平成28年10月18日実施分

労働安全コンサルタント試験
(機
械
安
全)
機械安全
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注: 試験問題は、全部で4問です。問1又は問2から1問、問3又は問4から1問、合計2問を選択して解答用
紙に解答を記入してください。また、問3及び問4の解答は、計算過程も記入してください。
問
1
クレーン、ボイラーなどの機械等の強度設計に使用される許容応力設計法では、通常、様々な不確定要素
を考慮し、安全率が定められている。安全率は設計時のみならず、これらの機械等を維持・管理していく上
でも重要な値である。安全率について、以下の設問に答えよ。
(1)安全率とはどのような考え方に基づく値か。許容応力及び基準強さという言葉を用いて説明せよ。
(2)安全率は、クレーンやボイラーのように機械等の種類によって大きく異なり、また、同じ種類の機械等
であっても異なる場合がある。このような安全率の違いは、複数の要因によって生じる。安全率の大小を
決定する要因を三つ挙げ、それぞれ簡潔に説明せよ。
(3)安全率だけでなく、機械等の用途や使用環境によって、基準強さも適切な指標を選択しなければならな
い。いくつかある基準強さの中から、代表的な基準強さを三つ挙げ、それぞれ簡潔に説明せよ。
(4)クレーンのように動荷重が繰返し作用する機械等では、基準強さの決定に S‐N 曲線(S‐N 線図)と呼
ばれるグラフを使用する。S‐N 曲線とは何か説明せよ。
(5)近年、クレーンの設計において、限界状態設計法という新しい設計法が導入されつつある。限界状態設
計法とはどんな設計法か、許容応力設計法との違いを説明せよ。
機械安全
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問
2
機械設備に潜在するリスクを低減するための保護方策として、本質的安全設計方策、安全防護(ガード、
保護装置)、付加保護方策、使用上の情報提供などを選択する必要があるが、機械設備を設計する段階で実
施される保護方策に関して、以下の設問に答えよ。
(1)インターロック装置のうち、産業用ロボットシステムの可動ガードに採用される施錠式インターロック
付きガードの機能を説明せよ。
(2)運転を停止した機械の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、不意の起動による
危険を防止するために、どのような措置を講ずる必要があるか述べよ。
(3)人が機械の危険領域に進入した際の保護装置として、透過型光電管又は拡散反射型光電管を使用したも
のがあるが、機器が故障した場合にも安全が確保されるのはどちらの保護装置か、また、その理由を述べ
よ。
(4)非常停止装置とイネーブル装置は、冒頭の設問に示したどの保護方策にそれぞれ該当するか答え、また、
その理由を述べよ。
(5)機械の駆動源が電力である場合、停止には三つの方式(停止カテゴリー)があるが、それぞれの停止カテ
ゴリーとはどのようなものか述べよ。
機械安全
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問
3
強風にあおられてクレーンが転倒・逸走したり、つり荷が落下したりすることがある。このため、クレー
ン作業を安全に行う上で、風荷重を考慮することは非常に重要である。
図1及び図2のような長さ方向に一様な断面形状を有する箱型構造ジブの移動式クレーンが真横から風速
10 m/s の風を受けるとき、以下の設問に答えよ。なお、風は箱型構造ジブにのみ作用するものとし、風速
は高さ方向に変化しないものとする。また、図1のように、ジブの起伏の回転軸、上部旋回体の旋回軸及び
ジブの中心線は一点で交わるものとする。
(1)図1(b)のように、風がジブに対して真横から吹いているとする。ジブ側面の受圧面積が 14 m 2
(0.7m × 20 m)のとき、ジブに作用する風荷重 W(N)の大きさを求めよ。ただし、風圧 p(N/m 2 )は以下
の式で表され、ρは空気の密度で 1.3 kg/m3、v (m/s)は風速である。また、風力係数は1とする。
p=
1
2
ρ・v
2
(2)ジブの傾斜角が 60 °のとき、上記(1)の風荷重が上部旋回体を旋回させようとするモーメントの大きさ
を求めよ。また、ジブの傾斜角が 30 °になると、このモーメントの大きさは、60 °の場合の何倍になるか
求めよ。
(3)ジブの横方向の曲げに対する断面二次モーメントを求めよ。
(4)ジブの起伏の回転軸と起伏シリンダーの間は剛体と仮定する。風荷重によってジブに生じる最大曲げ応
力を求めよ。ただし、ジブの自重は無視してよい。
(5)上記(4)の場合、ジブ先端のたわみ量を求めよ。なお、ヤング率 E は 200 GPa とする。
0.7 m
0.3 m
20 m
18 m
30 cm
10 m/s
1 cm
剛体
剛体
ジブの起伏
ジブの起伏の回転軸
起伏シリンダー
起伏シリンダー
70 cm
1 cm
の回転軸
上部旋回体の旋回軸
(a) 側面図
上部旋回体の旋回軸
(b) 正面図
図1 ジブに横風を受ける移動式クレーン
図2 箱型構造ジブの
断面形状と風向
10 m/s
機械安全
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図1はクレーンの巻上げ機構の模式図であり、巻取り半径 r (m)の巻上げドラムで質量 m (kg)の荷を巻
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き上げている様子を表している。ワイヤロープの直径と質量は無視できるものとして、以下の設問に答えよ。
ただし、重力加速度を g (m / s 2 )とする。
巻上げドラム
モーター軸
2r
モーター
ワイヤロープ
荷の移動の方向
荷 (質量 m )
重力加速度 g
図1 巻上げドラムによる荷の巻上げの模式図
(1)巻上げドラムが一定の回転数 n (rpm)で回転して荷を巻き上げている。
① モーターに必要なトルク T0 (N・m)を求めよ。
② モーターに必要な動力(仕事率)P(W)を求めよ。
(2)荷を空中で静止させた状態から、時間 t(s)の間に h (m)だけ垂直に巻き上げた。このとき、荷は等加速
度直線運動したものとする。
① 荷の加速度 a (m /s 2 )を求めよ。
② 巻上げドラムとモーター軸の慣性モーメントが無視できるとき、モーターに必要なトルク T 1
(N・m)を求めよ。
③ 巻上げドラムとモーター軸の慣性モーメントが I (kg・m 2 )であるとき、モーターに必要なトルク T2
(N・m)を求めよ。
(3) 図1のような巻上げ装置で、図2のように直径 d (m)、長さ b (m)の円柱と、直径 D (m)、長さ c (m)
の円柱が同一中心軸で接合された形状をした荷を巻き上げている。この荷を一本づりで水平に保つため
には、中心軸上のどの位置でつればよいか。二つの円柱の接合面からの距離 x(m)を求めよ。ただし、二
つの円柱の材料は同一かつ均質であり、d・b < D・c であるものとする。
D
ワイヤロープ
d
問
b
x
図2
c
つり荷の形状