ご参考資料 Vol. 143 (対象期間:2016年11月21日~2016年12月2日) インドの金融市場では、米大統領選後の米国債利回り上昇、米ドル高の流れの中で、海外投資家による株式と債券の売り越 し基調が続きました。このような相場環境下、代表的株価指数のSENSEX指数は一時5月以来の安値を付けましたが、下げ過 ぎとの見方から買いが入り、対象期間中では0.3%上昇しました。インド10年国債利回りは、海外投資家の売りにもかかわら ず、政府が11月9日に実施した高額紙幣の廃止が中長期的には経済にプラスになるとの見方から低下(価格は上昇)傾向が続 きました。為替市場では、インドルピーは対円で大幅に上昇する一方、対米ドルでは小幅に下落しました。 [株式市場]SENSEX指数の推移 [株式市場] (2002年12月31日~2016年12月2日) 週間騰落率 日付 終値 (前週末比) 11月18日 26,150.24 (ポイント) 40,000 11月25日 26,316.34 0.6% 12月2日 26,230.66 -0.3% セクター別では、米ドル高インドルピー安が海外売上高の多いIT 企業の業績に追い風となるとの見方からITセクターが対象期間中 に4.8%上昇する一方、インド準備銀行(RBI、中央銀行)が預金準 備率を一時的に引き上げたことを受けて、銀行セクターが3.9%下 落しました。 [債券市場] 30,000 インド10年国債利回りは、RBIが金利の急激な変動を抑える目的 などで預金準備率を一時的に引き上げたことを受けて上昇する局 面もありましたが、高額紙幣廃止後の低下基調が続き、一時2009 年4月以来の低水準となりました。 20,000 10,000 [為替市場] 米大統領選後の海外投資家によるインドの株式と債券の売越し基 調が続く中で、インドルピーは11月24日に対米ドルで過去最安値 を付けました。しかし、その後は、米ドル高が一服してルピー高に 転じ、対象期間を通し見ると0.1%のわずかなルピー安に留まりま した。対円では、円が対米ドルで下落する中で、3.1%の大幅なル ピー高となりました。 0 2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月 [債券市場]インド自国通貨建て10年国債利回りの推移 (2002年12月31日~2016年12月2日) 10% 日付 利回り 11月18日 11月25日 12月2日 6.43% 6.23% 6.24% 変化幅 (前週末比) -0.20% 0.01% [ニュース] 預金準備率引き上げ、市場急変を抑える狙い 9% 8% 7% 6% 金融 5% 4% 2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月 [為替市場]インドルピーの対円レートの推移 (2002年12月31日~2016年12月2日) (円) 3.5 円安インドルピー高 3.0 日付 為替レート 11月18日 11月25日 12月2日 1.619 1.646 1.669 週間騰落率 (前週末比) 1.7% 1.4% 高額紙幣の廃止に続き、不正資金への課税強化 2.5 2.0 1.5 RBIは11月26日、預金準備率を一時的に引き上げると発 表しました。9月16日から11月11日までの預金増加額に 対する追加的準備率を26日から2週間100%とします。イ ンドでは、11月9日からそれまでの1,000ルピーと500ル ピー紙幣が廃止され、廃止された紙幣は12月30日まで に銀行や郵便局に預け入れるか新紙幣と交換すること になりました。11月10日から27日までの旧紙幣の預金は 8兆1,103億ルピー(約13.5兆円)に上っています。債券市 場では、銀行が急増した預金を国債買い入れにあてると の見方などから国債利回りが低下しました。今回のRBI の決定には、米大統領選後に米国債利回りが急上昇す る中で、インドの国債利回りが急速に低下するのは望ま しくないという考えが背景にあり、債券市場の急激な変 動を抑える狙いがあると見られます。 政治 円高インドルピー安 1.0 2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月 出所:上記のグラフはいずれもBloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベ ストメンツ作成。 インド政府は高額紙幣の廃止に続いて、不正資金の根 絶に向けた政策を進めています。政府が提案した不正 資金の課税を強化する法案が11月29日に下院を通過し ました。法案では、使えなくなった旧紙幣の預金に際して 不正であることを自主的に申告した場合、50%を税金と して支払い、25%を4年間無利子で預託しなければなり ません。預託された資金は、インフラ投資や貧困対策な どに使われます。一方、自主的に申告せずに不正資金 と判明した場合には最高85%の税率が適用されます。 英国プルーデンシャル社はイーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社です。最終親会社およびそのグループ会社は主に米国で事業を展開 しているプルデンシャル・ファイナンシャル社とは関係がありません。 1/2 ご参考資料 Vol.143(対象期間:2016年11月21日~2016年12月2日) [インド基礎講座] 実質国内総生産(GDP):堅調な消費に投資が加わり、主要国の中で最も高い7%台の成長続く見通し 11月30日に発表されたインドの2016年7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+7.3%と、4-6月期の同+7.1%から加速しました。主要支出 別に見ると、投資(総固定資本形成)は4-6月期の前年同期比-3.1%に続いて7-9月期も同-5.6%と落ち込みましたが、民間消費は4-6月期 の前年同期比+6.7%から7-9月の同+7.6%に拡大ペースを速めました。