ご参考資料 Vol. 144 (対象期間:2016年12月12日~2016年12月23日) インドネシアの金融市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が2017年の利上げ回数を引き上げるとの見通しを受けて株安、 債券安となりました。代表的株価指数のジャカルタ総合指数は対象期間中に5.3%安となり、インドネシア10年国債利回りは上 昇(価格は下落)しました。為替市場では米ドル高が進む中、対米ドルではインドネシアルピア安となりましたが、対円ではルピ ア高でした。大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは、インドネシアのマクロ経済の安定や構造改革などを評価して、格付 け見通しを「ポジティブ」に引き上げました。詳しくは、2ページ目の基礎講座をご参照ください。 [株式市場]ジャカルタ総合指数の推移 [株式市場] (ポイント) 6,000 5,000 日付 終値 12月9日 5,308.13 12月16日 5,231.65 12月23日 5,027.70 ジャカルタ総合指数は、年初来では9.5%上昇しています。海外投 資家によるインドネシア株式の売買状況を見ると、米大統領選後 の11月9日から12月19日まで28取引日連続の売越しとなった後、 20日から23日まで4取引日連続で買越しとなりました。 週間騰落率 (前週末比) -1.4% -3.9% [債券市場] 4,000 インドネシア10年国債利回りは、米連邦準備制度理事会(FRB)が 12月13~14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、来年の利上げ について従来予想の2回から3回になるとの見通しを示したことを 受け上昇(価格は下落)しました。 3,000 2,000 1,000 2006年12月 [為替市場] 2009年12月 2012年12月 2015年12月 出所:Bloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。 上記のグラフは2006年12月28日からの推移を示しています。 [債券市場]インドネシア自国通貨建て10年国債利回りの推移 25% 日付 利回り 20% 12月9日 12月16日 12月23日 7.66% 7.98% 7.89% 15% FRBが2017年の利上げ回数を引き上げるとの見通しを受けて、大 半の主要通貨が米ドルに対して下落しました。インドネシアルピア も対米ドルでは対象期間中に1.1%安となりましたが、対円では円 が対米ドルで下落する中で1.4%のルピア高となりました。 [ニュース] 変化幅 (前週末比) 0.32% -0.09% 世界経済の好転で、11月の輸出大幅増 10% 5% 0% 2006年12月 経済 2009年12月 2012年12月 2015年12月 出所:Bloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベトメンツ作成。 上記のグラフは2006年12月29日からの推移を示しています。 [為替市場]インドネシアルピアの対円レートの推移 インドネシアルピア高円安 (円) 1.5 1.3 日付 為替レート 12月9日 12月16日 12月23日 0.862 0.881 0.874 週間騰落率 (前週末比) 2.2% -0.8% 中央銀行、大統領にデノミを進言 1.1 0.9 金融 インドネシア ルピア安 円高 0.7 2006年12月 2009年12月 2012年12月 インドネシアの貿易は、長く続いた縮小から拡大に転じ ています。12月15日に発表された11月の輸出額は前年 同月比+21.3%と、2011年9月以来の高い伸びとなりまし た。パーム油や石炭などの価格上昇や輸出量の増加が 拡大をもたらしました。インドネシア統計局は輸出の大 幅拡大について、世界的な需要増と貿易の好転を示す ものと見ています。輸出額は、2012年から2015年まで 4年連続で前年比マイナスとなり、今年も1-7月累計で前 年同期比-12.0%でしたが、8-11月累計では同+6.2%と 拡 大 に 転 じ て い ま す 。 11 月 は 輸 入 額 も 前 年 同 月 比 +9.9%と2014年8月以来の高い伸びとなりました。輸入 額は2013年から2015年まで3年連続で前年比マイナスと なり、今年も1-7月累計で前年同期比-10.7%でしたが、 8-11月累計では同+2.7%と拡大に転じています。 2015年12月 出所:Bloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。 上記のグラフは2006年12月29日からの推移を示しています。 (100インドネシアルピア対 円レート) インドネシア中央銀行(BI)のアグス総裁は、12月19日、 ジョコ大統領にデノミ(通貨単位の切り下げ)を進言した と述べ、大統領もデノミが来年の国会で審議されること を望むと発言しました。インドネシアの通貨ルピアは、 1米ドル=13,438ルピア(12月23日現在)と、他通貨と比 べ桁数が多く計算が煩雑です。現在の1,000ルピアを例 えば新1ルピアとして簡素化することがデノミの狙いで す。デノミは2013年にも検討されましたが、米国の量的 緩和縮小観測を受けてルピア安となる中で断念されまし た。BIは経済が安定している今なら実行は可能と見てい ますが、政府とBIともにデノミが混乱なく実行されるため には7~8年程度の移行期間が必要と考えています。 英国プルーデンシャル社はイーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社です。最終親会社およびそのグループ会社は主に米国で事業を展開 しているプルデンシャル・ファイナンシャル社とは関係がありません。 1/2 ご参考資料 Vol.144(対象期間:2016年12月12日~2016年12月23日) [インドネシア基礎講座] インドネシアの格付け: フィッチ、見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げ 大手格付け会社フィッチ・レーティングスは12月21日、インドネシアの長期外貨建て及び自国通貨建て発行体格付けをBBB-に据え置く一 方、格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げました。