい事項] 当資料は、インドネシアの証券市場と政治、経済、文化等にかかる情報提供のみを目的として、イーストスプリング・インベストメンツ株式会社(「当社」)が 株式会社DZHフィナンシャルリサーチに情報提供を依頼し作成したもので、特定の金融商品等の勧誘・販売を目的とするものではありません。また、金融 商品取引法に基づく開示資料でもありません。当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なく これらを変更したり修正したりすることがあります。また、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。当資料で使用しているグラフ、パ フォーマンス等は参考データをご提供する目的で作成したものです。数値等の内容は過去の実績や将来の予測を示したものであり、将来を保証するもの ではありません。当資料は信頼できると判断された材料を使い、十分な注意を払って作成していますが、当社および株式会社DZHフィナンシャルリサーチ は、必ずしもその正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させてい ただいたものであり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、当社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。 イーストスプリング・インベストメンツ株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第379号 加入協会 一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会 161213(01) 2/2
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