インドは2014年度(2014年4月~2015年3月)以降、7%台の高い経済 成長を続けています(図表1)。来年以降も、経済協力開発機構(OECD)が28日に発表した「経済見通し」によれば、インドは主要国の中で最 も高い7%台の経済成長を続ける見通しです(図表2)。OECDは、民間消費が引き続き成長のリード役となる一方、投資も2016年度の前年度 比+0.7%から2017年度は同+4.7%、2018年度は同+7.3%に加速すると予想しています。設備稼働率の上昇やインフラ・プロジェクトの進展、 企業債務の低下、来年4月に導入が予定されている物品・サービス税(GST)などが投資の拡大要因になると見ています。 (図表1)インドの実質GDP成長率の推移 (2013~2015年度*、2016年4-6~7-9月期) 8% 7.2% 7.6% 6.6% 7.1% (図表2)OECD経済見通し:主要国/地域の実質GDP成長率 (2017~2018年)* 7.3% 17年 7.6% 18年 7.7% インド 6.4% 6.1% 中国 6% ブラジル 0.0% ロシア 4% 2.3% 3.0% 1.6% 1.7% 1.0% 0.8% 米国 2% ユーロ圏 日本 0% 2013年度 2014年度 2015年度 2016年 4-6月 0% 2016年 7-9月 * 年度は、4月から翌年3月まで。例えば、2013年度は、2013年4月から2014年3月まで。 出所:インド統計・事業実施省のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。 1.2% 0.8% 1.0% 2% 4% (9/21現在) 6% 8% 10% * インドは年度(4月から翌年3月まで)。 出所:経済協力開発機構(OECD)「経済見通し」(2016年11月)のデータに基づきイース トスプリング・インベストメンツ作成。 イーストスプリング・インベストメンツ株式会社について 165年以上の歴史を有する英国の金融サービスグループの一員です。 ●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社は、1999年の設立以来、日本の投資家のみなさまに資産 運用サービスを提供しています。 ●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社は、英国、米国、アジアをはじめとした世界 各国で業務を展開しています。 ●最終親会社グループはいち早くアジアの成長性に着目し、アジアでは14の国や地域で生命保険および 資産運用を中心に金融サービスを提供しています。最終親会社グループの運用資産総額は、2016年6 月末現在、約5,620億ポンド(約77兆円、1ポンド=138.41円)に上ります。 イーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)リミテッドについて ■アジア地域を幅広くカバーする資産運用会社で、インドを含むアジア株式・債券に関する専門知識と豊富な経験を最大限活用した 運用を行います。 イーストスプリング・インベストメンツの属するグループのインドの運用会社(ICICIAM)について ■1993年にインド大手の民間銀行ICICI銀行の資産運用会社として設立され、1998年からはイーストスプリング・インベストメンツの属 するグループとの合弁で事業を展開しています。ICICI銀行は、1955年に設立され、2016年3月末現在、総資産は約7兆2,069億ル ピー(約12兆2,301億円、1ルピー=1.697円で換算)となっています。 ■設立以来、インドで資産運用事業に注力している、インド大手の運用会社です。運用資産総額は約2兆2,090億ルピー(インドにおけ るシェア約13.4%、2016年7-9月平均)となっています(出所:Association of Mutual Funds in India)。 [当資料に関しご留意いただきたい事項] 当資料は、インドの証券市場と政治、経済、文化等にかかる情報提供のみを目的として、イーストスプリング・インベストメンツ株式会社(「当社」)が株式 会社DZHフィナンシャルリサーチに情報提供を依頼し作成したもので、特定の金融商品等の勧誘・販売を目的とするものではありません。また、金融商品 取引法に基づく開示資料でもありません。当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なくこれら を変更したり修正したりすることがあります。また、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。当資料で使用しているグラフ、パフォーマン ス等は参考データをご提供する目的で作成したものです。数値等の内容は過去の実績や将来の予測を示したものであり、将来を保証するものではあり ません。当資料は信頼できると判断された材料を使い、十分な注意を払って作成していますが、当社および株式会社DZHフィナンシャルリサーチは、必ず しもその正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいた ものであり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、当社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。 イーストスプリング・インベストメンツ株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第379号 加入協会 一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会 2/2 161207(04)
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