インドネシアの高い経済成長率や低い政府債務比率とともに、経済安定 策や構造改革などを評価しての引き上げです(図表1)。格付けそのものを引き上げる可能性について同社は、国際金融市場の急変に耐え られるような体質の強化、ビジネス環境のさらなる改善、同格付けの諸国と比べて高い経済成長率の維持などが条件になるとしています (図表2)。インドネシアの格付けは、フィッチが2011年12月、ムーディーズが2012年1月に、それぞれ投資適格級のBBB-とBaa3に引き上げて います。S&Pは投機的水準のBB+に据え置いていますが、2015年5月に格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げています(図 表3)。 (図表1)フィッチによるインドネシア格付けの主な理由 経済成長率 ・実質GDP成長率(過去5年間平均) インドネシア:5.3% BBB諸国の中央値:3.2% ・インドネシアの実質GDP成長率(フィッチ見通し) 2016年:5.1% 2017年:5.4% 2018年:5.7% 政府財政 ・一般政府債務の対GDP比 インドネシア:27.8% BBB諸国の中央値:40.6% ・財政赤字の対GDP比 インドネシア政府は3%を上限と定める 外貨準備 経済安定策 構造改革 (図表2)フィッチによるインドネシア格上げの条件 商品輸出への依存度を下げることや海外から 国際金融市場 の直接投資を構造的に増やすことで、国際金融 への耐性 市場の急変に対する耐性を高める。 ビジネス環境 さらなる改善を図る。 経済成長率 同格付けの諸国よりも高い成長率を維持する。 (図表3)インドネシアの格付け(自国通貨建て、長期) ・経常収支上の支払に対する外貨準備高 インドネシア:7.0ヵ月分 BBB諸国の中央値:6.5ヵ月分 ・国際金融市場が大きく変動することがある中、 適切な金融・為替政策などで経済を安定的に運営 ・2015年9月以降の諸政策で、ビジネス環境改善 世界銀行ビジネス環境ランキング インドネシア:109位(2016年版)⇒91位(2017年版) 格付け会社 格付け (見通し) フィッチ BBB- (ポジティブ) S&P BB+ (ポジティブ) ムーディーズ Baa3 (安定的) 出所:上記の図表はいずれも、フィッチなど格付け会社の発表と各種報道に基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。 イーストスプリング・インベストメンツ株式会社について 165年以上の歴史を有する英国の金融サービスグループの一員です。 ●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社は、1999年の設立以来、日本の投資家のみなさまに資産 運用サービスを提供しています。 ●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社は、英国、米国、アジアをはじめとした世界 各国で業務を展開しています。 ●最終親会社グループはいち早くアジアの成長性に着目し、アジアでは14の国や地域で生命保険および 資産運用を中心に金融サービスを提供しています。最終親会社グループの運用資産総額は、2015年 12月末現在、約5,090億ポンド(約90兆円、1ポンド=178.78円)に上ります。 アジア株式・債券の運用拠点であるイーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)リミテッドについて ■アジア地域を幅広くカバーする資産運用会社で、インドネシアを含むアジア株式・債券に関する専門知識と豊富な経験を最大限活用した運用を行い ます。 ■株式運用においてはボトムアップ・アプローチによる銘柄選択で厳選したポートフォリオの構築とリスク管理を重視、債券運用においては金利、クレ ジット、為替に対してファンダメンタルズ、バリュエーション、テクニカル等複数の視点で分析、ポートフォリオを構築し、トータル・リターンの最大化を目 指した運用を行います。 [当資料に関しご留意いただきたい事項] 当資料は、インドネシアの証券市場と政治、経済、文化等にかかる情報提供のみを目的として、イーストスプリング・インベストメンツ株式会社(「当社」)が 株式会社DZHフィナンシャルリサーチに情報提供を依頼し作成したもので、特定の金融商品等の勧誘・販売を目的とするものではありません。また、金融 商品取引法に基づく開示資料でもありません。当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なく これらを変更したり修正したりすることがあります。また、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。当資料で使用しているグラフ、パ フォーマンス等は参考データをご提供する目的で作成したものです。数値等の内容は過去の実績や将来の予測を示したものであり、将来を保証するもの ではありません。当資料は信頼できると判断された材料を使い、十分な注意を払って作成していますが、当社および株式会社DZHフィナンシャルリサーチ は、必ずしもその正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させてい ただいたものであり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、当社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。 イーストスプリング・インベストメンツ株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第379号 加入協会 一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会 161226(05) 2/2
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